【戦】White/Blue
ミーレ・ベルンシュタイン 2022年2月10日
静かな冬の夜。
障害物のない戦場、周囲にはこちらを見下ろす観客席。
――「こちらで用意しますね」と条件を付けた腕白番長が咲かせた決闘場の種が産んだのは。
そんな、コロッセオじみた戦場だった。
「ああ、観客席のことは御心配なく」、なんて。彼女はそう告げて。
中で会いましょ、と、消えていったのだけれど――。
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竜城・陸 2022年2月11日
『笑顔の咲く学び舎』『賑わう人の声』
『合わせた視線と、』『交わす言葉』『寄せられた願い』『寄せる思い』
『未来を臨む瞳』『差し伸べられる手』『ともに歩むひと』
――『差し出した手を』『握り返すひと』
遠い異国の、誰も知らない言葉を諳んじている――はずで。
だけれどそれはもしかしたら、そんな日本語のようにも聴こえるかもしれない響きで。
断片的に紡がれる、言葉は。
『今このときを謳い讃えているのだ』と。
たとえその意味を読み取れなくとも、容易に、本能的に、理解できることだろう。
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竜城・陸 2022年2月11日
――呪歌、というのは。
口伝をその主な伝承体系とした魔術の一派に伝わる、音によって現象を成す魔術である。
ただ、当然。
呪歌を巧みに編む才など、この少年は持ってはいない。
だから――その「うた」は、旋律だけで意味をなすものに、自身の紡ぎたい言葉をむりやり乗せただけの、ただそれだけのもの。
“ひとを鼓舞する”呪歌に、“己を支える情景”を乗せた、
自分だけの、自分にしかない力を紡ぐためだけの、うた。
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竜城・陸 2022年2月11日
それに乗せて放つのは、パラドクスなどではない、
ただの“己が用いることのできる魔術”。
剣を成した蒼氷が、射貫くのは少女の身体ではなくて――
その儀式を支えている、力の要。
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竜城・陸 2022年2月11日
――氷の権能が内包するのは。
・・
“停滞”と“静寂”。
それが墜ちた空間に存在する全ての“音”を強制的に凍らせる蒼き剣が、眼下を埋め尽くすほどの数を以て放たれて――
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竜城・陸 2022年2月11日
それが地に突き刺さったなら。
齎すのは冷たさではない。圧倒的な暴虐でも、何もかもを底に沈めてしまうような停滞でも、なく。
ただ心地よいばかりの静寂と、
闘技場のそこかしこに咲き誇る、氷でできた花たちだ。
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竜城・陸 2022年2月11日
――力のありようを教えてやれと、彼は言った。
でも別に、その形は。
圧倒的で絶対的な、破壊と暴虐だけでなくたっていいのだと。
今、眼下の光景を見て、わかったから。
そうでなくたって、人は守れるし。
そうであっては、人の心を救えないことだって、あるのだと。
――今、教えられたから。
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竜城・陸 2022年2月11日
「演出が一度きりじゃ、勿体ないでしょ」
そのもたらす静寂は、姑息にも、儀式そのものを阻害はするかもしれないが。
かといって、彼女の歌を、パフォーマンスを、阻害することだけは決してなく。
むしろ、咲き誇る氷花は、まるでそれに華を添えるようでもあったろう。
「ね、もっと歌ってよ」
ミーレ・ベルンシュタイン 2022年2月11日
「君に、君に、君に、君に――」
(「――ええ、そうですわよね」)
当然、気付いていた。
だから、言った。
この術式は、貴方の答えと相反すると。
きっと、「正史」と「偽史」に折り合いをつけるのが貴方の結論。
わたくしの「花天月地」は、偽史を否定する術式。
ならば。
それが改変の影響の両立であれ、「正史」、少なくともそう信じて振るわれる力には、効きが悪いのが道理である。
「幸せの未来を届けるよ――Bouquet✿Toss!」
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ミーレ・ベルンシュタイン 2022年2月11日
「寂しさが消えるまで! 響かせるから!」
けれど。
『神秘を支えるのは信じること』。
竜城・陸には、そう言った。
起きると信じられることは起こせるかもしれないけれど、信じていないことは起こせない。
口癖のように口にする、魔術師としての信念。
「――たとえ、いつか、もしも、きっと!」
だから、ミーレ・ベルンシュタインは欠片だって疑わない。
「人は負けない」という希望が、本物の神様を前にしても、砕けないことを。
それから。とてもとてもズルいこと。
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ミーレ・ベルンシュタイン 2022年2月11日
・・ ・・・・・・・・・・・・・・・・・・
陸が、この希望を遮れるとは信じていないことを、信じている。
そこに乗せた想いの尊さを、信じていたとしても。
即興の歌で。
「本物」が悩んで練り上げて、皆が熱狂し、
それを曲がりなりにも練習を重ねて、自分に合わせてきたこの歌を。
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ミーレ・ベルンシュタイン 2022年2月11日
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
即興の歌で上書きすることはできないと感じていることを、信じている。
・・・・・・・・・・・・・
儀式を止められないと感じることも、信じている。
なぜなら、
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ミーレ・ベルンシュタイン 2022年2月11日
「取り戻すために歌うよ――Bouquet✿Toss!」
・・・・・・・・ ・・・・・・・・・・・
そう思わせるために、寮の様子で分かるように時間を重ねてきたのだから。
人としての戦い方を教えると、言ってのけたその口で。
最後に仕込んだのは、そんな狙い。
そこまで形振りを構わない理由は、ただ一つ――
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ミーレ・ベルンシュタイン 2022年2月11日
「約束のあの日まで――――」
『――試しに思い切り暴れられる、壊れない相手が欲しくなったら、呼ぶと良いですよ』
竜城・陸とは、“あの日”、そう“約束”したのだ。
だからこうして、力と折り合いをつけるため、振るう相手に自分を選んでくれている。
ならば。魔術師としてではなく、番長としてですらなく。
カゾク
寮長として。
どんな手段をもってしても、その約束を実現せずに何とする。
これが今の動機。
だから。
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ミーレ・ベルンシュタイン 2022年2月11日
「――――君、とっ!」
アナタ
君を受け止め切るのが、わたくしの勝利条件。
それが、儀式は破られたけれど――なんて結末で、どうします。
受け止めましょう。何をされても。
受け止めましょう。何度でも。
きらきらと輝く光が、氷の花を包む。
それだけだ。歌はやまない、花も消えない。見た目には何も変わらない。或いはその鬩ぎ合いすら、見た目には分からないかもしれない。
けれど、儀式の影響は確かに絶えることなく。
偶像(アイドル)らしく、浮かぶ滝の汗を笑顔で押し隠し。
静寂を貫くように歌の響く中、希望を齎す歌は、『キミの側にいるよ』と、貴方をまっすぐに見てそう謳った。
竜城・陸 2022年2月11日
――わかっていた。
ああ、認めるのは悔しいけれど、わかっている。
誰もが、彼女の儀式に呑まれた時点で。
それが、人の心と力と技術と文化の――世界の歩んだ歴史の結実であるいう形を取る時点で。
ほうそく
それが象ったモノが、この世界に於ける勝利の凱歌を謳う時点で。
それを止められるだけの説得力を、持たせる術などないことを知っていた。
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竜城・陸 2022年2月11日
だけど、それでもという意地があった。
だって、今伸ばしたこの手の、内側には――
それ
彼女が否定する偽史がなければ、存在できなかった大切なものが、ある。
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竜城・陸 2022年2月11日
――まだまだ世間知らずで、危なっかしくて、
でも日々の中で新しいものを得ながら、少しずつ成長していく、
そんな、大切な大切な、家族みたいな誰かであったり。
――争いを厭い、叶うならば過去も今も全てを掬いたいと嘆き、
それでも今を守るために決意を固め始めた、
かつて大天使と呼ばれた、今は一人の女の子であったり。
――たぶん、
いつだって当たり前みたいに笑って背を押してくれる、彼――
好敵手にして友人である、赤き星だって、きっと、そうだ。
――否、もしかしたら、そういう見える形ではなくたって。
それがなかったとしたら、出会えなかった人たちは、きっと、数えきれないくらいにいて。
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竜城・陸 2022年2月11日
それを、
否定することが、あるいは“正しい”世界の在り方だったとして。
かつて、自分が“そう在るべき”と望み、命を賭して叶えようとした形であったと、して。
それを、認めることは、もうできない。
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竜城・陸 2022年2月11日
――世界中の誰が否定したって!
自分だけはその存在を否定なんて、しない!
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竜城・陸 2022年2月11日
蒼氷の剣に重ねる、術式は。蒼を帯びた、光の剣。
“あらゆるものを空にする”浄化の権能を、静寂の権能に重ねて振るう。
正史も、偽史もひとしく受け入れると決めた今なら、その権能の十全を、重ねて振るうことだって叶う。
その意地を通すと決めた今なら、それに呑まれないように自分を支えることだって、できる。
何よりも、
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竜城・陸 2022年2月11日
・・・・・・・・・・・・
彼女に負けない自分で在ることだけはゆるぎなく信じているから。
十全を。全開を。己の全力、全霊を。
ただひたすらに、注ぎ込むことに迷いも、ない。
ミーレ・ベルンシュタイン 2022年2月11日
「――『失ったものなんて! 何もないから!』」
――――あ、やば。
歌詞の順が、飛んだ。――仕方ないので、曲の方を加速して合わせる。
それで最低限の形を取り繕うけれど、一瞬のノイズ、軋む儀式場。
これはあくまで儀式の履行。カリモノノコトバ。
・・・・・・・・・・・・・・・・
再現よりも伝えたい言葉を優先した時点で、術としての強度は大いに下がる。
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ミーレ・ベルンシュタイン 2022年2月11日
分かっていますとも。
口に出さずとも伝わる思い。
相反する結論。用意に頷けないこと。
けれど、わたくしだって。
別に、そこから得たものを否定してるつもりなんて、ないですし。
そんなこと、言ってないですし。
――刻逆は打ち破るけれど。それで何かが失われるなんて、思っていないだけですし。
そんな、拗ねたような雑念は。やっぱり、術をほつれさせていって。
でも、
「君と」
「君も」
「君に」
「みんな」――!
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ミーレ・ベルンシュタイン 2022年2月11日
「明日を届けるよ、Bouquet✿Toss――」
マイク
短杖に、風を纏わせる。最後に残った魔術。
これもまた、壊れかけた花天月地に妨げられることのない、正史と、己がそう信じる秘跡。
崩れゆく儀式の制御を、どんなに無様でみっともなくとも、意志だけで取り戻し。
「寂しさが消えるまで! 約束のあの日まで! どこまでも響かせて!」
借り物の歌詞に、約束を果たして何度でも受け止めると、その思いを込めて、
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ミーレ・ベルンシュタイン 2022年2月11日
「―――Bouquet✿Toss!!」
あくまで可愛く、アイドルらしく。
剣を受け止めるように――――叩きつける!
吹き荒れる風が稼ぐ、空になる前の刹那の時間。
できるできる、やってみせましょう。
竜の権能にしたのと同じこと。流れを読み解き、勢いを殺して逸らすだけ。
ただ、見た回数が「あっち」より少ないだけ。この世界の神様の法則だっていうなら、むしろこちらが専門分野。
そう、
これは、
「『光は果てを言祝ぎて、■■■■――――
竜城・陸 2022年2月11日
時に言葉よりも雄弁に、意思を語るものがあることを知っていて。
だから目に見えて統制を損ねた魔術儀式を見て浮かべたのは、苦笑めいた表情だった。
――別に君が、それを切り捨てるとは思っていないよ。
ちらり、脳裡に浮かべた言葉は声にはならない。
言葉を出せるほどの余裕がいま、もうなかったから。
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竜城・陸 2022年2月11日
いま、全ての枷を外されて。
それでこの全開の力を、十全に振るうだけの心身をそなえていて。
そうであったとしたって――
“正史と偽史を束ねてすべてを”全力で振るったことなど一度もないのだから。
まして、自身の力を。
“一切人を傷つけぬように”振るった経験だって、ほとんどない。
制御に意識を割かなければ、いよいよ“自分”でなくなってしまうだろう。
多分その影響は、かの黒の卍器でさえ抑えきれはしない。
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竜城・陸 2022年2月11日
だから。
この新宿島へ来て。
この場所で、自分に科した誓約に、意識を傾ける。
『二度と負けない』と強く思った。
『そばにいて守る』と言ってみせた。
『二度と自分を見失ったりしない』と誓った。
――最後に、
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竜城・陸 2022年2月11日
浮かべたのは『変わってみせる』と約束したことだ。
初めて自分から、手を伸ばした。
『一人でいい、なんて言われたら――』
あの言葉はもしかしたら、自分がずっと言ってほしかった言葉だったのかもしれない。
そうして恐る恐る伸ばした手に、初めて応えてもらって。
ここで、人として、生きていきたいというねがいを、自覚させられた。
だから、全てが唯一無二でも、それは自分にとって、“特別”で――
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竜城・陸 2022年2月11日
いつかここまで這い上がってくると、追い越してやると言った彼が。
必ずそれを叶えると、迷いなく信じているから。
――その、友が見ている前で。
無様に膝を折って、敵わないと諦めるなんて、そんなことは。
絶対に――しない。
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竜城・陸 2022年2月11日
――光をほどく“力あることば”を耳にしたときに、
その手には、刃のない柄が握られていた。
最後に頼るのは、“人間として”得てきたもの。
光の術式が解かれてゆくならばと“あらゆる術を断ち切る”権能をその剣に、載せて――――
ミーレ・ベルンシュタイン 2022年2月11日
――――ッッ!
(短杖と)(柄が)(噛み合って)
(短杖の込めた音声補助の術式は瞬く間に断ち切られ、半ばまで切り飛ばされたけれど)
(剣を、大きく弾き返す)
(無効票)
ミーレ・ベルンシュタイン 2022年2月11日
(本当なら。そのまま打ち合うことだって出来ただろう。ミーレ本人に言わせれば、その武才もまた武術の一環に過ぎないが。さりとて、流れを見る力に由来する武の理――この間合い、この状態で、後れを取るつもりはない)
(――ない、けれど)
(無効票)
ミーレ・ベルンシュタイン 2022年2月11日
――――ふ、ふふ。
まだ、やります?
いいです、よ――わたくしは。思い切り振るったって、まだやりたりないなら。
……何度、でも。お付き合い、しますし?
(明らかに、もう余力も何もなく。ゲツエイの光すらも、薄れていく。魔術らしい魔術なんて振るえそうにもなくて)
(けれど笑ってそう告げる、その意地の張り方は)
(やっぱり、あくまで。「負けたくない」ではなく、「約束を果たしてみせる」であって)
竜城・陸 2022年2月11日
大きく弾き返されて空に投げ出される身体を、翼の羽搏きと尾の制動で持ち直す。
その手に握った剣は未だ健在で、けれど身に纏う魔力は、白の月光が薄れるにつれて目に見えて威を落としていく。
――肉体がそれを許容できぬと見るや、卍器がそれを自動的に抑制してしまう。
そういう風にして、「竜城陸」は自壊を免れているためだ。
(無効票)
竜城・陸 2022年2月11日
小さく。息を吐いて、吸って、そして。
奥歯を噛む。
ルーティン
力を制御するための儀礼的行為。
それでもって、十分に自身を痛めつける自身の魔力を慎重に、制御下に置いて、
(無効票)
竜城・陸 2022年2月11日
「――まだやる、と言いたいところでは、あるけど。」
剣を構えたまま、解きはしないが。
「負ける気はないけど、打ち負かしに来たわけじゃないし」
戦意らしきものは、目に見えて薄れているのはわかるだろう。
「ちょ、っと、」
(無効票)
竜城・陸 2022年2月11日
腕の輪郭がブレて、
「――制御が、」
顔の輪郭があいまいに、なって、
「十全に出来そうな気が、しないかも」
――苦笑も、夜の空に透けそうだった。
ミーレ・ベルンシュタイン 2022年2月11日
「……お望みなら、もう一度、展開してみせますけどぉ」
(その言葉は)
(決して、口先だけでは、ないのだろうと。そう思わせる)
(けれど)
(無効票)
ミーレ・ベルンシュタイン 2022年2月11日
「実りは、ありました?」
竜城・陸 2022年2月11日
「剣を引いたら負けだと言われるのなら、無理を押してもやるけどね」
声音も、まるで夜の風に溶けてそこから聞こえるかの、ようで。
「二度と約束、破りたくないから」
けれど、はっきりと耳には届くだろう。
「実りは、」
(無効票)
竜城・陸 2022年2月11日
「――あったよ、十分すぎるくらいに。」
もともとあった、自分のカタチも。
それを、どういうカタチに定めたいかも。
「ちゃんと、わかった」
ミーレ・ベルンシュタイン 2022年2月11日
「―――――それなら。」
自分の中の勝利条件は、クリアだ。
……まあ、負けてないけどという態度は腹が立たないでも! ないですが! いいでしょう! もう! 意地っ張りなんですから!
――うん。とにかく。力にはなれた、と、いうことで。
「では、――」
(無効票)
ミーレ・ベルンシュタイン 2022年2月11日
「アイドルの真似をしておいて、これ以上血なまぐさいのも良くないですから。引き分けで、手を打ってあげますわ」
なんて、捻くれた言い方をする。……なんとなく安子の顔が浮かんだのはなぜだろう、と、思いながら、
――――観客席を見て、ぺこんっと、一礼。
ありがとうございます。おかげで、楽しかったです。なんて。
もう、へたって倒れてしまいたいけれど。やっぱりそれは、偶像の姿を勝手に被った今日の締めくくりとして、みっともないと思うのだ。
竜城・陸 2022年2月11日
「別に続けたっていいけど――」
“彼女を傷つけることを厭わないなら”取れる手立てなど幾らもある。
“自分の制御を手放していいのなら”余力だって十分にある。
――でも、それを。
“今の自分が在りたい姿”だとは思わないから。
これ以上は、しない。
でも、それを「負けを認めた」と思われてしまうのは、癪だから。
もしそう言われるのだったら、意地を張り通すつもりだったけれど。
(無効票)
竜城・陸 2022年2月11日
「そーんなふらふらでよく言うよほんとに……君も負けず嫌いだな、大概」
なんて、軽口だか悪態だか判別のつかない発言ばかりは口から出るけれど。
その言葉に安堵を覚えたのもまた、事実であって。
ちらりと、観客席の方を見遣った。
知った顔ぶれが並ぶそこへ、控えめながら手を振る――尤も半分くらい霞んでいたが――。
ミーレ・ベルンシュタイン 2022年2月11日
「鏡見て言って下さいます!? わたくしだってなんでもありならまだまだやれますしぃーーー」
引き分けって言ってもまだ食い下がられても困りますわ!と言わんばかりに、大変心外そうにぷんすかしつつ、
(、)
ミーレ・ベルンシュタイン 2022年2月11日
「……ま、いいですけど。じゃあ、帰りましょうか、おうちに。
……正直、思った以上に周りのカバーする余裕なかったので、黒ちゃんにはちょっと真面目にお詫びしないといけない気がしますわー……」
そこのところは反省点であったし、まだまだ自分を過信していたのだろうと認めつつ。
一旦観客席に寄って決闘場をしまうべく、歩き出すのでした。
竜城・陸 2022年2月11日
「……俺はほら、まだやれるし」
なんて言葉が120%の強がりであることは、時折風の音に紛れてぶれる声音からもよく伝わることだろう。
それをわかっているのか、
「……いや、うん、ごめん」
なんて、すぐに付け足しは、したのだけれど。
“余計な一言”が多いのは――どうもこの間から致命的な時にばかり顔を出す。
(、)
竜城・陸 2022年2月11日
「う、それは……俺も。
一応、内部に弦供するようにしていたつもり、ではあったけど……なにぶん、サイズが大きすぎた感はあるし……」
あの大きさは、たとえ十全が備わってもおいそれと制御しきれはしないだろう。
……なんて、そんなことを考えながら。
「うん、……帰ろうか。
何か手伝えることあったら、手伝うよ。大分、疲れさせちゃったし」
“余計なことを言いすぎる”口にしては殊勝なことを言いつつ、彼女の後に続いて、ぎこちない歩を進めるのだった。