【イ】エムライブ『Rock On L.I.P』
薄羽・カゲハ 2022年1月29日
1月29日、夕刻。
エムライブ一日目ももう終盤。
矢継ぎ早に駆け抜けていった盛り上がりは冬の嵐。
パフォーマーとオーディエンスが相乗効果で生み出した熱狂は霆の如く空に轟いただろう。
……しかしながら、当然何事にも反動はある筈だ。
『目当てのライブは見たし明日に備えようかな』
『いい時間だしそろそろ帰る?』
『騒いだら腹減ったわ! 何か食い行こうぜ!』
生徒の中にはこういった声を上げる者も居るかもしれない。
ライブステージも今は幕間と明かりを落とし、スタッフとして携わる生徒たちが次への転換のため己の業務を全うしている。
そっとその場を後にするには一ついい機会と言えるだろう。
熱狂と鎮静の狭境。
そんな観客席を横目にステージに上がる女が二人。
彼女達は一旦幕を閉じようとするこの祭典の、終端で燻ぶった燃え残りか。
はたまた明日へと繋がっていく継ぎ火なのだろうか。
確かめて見ろと言わんばかりに、二人は己を曝け出す。
●Overview
『Rock On L.I.P』のライブパフォーマンススレッドです。
鑑賞される方は別途作成される【見・誰歓】『Rock On L.I.P』観客席をご利用ください。
●Rocker
1.薄羽・カゲハ
2.リップ・ハップ
2
リップ・ハップ 2022年1月29日
てェ――――ッ!
(ハートに斬り込む!)
リップ・ハップ 2022年1月29日
Ream Harm!
コドク
この身体に! トドメを!
キミが居なくちゃイケないからッ!
リップ・ハップ 2022年1月29日
深く! 深く! 深く嗚呼!
燃える 滾る 唸る心にッ
リップ・ハップ 2022年1月29日
舌を這わせてェェェ――――ぇィ…………
リップ・ハップ 2022年1月29日
(ギターネックが空を斬り)
(ピックが六弦を貫くように駆ける)
(小さく弾む吐息と共に、最後の音色が刻まれるのだった)
リップ・ハップ 2022年1月29日
(ささっとマスクを着けなおし)
(自分に)
盛り上がってっかエムラァァァァイブッ!!
(客席に)
リップ・ハップ 2022年1月29日
..
リップ・ハップ 2022年1月29日
(マイクの先を)
まだまだやれっかエムラァァァァイブッ!!
(往復させる)
リップ・ハップ 2022年1月29日
..
リップ・ハップ 2022年1月29日
……しっしっし。だってよ、カゲハ?
(目配せを一つ。さて彼女には目の前の光景がどう映っているだろうか)
薄羽・カゲハ 2022年1月29日
(受け取る視線。それっきり。)
(沈黙を返す。それで十分に。)
(次の準備は整っている。)
薄羽・カゲハ 2022年1月29日
a──んン゛
(ぼんぼん。マイク越しの緩やかな破裂音。)
(一歩、前へ。)
(小さく、口を開く。)
薄羽・カゲハ 2022年1月29日
死を忘れるな。
(一度。)
死を忘れるな。
(二度。)
死を忘れるな────
(三度。弦に触れた。)
(ミュート。鳴りを潜めたステージから、再び、咳払いのような僅かな息遣いがあって)
薄羽・カゲハ 2022年1月29日
『哀愁を穿つ』。
薄羽・カゲハ 2022年1月29日
(ダンッッッ)
(手と足、同じ方を振り下ろす。)
リップ・ハップ 2022年1月29日
(……全身、ありとあらゆるセンサーをブチ開けろ。こいつの呼吸を、)
(隣で音が爆ぜると同時)
(取り零すな!)
(呼吸を合わせてピックを走らせた)
薄羽・カゲハ 2022年1月29日
得てして言うのは馬鹿ばっか
呪い振り撒きゃ満足か
いずれ爆発 オレの海馬
所詮他人だお前らなんか──ッッ!!!
(搔き乱せオレの6弦。呑み込め、目の前の愚者たちを。)
(緩やかなBPMに詰め込んだ音の土石流。)
(かつてはあった、スクランブルの人の波。デイリー凶器な凹った車体。)
(響くドラムは倒木だ。細かなベースは土砂のスラップ。)
薄羽・カゲハ 2022年1月29日
うねる衝動に騒ぐ激情
感動ポルノと忌むべき神道
哀悼感傷もう結構
灰を被ってもダボはダボ
明日を焦がれども今朝が最期
御仏様はもう眠ってんのさ!
(脊髄を切り刻むようなカッティング。震えちまって仕方がねえなら、体揺らしてわかんねえようにしてやりな。)
薄羽・カゲハ 2022年1月29日
あの子の視線が大嫌いだ
綺麗に穿った哀れみと
無垢に覗いた愁いの眼(まなこ)
鮮やかな黄色の傘と
可愛いピンクの高い靴
あの微笑みが辛かった
頬の歪みが憎かった!
薄羽・カゲハ 2022年1月29日
朝日が憎くて暮れまで憎い
愛憎融かした花と涙に
塗れるならば泥がいいや
覆水盆にて塵芥
返す言葉もありゃせんが
誰でも似合いの幸せなんかより
オレに似合いの不幸が欲しい!
薄羽・カゲハ 2022年1月29日
(最後に一息。もう一度。)
(波は引く時が怖いって言うだろ。)
(音を転じて、返して、吞んでやる。)
薄羽・カゲハ 2022年1月29日
机上に並べた理想と夢想に
集って違った有象と無象
懺悔と祈りの防空壕
空は未だに青すぎる────ッッ!!!
(もう出鱈目だ。アドリブもクソもない。あの時描いた五線譜を、染めるぐらいの黒の音。)
薄羽・カゲハ 2022年1月29日
あ゛ア゛ア゛a゛h゛hhhhhhhh───────ッッッッッ!!!
(頭を振り乱す。聴こえるか水平線の向こう側。果てに届けば喉など要らぬ。)
(ブッッッッッッッ飛べ!!!!!)
薄羽・カゲハ 2022年1月29日
(しん、と。通夜のような静寂が暫く。)
薄羽・カゲハ 2022年1月29日
(振り上げた顔は、呵々と。)
お前らァ~~~~~~生きてっっかァ~~~~~~~~!!!!????
薄羽・カゲハ 2022年1月29日
だァ~~~っはっはっはッハッハッハ!!!
オレは、今にも、イっちまいそォ~~~~~~~~~~~!!!!
リップ・ハップ 2022年1月29日
(……これがカゲハのカラーで、つまり私らのカラーって事だ。今の。)
(派手なアドリブ、どこかでかますだろうなと思ってた顔。驚きも慌てもなく、そこに在る)
(……この手がいつから止まってたかって? んなもん見てたやつ居ねーだろ。)
(彼女の歌の事切れるまで付いて生き切れなかったのが今は口惜しいが、それはそれ。戦いは――)
薄羽・カゲハ 2022年1月29日
だがまァだ終わりじゃねえのさ。
最後の最期にもう一度。
薄羽・カゲハ 2022年1月29日
"オレたち"の詩を聴いて逝け。
薄羽・カゲハ 2022年1月29日
──────っ、
薄羽・カゲハ 2022年1月29日
(天にその指を突き立てて、高らかに!)
私立!MM学園!紫色の高校二年!十七歳!
薄羽!!カゲハ!!!
(それから────!)
(今度は隣へ指差し確認。今夜の相棒ここに降臨。)
リップ・ハップ 2022年1月29日
(ザクザク。5秒に圧縮した獰猛さ、闘争心)
(ぶっちゃけ一番練習したのがこのギターソロってのはここだけの話な? だってつけてーじゃん。カッコ。)
リップ・ハップ 2022年1月29日
同じく。白のクラス、高一の十六歳。リップ・ハップ。
(ギラギラと燃えるものをマスクの下に隠し、マイペースに続く)
薄羽・カゲハ 2022年1月29日
無理心中にお付き合い。
ここから先、無法地帯。
薄羽・カゲハ 2022年1月29日
(さあ一夜限りのお祭りだ。出し切ろうぜ、心ゆく迄。)
(この広大なステージに、小さく大きな地鳴らし一つ。建ち上がれ、砂上の楼閣。)
(ツーピース彩る掘っ立てバンド。ドラム、ベース、シンセにボード。"そこに在る"ただそれだけで、音楽は鳴り止まない。)
(
https://tw7.t-walker.jp/garage/gravity/show?gravity_id=22062 )
薄羽・カゲハ 2022年1月29日
(亡霊に負けじと取り出す5弦ベース。リードはオレだ。許さねェよ。)
(狂ったスラップの一斉掃射。スポットライトは法師を照射。)
リップ・ハップ 2022年1月29日
(リズミックにバッキングスタート)
(縁の下の力持ち? 違うなコイツはSharpening stone. 上を通ればほら、音圧が、グルーヴ感が研ぎ澄まされてく)
薄羽・カゲハ 2022年1月29日
(エレキベースを砂にくべて、握るその手にマイクを一つ。)
(手のひら大のエゴイズム。ここから歩むオレの覇道。)
(
https://tw7.t-walker.jp/garage/gravity/show?gravity_id=20897 )
薄羽・カゲハ 2022年1月29日
永き月夜の煌めく稜威
薄翅裂いた夜明けのように
一富士二鷹の夢心地
三の茄子は大蛇の腹に
それでもまだまだ世界に飢えて
腹が鳴ってはグーグー止まぬ!
薄羽・カゲハ 2022年1月29日
風間に一言 言わせて貰うぜ葛城の神
その手を握ってあげようかい
おっと 神が助けられちゃあ世話がねえ
響く柏手 詮が無え
頼っていいのは自分だけ
そんな硬ェ頭は打ち砕け!
薄羽・カゲハ 2022年1月29日
A to Zじゃ物足りねえ
0と1でも計れねえ
鐵叩いた画竜点睛
瞼を塞いでこの世に宣誓
眸が開いて始まる世界より
咲き誇るような〆(おわり)をくれよ!
薄羽・カゲハ 2022年1月29日
終雪 透き通る春の顕現
Aceを出したらEnd game
四苦八苦 流れ着いたのは華の学び舎
Hack and Slash 飛び交う言葉の刃
解け融け出し鷲掴み 切々向き合う厨と生活
夜更かし荒らしshow time チートタッグで『Keep it real』!
薄羽・カゲハ 2022年1月29日
魔王が全部救ってやるってさ
誰が笑った?その有難いお言葉
無茶無理無謀のトロイメライ
それでも無駄では終わらせない
Recreate of grausam
世界は歪んだ森羅万象
この手で全てを創り変えてやる
平和で無慈悲なあの青空を!
リップ・ハップ 2022年1月29日
運命?偶然?感じねえな
この唇が疼きすらしねえな
窓から光線 あの天体を穿って
R.I.P 遠い兆しを撃ち落とせ
世界平和よりあなたの安寧
理祈る救世主(メシア)に アイネ クライネ!
薄羽・カゲハ 2022年1月29日
(旋律は一定で、繰り返す音圧の振盪。詩に乗せた14色。)
(息遣いはとうの昔に忘れ去った。がなる喉はまるで悲鳴だ。)
薄羽・カゲハ 2022年1月29日
(それでも、この詩は)
薄羽・カゲハ 2022年1月29日
あの死にたくなるような青空に
赤く薙いで染めた夕暮れが愛おしいって
影は泣いた 泣いた 泣いた 哭いた
薄ら寒いな 羽を閉じた
真っ暗闇に鼓動 魂 心をくべて
この夜に余焔を遺していく
薄羽・カゲハ 2022年1月29日
(────オレの自我だ。)
薄羽・カゲハ 2022年1月29日
この夜に────────。
(残映。帳が降りた。)
薄羽・カゲハ 2022年1月29日
【末】