【個】1 VS 1
恋南川・姫兎 2022年1月19日
切っ掛けが何だったかはわからない。
だが、チンピラとヤンキーが集まれば、いつかはこうなる運命だったのかもしれない。
そんなこんなで、校舎裏に二人の男が揃ったのだった。
#一之瀬・一貴
#恋南川・姫兎
1
一之瀬・一貴 2022年1月19日
(当たり前の事実であるが)
(ボクサーのジャブは、速い)
(天賦の才を持つ者のそれは、人の反応速度を凌駕し得るもので、)
(無効票)
一之瀬・一貴 2022年1月19日
チッ。
(両の腕で、顔面のクリティカルな部分だけを守って)
(必要経費を支払いつつ、じりじりと距離を詰めていく)
恋南川・姫兎 2022年1月19日
(ガードを固められると、流石にジャブだけでこじ開けるのは厳しい)
(とはいえ、並の相手なら耐えきれずに隙を見せてくれるものだが……)
流石に、そんな甘ぇ相手じゃねぇか。
(無効票)
恋南川・姫兎 2022年1月19日
けど、そう引きこもってばっかいられると思うなよ!!
(顔をガードすれば、自然と胴の守りは薄くなる)
(こちらから一歩踏み込んで狙うのは、相手の脇腹)
(当たれば重く突き刺すような右のリバーブローを放つ)
一之瀬・一貴 2022年1月19日
(じりじりと、がりがりと、肉体と精神と間合いを、削りながら)
(このまま、削り殺すという選択肢を、)
ヌルいヤツならやるかもしんねえが……
(無効票)
一之瀬・一貴 2022年1月19日
そうだよ、
(腹筋を堅め、歯を食い縛り、)
そうこなくっちゃ、なァ!
(出るのは、前)
(打点をずらし、それでもハンマーでぶっ叩かれたような衝撃と引き替えに、)
(顔面に固めていた拳をそのまま引き、ぶっぱなす!)
恋南川・姫兎 2022年1月19日
(拳が突き刺さる)(が、振りぬけない)
根性あるじゃねぇか……!!
(ずらされた)(そう気づいた時には既に拳が顔へと迫っており)
(次に来るであろう衝撃に備え、歯を食いしばる)
(無効票)
恋南川・姫兎 2022年1月19日
(のではなく。逆に脱力し力を逃がす)
(顔に刺さる拳に逆らうことなく、自身の頭を流し、衝撃を受け流す)
ってぇ……。いい拳してんじゃねぇの
(ダメージを0にはできない。軽減こそしたが、深く芯に響くような衝撃が響く)
一之瀬・一貴 2022年1月19日
(浅い)(拳の感触に、笑みを深め)
ハ、流石じゃねえの。
(元より、拳闘家が技を用いるのならば、拳で上回れるわけはない)
(無効票)
一之瀬・一貴 2022年1月19日
(そしてこれは、ケンカだ)
よッ、ら!
(拳の勢いをそのまま下半身へと再びねじ込んで)
(砲弾めいた前蹴りの一撃)
恋南川・姫兎 2022年1月19日
(これはリングの上の試合では無い)
(当然、蹴りも飛んでくるだろう)(並のボクサーなら対応できないかもしれないが)
舐めるなよっ!!
(放たれた前蹴りに向かって、打ち下ろし気味のストレートを繰り出す)
(無効票)
恋南川・姫兎 2022年1月19日
(脚の筋力は腕のソレと比べ物にならない)
(いくらボクサーとはいえ、真正面から打ち合えば力負けするだろう)
(だが、かまわない)
お返しだ!!
(やるのは、さっきの一貴と同じ戦法)
(腹筋を固め前に出ることで、ダメージを減らしながらの相打ち気味のカウンター)
(鈍い衝撃が腸に広がるのを感じつつ、狙うのは伸びた脚)
(攻撃を払うのではなく、相手の土台となる脚への打撃)
一之瀬・一貴 2022年1月19日
(めり込むが、貫けない)
(なるほど、こーゆー感じなのかと、感心を覚える寸前に)
どんなフッキンだよテメー!
(風より速く、拳が迫り)
(無効票)
一之瀬・一貴 2022年1月19日
(脚をへし折る一撃に、みしりと軋む音が身体の内に響く中)
(逆らうことなく、脚を引き、それでも殺しきれぬ勢いを、身を躍らせ曲芸めいた回転へと乗せて)
アゲてこうぜ、なァ!
(ぐるりと、前宙しつつの空転踵落としを、そのドタマへと!)
恋南川・姫兎 2022年1月19日
そりゃお互いさまだ!!
(腹から口に逆流しそうなものを無理やり抑え込み、獰猛に笑う)
(迫り来るのはそのまま額を割ろうかという勢いの踵)(何とか躱して反撃するのが常道だが)
(無効票)
恋南川・姫兎 2022年1月19日
そんな甘ぇことはできねぇよな!!
(頭を動かし、直撃だけは避ける)(代償に踵が深々と肩に突き刺さり)
(だがそのお返しと、未だ宙に身体を残す相手の顔面に向けて、拳を繰り出した)
一之瀬・一貴 2022年1月19日
クハ
(空中では逃げ場もない、いや元からそのつもりもなく)
(深々とめり込んだ拳の勢いのまま、身体が今度は後方にぐるりと)
(人形めいて吹き飛び)
(無効票)
一之瀬・一貴 2022年1月19日
(四肢で獣のように接地して、)
ハ、ハ、ハ!
(立ち上がり、口内の血を吐き捨てて)
なァおい。
準備運動は、もう済んだか?
恋南川・姫兎 2022年1月19日
あったりめぇだ。
身体も温まってきて、万全ってやつよ。
(もろに受け止めた左肩の動きが鈍い)
(だが、それでも関係ないとばかりに笑みをこぼす)
(無効票)
恋南川・姫兎 2022年1月19日
そんじゃあ、ギア上げていくぜ!!
(だらりと左腕を下げたまま、左右にステップを刻む)
(自分と相手の体格差。そこから生まれるリーチの差を生かし、ギリギリの距離を取りながら、拳を連打する)
一之瀬・一貴 2022年1月19日
(右の瞼が腫れ上がり、視界が狭い、が)
おう!!!!
(上体を一度、二度、三度、拳をギリギリで避け、受け、打撃を合わせる態勢で、)
(無効票)
一之瀬・一貴 2022年1月19日
ッ!!!
(打撃)(の覇気から、瞬く間に地を這う獣程の低い姿勢を成して)
(狙うは左の膝)(両の腕を咢に、食らい付く)
恋南川・姫兎 2022年1月19日
(拳が空を切る)
(どこだ、と思うよりも早く、鍛えた目が相手を捉える)
下か……!!
(タックルであれば、定石は蹴りでの迎撃)
(だが、俺はボクサーだ)
(無効票)
恋南川・姫兎 2022年1月19日
(蹴りは無し。使うのは己の拳のみ)
(不格好な姿勢になりながら、強引に拳で組み付こうとする相手を迎撃する)
一之瀬・一貴 2022年1月19日
(単なるボクサーよりは格段に速く、それでも拳の打ち合いよりは遅い、その反応速度)
(降ってきた拳が顔面を抉り降ろし、)
ハ、遅えぞボクサー!
(ぎらぎらとした眼光が、獲物を捉え、その牙を、)
(無効票)
一之瀬・一貴 2022年1月19日
(浅い?)
(深く食いこませる筈の牙が、しかし僅かに歯先を食いこませた程度)
(距離と、速さと、重さを見誤った)
(思わず、舌打ちと笑みが漏れ)
(気付かぬ内に緩んでいた膝に、力と気合いを込めて)
オ、ラッ!
(指先。五指を無理矢理に、握力で強引に、)
(そのまま更に前、タックルで引き倒しに)
恋南川・姫兎 2022年1月19日
(拳だけで戦うと決めた時から、そう簡単に引き倒されないように鍛えている)
(事実、並の相手であればタックルで倒されることは無い)
(が、相手は並では無い)
チッ……
(脚に力を入れて耐えるが、強引に持っていかれ仰向けに倒れて行き)
(無効票)
恋南川・姫兎 2022年1月19日
(だが、マウントまで取られるつもりは無い)
(ボクサーとは思えない身のこなしで、受け身をとるとすり抜け立ち上がろうとし)
一之瀬・一貴 2022年1月19日
(浅い、なら)(跳躍)
(立ち上がろうとするその身に、影が映り)
(両足を揃えて、全体重をかけての爆撃を)
恋南川・姫兎 2022年1月19日
(間に合うか?)
(影が迫る)(素早く身を起こし、相手の姿を相手を捉える)
(無効票)
恋南川・姫兎 2022年1月19日
(ギリギリで躱した両足が、自身の肌を焦がす)
お返し……だ!!
(身を起こした勢いをそのままに、アッパーを顎目掛けて叩きこもうと)
一之瀬・一貴 2022年1月19日
(腫れて狭まった視界の外、反応が僅かに遅れて)
グゴッ
(顔面が跳ね上がるような、強烈な一撃に)
(無効票)
一之瀬・一貴 2022年1月19日
(いよいよ、たのしくなってしまって)
このキョリじゃ、避けらんねぇよなァ!
(お空の彼方まで吹っ飛びそうな意識を、意地で繋ぎとめて)
(もう、避けるもクソもない程に踏み込んで)
オラァ!!
(気合い十分、ねじ込むような肘打ちのお返し)
恋南川・姫兎 2022年1月19日
(今度はヘッドスリップで避ける余裕もなく、モロにひじ打ちを食らう)
(視界が歪み、倒れそうになる)(が、歯を食いしばり、脚に力をいれて強引に踏ん張り)
ッラァ!!
(技も何もなく、握り締めた拳で力いっぱい殴り返した)
一之瀬・一貴 2022年1月19日
(首を捻って、それでもいなし切れない衝撃)
(頭がフラつき、意識がまた)(うるせえ!)(情けねえテメエの意識を捻じ伏せて)
ッダ、マダァ!!
(握り締めた拳を頼りに、振り被り、そのまま目の前のデケエのに殴り返す)
恋南川・姫兎 2022年1月19日
(肉体に刻まれたダメージで脚が動かない)
(避けることもできず、正面から拳を受け止め)
ッ、まだまだァ!!
(前に倒れこむように、額を近づけながら、再度殴り返す)
一之瀬・一貴 2022年1月19日
(まだだ、まだ)
(後ろに下がった瞬間に、もう拳を握ることはできないと)
ハ、ハ、ハ!
(額をぶつけ、目を合わせて、もう一発)
恋南川・姫兎 2022年1月20日
(身体を半ば相手に預けるようにして支える)
(立つために残っている力を殴り返すために使い)
もう……一発!!
一之瀬・一貴 2022年1月20日
(校舎裏の味気ない風景も、既に遠く)
(ただ肉を打つ響きと、お互いの熱だけを支えに)
まだ、まだァ!!
恋南川・姫兎 2022年1月20日
(ぐらりと身体が倒れそうになる)(意識が遠のく)
(それでも拳に力を入れ)
まだ……まだァ!!
(倒れ込みながら拳を振りぬいた)
一之瀬・一貴 2022年1月20日
(…………)(…………!)
(拳を)
ま、だ、ァ!
(崩れ落ちながら、振りぬいた)
(無効票)
一之瀬・一貴 2022年1月20日
(ドサリ、と)
(二人分の、倒れ込む音)
恋南川・姫兎 2022年1月20日
(荒い息を整え、ごろりと仰向けになり)
(ぼんやりとした視界で空を見上げ)
あぁ……くそ。もう立てねぇ……。
一之瀬・一貴 2022年1月20日
(血を吐き捨ててその量に半笑いになりつつ、ぐだりと仰向けになり)
(片方が塞がった視界で空を見上げ)
おー……頭ふっらふらだウケるぅ
恋南川・姫兎 2022年1月20日
ウケねぇ……。ったく、人の顔をしこたま殴りやがって。男前が台無しだぜ。
(自分のことを棚に上げて、そんな冗談を吐き)
一之瀬・一貴 2022年1月20日
素直に脚引かれて倒れてりゃ良かったのによォ。
(くはは、と邪気のない笑いをあげて)
んでよ、
((継続))
一之瀬・一貴 2022年1月20日
次ァ、いつやる?
恋南川・姫兎 2022年1月20日
(ぼんやりと空を眺めていると、屋上で誰かがこっちを見ているような気がした)
(逆光で顔は見えないが、まぁ伝わったらでいいかと、口パクで拾いに来てくれと伝え)
((継続))
恋南川・姫兎 2022年1月20日
……はっ、好きだなテメェも。
そうだな。そんじゃあ…………
恋南川・姫兎 2022年1月20日
【終わり】