【個】始業前の、振り返り
何縫・音乃 2022年1月7日
三学期が始まり、年明けて初の登校日。
高校2年生の学年教室に、お音乃はいち早く足を踏み入れます。
教室内はガランとしていて、まだ誰もいないようでした。
「冬休みもあっという間に終わっちゃったわね。三学期もさまざまな行事が待っていると思うけれど、どうなることかしら」
と、期待に胸を躍らせ、机に鞄を置きました。
どうやら、早くに登校していたのはお音乃だけではなかったようで――。
#何縫・音乃
#竜城・陸
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何縫・音乃 2022年1月7日
そうそう。ずっと窓も閉ざされていたことだし、換気も今のうちにしなくっちゃ。
(がらがら、びゅう。冷たい寒風が教室内へと舞い込みます。)
……ひゃあ、さむい。
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竜城・陸 2022年1月7日
(珍しく、作業が早めに片付いて。教室に辿り着くのも、いつもより早かった。……てっきり誰もいないか、と思っていたのだけれど、予想に反してそこには同級生の姿)
……おや、音乃。いつもこんなに早いのかい?
(無効票)
何縫・音乃 2022年1月7日
(聞き覚えのある落ち着いた声に気づいたなら、お音乃は振り返って柔和に微笑んでみせました。風でやや乱れた長い髪とスカートと、緑のリボンを直しながら、)
あら、陸さん。ごきげんよう。
久しぶりの登校だから、早起きしちゃっていつもより早めに来ちゃった。
そうおっしゃる陸さんは……私より早くに学園に来てたみたいかしら。番長さんも色々とお仕事があるものね。
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竜城・陸 2022年1月7日
おはよう……ああ、そうだね。
一応授業はあったけれど、自由参加だし……そういう子もいるか。
俺はいつも夜が明ける前には学園敷地内にいるからね……とはいえクラスの仕事をしているから、教室に来るのはそんなに早くなくて。
今日はたまたま仕事が早く終わったから、早めに教室に来られたけど。
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何縫・音乃 2022年1月7日
お休みくらいはなるべく満喫したいもの。
その代わり、寮でゆっくりしながらお勉強も続けたわよ?
お正月ボケもしっかり治さなくちゃ。
……まあ、そうなの? 確かに陸さんは学園に常にいる印象が強いけれど……ちゃんと休めてる?
クリスマスやお正月くらい、羽を休められたか少し心配だわ。
(思えばお音乃にとって、蒼海番長は仕事人間のような印象が根付いていました。どんなお休みを過ごせていたか気になる様子です。)
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竜城・陸 2022年1月7日
いいことだと思うよ。
適度に息抜きをするのが大事、らしいから。
俺の場合は選択授業が多くてね、クラスの作業もあってなかなか休みが……という感じだけれど。
……あ、でも元旦の朝は休みをもらったよ。
初日の出を見に行きたいな、と思っていたから。クリスマスも、少しゆっくりはできたしね。
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何縫・音乃 2022年1月7日
あら、そうだったの。常にお忙しそうな印象は変わらないから納得だわ。
元旦の朝、それはよかったわ。初日の出は寒い中でも眺める価値はとてもあるわ。まぶしくて、鮮やかで、とってもうっとりするわよね。私も一人で見に行ったもの。
まあ、クリスマスも? なんだ、陸さんってば思ったよりお休みを満喫してるじゃない。
聖夜は誰かと過ごせたりしたの?(換気を終えた窓をぴしゃ、と閉じて。にっこり微笑み訊ねてみせます。)
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竜城・陸 2022年1月7日
少し学ぶ分野を絞ったほうがいいかなあ、と思わなくもないのだけれどね。
どの分野も学べば面白いものだから、つい……。
クリスマスは後輩にお誘いをいただいて。
水族館、というのを見に行って……その後は、晴と夜更かししてあれこれ話したりとか。
竜城・陸 2022年1月7日
ああ、音乃も見に行ったんだね。
……しかし、一人で? 君こそ何方かと見に行けばよかったのに。好い方とかはいないの?
(たぶんこういう意趣返しをすべき場面だろうな、と)
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何縫・音乃 2022年1月7日
うふふ、わかるわ。私もこの学園に来てから、勉強がどれも楽しくてつい手を伸ばしちゃうもの。
お江戸生まれのリターナーだからかしら。現代の技術や歴史、どれもこれも興味深くて、教科書もつい読みふけってしまうの。
(奇遇ね、と言わんばかりに嬉しそうに話してみせます。)
あら、後輩さんとの水族館に……晴さん、赤星番長ね。お二人ともいつも仲良しで見てて微笑ましいわ。……晴さんはお勉強、大丈夫かしら。(ついそっちを心配してしまいます。)
何縫・音乃 2022年1月7日
――――あっ。
……え、えっ。
何縫・音乃 2022年1月7日
ええと……その……好い方、というか。
(先程までのおっとりした振舞いは何処へやら。もじもじし始めます。)
一緒に見に行きたかった人は、いたの。でも、色んな事情が絡み合ってお誘いがしづらくて。
で、でも、クリスマスはいられたのよ! 24日から25日に日付が変わる瞬間まで。
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竜城・陸 2022年1月7日
俺もそういう感じだな。俺のいた時代とは本当に何もかもが違うものだから、どれも新鮮で。
お江戸……というと、確か今から二百年から四百年くらい前だったっけ。
そう、赤星番長の星見・晴。
仲良さそうに見えている……かな。それは何より。……勉強はまあ、赤点にならない程度にはきちんと面倒を見るから……まあ……
むしろ音乃はグスタフの方をどうにかしてあげてくれると嬉しいかな……
竜城・陸 2022年1月7日
…………おや。
(そんな様子に微笑ましげにくすくすと笑って)
そう、でも、クリスマスは好い時間を過ごせたのだろう?
(――瞬間まで、と)(その言い方は少し気になったが)
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何縫・音乃 2022年1月7日
陸さんはたしか、新宿島とは違う別ディヴィジョンの出身だったかしら……?
現代の生活を楽しんでいるようで何よりだわ。私も同じくらい、何もかも新しい発見がいっぱいで楽しいの。
そうね、だいぶ昔。江戸時代中期の生まれだから、外国のものも全部が真新しく見えるのよ。
グスタフさんはみっちり教えたからきっと大丈夫。
教室で踊ることをなんとかしてもらえたらそれでありがたいけれど……お互い苦労してるわね。(小さく肩を落とします)
何縫・音乃 2022年1月7日
…………(好い時間を過ごせたのか、という問いには黙ってこくりと頷きます。)
……過ごせた。過ごせた、けれど。モヤモヤは残ってるの。
陸さんは存じ上げてると思うわ。
学園が始まってすぐ、騒動を起こしたあのミイラみたいな姿の彼。彼と、一緒にクリスマスを過ごしたの。
見た目は不思議だけれど、お喋りすると普通の男の子なの。
口調は変だけど、でも趣向や振舞いは全部、「どこにでもいる普通の男の子」なのよ。
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竜城・陸 2022年1月7日
そう、幻想竜域の出身ということになっているね。今から1500年ほど前だ。
だから本当に、学問どころか思想から、社会体系まで……何もかも新鮮で。
そちらも同じく、楽しめているようで何よりだ。……ディアボロスとしての本分を疎かには出来ないけれど、今は……少しこういう日常を楽しんでもいいのかな、と思っているよ。
……多分次の試験になったら、また死にかけていると思うからね。
その時は手を貸してやってくれるとありがたいよ。
あいつも口うるさい徘徊老人より、可憐なクラスメイトに教わるほうがモチベーションが上がるだろうし?
(なんて、軽く冗談めかせて)
竜城・陸 2022年1月7日
ん? ……ああ、晴から話だけは聞いたね。
俺は実際に目にしたわけではないけれど……クラスの子たちも噂はしていたな。
そう、彼と……、(それを聞いて)(少し、何を問うべきだろうか、思案するように口を閉ざして――)
……もやもやしている、というのは、どのあたりに?
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何縫・音乃 2022年1月7日
幻想竜域キングアーサーね。私より、ずっと、ずっと昔の世界。
ええ、私たちはディアボロスではあれど、学問に励むべき青少年ですもの。
日常を楽しみながら戦いにも身を投じなければね。――危険と隣り合わせであることは承知の上で。
あら、まあ。わかったわ。
徘徊老人だなんてそんな、陸さんだって充分美麗だし、素敵よ?
(きっとモチベーションが上がるのは女生徒の方かもしれませんが、彼のレッスンは受けてみたいものです。)
何縫・音乃 2022年1月7日
……やっぱり、噂にはなっていたのは仕方ないわね。大きな騒動だったもの。
あのね、「このままじゃいけない」って、私は思っているの。
彼は言っていたわ。「まずは番長達に自分のことを伝えたい」って。
けれど、学園中に描かれた落書きは、番長はおろか、誰も理解できなかった。
彼には、「制約」があるの。満足に、「普通の男の子」として生活できない呪縛を背負ったまま毎日暮らしてる。
正直に言うと、苦しみながら、制約がありながら生きている彼はもっと番長や生徒会で助けなければならない存在だと、私は思っているの。
何縫・音乃 2022年1月7日
……………助けを、求めてた。
でも、私は彼の想いを慮って、理解して、傍にいることしかできない。
けれどそれだけじゃ、物事は進展しないわ。彼の口からじゃ呪いで助けを求めることができない、だから私が代弁してる。
陸さん、彼を。
ヨビビトシラズ・ナナシさんを、気にかけることはできないかしら。
竜城・陸 2022年1月7日
大地の概念すら違ったからね。
俺たちの時代はまだ、世界の中心はこの大地だと思われていたくらいの頃だった。
様々な物事に対する考え方や概念も、全然違って……戸惑うこともたまにあるけれど、それでもやはりここで暮らす時間は得難いな、と思う。
……日々を楽しめるからこそ、危険と隣り合わせの戦いも乗り越えられる、というものなのかもしれないしね。
いっそヴァネッサと結託して逃げられないようにしてやってくれてもいいし。
……おや、有難う。母譲りだというこの面差しは、俺にとって数少ない美徳だからね、お褒めに与って光栄だ。
竜城・陸 2022年1月7日
…………なるほど。
(実物を見ていないので、こちらにどう視えるかはわからない)(制約、というのがどういったものかもわからない――が)
(“誰も理解できない”“ミイラみたいな姿”――)
(思案して。けれど答えに辿り着く前に、ゆるくかぶりを振って)
竜城・陸 2022年1月7日
……その“助け”は。
果たして誰に求めたものなんだろうね?
君が聞き遂げたその願いは――俺が君に請われて、叶えていいもののようには思えない。
……ああ、勿論。
彼のことを気に掛けることはできない、と言っているのではなく――
竜城・陸 2022年1月7日
(目を、閉じて)
(数節、この新宿島では聞くことのない、古い異国の言葉を唱えて)
(目を、開ける)
(眼鏡越しに見える瞳は、淡い菫色)
まずは、彼自身に問うてみるのが最初だと思う。
それを解くために、誰ぞの力を借りたいと思っているのか。彼は、“誰”に助けを求めたのか。
その上で、彼が、それを心から望むとしたら。
竜城・陸 2022年1月7日
――“僕”は、必ずそれに応えると約束するよ。
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何縫・音乃 2022年1月7日
……………………
(彼からの言葉を、音乃は何度も反芻します。彼は当初、学園のえらい立場の存在への理解を求めていたはずでした。でも、今はどうなのか。お音乃自身も分かりません。もちろん、理解者は多く必要であれど、『本当に彼が求めている存在』……それが、まだわからないままでした。)
何縫・音乃 2022年1月7日
…………陸さん、ありがとう。私、まだ他力本願だったみたい。強い力のある番長なら助けになるって。
けれどそれは私の思い込みでしかなくて、彼はまた別のものも求めているのかもしれないわ。
あらためて、彼と話してみる。
何縫・音乃 2022年1月7日
……………けど、けれど、万が一、陸さんが手を差し伸べてくださるのなら心強いわ。本当に、ありがとう。
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竜城・陸 2022年1月7日
(息を吐いて、)
(目を閉じて――再び、開く)
竜城・陸 2022年1月7日
(――瞳の色は、いつも通りの朝焼け色)
いいや、礼を言われるようなことではないよ。
……それに、俺はそれを他力本願だとは思わない。
それだけ君が、彼のことを心底から想っているということの証左だ、と思うよ。
――心の底から誰かを想えるというのは、気高くて美しいことだと、俺は思う。
誇ってよいことだとも。
竜城・陸 2022年1月7日
ああ、よくよく話してみるといい。
……まあ、それから。
これは益体もない気休めめいた寓話の話では、あるけれど。
王子様の呪いを解くのは、お姫様の口付けだ――なんて、そういう文脈もよくあるだろう。
案外それは真理で――それこそ誰かの想いや願いの力というのは、案外侮れないものなんだと、俺は思ってるよ。
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何縫・音乃 2022年1月7日
……いえ、私こそ助けを求めていたとはいえ難しいもう問題だったを。どうかごめんなしいね。
何縫・音乃 2022年1月7日
わ、わ、わたしが呪いを解くと!?
だ、大丈夫かしら……願いや思いは、大きな力になれるかしら、
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竜城・陸 2022年1月8日
それは勿論、物語のように何もかも丸く収まる――とまで、都合のいいことはないかも知れないけれど。
でも――こうして聞きかじっただけの俺の力よりも、君が彼と直接語って、聞いて、想った、その気持ちや、その上で抱いた願いや祈りはきっと、大きな力になると思うよ。
“そうと信じられないものに、現実は塗り替えられない”。
……これはまあ、然る魔術師の受け売りだけれど。
力になりたいと、そう成れると、君はもっと信じてもいいと思うな。
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何縫・音乃 2022年1月8日
そうね……私ってば、番長や他他の皆さんに任せようと思って今ところがあったわ。
私はお姫様だなんてカラじゃないけれど、少しでも励みに、力になれるのなら……全力を尽くしたいわ
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竜城・陸 2022年1月8日
そうだね。
……仮に、解決の手を俺たちが貸すことになったとしても。
“任せる”よりは、君も一緒に知恵を絞ってくれるほうがきっといいと思うな。
彼以外で彼のことを一番知っていて――それを不足なく皆に伝えられるのは、きっと君だろうからね。
竜城・陸 2022年1月8日
(ふと、)(廊下の外から、話し声と、足音)
……おや。さすがにそろそろ内緒話はおしまいの時間かな。
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何縫・音乃 2022年1月8日
……そうね。他力本願のつもりはなかったの。私も彼の力になりたいから。
だから、精一杯頑張るつもり。また新しい今年の冬には、またよりよい時間を過ごしたいから……
何縫・音乃 2022年1月8日
うふふ、そうね。
気づけばあっという間だったわ。
じゃあ陸さん、本年度もどうぞ宜しくね。三学期も楽しい時間を過ごしましょう。
(演出終了)
竜城・陸 2022年1月8日
そうだろう?
言った通り、それは君の想いの表れだよ、だから――君は君の思うままに、成したいことを全霊でやればいい。
その上で――必要があり、求めがあるのなら、俺は応じると約束するよ。
竜城・陸 2022年1月8日
ああ、こちらこそどうぞ、今年も宜しく。
お互いに今後とも、よき時間を過ごしていけるといいね。
(演出終了)
何縫・音乃 2022年1月8日
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