【個別】金糸雀の囀り
十埼・竜 2021年12月26日
「オイ!こいつもう噛まれているぞ!」「追い出せ!」
「そうだそうだ!」「みんな落ち着いて話し合いを……」
「おい、今は巫山戯てる場合じゃ……う、うわーっ!」「キャーッ!」
「誰か助けてくれ!」「うぎゃーっか、噛まれ……」「邪魔だ!」
「出してくれ!このままじゃ……ああああ!」「嫌あああああ!」
「ああ、君だけでも出ていきなさい」
セーフルームの扉の前で幼い少女が血塗れで泣いています。
もたれ掛かる扉は砂で固く閉じられています。
中からは小さく呻き声が幾つか聞こえるばかり。
周りには誰もいません。
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シィ・ユゥ 2021年12月26日
ぐす
(幼い少女が扉の前に座り込みすんすんと泣いています)(声をあげたいけれど、大きな声を出すと怖い物がいっぱいやってくるのです)
(少女は先程までみんなと一緒でしたが今はひとりぼっちです)
(とても寂しいので後ろの扉を開けようとドアノブに手を掛けるけれど、それ以上、扉を開ける事は出来ません)
(せめてと自分だけを助けてくれたみんなを裏切る事になってしまうからです)
(だから少女は一人で泣いています)
(周りには誰もいません……でした)
(無効票)
十埼・竜 2021年12月26日
(渡された地図を頼りに、おっかなびっくり歩く)
(どこもかしこも不気味なうめき声と、聞いたことのない気持ち悪い“波”だらけだ)
(ただ、こどもの声が)(聞き覚えのある少女の泣き声が、聞こえていて)
(地図に目を落とす。……この先はセーフルーム。)
(何事もなければいい、ほんとうに。ただ転んだとかびっくりしたとかこんなことになって怖いとか、そうであってくれ)
(曲がり角を曲がれば、そこは――――)
十埼・竜 2021年12月26日
……ゆぅちゃん、(切れかけの蛍光灯の下から、震えた小声で呼びかける)そこに、いるの……?
(無効票)
シィ・ユゥ 2021年12月26日
っ!(聞こえてきた声にびくりと肩を震わせ顔を上げるとそこには見知った顔があり)
あ……ああ(何か言おうとして、けれど舌しっかりと動いてくれず呻くような声だけが出て)(そうしている内に無意識に歩み始めた足が十埼の元まで小さな身体を運び)
ううぅ……(シィは泣きじゃくりながら十埼に縋り付きました)
(無効票)
十埼・竜 2021年12月26日
わ、わ(よろよろとこちらに歩いてきた彼女……血まみれ!?)(この間下水に落ちた時だって、汚れひとつなかった彼女が!?)
(呻き声に、どうしても、反射的に身構えてしまった。被害者、の話は勿論回ってきてるから)
ゆぅちゃん、きみ、大丈夫……
(けれど)(縋りついてくる体を、振り払えるはずがない。)
十埼・竜 2021年12月26日
……ゆぅちゃん、大丈夫。だいじょうぶだよ。ね。すぐに上まで連れてくから。(柔らかな声をかけながら、彼女の背中を撫でて、落ち着かせようと)
(無効票)
シィ・ユゥ 2021年12月26日
ぐす(目を腫らしたシィが顔をあげ、十埼を見上げます)
怖かったの、とても(シィが恐れた物はゾンビと呼ばれる物などでは無く、仲の良い顔見知り達の末路と一人なった寂しさからでしたがそれを補足する存在は居ません)
シィ・ユゥ 2021年12月26日
……駄目よ。上には行けないわ(シィはちらりと後ろを見ます)(その扉の奥からは幾つかの呻き声が聞こえます)
みんなを置いていけないもの
(それに、と言ってするりと袖を捲ればそこには幾つかの歯型の付いた傷跡があります)
ゆぅも噛まれてしまっているもの。
だから、竜お兄さんも近づかない方がいいわ(そういって、縋りたい気持ちを抑え十埼から距離を置こうとします)
(無効票)
十埼・竜 2021年12月26日
(呻き声の出所のひとつは、やっぱり、その扉の向こう)
みんな……被害者?なら、ここを報告して収容しないと(口早に)なんでさ、大丈夫、みんな助かるから……
(見下ろした)
(白い、細い、少女の腕に赤黒く刻まれた歯形に)!!(息を、呑んだ)
いつ……今さっき? でも、まだ、きみはほら、お喋りもできてるし。急げばきっと……
(咄嗟の行動だった)(彼女の腕を掴んで、引き留める)
(無効票)
シィ・ユゥ 2021年12月26日
本当に?みんな助かるの?(引き止められ足を止めます)
ついさっきと言ってももう1時間は経っているわ。多分ゆうだってきっとその内みんなの様になってしまうわ。
ねえ、竜お兄さん。みんな助かるの?(腕を掴む十埼を見つめ問います)
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十埼・竜 2021年12月26日
(彼女の体を汚す血を、見る)(誰かのだろうこの出血量が死に関わるかも、ぼくにはわからない)
……。
(彼女の眼を、じっと、見つめ返した。)
十埼・竜 2021年12月26日
大丈夫!
(言い切る)(調べればウソでも。後から見たら正しくないとしても、今、不安を煽ることだけは、間違ってる)
だから、まずは一緒にいこう? きみたちを、絶対に助けるから。
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シィ・ユゥ 2021年12月26日
(少しの間がシィの不安を駆り立て、足を半歩後ろに下げさせたが)
……!
(十埼の力強い言葉にふっと顔を綻ばせ)
ああ、良かった……(と安堵を漏らします)
(無効票)
十埼・竜 2021年12月26日
(緊張感が解けたみたい。……よかった、とこちらも一息吐いて)じゃ、急ごう。(腕を引いてその場を離れようとしながら)
(その腕の傷からは、なかなか目が離せない。)
(無効票)
シィ・ユゥ 2021年12月26日
ええ(引かれる腕に従い歩みを進め始めますが、ちらりと後ろを見て)竜お兄さんはいつもゆうを守ってくださるのね
ふふ、ありがとうなのだわ(と笑顔を見せます)
(無効票)
十埼・竜 2021年12月26日
泣いてる女の子が隣にいたら、当然じゃん?
(軽く口にして、)
十埼・竜 2021年12月26日
(音に耳を澄ませながら、呻き声の遠い道を選ぶ。そうやって、やっぱりおっかなびっくり歩きながら)
…………思い出したくないなら、これは今無理には訊かないけど。
さっきの、扉の中。
……(何があったか)(あの呻き声の数、きっと、中で広がった)……何人くらい、いるのかな。救助にどのくらい来てもらうか、決めなきゃだからさ。
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シィ・ユゥ 2021年12月26日
もう、そんな事は気軽に言っていると軟派な人になってしまうのだわ(ぎゅっと軽く腕を抓ってみせます)
シィ・ユゥ 2021年12月26日
(尋ねられた質問に少し顔を暗くするも)いいえ、大事な事だもの。平気よ。心配してくれて有難うお兄さん(と向きなおり応えます)
確か、36人。
一番最初の騒動に巻き込まれず、すぐに行動に移せた人とその周りに居た人。そしてあの扉まで辿り着けた人はたったそれだけだったの。
あの地下街にはもっと多くの人々が居たのに……(思い出すとやっぱり少しつらいです)
(無効票)
十埼・竜 2021年12月26日
いたいいたいいたい……こういうときくらい、ユーモアが大事だって思わない?
十埼・竜 2021年12月26日
36。(……聴こえて来た呻き声は、それだけの数が、あっただろうか)
(でも。……この街に住んでいたひとたちに比べたら、ひと握りにも程がある)
そっか。(繋いだ手を、ぎゅっと握りしめた)大変、だったね。ゆぅちゃん。
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シィ・ユゥ 2021年12月26日
もう(と頬を膨らませてみますが、それでも少し余裕が出来たのは事実です)
シィ・ユゥ 2021年12月26日
(手を握り返し)でも、ゆうはもう平気なの。お兄さんが助けてくださったから
……他の所もきっと大騒ぎなのね(聞こえてくる音が、漂ってくる音が、目に見える景色がそれを物語っています)
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十埼・竜 2021年12月26日
……うん(他の所、のことを考えて露骨に憂鬱が漏れた)(いくら音を避けて進んでも、何せこの地下全体がゾンビ・パニックの渦中だ。ついでに頼もしきディアボロスがあちこちでどっかんばったんやってる振動も、ぼくの耳には伝わってくる)
十埼・竜 2021年12月26日
……あ!大丈夫だから!(彼女を不安にさせてはいけない!! ぶんぶん、首を振って)
来てくれるディアボロスも増えてるみたいだし、おーごんいん先輩んとこが、「ああなる」のを治す薬作ってくれてるみたいだからさ!
……ゆぅちゃん、腕は、痛くなったりしてない?(心配そうに、問う)
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シィ・ユゥ 2021年12月26日
ふふ(自分を心配させまいと口早に言葉を紡ぐ十埼の姿を見て思わず笑顔を溢します)
シィ・ユゥ 2021年12月26日
腕は……ええ、大丈夫よ
最初はスゴク痛かったけれど今はなんともないのだわ(答え、ふと歩みを進める奥、曲がり角の先にあるモノに気付き足を止め十埼の手を引っ張ります)
竜お兄さん、こちらは行っては駄目。別の方向から行けないかしら?
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十埼・竜 2021年12月26日
……?(曲がり角の先に耳を澄ます)な、何かいるの?(こわごわ、薄暗い曲がり角の先に目を凝らして)
(でも、彼女の勘は信じている。)
……オーケー。(声を殺して、引き返す方向を指さす。)向こうから回ろう。
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シィ・ユゥ 2021年12月26日
ええ、信じてくれてありがとう。 ……怖い物は居ないわ。ただ、あの先に行くと、きっと見たくないものを見てしまうのだわ
(向こう側に行けば、その先には戦える人がそれはもう沢山散らかした跡があるのですから)
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十埼・竜 2021年12月26日
……見たくないもの、ばかりだけどさ。こうなってから……
(それが「あれ」の類なら……彼女を連れているのに、余計なものを見て怯んでるわけにもいかない。正直、スプラッタ映画はニガテだ)
(映画、どころじゃないものを想像して)(ぞっとした。)
十埼・竜 2021年12月26日
……ああ、あった。ここだ……
(地図と道程を見比べて、STAFF ONLYの札のかけられた鉄扉の横にセキュリティカードを差し込む。ここから先は地下街じゃなくて、正式に商工会の設備だ。中の非常階段を昇って行けば、まだ安全に上までたどり着けるはず)
(無効票)
シィ・ユゥ 2021年12月26日
ここが目的地なのかしら?(扉を開ける為に離れた手を見つめながらそう尋ねます)
(無効票)
十埼・竜 2021年12月27日
そうだよ! もう少し階段上ってもらうことになるけど、この街中よりはよほどマシさ。
ね、もうすぐ、助かるよ。ぼくたち!
(扉が開いて、無機質な蛍光灯の光が漏れる)(それを背に、また、君に手を差し伸べた)
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シィ・ユゥ 2021年12月27日
(差し伸べられた手を見つめ)(十埼の顔を見てにこりと微笑み)(半歩退ります)いいえ、ここまでよ
シィ・ユゥ 2021年12月27日
(シィの口端から涎がぽたりと零れ落ちます)
(辺りを漂う鉄のにおいにくぅくぅとお腹がなります)
おにいさんひとりでいくの
(無効票)
十埼・竜 2021年12月27日
何を冗談……
(……あれ?)
(手を差し伸べたままの姿勢で、硬直する)
………………ゆぅ、ちゃん?
十埼・竜 2021年12月27日
(焦点のぶれた目)(半開きの口から滴る涎)(それじゃ、それじゃあ、まるで)
………い、いや、だ。
(半歩の距離を詰めて、歯形だらけの腕をもう一度掴もうと)
いやだ。
十埼・竜 2021年12月27日
(多分、ぼくは間違えてる)
(現状を理解してるのは、今まさに狂気と戦っている彼女の方だ)
(これは、映画でもなんでもないんだから)
いやだ!だめだ!抱えてでも連れてくからな!
ゆぅちゃんを置いてくなんてできるかよ!!
(無効票)
シィ・ユゥ 2021年12月27日
ふふ(にこりとわらい、のびてきたうでをつかみます)
(そしてかたをおして、かべにおしつけます)(ぐぐっとちからをこめておさえつけます)
だめ、そんないいにおいをさせちゃ、だめなのおにいさん。
(無効票)
十埼・竜 2021年12月27日
(握り返された手は、思ったよりずっと、ずっと、力強くて)
い、たっ……
(よろめいて中腰のまま肩を押され、転ぶように)っだっ!!(がつん、ノイズイーターごと後頭部と背中を打ちつける)(壁と彼女の小さな掌の下で、ぼくの肩の腱と骨がぎしぎし悲鳴を上げる)
(僅かにズレた隙間からがりがりがりがりがりがり、ノイズが忍び込んで)
(すぐ目の前に、少女の笑顔があった)
(きれいな緑の瞳を血走らせて、そこに、ぼくの顔を映す)
(恐怖に引き攣っていた。)
(。)
シィ・ユゥ 2021年12月27日
(どうしてそんなかおをするのだろう)(なぜだかすこしかなしい)
(でもどうしたらいいのかわからない)
(めのまえにこんなにおいしそうなものがあるのにどうしてかなしいおかおをしているの?)
おにいさんはとてもやさしいから、きっとあまくてふわふわ、あかくてどろどろ。
(かおをちかづけ)(くちをひらいて)(やわらかなはだから)(あかくて)(あまい)(かじつを)
シィ・ユゥ 2021年12月27日
……
シィ・ユゥ 2021年12月27日
【終】
(。)