【個】呉下の阿蒙に非ず
グスタフ・カツラギ 2021年12月2日
――士別れて三日ならば、即ち更に刮目して相待つべし。
等とは言うが、単純な話じゃないだろうよ。
変わらぬものはないと言うが、簡単に変わられても不安しかないだろう。
では何を以て良とするのか。
こちらばかりはシンプルで、周囲と本人がそう思うかだと感じるのは間違いなのか。
放課後、船着き場にて。
発言可能
#グスタフ・カツラギ
#竜城・陸
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グスタフ・カツラギ 2021年12月2日
でも今のここは、どうですか?
みんな、「そうあれ」って言いますか?
グスタフ・カツラギ 2021年12月2日
今もまだ、そう思い続けていますか?
(無効票)
竜城・陸 2021年12月2日
君のこの間話した時は、そう思っていたかな。
……いや、思っていた、というと変だな。
思い込もうとしていた、だろう。
そう在りたいわけじゃないって気付いてても、それ以外に道がないと思っていた。
そうでないと、色々なものを壊してしまうと思っていたから。
竜城・陸 2021年12月2日
(西の海を見据えたまま、)(目を閉じて、開く)
(淡い菫色の瞳で、海の彼方を見遣って)
……前提の話をしたほうが理解が早いと思うんだ。
対して面白くない昔話だけど、聞いてもらえる?
(無効票)
グスタフ・カツラギ 2021年12月2日
本当に傲慢な割に臆病ですね。壊したら後で直せばいいじゃないですか。
粉微塵になっても修復できる技術だって存外あるんですよ?
グスタフ・カツラギ 2021年12月2日
ふむ、ま、とりあえずは聞きましょうか。
相槌は入れた方が?
(無効票)
竜城・陸 2021年12月2日
そうだと思っていなかったんだよね……という話は後段に譲るとしてだ。
思うところあったら素直に言って貰えると俺の気は幾分晴れるかもね。
……この間弟みたいな子に「その環境だいぶヤだね」って言われたの、口では曖昧に流したけど結構気持ち的にはすっとしたし。
竜城・陸 2021年12月2日
まあ、有体に言って、生まれた時から普通ではなかったんだ。
これに関しては感じてもらうのが一番いいけれど……君の体調に悪影響を与えても困るから避けておくね。
(昨日、穂垂は平然としていたけれど――魔力を感じ取る素養のない野生動物でさえ“無意識に恐怖を覚える”程度のものだ。復讐者相手でも、力を抑えない状態ではどんな影響を出すかわからない)
まあ、そういうモノを巡って部族の者たちの意見は割れに割れた。
「今すぐ殺せ」と「いいように利用しろ」で随分と話は紛糾したらしい。
でも結局決着がつかなかったんだ――どちらを選ぶにしろ、僕と接触したいと思う人間がいなかったからね。
(触れれば死ぬ。そんな触れ込みを持つ赤子に、自分から手を下そうという者も、自分からそれを育ててやろうと意気込む者もいなかった)(だから、どちらも机上の空論から出ることはなく――)
竜城・陸 2021年12月2日
父上は、どちらでもない、“普通の人間”として僕を育てたかったらしいけど、それも難しくて。
……だから、僕を“普通の人間”にするために、人目に触れない、何もできない場所に置くことにした。
そうして、日を経るごとに多くの枷を科していった。
僕が、他人を、世界を傷つけないようにするには、「泣かず」「怒らず」「笑わず」「好き嫌いもなく」「愛も憎悪も知らず」「何も考えず」「何も為さず」「何も思わず」、
……そうして、「一生をこの暗い部屋の中で過ごし、ただ黙って、死を迎える」。
そうすることで初めて僕は人であると認められると、そう科した。
竜城・陸 2021年12月2日
まあ、ただ父上の思惑も少し外れていたというか……
結局それでも僕は、父上の望まないものに成ってしまったというか、なんだけど。
(無効票)
グスタフ・カツラギ 2021年12月2日
ふむ。感想いいですか?
(無効票)
竜城・陸 2021年12月2日
どうぞ?
(無効票)
グスタフ・カツラギ 2021年12月2日
本当に面白くない話でしたね。結局、お父様にすら愛されてなかったって話ですよね。
(無効票)
竜城・陸 2021年12月2日
愛してはいたんじゃない?
あるいは、愛そうと努力はしたんじゃない?
“自分の思う人の枠に収まっている限り”は。
でもそれは結局、“僕”自体を認めてくれていたわけじゃなかった。
当初は「自分を人として認めてくれている」なんて能天気なことを考えていた“僕”も、そのうちそれに気づいたんだろ。
生きることを放棄した身体は次第に衰弱して、起き上がることも出来なくなった。
前に……修学旅行の時だっけ、話したじゃない。
本来的には、与えられた力に沿うだけの器が備わっているはずだって。
そうじゃないのは単純に、そう思えていないからだとミーレは言っていたけれど……その通りで。
竜城・陸 2021年12月2日
“僕”は、自己の認識で現実を書き換えたんだろうね。
人に殺せないモノに成ってしまった自分を殺すための物語を、そういう風に書いた。
「この力はこの身には余る」「神の力を人間が宿せば、死ぬのは必然のことで」「だから自分は、死ねば人間だと認められるはずだ」って。
(無効票)
グスタフ・カツラギ 2021年12月2日
愛していないでしょう。
ひとつも望むようにさせない親など、他人ですらないでしょう。
なまじっか繋がりが多いだけ余計面倒で苦労ではないですか?
グスタフ・カツラギ 2021年12月2日
しかしまぁ、傲慢はその頃からだったんですねぇ。
いえ、傲慢になる様に仕立て上げられたって感じでしょうか。
もし仮に、外に出て、外の子供を知って、その力の権能が「自分もみんなと同じだ」なんて思ってしまったらとかそういうのもあったんでしょうし。
(無効票)
竜城・陸 2021年12月2日
それは……まあ時代の違いもあるんじゃない?
祭司や長の言葉が絶対で、それに沿うよう動くのが部族というものだったからね。
だから、“僕”にとっては普通のことだったんだよ、全部。
父親の意に沿うために全てのことが必要で、すべて受け入れるのが当然だと思ってた。
……その一言を受け取って、その意味を理解するまではずっとね。
竜城・陸 2021年12月2日
傲慢だったね。そう育てられたから。
“僕”は自分にはあらゆることが成し遂げられ、それは他人には決してどうにもできないことだと、そう思うように巧妙に歪められて出来上がっていた。
父上は情けのつもりで文の遣り取りを許したのだろうけど、せめて中身を検めておくべきだったのさ。
そうでなければあんな化け物が育つことは、もしかしたらなかったかもしれないのに。
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グスタフ・カツラギ 2021年12月2日
詰めが甘いのが人間というものでしょうし、それでもうまく事を運べようと四苦八苦するのも人間でしょうて。
それで、三つ子の魂百までではないですが生きるにも死ぬにも苦労する体になったと。
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竜城・陸 2021年12月2日
うん、まあ、そういうことなんだけど……。
結局言いたかったことはそこではなくて、……ええと、そうだな。
竜城・陸 2021年12月2日
俺は“何も為さずに死んだ”という結果を変えてはいけないと思ってたんだ。
この世界は俺がそうして定めの通りに終わりを迎えた先に成り立っているのだから、それを変えてしまったら色々なものが変わってしまうかもしれないと思っていた。
自分が生きることが、何か大きな流れを妨げると思っていた。
自分の一挙手一投足が人の命を簡単に奪って、世界を変えてしまうと思っていたんだ。
……いや、過去形じゃないか。今も思ってるな。
なにせ、傲慢なクソドラゴンだからね。
竜城・陸 2021年12月2日
だけど、今は少し違って……なんと言えばいいかな。
少し間違えるだけで世界を変えてしまう、人を殺めてしまう、そういうモノであることは変わらないと思ってるけど。
自分がそう成らないように己を制御できると信じているし。
世界の方だってそれで簡単に変わってしまうようなものではないと信じたいと思うし。
俺の目の前にいる誰かだって、そんなことで死ぬような人ではないと信じようと思っている。
今の俺が思っているのは、そういう感じ。
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グスタフ・カツラギ 2021年12月3日
多少なりとも意識が変わったのは理解しましたが……その前提から導かれる解は未だに想定付かないのですが。
ま、ひとまずは前提の過去は理解しました。大変結構な生活をされていらしたというのも。
して、その心は?
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竜城・陸 2021年12月3日
要は……ええと、だからね。
そういう風に育ったから、俺は自分が「人間」だって言われても「そうだね」と言えなかったんだよ。
ここで皆が認めてくれる姿は、自分に与えられた「人間」の形と全く違っていたわけだから。
「そういう人間の形」は、俺みたいな――“神”とか呼ばれるように成ったモノには許されないって思ってたし。
結局全てを放棄して死ぬ以外に道がないなら、そういう風になれたって辛いだけだ、って思ってたんだ。
……前提の話をしたのは、そういう「どうして人間だということを認められないか」についての回答のつもりだったんだけど。
今聞きたいのはそういうことじゃなくて?
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グスタフ・カツラギ 2021年12月3日
いえ、先の話が結論だとは思っていなかったので。
(わざとらしく、先ほど聞いて録音した声を流して)
「そう在りたいわけじゃない」「それ以外に道がないと思っていた」。
で、僕が聞きたいのはその先の言葉です。
長々とお話していただいたのに本当に申し訳ないんですが、前提はやはり前提なんですよ。
グスタフ・カツラギ 2021年12月3日
今言いましたよね。
「言えなかったんだよ」って。
今は言えるんですよね。
全部過去形ですよね、まぁ単純に昔そういうのがあっただけだからそういう喋り方にした、って事でもいいんですけど。
グスタフ・カツラギ 2021年12月3日
今とこれからも、そう思い続けるのか。
それとも、その枷は背負い続けるのか。
ここで、どうするのか。
僕が、聞きたいのは、それです。
先に言っておきますと、変わらない、ってんなら僕はあなたのことがずっと嫌いなままだと思いますよ。
グスタフ・カツラギ 2021年12月3日
変われない、って言うんでしたら、見捨てます。
変わる、って言うんでしたら、まぁ、経過観察ですかね。
いつぞやの約束も破るような人じゃあないとは思っておりますが。
グスタフ・カツラギ 2021年12月3日
僕が要求……と言いますか、妥協点として出せるところはここいらが限度です。
僕は100を望みません、60でいいです。
100、絶対にこれしか通せないという人以外には程々の落としどころを探します。
陸さん、あなたの今と未来は、どう思いたいんですか?
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竜城・陸 2021年12月3日
…………ああ、ごめん。
色々な相手と話していて気付いたんだけど、俺はどうも「自分はこうする」と言うことを明確に表明するのが苦手みたいだ。
竜城・陸 2021年12月3日
こうして話せているだけでも、君にああ言われた日からは変わってるつもりなんだけどね。
言葉で示すべきというなら、答えは“彼”に言ったのと同じだよ。
今も昔とは変わっているし、この先も変わっていくつもりでいる。
俺は竜だし、僕は神だけど、それでも人として生きていきたいと思ってるからね。
…………あー、それと。
この際だから素直に言うけど、言っていい?
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グスタフ・カツラギ 2021年12月3日
ふむ。
ふむ?どうぞ?
(無効票)
竜城・陸 2021年12月3日
俺、今の生活を気に入ってるんだよね。
人と話すのは楽しいし、農業も釣りも楽しいし、戦うのも殺さないかどうかを心配しなくてもいいのなら結構楽しいし、皆が楽しそうにしているのを見るのも楽しい。
友達ができたのも嬉しいし、皆が頼ってくれるのも嬉しいし、人を「友人」って呼んでも嫌な顔をされないのも嬉しいし、俺のすることが誰かの為になるのも嬉しい。
俺が俺のまま生きることに、異を唱えられないことが幸せだと思ってる。
竜城・陸 2021年12月3日
そしたら、気付いちゃったんだよね。
ああ、僕の生きてた世界って控え目に言ってどうしようもないな、って。
人前だと「仕方なかったんだと思う」とか言ってるけど、控え目に言って結構怒ってる。
竜城・陸 2021年12月3日
神として望まれたままに力を振るうか、人として何もしないまま死ぬか。
それ以外に生き方なんてない、って示されてた時はそう思ってたけど。
そうでない生き方ができると思ったら、それを望んでいいってわかったら、なんか、こう、殺したいとまではいわないけど。
……あいつらの思惑から大いに外れてやろうって気持ちもあるかな。
(無効票)
グスタフ・カツラギ 2021年12月3日
そこは絶対にぶち殺して市中引き回しにしてこれがお前らの望んだ神の裁きだ操ろうなんて言う傲慢は許されない報いを受けよこれこそが貴様らの欲望の果てだぐらいにやってもいいとは思いますがね。そういうの、人っぽいと思いますし。
ま
グスタフ・カツラギ 2021年12月3日
抗うってんならそれはいい事ですよ。
そちらの方が、好感が持てます。
(無効票)
竜城・陸 2021年12月3日
それをしたらもう完全に歴史が変わるでしょうが。
第一義に「今」を壊さないっていう前提で動かないといけないでしょ?
ちょっとばかり痛い目見てもらうとかそういうつもりでいても、加減苦手だからうっかり殺しちゃうかもしれないし。
竜城・陸 2021年12月3日
だから、ま、お前らのやり方じゃ神なんて操れやしないし、押さえつけられもしないよって教えてやるくらいでいいかなって思ってる。
俺を人扱いしないやつにくらい、傲慢に接したっていいでしょ。
(無効票)
グスタフ・カツラギ 2021年12月3日
おや、「何でもできる」んでしたらそれぐらい容易いものじゃないですか?
まぁ人扱いしても傲慢なところは出てきちゃいますがねどっかの誰かさんは。
(無効票)
竜城・陸 2021年12月3日
煽るなあもう。どっちにしてもしないけどね。
死なない程度の痛みなんかで許された気持ちになられちゃ不愉快だし。
そりゃ竜でも神でもあるわけだしね、多少は自覚的に傲慢でいないと。誰よりも強いつもりでいないと、力のバランスを崩す。
……日常では、まあ、うん、もう少し人の感性を学びます……。
(無効票)
グスタフ・カツラギ 2021年12月3日
そういうのは「殺してくれ」って頼まれるぐらいまでやるのがいいんですよ。
現代……ではないですけど、中世ぐらいにはそのための道具もたくさんありましたし。
グスタフ・カツラギ 2021年12月3日
さて、では存分に学んでいただきましょうか。
(立ち上がって、バインダーをぽい、と陸の方へ投げる。)
それをジョリントンバワーさんに渡してください。
僕が行くとブーブー不満垂れますからね、青番がいけば多少なりとも委縮するでしょうし、しなかったらそういう人間もいるってことで学びになりますし。
さてさて、僕はまだ用事がございますのでね。
(無効票)
竜城・陸 2021年12月3日
別に痛めつけるのは好きじゃないからしないけど……
あ、でも祭司連中から魔術師としての権能を剥奪するとかはいいかもな……
竜城・陸 2021年12月3日
え、あっ
・・・・
(反射的に投げ渡されたそれを受け取って)
……不満垂れるなら自分でやれって言えばよかったのに君も。しかも用事まであるのに引き受けたんだ? 真面目だなあ……。
まあ、ジョーに渡せばいいってだけならとりあえず了解。今どこにいるかわかる?
教室でしか見ないから、放課後何してるか知らないんだよね。
(無効票)
グスタフ・カツラギ 2021年12月3日
だって僕にも関わる事柄ですし……文化校舎のどこかにはいるんじゃないですか?
代わりに緑の製作業務押し付けてきたので工作室辺りだとは思います。
まぁそれか自分の工房……だったらポストらしきところにおいておけばいいと思いますよ。
グスタフ・カツラギ 2021年12月3日
では、僕は街の方で色々やることございますので!
(近くに寝かせておいた杖を拾い上げて、とことこと商店街の方へと歩いていく)
(演出終了)
竜城・陸 2021年12月3日
文化校舎ね、了解。
素直に工作室にいてくれるといいけどな……個人工房区画、若干迷いそうだし。
ん、行ってらっしゃい……
竜城・陸 2021年12月3日
(背中を見送り、ながら)
ありがとう。
(……多分、相手にしてみれば何のことかわからないだろうけれど)
(あれが無ければ、自分の今を見直すことはきっとなかっただろうと思うから)
(それは、伝えておこうと思った)
(演出終了)