【個】あたたかさを探しに
竜城・陸 2021年11月26日
豊饒祭の開催は、冬の足音近づく十一月の末。
陽が出ているとはいえ、少し肌寒いことも増えてきて。
出店通りの賑わいも熱気も冷めやらぬながら、
吹く風の冷たさは、さすがに誤魔化しようもなく――
場所:
学園敷地内・出店スペース
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新堂・亜唯 2021年11月27日
気を許したから、近づきすぎたのかなぁ。
俺も学校通ってなかったし、あんま人付き合いは上手じゃないとは思うんだけど
いつかそういうこともあるのかも。
そっか、治すんなら良いんだ。
そりゃね、鍛えなきゃ話にならないじゃん、俺は。
竜城・陸 2021年11月27日
それは、まあ。父親の言葉だからね。
(ああ、でも)(――当時は、直接、“死ね”と言われたわけでは、なかったな)
ピンとこないかな。……そうかもね、普通ではないと思うし。
(無効票)
竜城・陸 2021年11月27日
根源的に俺の考え方が普通じゃなくて――向こうが何度も、そうじゃないって言ってくれたのを、素直に聞き入れられなくて。
細かく言えば他の……その時話してた内容とかにも原因があるんだろうけど、根本的にはそれなんだろうなって思ってる。
そりゃあ、まあ。
大きくなった君のこと、見ないわけにいかないしね。
……それを言うなら学園の生徒はみんなそうなんじゃないかな……? 俺はサボると思うけど……。
新堂・亜唯 2021年11月27日
お父さんかぁ……なるほど。
俺も、父さんに言われてたら素直に受け止めてたかもしれない。
んー、普通とかそういうんじゃなくてさ。
俺の考えをはっきり言っていい?
(無効票)
新堂・亜唯 2021年11月27日
あ、言われたんだ、やっぱり。
やっぱ生きてちゃいけないって思ってることに対して、とか。
うん、ちゃんと見ててくれないと困るよ。
この豚汁のお返しもしなきゃならないんだし。
……まあ、陸にいは鍛える云々の前に強いけど……健康のためには出来る範囲で走ったほうがいいとは思います。
竜城・陸 2021年11月27日
……まあ、父上の言うことが間違いだとも思わないしね。
人の世には余る力を、人の目の届くところには置けないだろう。
ん? ……うん、勿論。構わないよ。
(無効票)
竜城・陸 2021年11月27日
根源的に言えば死ぬことを受け入れてること……なんだろうな、とは思う。
あと、自分を人と隔ててしまっていることとか。
……それが全てではないんだろうけどね。まあ、本当のところは当人に聞かなきゃわからないけど。
大丈夫、……そのつもりでいるから心配しないで。
うーん……今の感じだと魔力なしじゃ50m走れないんだよね。かといって魔力を使って体を動かすのは授業の主旨とズレてしまうし……。
新堂・亜唯 2021年11月27日
陸にいは、生きることを権利だと思ってるよね。
自分に生きる権利がないと思っていなきゃ
生きているだけで「我儘」って言葉は出てこないでしょ。
(無効票)
新堂・亜唯 2021年11月27日
まーそりゃ反発されて当然だよ。
理由があるとはいえ、さ。
その体力だとマジで体ボロボロじゃん。
鍛えるってよりリハビリって感じになんのかな……。
俺も螺月流の修行する前は、全然走れなかったな……喘息で。無理はよくないよね。
竜城・陸 2021年11月27日
……。
(口を付けていた豚汁の器を、膝に置いて)
誰からも望まれないことだったからね。あまつさえ、父上の意にも反している。
それはもう、我侭と言って差し支えないと思わない?
(無効票)
竜城・陸 2021年11月27日
そう、だから、悪いのは俺のほう。
ちゃんとわかってるから、いいんだ。ちゃんと話すよ。
うん、実はね。ディアボロスだから死なないというだけ。
まあ少しずつどうにかしていくつもりではあるんだけどね……喘息。胸の病気、だっけ……?
新堂・亜唯 2021年11月27日
(容器を同じく膝に置くと、片手を陸の方へ伸ばして)
口を開けなさい。
(全ての会話の流れを打ち切って、頬に添えた手で、こちらを向かせるように)
竜城・陸 2021年11月27日
ん、…………??
(首を傾げて、)
(けれど特に逆らいもせず、そちらを向いて、言われるまま口を開けた)
新堂・亜唯 2021年11月27日
(箸でつまんだ豚肉を口に突っ込む)
竜城・陸 2021年11月27日
? ??
(よくわからないがされるがままに口に入れられた豚肉を素直に咀嚼している)
(よく噛んで)(飲み込んで)
……アイ?
新堂・亜唯 2021年11月27日
陸にい。
生物が生きるのは「権利」じゃない。「義務」だ。
生物なんだから。
(無効票)
新堂・亜唯 2021年11月27日
陸にいが今噛み砕いたのは命だよ。
まあ、今の新宿の豚肉が生きてる豚を殺したものかはともかくとして……。
生きてる限り他の生き物を傷つけるなんて当たり前なんだよ。
それでも生きてる限り生きなきゃなんないの。
生きてる者は。
(無効票)
新堂・亜唯 2021年11月27日
5年くらい山で暮らして嫌ってほどわかった。
どんだけ自分が悩んでも夜になったら眠いし、腹は減んの。
小鳥を殺して食うの可哀そうだなあとか、民家から食べ物盗むのは悪いことだよなあとか、何をどう小難しく考えてもね。体は生きたいとしか言わない。
犬も猫も魚も鳥も虫も木々も花も菌もそう。
そこで「良い」とか「悪い」とか言い出すのはね、自分が世界の中で特別な存在だと思ってる一種類の生き物だけ。
(無効票)
新堂・亜唯 2021年11月27日
陸にいが有害な生き物だったとして、それを理由に他の生き物に殺されるのは良い。
それは陸にい以外の生き物の、生きたいって当然の権利だから。しょうがない。
でも自分の意思で死んでいい権利なんて、たぶん世界のどこにもないと思います。
竜城・陸 2021年11月27日
(“でも、誰にも望まれないまま生きるなんて苦しいだろう”)
(――言いかけて、)(気が付いた)
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竜城・陸 2021年11月27日
…………他の生き物が、俺にいなくなってくれって言ったから。
俺はそれを受け入れたんだって、思ってたけど。
(――だけど)
(夜になったって眠くなんてならなかったし)(空腹を感じることもなかったし)
(息が苦しいのも)(胸が痛いのも)(目がかすむのも)(何も聞こえなくても)
(気になったりは、しなかった)
……ああ、そうか、俺。
死にたかったんだな。
(自分の身体は、)(“生きたい”と、言わなかった)
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竜城・陸 2021年11月27日
………………。
そう、そうだね。それで行くなら、死ぬのを選ぶ方が我侭だ。
死にたい理由だって、誰かを傷つけないために、とかでもないしな。
(誰にも望まれない命である、ということが)(ただ、悲しいと思った、それだけだ)
新堂・亜唯 2021年11月27日
死ななきゃならない、じゃなくて
死にたかったってんなら、また少し話は別だろうしね。俺もそう思ったことはあったし。
陸にいが死にたいって思うことに文句をつけることは、俺にはできないけどさ。
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新堂・亜唯 2021年11月27日
陸にいに死んでほしくないな、って気持ちがここにあることも、誰にも文句はつけらんないよね。
(自分の胸を、とん、と叩いて)
居なくなるのを受け入れることができたんならさ。
ここに居てほしいって言われるのを受け入れたっていいじゃん。
(無効票)
新堂・亜唯 2021年11月27日
俺の考えはそんな感じで、俺の気持ちはそんな感じ。
かざはな寮で過ごしててわかったけど、陸にいの隣はけっこうあったかいからね。
竜城・陸 2021年11月27日
少なくとも、死ねば“人”だと認めて貰えたわけだからね。
それしか望むことがなかったし、そうすれば一番大事な人の願いも叶えられるし、
……生きていたって、“俺”はきっと誰にも愛されないって、わかってしまったから。
(生きている限り、“人”とは認められない)
(“人”でない自分を、誰かが愛することはない)
(自分を、“ ”として望んだ人間たちだって、自分を愛してなどいなかっただろう)
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竜城・陸 2021年11月27日
まあ、ただ、今は――あまり、そう思ってはいないんだけどね。
ほら、これ、着てるだろ。
(と、外套の裾を摘まんでみせた)
新堂・亜唯 2021年11月27日
すげー客観的に言わせてもらうけど
陸にいの元居た環境、だいぶヤだね。
(刻逆直すのも考え物だよな、と)
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新堂・亜唯 2021年11月27日
ぬくそうなやつ。
今生きたくて生きてんなら良んじゃね、と思うけどね。
だからその生き死にのスタンスでケンカになったんなら、今度は言えばいいんじゃない?
「今は枝毛気にする程度には生きてる」とか。(豚汁の残りをすする)
竜城・陸 2021年11月27日
手に負えない災厄を封じるのは当たり前のことだよ。
それにまあ、……父上にとってはそれが精一杯だったんだと思うし。
(自分を、余人の望むままの“道具”にさせないための)(勿論、そんな綺麗な理由だけではないだろうけど)
……だからそれ自体を恨んだり、厭ったりはしていない。
俺だってそれこそ、嫌なら素直に従わなければよかったんだし。
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竜城・陸 2021年11月27日
……でも、“今”ここに生きている俺は。
触れるだけで人を殺めてしまうような、そういうものじゃなくて――そういうものにならないって、決めて。
“今”俺の周りにいる人は、みんな、俺のことを“俺”だと思ってくれてる。
神だろうと、竜だろうと、構わずに、そういうものだと受け入れてくれているだろ。
……だから今はね。
父上の言うように従って、何も為さずに死ぬよりも。
俺にできること、持てる力の全てを使ってでもやりたいことを全部やって、生きてみるつもりでいる。
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竜城・陸 2021年11月27日
自分の力なんて嫌いだよ。少し間違えたら、簡単に誰かを殺めてしまうんだから。
でも、それは、
(――“『力のありようを、教えてやれよ。』”)
俺が望めば、全く逆のものにだってできるかもしれないんだから。
なら、それを示してやらなくちゃ。
そうしたら――
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竜城・陸 2021年11月27日
――もし元居たところに帰った時にもさ。
父上もびっくりして、考え方を変えるかもしれないしね。
新堂・亜唯 2021年11月27日
…………なんだ。
最初に聞いた印象より、よっぽど前向き、っていうか
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新堂・亜唯 2021年11月27日
そういう意味での「我儘」なら、全然いいと思うし。
(その手をもう一度、取って)
今の陸にいに触ったってへーきだってことは、俺ももうよく知ってる。
この手が暖かいことも、優しいことも知ってる。
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新堂・亜唯 2021年11月27日
それでだめならそっちの歴史まで乗り込んでいって俺が全部倒す!!!
竜城・陸 2021年11月27日
いやまあ……あいつと喧嘩しなかったらまだ後ろ向きにうだうだ言ってたと思うけどね……
怪我の功名というかなんというか……
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竜城・陸 2021年11月27日
ん、
(素直に手を取られて)
(おでことおでこをくっつけるように、少し距離を縮めて)
俺もちゃんと知ってるし、信じることにしたんだ。
“今の俺が他人を傷つけることはない”って。
……完全にそうなれるまでには時間がかかるだろうけど、でも、そうするって決めたから。
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竜城・陸 2021年11月27日
あ、でも倒すのはダメだからね。
歴史が変わっちゃったら困るし……元々そのために死のうと思ってたところもあるんだから……。
新堂・亜唯 2021年11月27日
てことは、喧嘩の原因になったことは、正しく考えるべきことだったんだろうしね。
すげーいい友達だと思うんだけど。
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新堂・亜唯 2021年11月27日
ん。
(こつん、とおでこを合わせ)
それならいいよ。
たまに信じられなくなったときは、こうして触ってくれればいいし。
陸にいが大丈夫だってことは、俺がこうしてここにいることで証明できる。
(無効票)
新堂・亜唯 2021年11月27日
っふふ、はぁーい。
(くすりと、笑って)
死なれちゃ困るもんね。
竜城・陸 2021年11月27日
そうだね、……そう思うよ。
多分そもそも、あいつがいなかったら変わろうとだって思ってなかっただろうから。
(無効票)
竜城・陸 2021年11月27日
(額を合わせても)(ひやりとした冷たさが彼に伝わることは、なく)
うん。……ありがとう。
でも、信じられなくならなくても触っていい?
こうやって誰かと一緒にいて、触れられるのは、やっぱり、嬉しいから。
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竜城・陸 2021年11月27日
うん、……よろしい。
(なんて、ちょっと偉そうに言ってみせて、)
まあ、だめだったら新しい場所でまた新しい生き方を見つけるさ。
だから、何処でも生きて行けるようにちゃんと体も強くしないと。
(、)
竜城・陸 2021年11月27日
(額に触れた熱を感じたまま、)
……食べ終わったら今度、何買いにいこうか。
おすすめ、まだあるでしょ。教えてくれる?
新堂・亜唯 2021年11月27日
……やっぱいい友達だ。
だったらたぶんできるよ、仲直りも。
(無効票)
新堂・亜唯 2021年11月27日
ん、もちろん。
(額に感じる温度には、安心を覚える)
(乾いた風の寒さも、今は遠い)
誰かと一緒にいるんだもん。
その温度を感じないのは、やっぱりもったいないしね。
(無効票)
新堂・亜唯 2021年11月27日
おお、陸にいが兄さんっぽい。
うんうん、俺にできることなら手伝うしさ、いつでも。
鍛えるのは健康の第一歩ってことで……
(、)
新堂・亜唯 2021年11月27日
そっちも、もちろん。
(楽し気に弾む声で、返事を返し)
そうだなー……いろいろあって悩むけど
まずは――
(刻逆というこの現象に決着がつくのは、まだまだ先のことだろうけど)
(今、ほんのわずかな未来の話くらい、ただ、楽しく――)