【戦】肉体に宿る『暴力』
奉利・聖 2021年11月17日
強さを求めている。
どんな敵でも排除できる、強さを求めている。
成長の実感が掴めないこの身は、先へ進めるのか。
確かめたくて、経験を積む。
種も仕掛けも無いフィジカルを振るう彼女を見て、憧れた。
あれほどの境地に立ってみたい。
確かめたくて、誘いをかけた。
#リップ・ハップ
#奉利・聖
1
リップ・ハップ 2021年11月17日
(固められた脚。迫る掌)
(だが少女は焦ることなくひょいと "脚を上げる" )
(男がそこに絡みつくまま、だ。ただただ馬鹿力で。怪物じみた脚力で。力任せに)
(鎌を地に突き立て、手摺代わりのY字開脚。すぐさま膝を畳んでやれば、それを掴む男の体の向きも変わる。掌打の向かう先も変わる)
リップ・ハップ 2021年11月17日
どっ――、
(人一人を脚一本で動かしているというのに、掌打が届く前に一連の動作を終えているのだ。機敏さが常識を外れていた)
――せイッ。
(よって追撃もまた即座に。四股でも踏むように上げた脚を振り下ろす。男にとっては地面への衝突コースだろう)
(無効票)
奉利・聖 2021年11月17日
(───ぐ、ぐぐぐぐ……)
(たかだか、脚一本で)
(人を一人、持ち上げてる!?
なんて力…!!
(まずい、逃げられない)
奉利・聖 2021年11月17日
(───ドォンッ!!!)
(叩きつけられるような衝撃)
(しかしその衝撃は…想定を下回るだろう)
くっ……。
(『斬気功』──地面との接地面に、斬撃の気功を纏わせ)
(『肉体が触れた地を切り裂き、切り拓いた』)
(とはいえ急ごしらえのもの。不完全故に全て切り拓くことは出来ない)
奉利・聖 2021年11月17日
(土に埋まるような格好で、脚から手を放して)
(かなり無理矢理に、強烈な打撃──肘で地を突いて反動で体を起こし)
(空中蹴りの要領で)
しっ!!
(足先を振るいにかかる)
(無効票)
リップ・ハップ 2021年11月17日
おん。やるう。
(何やったかはわかんねいけど。)
(脚力以外の要因で抉れ、形を変えた地面。そこから飛び起きてくる男の姿、飛んでくる蹴り)
(距離は取らず。徹底的にインファイトか。)
(お返しとばかりに――)
リップ・ハップ 2021年11月17日
(身体で受けて)
今の、
リップ・ハップ 2021年11月17日
(蹴り脚をホールド)
私の足に向かってやりゃよかったのに。
リップ・ハップ 2021年11月17日
(衝撃はある。痛みだってもちろんある。生中な蹴りではない)
痛い思いしても攻め続けねいと、
(しかし少女は彼の瞳に向けた視線を一切切らず、表情を変えず、身じろぎもせず)
この距離は、
(ス、と右腕を引く。鎌を引き寄せる)
そーいう距離だろ。
(そして男の背中、その構造により内に向いた鎌の刃――今はまだカバーを付けたままだが――をぴたりと付けた)
(無効票)
奉利・聖 2021年11月17日
(やり返された!)
(いやしかし、意味がまるで違う。常識外の怪力でやられれば、生半可な脱出はできない)
(選択を間違えた。やはり抜群の戦闘センスを前にすると、霞む)
奉利・聖 2021年11月17日
(いや)
(及び腰に、なりすぎなのだ)
(無理をしないことを、頭の片隅で考えてるから)
(中途半端に、リミッターがかかっている)
(片足で、地を踏みしめて)
奉利・聖 2021年11月17日
(背中の感触を、意に介さない。引くなら引けばいいのだ)
(目いっぱいに腕を伸ばす。ありったけの気で、筋力を増大させて)
(強引に、どこかが折れて砕けようとも構わないから)
(引き寄せて、)
ぬぉぉっぉぉぉっ!!
(そして、頭を振りかぶって、振り降ろす
(痛い思いをしてでも攻め続ける。まったくもって、その通りだ!)
(無効票)
リップ・ハップ 2021年11月17日
……いいね。
(拳一つ分は優に背の高い相手。頭を振りかぶられれば、当然見下げられて)
リップ・ハップ 2021年11月17日
(鋭く睨まれて)
いい顔だ。
(マスクの下、獰猛に口角を上げる)
(そして打ち下ろされる衝撃。首を、背骨を脚を伝い地にまで届く)
(避ける気など毛頭ない)
リップ・ハップ 2021年11月17日
(屈する気だってさらさらない)
(膝や腰、関節を使えば幾らか衝撃を和らげることも出来たろうが、不動)
(故にその威力は少女の身体を介し、ダイレクトに地を割り砕く)
エンジン掛って来たじゃねいかよ。ええ? 聖ィ。
(至近も至近。吐息がかかる距離至っても、未だ合わせあう視線。裂けた額から血が滴り、半分を紅く染め上げる)
リップ・ハップ 2021年11月17日
(ホールドは解除。彼の背に這わせた鎌もどうこうするつもりはない。その気なら、最初から背骨でも折る気で引ききっていた)
タケ
頭が高い。
(打ち下ろされたお返しは打ち上げだ。鳩尾目掛けたショートアッパー)
ぶっ飛べ。
(特別、拳打に精通しているわけではない)
(しかし闘争の権化である彼女の身体は、スタートとゴールとを定めてしまえば、最適な運びを描いてみせる。自然と最良を作り出してみせる)
(力を技に昇華してみせる)
(無効票)
奉利・聖 2021年11月17日
(よみがえる。熱がよみがえる)
(死んでいた“激情”に、生命の熱が籠る)
(死に近づいてる)(生きている)
(死んでいるのに、生きている)
いつ以来、でしょうねぇ…っ!
(ショートアッパー。異常な怪力故に、当然威力はそれに準じる。力ゆえに技を知る。その極限)
奉利・聖 2021年11月17日
(ズドン!!!)(およそ拳とは思えぬ衝撃)
(響くようなダメージ。痛みと苦しみは死んだまま)
(退かない。踏み込んで、機械を失わない)
『爆!!』
(気が満ちる。爆ぜるような気が。爆破するような衝撃を生み出し、その反作用で)
(その顎に向けて、杭打機のような拳を振るう!)
(無効票)
リップ・ハップ 2021年11月17日
(それもまた受けて)
リップ・ハップ 2021年11月17日
(――そんな流れも、あったかもしれない)
(状況によっては、彼女はそれをこそ喜んで選んだだろう)
(だが)
(口ん中切りでもしたら、……うーん。すまん。)
(彼女の拘りがその択を消す)
リップ・ハップ 2021年11月17日
(そして選んだのは、受けるのでなく乗るという択)
(迫る拳が顎に触れると同時、瞬発力に物を言わせて威力の流れに沿って飛ぶ)
(その身体のどこにこれまで見せてきた超常的な膂力があるのか目を疑うが――彼女の身体は一切の飲食を絶っているが故に、軽くしなやかである)
(上方、やや斜め後ろに跳躍した彼女は去り際に爪先を立てる。着地に向けて身体を捻れば、それは変則的ながらサマーソルトキックの軌道)
(無効票)
奉利・聖 2021年11月17日
(入っ──てない!!衝撃に合わせるように飛ばれた!)
(そしてその後の反撃は、察することが出来る)
(彼女の肉体なら容易い──サマーソルト!!)
まずっ……!
(ゴスッッッ!!爪先が喉の近くに突き刺さり)
奉利・聖 2021年11月17日
(衝撃、甚大な身体ダメージを)
(『死』を垣間見る。眼前に迫っている気がする)
(それが)(それが引き金になった)
(引き寄せられる、『死』に引き寄せられる)
(漆黒の棒切れが、『死』を食らう遺産が)
(その手に、その『死』に)
奉利・聖 2021年11月17日
(無我夢中で手に取った)
(退かぬ。吹き飛びそうな肉体を、ダメだと叱咤する)
(着地中の彼女に、尚も迫って)
ふっ!!!
(その先端を、ありったけの力を籠めて叩きつけに行く)
(無効票)
リップ・ハップ 2021年11月17日
(翻る景色の中、彼女は思う)
(……なんのかんの言っても、 "退いちまった" 。 "退かされちまった" 。)
(偉そに御託並べてこの体たらく。私もまだまだだな……。)
(彼が意図したものではないにしろ、口元への攻撃は彼女の択を絞らせる明確な手段で)
(それを弱さだとは微塵も思わないが、見る者によっては、理想的な闘争を体現する彼女の、一点の歪みと捉えるかもしれない)
リップ・ハップ 2021年11月17日
(だからこうして、未だ地に足もつかぬ最中、渾身一擲の追撃を許してしまう)
(盾の如く翳すのは大鎌。名称不明。通称伯爵。怪物の如き力で振り回そうが傷一つつかない得物)
(――相対するする長物もまたそれに等しく頑丈だろうという事を彼女は知らないが)
(碌に着かぬ足の代わりに石突を地に宛て、叩きつけを受け止める)
リップ・ハップ 2021年11月17日
(触れ合う二つの得物)
(血を、命を、"生" を啜る鎌にとっては "死" 喰らうこの遺産は対極の存在なのかもしれない)
(それもまた、少女の与り知らぬことだが)
リップ・ハップ 2021年11月17日
(互いの武器と比すれば、地面は柔らかい)
あーらら。
(叩きつけられる威力のまま石突から地中に埋もれていき、内に向く弧はさながら降りくる断頭の刃)
(だから柄を蹴ってその場を離れる)
(一度は退くこととなったが、次はない。目掛けるは男の懐、肘を槍に見立て、跳びこんだ)
(無効票)
奉利・聖 2021年11月18日
(この姿勢でなおも受け止められるとは!!)
(驚嘆する。闘争の熱の中でもその凄まじさに舌を巻く!)
(まだまともには入ってない。一度空けた距離を彼女は──逃がさないはずだ!)
奉利・聖 2021年11月18日
(ゴ ギ ッ !)
(骨が砕けるような、鋭き槍が如く衝撃。深刻なダメージが積み重なって、既に体力はデンジャーゾーンへと突入している)
(それでも)(死に近づいてもなお)
(退くわけにはいかない!!)
奉利・聖 2021年11月18日
(意趣返しとばかりに、腕を掲げた。力を籠め、気を籠めて)
(ハンマーめいた肘を、振り下す!)
『衝!』
(衝撃浸透の気功。身体に染み渡るように、肘打ちの衝撃を伝える!)
(無効票)
リップ・ハップ 2021年11月18日
(勢いを丸ごと肘の一転で叩き込んで、受け入れられて)
(反発するものはなく、自由落下)
(打ち下ろされる肘にまたも無防備極まる中空での応手を迫られる。刹那を重ねに重ねた攻防の中、一度の後退が長く長く尾を引いていた)
リップ・ハップ 2021年11月18日
(愛用の得物も手にはなく)
(――故に。ひっくり返すものがあるとすれば、純然たる "力")
(この一瞬に足場は遠すぎるから)
(力を籠めて踏みしめた彼の脚、下方を狙うため屈みつつあるその膝を、少女は握った)
(肉を裂き千切らん程の握力。自重を支えるための力。足一本で彼を持ち上げたように、腕一本で自分を持ち上げるための力)
(しなやかな身体を猫のように小さく小さく丸め、その頃には靴の底に肘の感触)
リップ・ハップ 2021年11月18日
うっ
(直上、蹴り上げる)
ルああ
(真っ向から力に力をぶつける)
(効ッッッく……!)
ああアア
(突き抜ける衝撃。受けたのが足の末端だというのに頭まで痺れる)
アアっっ!!
(――が。それでも彼女は止まらない。閉まりかけのシャッターを身体で抉じ開けるように、彼の膝と肘の間、身体を伸ばした)
(伸ばし切ったとき、より長大な方は、言うまでもない)
(無効票)
奉利・聖 2021年11月18日
(こちらの脚を…利用して!?)
(こんな身体の使い方をするなんて…!)
くっ……!これでもまだ!!
(肘打ちを蹴りで弾かれる。しなやかで強靭。彼女くらいしかできない強引な業。驚愕する。驚嘆する。そしてやはり、憧れる)
奉利・聖 2021年11月18日
(強引に彼女が懐へ、まだ距離は途轍もなく近い)
(脚へのダメージも、地味に大きいのだ。体力が切れ、かけ)
(まだ、少し、あと少し!)
ォォォォオオッ!!
(こんな無理矢理な態勢でも、まだ──!!)
(後手に回れば、尽きるのはこちらだ!ならば!)
奉利・聖 2021年11月18日
『周天!』
(尽きかけの体力を振り絞って、最大級の気を練り上げる。より強く、より強靭に。対抗できるように!)
ゼェェアッ!!
(膝と、肘を…強引に!万力で圧力をかけるように!)
(ギギギギギギギッ!!力を振り絞る!)
(無効票)
リップ・ハップ 2021年11月18日
――――、
リップ・ハップ 2021年11月18日
(彼の膝の上、肘の下。屈んだ姿勢で逆立って)
(見下ろす視線と見下ろす視線が交差する)
力比べなら、
(ぐ)
負けんわ。
(ぐぐぐ)
(淡々と、着実に、渾身を込められた肘を上げていく)
リップ・ハップ 2021年11月18日
でも聖もいーフィジカルしてたよ。
(そうして必要十分身体を伸ばして)
リップ・ハップ 2021年11月18日
(肌身で感じる、限界間近の彼の身体)
(少女は片足で肘を止めたまま)
(万力の如き力にしっかりと身体を固定されたまま)
リップ・ハップ 2021年11月18日
――ふンッ。
(彼の頭目掛けて、膝を)
(無効票)
奉利・聖 2021年11月18日
(それでも、なお。彼女の力を越えることは叶わず)
(万力が内側から押し広げられて──)
がっ……!
(脳天一発)
奉利・聖 2021年11月18日
(精神はまだ踏ん張っている。足がまともに動かない。精神はまだ踏ん張っている。体力がもう無くなった)
(まだやれる。まだ、まだ)
(誰の目から見ても限界。ぐらぐらと揺れる視界の中で、まだ彼女を見ていた。逸らさないで、立ち向かえるように)
奉利・聖 2021年11月18日
(覚束ない足がふらりと後ろに)
(でもそれはダメだと、前に踏み込んで)
(カラン)
(棒切れを落とし、そのまま斜めに倒れ込むように──うつ伏せで倒れた)
奉利・聖 2021年11月18日
(微かな意識の中で)
(声だけ、絞り出す)
今日の掃除、は……サボらない…ので……。
(それだけ言い残して、気を失った)
(振るう)
リップ・ハップ 2021年11月18日
よ、と。
(ふら付く土台。もとい彼の身体。片手で身体を跳ねさせ、身体を翻して着地)
(……ッてェ~~。)
(ぐりんぐりん。強烈な肘鉄を受け止めた足。足首を回して具合をみる)
リップ・ハップ 2021年11月18日
(倒れ伏した彼の最後の宣言)
……おーん。
(マジかよ。聞いて嘆息)
リップ・ハップ 2021年11月18日
ま患者の要望だ。
(歩み寄って、ひょいと担ぎ上げる)
最大限汲んでやんよ。
(力を競わせ合う関係は一旦ここまで。今からは保健室利用者と、白のクラスの生徒)
(ここではなくベッドに寝かせるため、埋もれたままの伯爵も引き抜いて、少女は歩いて行いくのだった)
(振るう)
奉利・聖 2021年11月18日
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