【RP】暴くはなにか
徒野・未霊 2021年10月6日
澄み渡った秋晴れの昼空。
そんな爽やかな天気に反して、重い空気が立ち込めるその場所。
この場所へと調査が入ったのは、つい一週間ほど前のこと。
子どもたちが向かったものの、中々帰ってこなくて、
何かが可怪しいと迎えにいったビルの扉も閉ざされ途方に暮れて――、
結局あの子達は生還できたものの、まだ謎の残る場所である。
あの日助け手として訪れた二人は、再び廃ビルへとやってきていた。
💐👻
榊と未霊
🔴
1、2:血の着いた
3、4:異臭のする
5、6:周囲に羽虫が飛び交う
7、8:まだ新しい
9、0:古びた
🔵
1:衣服
2:スマートホン
3:ノート
4:包丁
5:縄
6:大量の虫の死骸
7:腕時計
8:魔法陣
9:謎の生物の骨
0:人形
0
徒野・未霊 2021年10月6日
まさかまた来ることになるとはね。ま、あの子らの後始末みたいなもんだけどさ。
(ぎいぃ――と錆びついた音をたてる扉を開け放ち、ビルの中へ)
(昼間だというのに中は薄暗く、じめっとした空気が充満している。視界を確保しようと持参した懐中電灯を点灯した)
徒野・未霊 2021年10月6日
(――――なにも起こらないのが最善である。だが心の内では“何か”を期待していて)
(それはうきうきとした足取りに現われていた)
(無効票)
御縁・榊 2021年10月6日
(ドラゴンの恩恵か夜目が利く男のブルートパーズの瞳の中で、鮮やかなオレンジの瞳孔が暗闇を吸うように開いていた。埃っぽい廃墟の中は、如何にも長年使われていなかった様子。小さなスニーカーの靴跡と、それより更に小さなぽっくり下駄の跡は、埃の中にくっきりと残っていた)
足跡がこれだけはっきり残ってるってことは、あのあと此処に来た人は居なさそうだねぇ。……って言うか、知らない人が見たらこの足跡完全にホラーだよ。
(くすりと可笑しそうに笑う様には、身構えは特に感じられない。長い尾羽のような竜尾が、床に着くのを嫌がるようにくるりと男の脚に巻き付いていた)
(無効票)
徒野・未霊 2021年10月6日
あはは! 確かに!
あの子たちの話では、ビルの中は違う空間だったみたいに言ってたけど、ちゃんと足跡残ってるものだね。
とりあえず、これを追って行ってみようか。
(懐中電灯で足跡を照らし出しながら、歩いていく。廃ビルだけあって、ゴミやら割れたコンクリートやら硝子が散乱している。気をつけないと足を取られてしまうだろう)
徒野・未霊 2021年10月6日
(歩いていけば盛り上がったコンクリートの影に何かを見つけて、うぇって表情を浮かべた)
うわ、なにこれやっば……。
(見れば虫の死骸がうぞうぞと折り重なっており、それがなにやら黒ずみ、生理的に受け付けない状態になっている。上から血でもかけられたのだろうか)
(無効票)
御縁・榊 2021年10月6日
あの子たち曲がりなりにも神さま関係の子たちだから、幻術だったとは思えないけれど……空間が重なってたのかな。
(不思議。あのふたりは何方も神に属する子供たちだから、そう簡単に幻術に惑わされるとも思えない。となると、ワールドハックで別の空間をテクスチャのように重ねていた、と思うべきだろうか)(同意して先に進む内、相手が見付けた虫の死骸の山を興味深そうに覗き込んで、しゅるりと生やした蔦で軽く中を探ってみる。中には何もないことを確認すると、蔦は途中で自切させ、ぼとりと床に落とした)
……完全に虫と血液だけ、っぽいねぇ。魔力も感じない。
御縁・榊 2021年10月6日
(が、ふと見た先の壁に、異様に羽虫が飛び交う場所を見付けると、ほんのり嫌そうな顔。とん、と靴先が音を鳴らすと同時、罅割れた床から伸びた巨大な食虫植物が羽虫をひと息に喰らって蹴散らして行く)
……あ、あった。魔法陣。こっちは魔力の痕跡があるねぇ。
(無効票)
徒野・未霊 2021年10月6日
さすがお兄さん鋭いな~!
空間の重ねがけねぇ……って、よくそれ触る気になるね……?
(手じゃなくて蔦だけれども、それだって自分の一部には変わりないだろうに)
(それになんとなく、綺麗なものを穢している気がしてもやもや。なんとなくだけれども)
徒野・未霊 2021年10月6日
うわ、そっちも虫いるじゃん。で、魔法陣か~……。
(ひょっこりと青年の後ろから顔をのぞかせて、ふむふむと眺めて)
……なんだろう。
血塗れの虫も、この魔法陣も、……なんか、呪いの儀式を行おうとした後みたいに見えるよねぇ。
(そういえばあの子たちが洞窟の奥で遭遇したものも、蜂みたいな虫の怪物だったか――なんて思い出して)
(無効票)
御縁・榊 2021年10月6日
だって、君、触りたくないでしょ。この辺のもの汚いから、其処らの掃除用具で突っつくってワケにもいかないしねぇ。
(あっさりと。確かに自分の一部ではあるけれど、自切してしまえばただの蔦。逸そあっさりしたほど己自身には興味の薄い男だった)(まじまじと魔法陣を眺めていて、ふと気付く。この黒ずんだ魔法陣、もしかしてさっき虫の上に撒き散らされていた血液で書き上げたものか。黒いのは酸化したから、だと思われる)
……うん、魔法陣自体が血液で書き上げられてるっぽい。多分。酸化して黒くなってるからちょっと見分けづらいけど。件のワールドハッカー、もしかして此処で起きた何らかの儀式で現れたものでも別空間に封じたかったのかなー。
(無効票)
徒野・未霊 2021年10月6日
それはそうだけど、さ……。
(図星だけれども。言ってることもわかるけれども。だからと言って納得ができるわけでもなくて、思わず複雑そうな顔)
徒野・未霊 2021年10月6日
へぇ、血で描かれた魔法陣か。オカルトでありがちなやつだ。
(心なしか、瞳を輝かせて。魔法陣へと近づいて、至近距離で眺めだす)
儀式で現れたもの……もしかして、あの子たちが遭遇したっていう怪物たちかな。
それを隠すために空間を重ねた――と。ははぁ、見えてきたねぇ!
まだ、何かあるかな? 当の本人の行方も気になるところだし。
(テンションが上ってきたのか、軽い足取りで奥へとスキップしていく)
徒野・未霊 2021年10月6日
(――が、何かを勢いよく踏んでつるーんと滑りそうになって)
わ、わわっ!? …………なんか、踏んだ?
(なんとかバランスを取って踏みとどまる。踏んだものの正体を確かめれば、それは人形だった)
(粘土で作った人型に、簡単な衣服のようなものを着せただけのものであったが)
(無効票)
御縁・榊 2021年10月6日
何か分かれば良いと思ったんだけど、あんまり成果はなかったねぇ。
(不思議なことが見付かると、この少年は喜ぶし。残念ながら虫の死骸の山に成果はなかったが、魔法陣を見付けたのでとんとんと言うことにしておこう。何やら複雑そうな顔の相手を瞳を細めるように笑って見遣り、気にした様子は残念ながら見られなかった)(それよりもほら、やっぱり目を輝かせた。困ったスリルジャンキーだとは思うが、活き活きしている表情は見ていて楽しい)
親玉を起点として封印のために世界を重ねていたなら、あの子たちが倒したことで空間が解除されたって言うのもあながち間違ってないかもね。
御縁・榊 2021年10月6日
……っと、未霊大丈夫かい?
(踏み留まった相手の肩に手を添えるように後ろから支えながら、その足元を見遣る。意外そうに瞳を瞬いてから)
……粘土で作った人形……いや、これ、土器の形代?
(かわらけのかたしろ。不穏な響きを帯びたそれは、所謂、呪術や陰陽術などで行使されることが多いものだ。死者の墓に共に埋葬することもあるような、由緒正しいものであることもある。が、これは多分新しい)
(無効票)
徒野・未霊 2021年10月6日
あ、ありがとう……。
(支えられて事なきを得た。肩越しに青年を見て、ほっと安堵したように笑ってみせて)
へぇ、これそういうものなんだ? お兄さん、詳しいね。
そういうのって民俗学の範囲なのかな?
(態勢を整えてから、しゃがみ込む。踏んでしまった人形の汚れや、砂埃をぱっぱと払ってやって観察を始めて)
これも儀式に使ったものなのかな?
なんか色々と出てきてるけど、もしかして無計画に色々と試してみた結果ってことないよね……?
(今までのものに計画性が見られないし、実際あり得る気がしてきた。だとしたら傍迷惑な話だ)
(無効票)
御縁・榊 2021年10月6日
どう致しまして。
(ぽんぽん、とその背を撫で叩いてから、手を離す。癖のように、しゅるりと動いた竜尾が少年の脚に緩く巻き付いてからしゃがむ動きの邪魔にならないようにと直ぐに離れて行った)
民俗学でもあるし、オカルトでもあるねぇ。世界がこんな風になってから、何の知識が必要になるか分からないから色々掻き集めたってのもあるけど、………………あ。
(言い掛けて、相手の言葉と被って嫌な想像をした。思わず、この男にしては珍しく、眉を顰めるように難しい顔をした。それは、かなり嫌な想像だったが、有り得ない話でもないような気がして)
……世界がこんな風になって、漫画やアニメのような力を得て、興味本位で自分の力やオカルト知識を片っ端から試してみた、なぁんてコトないよねぇ?
(無効票)
徒野・未霊 2021年10月6日
(シュルリと巻き付く尾。その感触にも慣れて、さらに安堵まで憶えるようになったのはいつからだろうか)
ふぅん。そういう知識が役立つ世の中になったとはね。
ま、僕としては願ったり叶ったりだけど。面白いし!
(重なる言葉に、そろりと顔を上げる。青年を見上げる顔は苦笑を浮かべていて)
徒野・未霊 2021年10月6日
あー……やっぱり? お兄さんも同じこと考えちゃったか~。
ま、ぼくとしては耳が痛い話でもあるけどさ!
(興味本位で危ないことを色々試す。身に覚えがあり過ぎた)
こういう奴の末路って、まあ大体決まってるよね。
――――そろそろ出てくるかもね。
(みなまで言わずともわかるだろう。きっとこのビルのどこかにあるはずだ)
(立ち上がって、足跡を照らしだす。そろそろあの子たちが言っていた、洞窟とやらを抜けた辺りに出るだろうか)
(無効票)
御縁・榊 2021年10月6日
まあ、俺にとっても面白い世の中になったとは思うけどねぇ。
(別に元に戻りたいとも思っていないし。植物たちを取り戻したいのと、元に戻りたいのは別の話だ。それに、元の世界に戻って、この野良猫がまた死体に戻ってしまうのなら、それは大層つまらない話だった)
うーん、俺たちの意見が大体同じってコトは、可能性は高い、かなぁ。困ったねぇ、もしかしてあれもこれも聞き齧りの知識だけでやらかして、正しく終わらせていなかった、とかいうオチかい?
(呆れたような色。どうせやるなら完遂してくれ。その方が後始末はしやすい)
御縁・榊 2021年10月6日
(ぼとり)(不意に、丁度、そう、洞窟を抜けるか抜けないかの位置。天井から唐突に何かが落ちて来た。目の前に落ちたそれから、反射的に相手を竜尾で引っ掴んで飛び退る。ぶぅん、と嫌な羽音。それは、大量の羽虫を纏わり付かせた、古ぼけた縄であるらしかった)
……また嫌なものが。
(虫の羽音が、やけに五月蝿い)
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徒野・未霊 2021年10月6日
ふふ。それは同意見かな~! 今のぼくってとっても楽しいし!
(だって自由に動ける身体があるのだから。それだけでも、前の世界より今の世界のほうがいい)
どれもこれも中途半端だもんね。呪いをひとつ完遂させるだけでも大変なのに、それを何個もやらかしてさ……
(知識があればどれもこれもタブーだとわかる。知識がないとは恐ろしいことだ)
徒野・未霊 2021年10月6日
(落ちてきたものをわっと避けようと思えば、その前に青年が対処をしてくれていた)
(ほっと一息を吐きつつ。羽虫の音に眉を顰めながらも縄を観察すれば)
…………これ、注連縄じゃない?
屋上とかに神社があるビルって時々あるけどさ……ここもそうだったりして。
(件のワールドハッカーは、どこからどこまでやらかせば気が済むのか。やれやれと肩を竦めながら、縄を避けるようにして洞窟を抜けた)
徒野・未霊 2021年10月6日
(そこは吹き抜けがある広く開けた空間だった)
(ここは窓が多いようで、そこから仄かに光が差し込んでおり、今までの場所よりかは明るい)
(踏み込んだ瞬間に、虫の羽音が増した。どうやら先程五月蝿いと感じた羽音は縄に纏わりついていた虫だけではなかったらしい。その音の正体を探れば、)
(――気付いてしまった。割れた硝子やコンクリートで荒れ果てた、その中央)
(蝿が群がり、まとわりつくように飛び交う死体があることに)
(無効票)
御縁・榊 2021年10月6日
そうだねぇ、この世界でなら君とも遊べるしねぇ。
(色んな意味で、今が楽しい。相手を竜尾で巻いたまま、そんなことを宣って男はころころと笑う。そうしながら、男の翳した胸元からふぅわり柔らかく温かな光と共にするりと伸びたのは、青々とした葉を茂らせた榊の枝。それをぱきりと根元から折ると、相手を竜尾から離し、縄を避けて行く姿を一度お見送り。それから、虫に塗れた注連縄と思しき其処へ、榊の枝をそっと添えた。不思議と、集っていた虫たちがまるで榊から逃げるように一斉に何処かへ消えて行く)
これで当面は良し、と。幾つも幾つも重ねてやらかして、挙句の果てには注連縄を穢してぶった切ったように見えるんだけど、手に負えなくなって逃げたか、はたまたもうこの建物の中で死んでるか……。
(相手のあとを追いながら、溜息混じりにそんな呟きを落とした)
(無効票)
御縁・榊 2021年10月6日
(夜目を頼りに抜けて来た場所よりは幾分明るい其処に、男は眩しそうに何度か瞳を瞬かせた。瞳孔の収縮、光量の調節。少しだけ光が目に染みる。が、それ以上に気になるものが其処にはあった。嫌な臭いがする。甘ったるく吐き気を催すようなそれは、腐敗臭。羽虫が、ぶわりと飛び回っている。羽音が、やけに五月蝿い。鬱陶しそうに虫を翼の開閉で追い払い、大股で相手に追い付いた)
……やっぱり居たね、不完全ながらに封じたは良いけど脱出出来なかったのかな。
(動揺の色のない、気にした素振りも薄い声。低く気怠い声音は何時も通りだ。そのまま、翼を一度大きく広げて、少年の腰をひょいと竜尾で引き寄せ、内側に仕舞い込んだ。花の香りが柔らかく満ちる)
(無効票)
徒野・未霊 2021年10月7日
(ぱちぱちと瞬いていれば、翼の中に抱き込まれた。花の香りが、ざわついていた心を落ち着かせていく)
(これみよがしに大きく溜息を吐いた)
…………嫌な予想って当たるもんだね。
なんで死体って見ても心躍らないものかな。
(幽霊は見たらわくわくするのに。ふっしぎ~なんて、軽い調子で言ってみせて)
(きっと自分と同じ存在だからだろう。なんとなくわかってはいるのだけれども)
どうしようね、これ。どこかに埋めてあげるのがいいのかな。
(無効票)
御縁・榊 2021年10月7日
(虫除け。可愛いリターナーに、死体喰らいの羽虫共が集らないように。この羽虫たちも、正直、微妙に嫌な気配の温床と化している気がするし。自分は、不思議とこの手のものには強い耐性がある。ついでに片手でも少年の細い腰を自分の方に抱き寄せて、低い位置にある頭に我が物顔で頬を寄せた)
心霊現象はともかくとして、ガチの死体見て心が踊ったら、君に限らずちょっとまずい人だと思うんだよねぇ。……こんなお騒がせ人間、此処からわざわざ俺たちが動かしてやる必要もあんまり感じないなあ。処理するなら遺品以外は養分にしちゃうけど。
(この男、柔らかで穏やかそうな表情に反して、言うことはあまり優しくなかった。そもそも、ただ穏やかに埋葬してやるなんて、赦されない気がしたのだ。だって、穢された注連縄の主は、怒るだろう。そりゃあ、それが当然だ。変に手出しをして、自分はともかく死者だからと相手まで一緒くたにされたら堪ったもんじゃない)
(無効票)
徒野・未霊 2021年10月7日
(腰に、頭に感じる自分にはない熱が心地よくて、ゆるりと目を伏せる)
ははっ、ぼくにネクロ趣味はなかったってことだね。
放置しておいて一般人が見つけちゃったらショックだよこれ。
(そろりと懐中電灯で死体を照らす。腐敗が進んだそれは損壊が酷い。自分たちでなければトラウマになりかねないだろう)
徒野・未霊 2021年10月7日
…………お兄さん、意外と厳しいよね。まあ、こいつが生きてたらぼくだって文句のひとつくらい言いたいけどさ。
(もう死んでるし)(死人にはなんとなく優しくなってしまうのは人間の性質だろう)
まあでも、養分ならいいんじゃないかな。
死んで綺麗な花になれるなんて、素敵なことだよ。
(無効票)
御縁・榊 2021年10月7日
(ネクロ趣味かあ、なんて内心独り言ちる。まあ、別に自分にもその手の趣味はないはずなのだけれど。それはそれ、これはこれ。可愛い野良猫を愛でているだけだ。それに、何時もひんやりしたこの子が、肌を触れ合わせた時だけ熱が移ってほんのり温もるのは結構好きだ)
そもそも多分、一般人ならこの中に入れなかったんじゃないかな。……厳しいかい? だって、アケノとイドラが生き残ったのはあの子たちがある程度戦えたからだよ。そうでなければ、海岸送りになっていたかもねぇ。
(リターナーである相手の腰を抱いたまま、竜尾すらも絡めて翼に閉じ込めたまま、目の前の腐乱死体に向けた言葉は何処か蔑むような呆れ混じりのそれだ。子供を傷付けるのは趣味じゃない。あのふたりには、子供扱いするなと言われるだろうけれど)
御縁・榊 2021年10月7日
なら、そうしてしまおう。おいで、お前たち。ご飯だよ。
(かつり、靴底が床を軽く蹴る。その途端、腐乱死体の真下にぶわりと複雑な紋様が浮かび上がる。蔦を編んだような不思議な紋様は翡翠色の柔らかい光を零し、──次の瞬間。その中央にあった腐乱死体に青々とした蔦が巻き付き、その姿を覆い隠して行く。床へ、壁へ、天井へ、這い登り大きく広がったそれらはやがて美しい橙の花を幾つも幾つも咲かせ、垂れ下がる。それは、“凌霄花”。鮮やかな、夏の名残り)
(。)
徒野・未霊 2021年10月7日
(彼の言い分もわかるし、これ以上見ず知らずの迷惑人間の肩を持つ気も起きなくて)
(じゃあ、いっか)(と、ほんの数分湧いていた同情はあっけなく霧散した)
徒野・未霊 2021年10月7日
おお~……こういうのが枯れ木に花が咲くって言うのかな?
……綺麗だねぇ。
(モノクロの廃墟に色づく橙色に、まるで花火でも見ているように歓声を送り)
(青年に甘えるように身を寄せて、呑気にそんなことを呟く)
(花は好きだ。特のこの青年の咲かせる花は。口では言わないけれども、熱っぽく花を見遣る視線は正直だった)
(自分がまた動かなくなったら、こうして花にしてもらうのもいいかもな)
(なんて、こっそり思うのだ)
徒野・未霊 2021年10月7日
――――さて、これで一件落着かな。
はぁ~あ……ぼくお腹空いちゃったよ。
(気が抜けたように、お腹を擦った)
(。)
徒野・未霊 2021年10月7日
(そこに死体があったことなんて忘れたように、二人は背を向けて歩き出す)
(あれが食べたい、これにしよう、だなんて呑気な話題を口にしながら)
(きっと明日には今日の一件のことなんて忘れてしまうだろう。そんな後腐れのない背中だった)
(これにてこの廃ビルにて起きた一件は幕を閉じたのだろう)
(――――きっと、)
徒野・未霊 2021年10月7日
(〆)