《1:1》帰路
花鶴・景臣 2021年9月21日
任務完了の後、家路に就くまでのひととき。
◆
最低限の良識があれば、どなたでも。
長くなり過ぎない程度にマイペース進行。
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花鶴・景臣 2021年9月21日
(任務を片付け、新宿駅に戻る頃には、日はとっぷり暮れていた)――(隠すこともせず、大きな欠伸を零す。歩を進める男の手には、配給された食事が一人分)……(適当に、構内で食ってくべきか)
青・空 2021年9月21日
(足早に散り散りになっていく人の背を何気なく眺めていた。新宿駅に行き交う人々は、あの日から復讐者に変わってしまったらしい。自分はといえば学生さながらの出立ちで、何も変わらないというのに)……あの人も、ディアボロスってやつなのかな。って、(背格好は自分と大差ない学生くらいに見えるな、なんて。呟いたその瞬間、足元の悪魔の羽を生やした白山羊が何かを嗅ぎつけ走り出した)ちょっと待って! ――そこの人、気を付けてください!!
花鶴・景臣 2021年9月21日
…あ?(矢鱈後ろが騒がしい。一体誰だ、喚いているのは――舌打ち一つ、振り返る)うおっ!?(眼前には、駆ける山羊。明らかに此方に向かってきている。とりあげられるよりも前に、ビニール袋を頭上へ。これで夕餉は、一応は死守出来るだろう……それにしてもこいつは何だ?)
青・空 2021年9月22日
あああ、すみません!すみません…!うちのメーラーデーモンがすみません!(ぴょんっと飛びかかる寸前に腕の中に捕獲して、その勢いのままに頭を下げる。もしかすると、不良少年に喧嘩を売ってしまったのではと、垂れ下がった前髪からチラと彼を覗いて様子を窺い)…し、仕事終わりにお腹空いちゃったみたいで。匂いに誘われたのかなぁ。あは、あはは。(見知らぬ人に声をかけるなんて!震える声を喉の奥へと追いやって、気を紛らわせるように笑って見せた)
花鶴・景臣 2021年9月23日
(メーラーデーモン? そういえば、同じような個体を復讐者が連れている場面を見たような)てめえがそいつの飼い主か…ったく、貴重な食物が駄目になったらどうすんだ(溜息一つ、目の前の男を一瞥する。己よりも背が高い男――見上げる形で捉えた顔には、引き攣った笑みが湛えられていた)(明らかに、こわがられている)……やるよ。腹減ってんだろ、そいつ(ずい、と袋を持った手を差し出しながら)
青・空 2021年9月25日
飼い主というか何というか…すみませ…(再びの謝罪のその前に、彼が守っていた筈の食べ物と思しき袋が差し出される。「わーい」とばかりに両手?両足?を突き出す白山羊を慌てて窘めて)いやいや、貴重な食べ物だし! …でも、ありがとうございます。 えっと、もしかして、貴方も復讐者ってやつですか…?(思ったより怖くないのかも、なんて認識を改めつつも、見下ろす形となった勢いのままに口にした)
花鶴・景臣 2021年9月27日
良いっつってんだろ(言って、溜息。警戒させてどうする)あー…さっき、サンドイッチ食べたから良いんだよ。元々あんまり飯食わねえし(首を擦りつつ、更に袋を差し出して)ん? …まあ、一応な。あんたも同業だろ? その…メーラーデーモン? 連れてるし(小首を傾げながら)
青・空 2021年9月29日
……えっと。それじゃあ、有難く。(既に前足の蹄をじたばたさせていた白山羊の手に袋が届く。しっかりと掴むと、きらきらした黄金の瞳を彼に向け、腕の中から飛び出してそれを掲げた)同業…と言うにはおこがましいけど、一応。戦闘に不慣れなペインターだから、大した力にはなれてないけど…。(かさかさ言わせて、白山羊が食べて良い?とばかりに見上げてきている。もちろん、彼にも)
花鶴・景臣 2021年10月3日
(弁当一つでこうも喜ぶものなのか――爛爛とした眼差しに、思わず口元を緩ませながら)(問いかけるようなそれには、好きにしろと言わんばかりに手を振る――ちゃんと座って食えよと、注意もつけ足して)何でそんなに遠慮がちなんだよ……おこがましいっつっても、此処に居るってことは依頼のひとつ、こなしてきたんだろ(後ろ向きな様子に、思わず訝しむような目を向けて)
青・空 2021年10月7日
(こっくり頷いた白山羊は、蹄を鳴らして近くの段差に座り込む。手にした頂きものを宝箱を開けるように、そうっと蓋を取り外して中のものを楽し気に掲げては大事に大事に食べていく)(一連の流れが子供の相手に手慣れた風に見えて、ぱちぱちと驚きに瞬いてしまった)
……あっ。(視線が合う。慌てて逸らす。強い人の眼差しだ)ええと、うん。依頼のすみっこで、ちょこちょこっと。他の人に手伝ってもらわないと攻撃も怪しいもので…。
花鶴・景臣 2021年10月9日
よしよし。しっかり噛んで食ってるな(逃げねえからゆっくり食えよと、口元にはふわり、綻んでいた)……ん?(ふと感じた視線に目を向けると、再び逸らされる、おどおどした青色)そんなおどつかなくても、別に取って食ったりしねえよ。隅っこだのなんだの、もっと前向きにものを考えりゃあ良いじゃねえか(白山羊と交互に見ては、吐息を零す。本当に、正反対のコンビだ)
青・空 2021年10月15日
そ、そうですよね…。すみません、…性格なのかな、上手く前向きにはなれなくて。(両の手の指先を縺れさせたり、解いたり。もじもじと言い訳のようなものを口にしてしまって嫌になる。話題を変えなきゃ――)……あなたは怖くないんですか? 戦うこととか、武器を握ること。
花鶴・景臣 2021年10月19日
だから謝んな――って、あー…(そこで、言葉が途切れる。別にこれっぽっちも責める心算はない――ないのだが)あ?(途方に暮れて頭を掻いていると、不意の問い掛けに首を傾げる)…怖いかどうかってのは、考えたこともねえよ。ただ…(腰に挿した刀。その柄に、指を這わせ)気付いた時には握ってたからな(ぽつりと、独り言)お前はどうなんだ? …えー……(そこで思い至る。しまった。未だに名前を聞いていなかった)
青・空 2021年10月21日
(面倒に面倒をかけてしまっているな、と。頭の中では分かりつつも、聞かずにはいられなかったこと。指先が辿る先をただ眺め)……怖いなんて考えるまでもないほど、体に染み付くくらい握っていたの、かな。俺は、すごく怖いですよ。戦い方も、よく分からない、し。(言ってから、そういえば彼を『あなた』としか呼べないことに気づいて、一拍)って、当たり屋みたいに人のお弁当貰っておいて名乗りもしてなかった! 俺、いや僕は、青空と書いて、あおい きのしたというものです。あっちのメーラーデーモンは白い雲と書いて、はくも と呼んでます。(白山羊はお弁当に舌鼓を打ちながら、気楽に前足を掲げて返事などして見せた。めえ。)
花鶴・景臣 2021年10月25日
当たり屋ってお前……や、別に其処は構わねえんだけれどよ(呆れにも似た顔色を浮かべたのは、一瞬のこと。紡がれた言の葉を反芻し、咀嚼する)「あおぞら」で「あおい、きのした」…そっちのが、はくも(美味そうに弁当を平らげている白山羊を一瞥――挨拶された。そっと手を振ってみせた)…俺は景臣。適当に呼んでくれりゃ良い(そう言って、適当な椅子に凭れ掛かる)――じゃあ、空。質問でも変えるか。あんたも復讐者ってことは、何らかの怒りを抱いたからそうなったんじゃねえのか?(これは、素朴な疑問)
青・空 2021年11月4日
器が大きい…。(じんわりと嚙み締めた。ここが新宿島でなく、ただの新宿なら喧嘩にだってなったかもしれない。自分と、それから白山羊と、順々に名前を呼ばれて何となく小さく挙手をする)…はい。といっても、復讐者の身ではあるけれど、怒りを抱く熱よりも、得られた力の方に浮かれてることを自覚してます…。俺はとても平凡、のつもりだったから。
青・空 2021年11月4日
……か、景臣、さん。(言い淀むも、言い切る。苗字でない名前なんて、どんな距離感で口にすればいいやら分からない)貴方にも、怒りがあるってこと、ですよね?
花鶴・景臣 2021年11月11日
あのなあ……俺だって喧嘩を買いたくて買ってんじゃねえよ?(大体、相手が勝手に絡んでくるだけだ。一応。念のため)――へえ。浮かれる、か(そして――にやりと笑んで)浮かれるだけの余裕があるってのは良いこった。中々に肝が据わってんじゃねえか? 大物になるぜ、あんた(その声色は、皮肉等ではなく)
花鶴・景臣 2021年11月11日
ん? ……ああ、もしかして名前だと呼び難い口か、あんた。一応「花鶴」って苗字はあるにはあるが…あまり慣れなくてな。まあ好きに呼んでくれや(肩を竦めるも、投げかけられた問いにきょとんと、目を丸くする)怒り、ね。まああるにはあるわな。ここんとこで、すげえ燻ってる(そう、己の胸を叩いて)
青・空 2021年11月14日
優しさ故にお買い上げしてしまうんですね…。(などと、勝手に零れ出た)(わざとらしい咳払いをし)
なんの取り柄もない奴が力を得たら、ある日、魔法が使えるようになった!とか、そんな程度ですから…。(妖しげな笑みに思わず下がる眉。なんだか言っていて情けない)
青・空 2021年11月14日
…花鶴、景臣さん。あ、いえ、慣れていないのなら、僕が慣れます。呼ばせてもらって良ければ、このままで。(深呼吸して、何度か名前を口の中で復唱する)あの――燻っているその熱は、何かをなくしたからですか?
花鶴・景臣 2021年11月21日
……あんた、やっぱり相当肝が据わってんな(恐怖を抱いた相手に対し、これほどの失言を吐けるのだ。実は相当の大物なのかも知れない。そのようなことを、ふと考えながら)そんな程度、ね。…それで、なんの取柄もないと思ってるあんたは、その力を使って何をしたいって考えてるんだ?
花鶴・景臣 2021年11月21日
別に慣れる必要なんてねえだろ。好きにやってりゃあ良いんだよ、好きに…このままが良いってんなら、俺は構わねえさ(ひらり、手を振って)
何かをなくした……ああ――(思い当たる節は、ある。けれど肝心の脳はもやもやしたままで)…その何かを、俺は分ってねえけれど。
青・空 2021年11月27日
そ、そんなことは…。(彼と白雲のやり取りを見ていれば、眼差しはどこかあたたかそうだったから、なんて。喉の奥へと引っ込めて)
この力が何かの役に立つのなら、利用出来れば、くらいです。す、すみません…ほんと、大したことなくって。
青・空 2021年11月27日
ありがとう、ございます…景臣さん。(ぽつ、とまた呼んで。すっかり食べ終えた白山羊が、とっとこ駆け寄ってくるやいなや、椅子の上へとよじ登った。黒い影を落とすような、彼のことが気になるんだろう)…あなたは新宿島に流れ着いた人だったんですね。忘れてしまっても、忘れられないもの、か。
花鶴・景臣 2021年11月28日
? 何だよ(韜晦された言の葉に首を傾げるも、必要以上に追及することもせず)(何かの役に立つのなら、利用出来れば――成程、とことん献身的で、お人好しな思考だ)……(その所為なのかも知れない)――羨ましい話だ(呟きが、零れ落ちる)
花鶴・景臣 2021年11月28日
(落ちた言葉にはっと我に返る。有耶無耶にしようと首を擦っていると――煌々とした金色の双眸と目が合った)……どうした? もうあげられるものは何もねえよ(等と、苦笑して。飴玉のひとつくらいは残っていただろうか。おもむろにズボンのポケットを探りながら)……空?(何やら思索に耽る男に、再度首を傾げて)
青・空 2021年12月4日
――え、(『羨ましい』だなんて。聞き間違いだろうかと開きかけた口を結んで、開いて、へらりと笑う)
ああ、いえ。…その、俺はなくしたものが少ない方で、家族も住んでいる場所も無事な、稀なタイプの人間なんです。だから、何かを忘れてしまった人にとっては、確かにその…取り戻すべきものの明確な目標もなくて、役に立てればなんて、大きく手を広げすぎてしまっているのかも。(椅子の背凭れまで登り詰めた白山羊の蹄が、彼の頭に到達するか否か。撫でようとしている風にも取れるかもしれない、けれど)
花鶴・景臣 2021年12月6日
別に否定する心算なんて微塵もねえよ。誰かの役に立ちたいって気持ち自体、悪いものじゃねえ――寧ろ、そんな環境にいながら、復讐者の力に目覚めたって事実が俺にとっちゃ興味深いがな(視線は自ずと白山羊に向けたまま……ぽすん。頭に触れた硬い感触に、目を瞬かせる。その行為が、何を指しているか結論に到達するまで、僅かばかり時間を要した)…っはは。ありがとな(緩やかに、頬を綻ばせ。己がされたようにやりかえそうと)
青・空 2021年12月8日
あ、ありがとうございます…。でも、やっぱり『復讐者』らしからぬ、ですよね。(特段、実際に彼が否定した訳でもなくば責めたわけでもないというのに。引け腰になるのは性分故の、罪悪感からくるもので。小さく唸るも、仔山羊の蹄が艶やかな黒髪を撫でる様子が少しアンバランスで和んでしまった)
青・空 2021年12月8日
景臣さんに、どこかに大切な人やものがあったとして。今は記憶がなくとも、それを想って燻る熱があるのなら。羨ましい…というよりは、少し憧れてしまう、というか。それが強さの根源なのかな、なんて。(白山羊は嬉し気に、自慢のふかふか毛並みをその手の平に押し付けた)
花鶴・景臣 2021年12月11日
あー…ったく、誰もそんなこと言ってねえよ。それだけ、あんたの想いが強かったってことだ。それこそ、俺が抱いた『怒り』と同じくらいにな。だからもう俺の前では自分の卑下禁止な。良いな?(人差し指を、目の前の少年に向けて)
花鶴・景臣 2021年12月11日
(もふり。柔らかくてあたたかい白毛の感触に、自ずと相好を崩す。きっと抱き締めたらもっと心地好いのだろう――そんなことを考えて、慌てて自制する)未練がましいって笑わないんだな? …はっ、そんなに褒めても何も出ねえってのに、変な奴(口唇の緩みを悟られぬよう。ゆっくりとした動作で椅子から身を起こしながら)…随分長居しちまったな。そろそろ行くわ(弁当、消費してくれてありがとな――身を屈め、そして白山羊へ改めて笑いかけた)
青・空 2021年12月13日
……景臣さんと同じくらい?(とてもそんな風には思えないけれど、どちらにしても『怒り』なんて無い方が良いに決まっている。比べたことすら恥じて、それでも差し向けられた指先にこれ以上を口にすることは憚られて)う、…はい。わかりました。(素直に、小さく頷いた)
青・空 2021年12月13日
笑うわけないです――って、そうだった!依頼の帰りだったのに長々と引き止めてすみません。復讐者の人にお話聞けて、良かったです。(ぴょこんと弾むように椅子から飛び降りた白山羊は、律儀に屈められて近づいた少年の笑みに片脚の蹄で応えたのであった。おいしかった!)次に会うことがあったら、今度は貴方のお役に立てるといいな。(それじゃあ、また。そう言い添えて、何処か帰路に就く背を見送る姿勢で)
花鶴・景臣 2021年12月20日
(素直に頷く様子を見て)…おう。まあ比べるだけ野暮ってこった(へらりと笑ってみせては、眼前の青年の肩を叩こうと)なあに、俺が勝手に話してただけだし…つーか、本当に助かったんだ。多分弁当、俺一人じゃ消費出来なかったからな(白山羊の蹄に、己の掌をそっと添えようと)別に役立とうなんて考える必要はねえよ。――まあ、また話せるなら、その時は大歓迎だが(だからこそ)じゃあ、またな(緩やかに手を振ると、再び男は帰路に就くのだった)
花鶴・景臣 2021年12月20日
白雲に……あおい、きのした………(歩を進めながら、知り合った二人の名を反芻する。復讐者と仕事以外で話すなど、新鮮だった)………(一度だけ頷く。たぶん、これで忘れない) (〆)