闇空市場『みかん貴族』

春なので ´

佐野・埜之子 2月27日22時
「ちょっとだけ遊んじゃおうかなあ、なあんて」
 悪戯っぽく笑うその顔は茶目っ気がタップリで、客観的に見て恐らくは魅力的なのだろう。
 でも、それなのにその笑顔に凄まじい嫌悪感を覚えるのは。その濡れた瞳が何もかもを……いや、必要な事を視ようともせず必要では無い筈の事だけを見透かしているかの様に感じたから。艶やかな唇が愉しげだからか。
 そもそもが、こいつが何処の誰なのかが全く分からないからか。確かに見た事がある気がするのに。
「あら、結局代替品じゃあないですか」
 いいや、もっと単純な話だ
「それは、本当の気持ちなのかしら? 忘れる前の自分の気持ちを模倣しているだけでは無くて?」
 こいつは。
「あなたはもうあなたではないでしょう? だって別物じゃないですか」
 これは。
「目を逸らしたからって無かった事にはなりませんよね。あなたの立場は変わらない。その人の立場も」
 シンプルにとても不愉快な事を言う。
「あなたのものにはならないし。それどころか、あなたがその人のものになる事すら無理ですよね」
 絶対に触れる必要がない筈の部分に手垢を付けて来る。
「そんな事言っても結局、その子よりその人たちの方が大事なんでしょう?」
 ベリベリと剥がし、ゴリゴリと掘り返してくる。
「抜け殻じゃあないですか。やるべき事もやりたかった事も全部、出来なかったんですから」
 それを愛撫のつもりでしたと嘯きながら。悪戯っぽく舌を出す。
「うふふ、良いですね。全部自分の為全部自分の都合なのに全部綺麗ごとで塗り固めて」
 これは害悪だ。
「それで、何であなただけ生きてるんですか? かれらは皆、死んじゃったのに」
 何の意味も無く理由も無く目的すら無く、ただただ不愉快なだけの。
「もう居ない会えない死んでしまった事が悲しいのに。その悲しみに蓋をしてる理由って何なのでしょう」
 害悪だ。

「本当は自分でも分かってる癖に」
 クスクスとわらう鏡。ゆがんだかがみ。害悪銀鏡。


・『それ』は夢や幻や気のせいの類です。
・『それ』はあなたが一番言われたくない事を笑顔で言ってきます。
・『それ』はあなたが絶対に触れて欲しくない所に煽情的に触れてきます。
・『それ』はあなたが最も不愉快に感じる言葉を延々と紡ぎます。
・無視する。言い返す。動揺する。暴力に訴える。泣き出す。囚われる。お好きにどうぞ。それを選ぼうとも『それ』は笑うでしょう。最悪に性質の悪くて無敵な。GMにクレーム入れるべきレベルのクソエネミーです。
・けれど、あなたの前に出た『それ』を打ち倒し得るのは結局あなただけなのです。

・基本一人に一人出ますが、他のPCへ助力に行くのもありです。その時点であなたの前に居た『それ』は薄れるので無視で良いです。だって、あなたの心が自分自身以外に向いたので。




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佐野・埜之子 2月27日22時
『それ』は顕れる。
『それ』は親しげに笑う。
『それ』は話しかけて来る。

あなたに。
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佐野・埜之子 2月27日22時
(ゴキリと首を掴んで折る。それから投げ捨てる。パラドクスによって最適化された思考による即時判断と実行)

……
(けれど、直ぐにその後ろからまた話しかけて来た『それ』を振り返る事になる)

…………ん。
(溜息。パラドクスを解除する。だって無意味な様だから)

『本当は悩んでいるのではないし、優柔不断ですら無いですよね? 要するに、決めれないんでしょう?』

……………………。
(これは、長丁場になりそうだ)
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コンラート・パル 2月28日21時
『いつまでごっこ遊びをしてるの?』
『そんないかにもな軍人らしさを演じたところで自分が一番分かってるんじゃない?』
ーーなにを言っているか分かる。どれだけ目を背けようとも分かってしまう。
『こんな異国にひとりぼっちで、理想を演じることで奮い立たせてさ』
『泣いて喚いてこんなところに居たくない!そう言えたらどれだけ楽なんだろうね。』
……そんなことはない!そう返したいが言葉が出ない。呼吸をしようと口を動かすが十分に酸素が取り込めず息苦しいばかりで。
『元の時代に帰れる保証なんてどこにもないんだ。諦めようよ?』
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弁当裏・真 2月28日23時
『やあやあ、幸せな君。素晴らしい人達に囲まれた君』
『友達が沢山で世界はこんなにも楽しさで溢れている!』
『本当に?』
(両手を広げて高らかに。問いかける時はコテリ、と首をかしげ)

『君は誰も信頼してないくせに』
『君が誰かに手を伸ばすのは、優しくするのは』
『いつか自分にそうして欲しいから』
(クスクスと、ニヤニヤと、弧を描いた口は三日月のよう)

『対価を、価値を示すに必死な卑しいコウモリ』
(濡れている。夜闇のような目が媚びるようにパーカーのライオンを見ている)

(全身が総毛立つ。コレは一体なんなんだ。私しか知らない事、私が誰にも言えない事、見て見ぬ振りを頑張ってるのに)
(無遠慮に、癒やそうとしてた傷を愛おしげになぞるように侵蝕してくる)
(夢か現実か分からないけれど、誰かに知られたくなくて)
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弁当裏・真 2月28日23時
(つぷり、と錫杖の一突がその幻の胸元を貫いた)
『きゃいんきゃいーん。暴力で我が儘を通すのは気持ちいいよね』
『暴力で得たご飯、とっても美味しかったよね』
(わざとらしい、私しか知らない鳴き声で嘯く)
(だけどその姿は徐々に薄れていって)

『信じてない人に"本物"の弱みなんて見せれないよね』
『見栄っ張りで誰の手も取らない踏み込めない』
『だって君の始まりの一歩は逃避の一歩だったから』
(耳元で、優しく私を理解していった)
(もう、『それ』は現われない)

…ふっ、だからこそ私は前に進むようにしてるっ!
(錫杖を仕舞うついでに手をお腹ポケットの中に)
(春だとしてもまだまだ寒い。少し手が震えるのは仕方ないんだ)
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佐野・埜之子 3月1日00時
『いっそ嫌ってくれたらと言うのは貴女の都合ですよね。いっそ憎んでくれたらと言うのも貴女の都合。生憎と、あの優しくてお節介焼きの級友は、今も貴女の事を大事に思って居ますよ?』

『だから醜いのは貴女だけです。過去には弟に級友に、今もそう、様々な友人に知人に想う人に。とても恵まれた人と縁に囲まれて、それなのに結局絵筆から手を離せない貴女。それが、それだけが貴女が貴女の周りに齎し得る害悪の源泉となり得ることを知っているのに』

『夢はそんなにも他に優先されるほど大事な物でしょうか。望みは他の全てを踏み躙ってっでも追いかけるに値する物でしょうか。貴女は貴女の勝手な欲望のために、貴女を大切にしてくれる人達へと不実を返すと言って居るのです。ねえ、そうでしょう?』

『酷い人ですね』

……ん。
まあ、その通りやわなあ。全部。

『全部』

(肯定された『それ』は一言そう鸚鵡返しにすると、初めて少しだけその口を噤んだ)

……。
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ジズ・ユルドゥルム 3月1日17時
(「それ」は銀の蛇の姿をしていた。)

『あなたのせいだよ。』
『あなたが彼の人生を台無しにしたんだ。』

違う。貴様に何が分かる。彼は強い人だ。誰よりも優しくて、弱くて、それでも強く生きていける人だった。
苦労をしたかもしれない。それでも最後にはきっと幸せになったはずだ。

『あなたの右手の指にそんなものをはめているのに?』
『あなたが勝手にそう思い込みたがっているだけだよね。』

違う。

『反論の語彙がすくないね。あの子は幸せな人生を送れたのかもしれないよ。でも、彼は?どうしてそんなにのん気に、大丈夫だって思えるの?』

『あんなにやさしい人に、あんなにひどいことをやらせたのに。』

『なんていってたっけ。「虚しい」?「寂しい」?「帰りたい」?自分のことしか考えていないんだ。ひとの人生を台無しにしておいて、よく自分あわれんでいるひまがあるね。』

(銀の蛇は何匹もいる。振り払ってもまた別の蛇が這い寄ってくる。)
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佐野・埜之子 3月1日22時
んー……
(自分が黙って居る間、今の所は『それ』も黙っている。あくまで今の所だけかも知れないが)

……
(自分が醜いかどうかについては、自分は正直然程思う所はない。つもりだった。けれど今、言われてズシリと重くなった、冷たくなった。と言うか『それ』はそう言う事を言って来る存在なのだと、何となく確信している)

何で、ウチは。
ウチは……昔やったら全然気にならんかった事が。今は、何で。
(気になるのだろうか。気になる様になってしまったのだろうか)

『……愚かですね』

ほぁっ?
(明確な侮蔑と嫌悪を滲ませた声だった。害悪そのもののような存在だか概念だかによもやそんな声をぶつけられるとは思わなくて。思わず顔を上げる。目が合った)

…………

『ええ。可能性は、ありますよ? 当然、必然、現実として。貴女のその成長が貴女の画業を一層潰えさせるトドメになって居る可能性は。事実として存在しています』

(冷酷な言葉だった)
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ジズ・ユルドゥルム 3月1日23時
じゃあ。じゃあどうすればよかったんだ。
私だってあんなこと頼みたくなかった。でも、ああするしかなかった。

『自分で言いたくないみたいだから、ぼくが代わりに言ってあげるね。
最初から間違っていたんだよ。
あなたはただ、背筋を伸ばして、そこに立って、務めを果たすって言っていればよかった。皆もそれを望んでた。
善き人達を守って、彼らから頼りにされる。あなたは満足していたはずだ。』

『なのにあなたは欲張った。光を見て、きれいだって思っちゃった。
遠くから見るだけじゃがまんできなくて、近寄って行っちゃった。
欲張らなければ、みんなが幸せだったのに。』

『あまつさえ、あなたはきれいな光をいまだに探しているね。
光を見つけては、ばかみたいによろこんでるよね。
反省してない、いや、反省していてもやめられないのかな。』

(うずくまっても、蛇の姿をした「それ」はかまわず這う。体を登って、首に巻き付き、耳元で囁く。)
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風見・茜 3月2日08時
おん、精神攻撃系の敵さんかな?
(片手に握ったバールのようなものをトントンと肩の上で弾ませて)

『やめなよ、人並みに考えているふりで中身を取り繕うのは』
(聞き心地の良い声、鉄のおおいを侵食してくるような甘い声)
『空っぽのあなたが考えている事なんて』
『せいぜい相手が壊すに値する存在かどうかでしょう?』

よくわかってるじゃ~ん。話が早くて助かるよ。
(とりあえず頭から粉砕してみる。崩れ落ちる隙も与えずすかさず肩を殴る。薙ぐように腹に打ち付ける。)

(無残なかたちになるまで『それ』の笑い声は途絶えない。本当に、こいつは本当によく分かっている)
(だから壊さないと)

(殴っても殴っても、虚しいほど手応えは無く)

……これ、無限湧きじゃないといいなあ。
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佐野・埜之子 3月2日21時
『アノマリー、異常性、歪さ、そう言った特製が芸術に寄与する例と言うのは確かにありますし良く聞く話です。世の中の事に興味の薄い貴女が知って居る位には』

……うん。

『そしてそれは貴女にも確かにあったものであり、そして昨今急速に失われて行っているものでもありますね。それも事実です。外界の大半を捨てて絵だけを見つめ続けた人間未満は、外界に目を向け弟の真似をして積極的に触れる様に心がけ続ける事で相当な人間性を身に着けている。それは、元々持っていた『人間性が足りていない』と言う特異性の喪失とイコールです』

……ん。

『はあ、『わたし』にこんな真っ当な指摘をさせるとは貴女も中々大したものです。それで、『そのせいでただでさえ足りていない絵への適性が減ってるかも知れない』何て不安を持っている貴女に対し、例えばあの級友ならば何と言うでしょうか?』

……………甘えるな。て、言うやろね。きょう子やったら。

『愚かですね』
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ジズ・ユルドゥルム 3月2日22時
『静かだね。自分を憐れむのにいそがしくて、口も利けなくなっちゃったのかな。
あなたって本当に自分のことしか考えていないんだね。
ねえ、背中が丸まってるよ。ちゃんとしなよ。それともおなかでもいたいのかい。』

(首に巻き付いた蛇を千切って投げ捨てる。あざけるように、もう一匹が新たに背中から這い上がった。肩に巻き付いて、紫色の舌をちろちろと出し入れしている。)

『あのさ。他のお母さん達はもっと頑張ってるよ。母親ってもっと強いものでしょう。
でも、あなたはぜんぜん強くないね。
それもそっか。』

『母親らしいことなんて、なんにも、ひとつだってできてないもんね。』
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佐野・埜之子 3月4日22時
『不安がって、怯えて、恐れて、けれどだから捨てようと何て出来ない癖に。ポーズですよそれはただの。貴女は貴女の欲望に殉ずることも情に殉ずることも出来ない半端者』

……
(少し顔を上げる。『それ』はせせら笑う様な顔をしている)

『望む地獄に届かぬ未満。永久に完成に至らない習作(エチュード)。自覚したまま自覚して居ながら自覚している癖に治らないもっと悪化する貴女に貴女の望む絵が描ける道理など在る筈がない』

『だって貴女自身、心のどこかでそう思ってしまって居るんでしょう?』

……そう、やろか。

『なのに、諦める事も結局できない』

……そう、やなあ。

『そんなのはもう何のためでも無い何の意味も無い。何の価値も無い。かわいそうな塵芥。……ねえ、自分でも、そう思って居るのでしょう?』

………………ウチは、甘えるとるやろか?

『甘えるのは勝手です。けれど、どれだけ甘えたって『そんな事無いよ』って言ってくれる人はもう居ません』
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ジズ・ユルドゥルム 3月31日02時
(肩に絡みついた蛇の頭を握りつぶした。入れ違いに足から次の蛇がのぼってくる)

『──ところで。二人と同じところにいきたいだなんて、今は、そんなこと、ちっとも思ってないよね?』
『もし、仮に、死と復活の環から外れる手段があったとして。それを選びたいなんてこれっぽちも思ってないよね?』

『どうして黙っているの。微塵も思ってないって大声で言い返すところじゃないのかい。
ねえ、まさか、本当に?』

『あなたって……本当の本当に自分のことしか考えていないんだね。
そんなことを頭の隅に置きながら、誰かの背中を預かった気でいるの?』

『ひどいな。あなたを信じている人がかわいそう。
やっぱり、周りの人達が辛い目にあうのは、あなたが弱いせいだよ。
もしも今まだ辛い目にあってない人がいたとしても、あなたの隣に立っているうちにきっと良くないことが起こる。』

『あなたはいつも他人の人生を台無しにする。

あなたが「軟弱者」なせいで。』
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佐野・埜之子 4月2日23時
そう、やろかなあ。

『あら? そうですか? そうして貴女に優しくしてくれる相手にアテがありますか?』

……実際の所は、どうか分からんけど。
せやけど……

『期待出来る位には仲良くなったと?』

それは──

『良かったですね。ではその人たちは貴女の画材候補な訳です』


(珍しい程に明確に言葉に詰まった。激情の様な物が溢れて出て来そうに思ったけれど実際には何も出てこなかった。何も。何も)

『言い返したらどうですか? そんな事はないって』

『いえ、その通りだがそれがどうした。でも良いですね?』


『ねえ、分かっているでしょう? そのどちらでもないから貴女は半端者なんですよ?』
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