肉処峰吉

トー横 【FB/age27】

江渡・峯雪 2021年9月17日
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スロープの 手摺りに座ってずっとそうしている
日がある時間からだ


子供のようなツラの女と中年男の連れ合い
もう何度か見た
向こうの方では学生服の集団が手首を切ったと騒いでいる

疲れ切った警官は欠伸をしていた


やがて敷き詰められたような飲み屋の店々には明かりが灯りだし
長い夜がはじまる。




愚者の街の真ん中に聳え立つビル
『歌舞伎町』のあかい文字


きらきら、きらきら




_____________________


RPスレ
団員、団員外を問わずどなたでも参加可能

【リスク判定: 中 】
【参加者:1名まで】

※遊び方:『FBスレについて』に必ず目を通した上ご参加下さい。
※アンケの戦闘方法を選んでも必ず戦闘が発生するわけではありません。
 逆に絶対に避けたい、という場合にのみ『戦闘しない』を選んでください。




雰囲気戦闘
0
ダイス戦闘
1
戦闘しない
0
1

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江渡・峯雪 2021年10月15日
…?  誰に止められてて、誰に許可をとってるの?

(動物ならざる珍妙さに疑問は口をついて出る。親だろうか、目に見えない倫理だろうか。いずれにしても首に牙をたてられてから考えるのでは些か遅い。)

(血脂を服で拭い去ってナイフを握り直す。でかい武器を振り切った隙を逃さぬよう、一度身を低くして空いた側に回り込む。脇腹を狙う…のはもっともらしいフェイントで、本命は足払いだ。)
0

雪定・千草 2021年10月15日
【坊】(hp145)

0

雪定・千草 2021年10月15日
あ、そう、よかったあ…。

(首は繋がっているようで安心した。それでも多分、早く手を打たなければ危ない気がする。角度的に見え辛いがそもそも直視する勇気はない。とても頑張った反撃は易々と躱されたのでもう心が折れそうだった。知らない間に死ぬのが怖いので相手からは目を離さないようにしつつ、考えずにはいられない。――平和に暮らしている男子学生が、人を殺すのに慣れてそうな相手に勝てるのだろうか)

(回りこまれ、咄嗟に椅子で防御しようとする。兎に角もう切られるのは嫌だった。衝撃は予想外の位置から――足に受け、体勢が崩れて無様にも尻餅をついた)
0

雪定・千草 2021年10月15日
【攻】

0

雪定・千草 2021年10月15日
(痛い、と言うのは我慢して直ぐ、しゃがむようにして体勢を整える今無理をしなければ、終わる)

そんなの、親に、決まっています。ガキの頃、どうでもいいことで喧嘩して、そう注意されて…。思い出した。俺は母に買い物を。頼まれてる…!

(そこから思いっきり踏み込んだ。椅子を盾に、下から上へ。闇雲に体当たりしようとする)
0

江渡・峯雪 2021年10月16日
【防】

0

江渡・峯雪 2021年10月16日
(そこまでは思惑通り。醜態ともいえるドタバタにもうこれでケリがつくだろうかと、彼の血に濡れた後ろ襟を掴もうとしたがすんでのところで逃げられ、柄にもなく小さく舌打ちした)
(こんな手狭な場所でどこにも行きようがない、決めてかかっていたからか、下方向からの痛打を予想できず椅子の角をけっこう思い切り腹に食らった)

…! ……ケホ、

(衝撃と視界の揺れ。痛み、…からの思考の回復は早い。尻餅からの立ち直りがなにしろすぐだったんだろう。どうやらもうこの相手に躊躇や油断の致命的な隙は期待できないみたいだ。得物は、勿論取り落としたりはしていない)(残148)
0

江渡・峯雪 2021年10月16日
【攻】

0

江渡・峯雪 2021年10月16日
(その教えのためにこんな急場の判断につまるのなら、親が「死を受け入れろ」と言った場合彼はどうするのか、興味はある。…例え自分には都合が良くても、なんだか無性に不安になってしまう回路だ。刃物を向けられてノータイムで殴り返してくる人の方がこういうときいくらか安心できる)

そう。 帰れるといいね。

(親の記憶は曖昧で、それが帰りを待っていると聞いても自分の中でうまく実像を結ばない。やはり無感情にそう返事して、無造作に距離をつめる。できるなら防御せんとでてきた椅子を力の入る右手で掴んで抑え、左ですかさず頭部狙いの肘鉄を)
0

雪定・千草 2021年10月16日
【防】(hp121)

0

雪定・千草 2021年10月16日
(初めて当たった攻撃に、喜びはしなかった。依然として危機は去っていない。加えて体当たりは少なからず負傷した身に響いて、深く息を吐いた)

そう思うのなら、帰してほしいんですけど。

(苦々しく返しながら、再び椅子を盾にしようとして――抑えられる。割と役に立っている椅子を手放す選択肢は無かった。動かないのならば自分が動けばいい。椅子に合わせるように、急ぎ身を屈めた)

ぐっ…!?

(頭部の衝撃に一瞬思考が真っ白になる。相手の動きを見ている余裕はなく、それが肘鉄であると理解するには時間がかかった。もし、あと少しでも屈めるのが遅ければもろに喰らっていた。ぐらつきながらも、椅子からは手を離さない。屈んだ体勢で、縋るように椅子を掴み続ける)
0

雪定・千草 2021年10月16日
【攻】

0

雪定・千草 2021年10月16日
吐きそ。

(首元の痛みに加えて頭部への衝撃。休みたい。強い願望を含めて呟く。実際吐いたら出ちゃいけないものまで出そうな気がする。そんな最悪の状況は、逆に雑念をどんどん削り落としていった。勝てるかどうかは分からない、ただ抵抗し続けてやる。少し横にずれ、一緒になって椅子を掴んでいるのを良いことに、それを軸に片足を振り上げて)

真似するのは得意なんで。

(真っ直ぐ、睨み付けた。恐怖と焦燥を占めながらも、足掻き続ける意地を宿らせた目)(視線では悟らせないようにしながら、足払いを仕掛ける。上手くいけばそのまま椅子から引き離そうと考えて)
0

江渡・峯雪 2021年10月17日
【防】

0

江渡・峯雪 2021年10月20日
(当たりはしたが芯を捉えていない気持ち悪さが残る。やはり椅子が普通に邪魔なのだ。
当たりが浅いということは次の手も早い。__正面、今度は何も見落とす気はない)

(二番煎じは通用しないとばかり、足の方を見もせずぴょんと跳ねて寸前で避ける。さすがに手元は離したが)


…おれもおれで君のことは連れて帰りたいので…。


(場にそぐわない丁寧なお断り。なお生死は問わないといった感じ。
刺すような視線をまっすぐ受け止めていた。そう、これこれ。きちんと敵意を向けられている方がよほど落ち着く。
口元は少し緩んだかに見えた。普段の散漫な意識とは異なるピンと張り詰めた集中。)【防御成功】
0

江渡・峯雪 2021年10月20日
【攻】

0

江渡・峯雪 2021年10月20日
(お互い手を伸ばせば届いてしまいそうな距離をめぐってじり、じりと機を窺う。掴んで固定していた方の手を離してしまったことでまた打撃への警戒が要る。痛みが怖くなくとも、それでは目標を逃す。)

(日は翳って、周囲はずいぶん見辛くなってきていた。前の季節からの生き残りの蛾が蛍光灯に引き寄せられている)

(このときはフェイント程度にナイフの柄で椅子を持つ指を狙ったのみだった)
0

雪定・千草 2021年10月23日
【防】(hp111)

0

雪定・千草 2021年10月23日
連れ…?

(連れて帰りたい?――その前に『殺して』、がつくんだ。きっと。殺して、連れて帰りたい)

たいへんそうなご趣味、ですね。
連れて帰って美味しいごはんでも頂けるのなら、喜んで行くんですけど。

(足払いは避けられたが手は離れた。冗談混じりに言いつつ息を整える。このまま会話を続けて、誰かが来るまでの時間を稼ごうか。そんな甘い考えは直ぐに打ち払われ、咄嗟に椅子から片手を離して柄を避ける)
0

雪定・千草 2021年10月23日
【攻】

0

雪定・千草 2021年10月23日
(ナイフの柄が椅子に当たる音が響き渡った)
(狙いが急所だと分かっていた時は未だ良かった。次に何が来るのか分からないのは、不安を助長させる)

もう、やらせない…!

(続くであろう攻撃を阻止すべく、持ち直した椅子を横薙ぎに振るう。このまま影が濃くなれば、どうなるのだろう。足は知らず自分の作った小さな血溜まりを踏んで、とても嫌な感じがした)
0

江渡・峯雪 2021年10月27日
【防】

0

江渡・峯雪 2021年10月28日
一食くらいならいいよ。ご馳走するからおいしいもの食べよう。
でも死ぬ前に腹一杯食べるのはお勧めできないな。消化しきれないし、なんていうか…片付けるのはどうせおれだもの。

(そのとき大きく踏み出した方向へ、彼が椅子を突き出すのが丁度同じタイミングでかぶって硬い角が当たる。さっきと変わらないような箇所なのでいい加減痛い。衝撃に少し後退り、歩を戻す)

趣味…?

シュミじゃ、ない。仕事でもないけど…。
これが済まないと、これを済まさないと、明日息をするのに差し支えるんだ。何も手につかなくなる。
『人間』に戻るため、とまでは言わない。『人間』だらけのここで、うまく身を潜めていたいから。

(昏い瞳の真ん中には、更に得体の知れない透き通った闇が溜まっている。ヒトならざる埒外の獣の目。どんな倫理も吐いて捨てる畜生の目)(残:109)
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江渡・峯雪 2021年10月28日
【攻】

0

江渡・峯雪 2021年10月28日
死ねないなら、生きるために必要なこと…するしかないよね。
おれが明日生きるために君がほしい。理由はそれだけ。
おかしいのはとうに分かってて、でもどうしようもない。
帰りたいなら実力で突っぱねて。

(小細工では突破できないとふんで、数歩後退。少し助走と勢いをつけて、正面から体当たりに出る。椅子ごと倒してしまおうという魂胆か)
0

雪定・千草 2021年11月2日
【防】

0

雪定・千草 2021年11月2日
あ、食べた後で死ぬ選択肢もあるんですね…。

(嬉しいけど落ち着いて食べれそうにないなあ、と苦笑い。相変わらずの状況に合わない丁寧な返事に慣れてきた。それとも、恐怖が麻痺してきたのか)

………それって。

(使っている言語は間違いなく日本語なのに、意味は分かるのに、理解――というには程遠いが、少なくとも何を言っているか、が分かるまで時間を要した。十分に噛んでいない物を強引に飲み込んだみたいに。問いを重ねようとして、息が止まる。麻痺していた恐怖が鎌首を擡げた。その間に恐怖は勢いよく迫り、ただ衝撃に備えることしかできなかった。相手の目論見通り椅子ごと後ろに倒れ、短いくぐもった悲鳴を上げる)(残:95)
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雪定・千草 2021年11月2日
【攻】

0

雪定・千草 2021年11月2日
(どこもかしこも痛くて、涙目になりながら吠える。そうしないともう動けなくなりそうだった)

あなたは、人から外れた、ってことですか…!
それなら確かに俺を狙うのは妥当ですね!

(げほ、と喉の不快感が増すだけの咳をして、声は打って変わって弱々しく掠れた。その代わりに、笑ってみせた)

俺は…ごく平和に、何不自由なく、あたたかい家族に囲まれて育ってきましたから。
とっても人間らしい、人間です。
まあ、俺なのは偶然かもしれないですけど。
…突っぱねますよ。ここで諦めたら、人間らしくない。

(倒れた拍子についた手は、何処にでもある石ころを掴んでいた。届くか分からないが、立ち上がる隙さえ出来ればいい。倒れたまま顔を狙って投げつけた)
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江渡・峯雪 2021年11月4日
【防】

0

江渡・峯雪 2021年11月5日
(ガシャンと音がして、自分よりはまだ華奢に思える相手の体ごと地に倒れた。間を置かず椅子の上からやや体重をかけて今度は向こうの動きを封じようとする。
苦しげな声を聞けば一瞬表情を曇らせた)

そういうの、聞きたかったわけでも怖がらせたいわけでもないんだ。
おれが下手うったせいで、ほんとにごめん。

(動作の一部始終が見えていたので、投げつけられたものを首を捻って難なく避ける。
抑揚の無い声は嘘を言っているわけでも、感情がこもっていないわけでもなく、ましてこれからすることへの躊躇いなど一切感じさせない調子だった。)【防御成功】
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江渡・峯雪 2021年11月5日
【攻】

0

江渡・峯雪 2021年11月5日
うん。

(ヒトから外れた、そう言われてどこか満足げにすら思える様子でそう返事した。こんな応酬の中できちんと話を聞いてくれて感心な子だとでも思っているのだろう、しかし彼を抑える手は緩めようとせず)(さっきアスファルトで抉ったのか、その手にもじんわり血が滲んでいた。それに気付きもしていない。)


そうだと思っていたし、そうであって欲しいとも思ってた。僻みじゃなく。
生きてる間の幸福を願うのと刈り取る瞬間それを意に介さないのは
矛盾してない。
少なくともおれの中では。

(こういう時、笑う相手も珍しい。不敵なのか、それとも…他者から与えられた自分の知り得ない感情なのか、なにしろ貰えるアテもないので一生見当もつかない。
ナイフは__もう単純に喉笛を裂いてしまおう、と振るわれた。)
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雪定・千草 2021年11月10日
【防】

0

雪定・千草 2021年11月10日
(謝られると、調子が狂う。自分を殺そうとしていなければ、本当に、良い人だと思えたかもしれないのに。それとも良い人が自分を殺そうとしているだけなのか。あっさり避けられた石を見送りながら問う)

一瞬で死んだ方が良かったんですか?

(蛍光灯に反射したナイフの光がちらりと見えた瞬間、怖くて片手を闇雲に振るい払おうとした。駄々をこねる子供に戻った気分。鋭い痛みが走って、手が切れた気がするけど見たくないので見なかった)【防御成功】
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雪定・千草 2021年11月10日
(息を吐いて喉の無事を確認すれば、震える声で話を続ける)

…そういうところは、ちゃんと優しいんですね。
さっき、気付きましたよ。
テレビで見た…増え過ぎた鹿や猪を仕方がないから殺すけど、ちゃんとその命を無駄にすることなく頂きますっていう、なんか、有り難い話。
それもちゃんと、長く苦しませないようにしてた気がします。
殺すのに、優しい、それと似ている。

(重くて痛くて、彼を退かせそうになかった。頼みの綱だった椅子も、今はただ自分の身体を一緒に押さえる重荷でしかない。探せばまた石か何かは掴めるかもしれないが、あっさり避けられるだけだ。だから口だけはよく回る。解決策が思いついてなくても、恐怖が何もしないのを許さない)

それで、俺を殺してどうするんでしょう。
もう大分怖がってるし痛い思いしているし、
たぶん人生で一番のストレスを与えられているんですけど、
そんな俺の死体で大丈夫ですか。

【防戦一方】
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江渡・峯雪 2021年11月13日
(空が、ざわめいている。鳥のように、羽虫のように千々にくだけて端から散っていくのだ。彼らが彼らの向かう先に夢中になっている間、あるいはその前からはじまっていた。件の塔も、飲み屋の歪な明かりも、周囲のシャッターでさえ目に見えて欠けた違和感を帯び始めていた。

でもそれは振り返った先の世界のこと、今は目の前の仕留める直前の彼のことしか目に入らない。

暴れる手に阻まれてナイフは逸れた。数滴の、血。 思えば血の滴るのを見なければ今日は我慢しきっていたかもしれないし、こうして組み敷いているのは彼じゃなかったかもしれない。どうせ何かは手にかける、それを同じと思うのか、そうでないか)

大丈夫。
正直なところ、おれの方はどちらでも大差ないんだ。獲物が少し汚れるか、きれいなままかの違い。

一瞬がよかったかどうかは、どちらかというと君が判断する事じゃない?
最初の一刺しで終わればそれらもなかったのだし。
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江渡・峯雪 2021年11月13日
優しくない。命を奪いにくるものが優しい筈はない。
(そう、一瞬たりとも)

不必要な苦しみが欲しくない、いらないだけ。
そんなことで絆されるのは言葉をアテにしすぎているからだ。
(しかし言葉を受けとめ合うのが人間で、彼は自分が羨む通りの人間だ)
(左手は自由になっている彼の片手を念入りに封じようとする)

自分の手で殺したからには用が済んだらきちんと食べる。
食べられるぶんしか殺さない。
血の一滴も無駄にはしない。

それがおれがおれを保つ最低限のラインだから。(だから、そうする。地を這う獣の振るまいのまま)
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江渡・峯雪 2021年11月13日
(ナイフの柄をぎゅっと握る)

もしも、があるなら、君とはもう少し話してみたかったかもしれない。

(見られたら、知られたら、どのみち生かしておける道はない。何もかもが遅い。あるいはそれに気付かずにいられることが、早く仕留めるメリットなのか)
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雪定・千草 2021年11月13日
そうなんですか…。
この状態だと、一瞬の方が良かったのかもしれないですけど…。
でも、俺は一瞬じゃなくて良かったと思います。
だって…。

(自分が死ぬ理由が分かって良かった。最後に家族を思う時間ができて良かった。買い物できなくてごめん、とか。帰らなくてかなり心配かけるかも、とか。頭に自然と浮かんだ言葉が、諦めに満ちていることに気付いて口を閉ざす。――諦めないのではなかったか。気付けば唯一何か出来そうだった片手は封じられ、びくともしない)
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雪定・千草 2021年11月13日
(機を伺い、時には力を入れて抵抗していた身体から力が抜ける。一度抜けると、とても戻れそうになかった。もう大分、無理をしていた)

何の意味もなく、何の役にも立たず、腐っていくよりはいいんです。
ただ悪戯に痛めつけたり、苦しめて捨てる人だっているでしょう。
比べればマシ…、てだけですが。
…まあ、勝手に優しいって思いますね。

(無駄にはしないという言葉に、だから少し安堵した。彼のことは結局何も理解できていないが、命を無駄にしないという点だけはよく知れた気がする)
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雪定・千草 2021年11月13日
……はは、俺も、そう思いますよ…。

(もう少し話したら、ほんのひとつでも理解できたのだろうか?それとも何も分からず、平行線を辿るのだろうか?怖くて目を瞑ってしまいたかったが、堪えて、彼の目だけを見詰める。目を瞑ったら、本当に全て諦めたことになる。こんな絶望的で殆ど諦めた状態であっても、それだけは駄目だ。これが、こちらの自分を保つ最低限のラインだと思った。もう何も言わず、静かに見詰め続ける。

その、獣のような目を)
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江渡・峯雪 2021年11月18日
(語りはじめようとして、彼は言葉にしなかった。こちらでいい、とした理由は彼だけのものなのだろう。
語られても理解も共感もできずに心の底が冷えるだけなのだ。それをおいても、聞けないことを少し残念に思う自分がいる)

(力をいれなくても向こうから押しのける気勢はもう感じない。ただ、こちらへ向けられ続ける目から生気は失われず、瞳の奥には当初と同じものが宿っている。)

そう。………ヘンなの。
君がいいなら、好きにして。

(ハンカチの行方と同じくらい他者からの評に執着は薄い、そんな返答。気違いとか人殺しとか言われ慣れたフレーズに擦りもしないので薄ら不安ですらある。恨みも、呪いも、いつも浴びるつもりでいるのに。)
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江渡・峯雪 2021年11月18日
(黒い塵が舞っては消えていた。風に…焼け跡のような、妙に焦げたにおいがする。頼りの街灯が一度ぷつんと消えてじんわりと持ち直した。)

(未だそれも気にすることのない凶人はようやく最初の思惑通りに刃を高く振りかざし、
邪魔するもののなくなった首の根本をめがけて振り下ろす。)

(その切先が肌へ達するほんの、僅か数ミリほど前で、ナイフは遥か高温に溶かされたように飴みたいに柔らかく弾けたかと思えば黒い塵になって霧散してしまった。
その瞬間だけ男は少し驚いた表情であったが、自らの指もナイフと一緒にとんでいて、やがて止めようのない速さで右手が黒い砂になって消えていくのを冷めた目で見ていた。)

(ふと、自分たち以外の外界へ目をやれば__ ここ一帯を残して見知った街の姿はない。みな地盤ごと暗い穴に落ち込んでしまったみたいに存在そのものが失われている)
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江渡・峯雪 2021年11月18日
(崩れ去る過程で片方になった昏い目は消える手前まで彼の目を見つめていた)
(獣に善悪は無い。ただ、そういうモノであるというだけ)
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雪定・千草 2021年11月20日
(他のものに一切目を向けないのは、恐怖に溺れない為でもあった。
たくさんの言葉の奔流が直ぐ其処まで迫っている。
だからナイフが霧散したと気付くのに少し遅れた。
来る――と思った瞬間から、
一向に痛みも衝撃も訪れないと気付いて視線が動く)

(ナイフも、ナイフを持つ手も、もう無かった。
黒い塵を目で追う内に世界もまた失われていく。
痛みを感じる間もなく自分は終わって、この不思議な光景を眺めているのかとぼんやり思って)

(失われゆく全ては、同時に薄れていく。
正確に言えば眩さで薄くなっていった。
何が光っているのか分からない、影が見当たらない眩さは本当の終わりを告げているようで、何も見えず感じない無へと向かっていく)
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雪定・千草 2021年11月20日
(最後は吸い込まれるように彼の目に視線がいった)

(その時だけ、生を思い出させるように心臓が脈打つ。
自分を見ていたその目は、やはり最後まで獣のままだった。
もう自分を押さえる力が無いので手を伸ばしてみる。
伸ばした瞬間に手は消えていて、世界が急速に遠ざかる感覚を覚えた)

(この手が届いていたのなら、如何したかったのだろう)
(その目の奥に答えがある気がして)
(二つの視線は消える瞬間まで重なり続けた)
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江渡・峯雪 2021年11月21日
(組み敷かれていた筈の青年もまた光のあぶくのようになって消えていった。
そこに二人分の質量など最初からなかったように僅かな煤が舞っているだけ。

       空の色は虚飾であり、地は脆く底のないうつろに繋がっている。
       すべて剥がされてしまえば、まるで天地も定かならぬ 塗りこめられた闇 )
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江渡・峯雪 2021年11月21日
((((( そこから先は、思い出せない )))))
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江渡・峯雪 2021年11月21日
【age27 『トー横』 〆】
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