しずむ しずむ
佐野・埜之子 2024年8月19日
ふかいふかいうみのそこ ふかいふかいみずのした
ふかいふかいのに ふかいふかいから
ねえ ねえ?
だから
・死亡したディアボロスは新宿島の外輪部の浜辺に流れ着きます。
・なら多分、その前に海の中に居る。
・ならばもしかして、浜辺に上がらずそのまま沈んで行ったなら
・そうしようと誘うなにかがいたならば
・それはだれですか? なんですか? そしてなにをしますか? なにをいいますか?
・どうぞ。
・どうぞ
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佐野・埜之子 2024年8月19日
(コポコポと音を立てて泡が昇って行く。水面に向けて昇って行く、沈む体とは逆に上へ、上へ。あの泡は残りの命で、それが出なくなった時に本当の意味で死ぬのだと昔何かの本に書いていた。そうして最後の泡まで吐いて死んだ男は、結局その後どうなったのだったか……)
……誰も
(来ないなあ。未だ、誰も何も底に引き摺り込もうとはしていない。して来ない。まあ、そのうち来るだろう。きっと来るだろう。……来なくても、この身は今の所沈んでいるのだけど)
佐野・埜之子 2024年8月30日
(声がした)
『本当は分かっとるんやろ?』
……あー
(水底の方を見下ろして思わず笑ってしまう。なるほど、これはなるほどだ。適任だろう、自分を水底に誘うなら……)
『一番いい方法をウチは知ってる筈や』
んん……んー
(見上げて来る幼い顔、けれど怜悧で理性的な目。何の事は無い、幼い頃の自分だ。『美』に取り付かれる前の自分自身)
『ちゃんと話をしい』
……はい。
佐野・埜之子 2024年9月3日
(本当は、このまま沈むのが一番良いのだ。覆らない事と贖えない事……余り普段意識して無いのだけど、そう言う事が山積みで。このまま沈めばそれら全ては解決……はしないが概ねなあなあになる)
…………そうは、言うてもなあ。
(ノンビリと水底から見上げる自分を見る。随分と冷たい目で見て来るなあ。何でかは分かる気はするがあんまり良く分かっていない。と言うか、深く考えて居ない。そっちに思考を回して居ないので……)
佐野・埜之子 2024年11月20日
『絵を描きたいなら』
うん。
『あの日見た絵を描きたいのなら。自分の自分だけのあの絵を描きたいあの美しさを自分のものにしたいのなら、やる事はもう決まっている筈やよね?』
そうやね。
『皆、もうよう知らん人やあらじぇん。皆、知っとる人で親しい人でもしかしたら友達なんかも知れへん。そないに思える位にはウチは皆と関わって来た』
……。
『それを、下心何とちゃうんやろかて悩んでまう位には、ウチにとってかて皆はもう、どうでも良え存在やないやろ?』
せやね。多分、きっと。
『やったらそれをしたら良え。答えをウチはずっと抱えたままやろ?』
うん…………そうやよ。
『それをしたら良えの。それとも、したあらへんか?』
…………。
(イエスともノーとも言えなくて、ただ見下ろす)