#丹桂
アルク・メル 2021年9月12日
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ふんわりとどこからか甘い香りがして、ぼくはひとり心が弾むのを感じた。
金木犀だ。
この街は大きく姿を変え、明日ともしれない世界だというのに、
季節はたしかに巡り、自然はその兆候をそっと教えてくれる。
花の匂い、差し込む太陽の熱、さざめく虫の声。
ここは正しく都会のど真ん中だというのに、彼らはどこからどう来て、ぼく達にそれを教えてくれるのだろう?
――全く不思議な心地だった。
そう思うといても立ってもいられなくて、
ぼくはシンシャと、秋を探しにいったのだ。
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・金木犀のお花見。
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アルク・メル 2021年9月12日
(随分と熱はやわらいだとは言え、走ればそれなりに汗をかく。額から滴った汗を拭って、それでぼくは自分がいつの間にか焦っていたことに気がついた)
(でも、そんな疲労感もそこそこだ)
……ふう。シンシャ、見て。ここでも、ちゃんと金木犀は咲くんだね。
(オレンジ色の小さな花が、ぽつぽつと、けれど確かに芳香を伴って咲いている)
――よかったあ。新宿にも、金木犀、ちゃんとあるんだ。
カナン・プロセルピナ 2021年9月12日
あら。アルク様に、シンシャも。
どうもこんにちは、ふたりでお散歩ですか?
(柔らかな笑みを浮かべ、見知った顔に挨拶をした)
アルク・メル 2021年9月12日
……あっ、カナン。
(暫く見惚れていた。けれど聞き知った声にふと横を向く)
(やわらかな声に、同じくらい綺麗な顔の女の子――そういえば、学校の外で見るのは初めてだ)
うん、こんにちは。金木犀の匂いがしたから、探してて、ちょうど見つけたところなんだ。
カナンはどうしたの? きみもお散歩?
カナン・プロセルピナ 2021年9月12日
ええ、そんなところです。住んでいる場所がすぐ近くですので。
(そう答えてから、すぐ近くの木に視線を移す)
金木犀というと、こちらの花がそうですか?
確かに、(くんくん、と鼻孔から香りを吸い込み)ほんのりと甘い……良い香りがします。
このあたりではよく咲く花なのでしょうか。
アルク・メル 2021年9月12日
じゃあ、奇遇だね。
(一瞬、彼女のお家への好奇心がむくりと沸いたが、そういうのはプライバシーだから、あんまり聞いちゃいけないことをぼくはきちんと心得ていた)
うん、そう。匂いもいいし、形もほら、お星様みたいでかわいいお花でしょう。これがね、もう少しすると爆発するみたいに木中ぜーんぶオレンジになっちゃうんだ。それからあっという間に散って地面に絨毯をつくる。
この木は誰かが植えないと育たない木だから分からないけれど……日本なら街にひとつはあるだろうな、という感じ。
(ぼくにとって金木犀は育てるものでなく見つけるものだから、答えが非常にふんわりしてしまう)
でも、世界はこの島ぽっちになっちゃったでしょう? だから、もしかしたらもうなくなっちゃったのかなって思ってたんだ。
カナン・プロセルピナ 2021年9月12日
確かに。可愛らしい形をしています。
ここからまだ咲いていくんですね。
オレンジ色の絨毯、綺麗そう。香りももっと強くなるんでしょうか。
(言葉に耳を傾けながら、木を見上げて花弁をつぶさに観察した)
そういえば、この島は日本という国の一都市が切り取られたもの……なんでしたか。
そうすると、この街にこの木が残されていたのは幸運な事だったんでしょう。
(よかったですね、と微笑んだ)
アルク・メル 2021年9月13日
初雪とおんなじで、だれかに見つかってしまうとあっという間に踏まれて汚くなっちゃうんだけどね。
でも、カナンならお家が近くだから、この木がきれいな絨毯を作るところを見られるかも。
(ぼくはよく散り際の金木犀を見守っていたから、なんだか懐かしい気持ちになった)
(カナンにもせっかくならこの花の綺麗なところをたくさん見てほしい)
うん、そう。よかった。ありがとう。
……。
(微笑みが穏やかなものだから、なんだか照れくさい。金木犀ひとつではしゃぎすぎなのだろうか?)
(話を逸らそう、と少しの間考えて)
……カナンはこのお花、好きになった?
カナン・プロセルピナ 2021年9月13日
それは、少し残念ですけれど……往来がある以上は仕方のない事ですものね。
(ううん、と少し考えてから)
そうだ! もしよろしければこの金木犀が綺麗な絨毯を作った時に、わたくしがアルク様にお知らせしましょうか?
そうすればアルク様も、一緒に金木犀の絨毯が見れますわ!
(我ながら名案だ、と言わんばかりに得意げに笑った)
カナン・プロセルピナ 2021年9月13日
そうですね、はい。
可愛らしくて香りも良くて、素敵なお花だと思いました。
木に咲く花は摘むわけにもいかないのが残念ですわね。
アルク・メル 2021年9月13日
うん。それに、金木犀のことを誰かが見ている証でもあるから、決して残念なことばかりではないのだけれど。
(突然のお誘いにちょっとだけびっくりする。カナンはいつも穏やかなひと、というイメージがあった。そんな風に顔を輝かせるところを見たことがない)
(でも、嬉しいお誘いだった。素直に頷く)
……わあ、本当に? ふふ、そしたらその日は学校の帰りに、一緒にここに来よう。もしかしたら、だれか他に見たい人だって来てくれるかもしれないしね。
(それはとっても素敵な帰り道になるはずだ。一人納得したように頷く)
(カナンの返答に、表情をやわらげ)
そっか。それはよかった。……持ち帰りたいのなら、たまに枝を折る人もいるけれどね。ぼくは手元に置くよりかはこうやってありのままに育っている姿を見る方が好きだから、やったことないけれど。
カナン・プロセルピナ 2021年9月13日
ふふ、良かったです。(提案が受け入れられ、嬉しそうに笑う)
んん、枝を折ってしまうのは流石に気が引けますね。
それを言ったら花を手折るのだって同じことかも知れませんが……
野に咲く花は季節限りの、いっとき限りのもので、木はずっと残るあたりで重みが違うのでしょうか。
少なくとも私は、花束で花の枝を貰ったらびっくりしてしまうと思います。
枝でもきちんと飾る目的で、取りすぎないよう気を付ければ許されるのかしら?
どちらにせよ、植えられたものなら持ち主の方もいらっしゃるのでしょうし勝手に折るわけには参りませんね。
カナン・プロセルピナ 2021年9月13日
……そう言えば、金木犀は実をつけたりはするのですか?
(良い香りがするので甘酸っぱい果実でも実ればいいのにな、なんて思ったのだ)
(オレンジだとか、ああいった果樹をイメージしている)
アルク・メル 2021年9月15日
うーん、どうかな。
ここにあるのがバラやコスモスだとしても、金木犀だとしても、ぼくは切ったり折ったりで手元で愛でることにあまり興味がない。
けれど、別に枝ごと欲しくなってもいいとおもう。きれいなものを自分のいちばん近くにおきたいと思うことは、そんなに悪くないんじゃないかな。
花にとっても、その人にとっても。
(言いながら、カナンは難しいことを考えるんだなあと思った)
許す、許さないの問題だとしたら、そうだね。花の持ち主が、どう考えるかだと思うけれど。
……この金木犀はだれのなんだろうね。ちゃんと、手入れしてくれるひとがいるといいな。
アルク・メル 2021年9月15日
うーん?
(目をぱちぱち)
金木犀は枝や苗木で増やすものだから、実はならないんだよね。
……食べたかったの?
カナン・プロセルピナ 2021年9月15日
なるほど。アルク様はこの場で眺められればそれで満足、という感じなのですね。
わたくしも……手元で愛でると言うよりは、お供えとかに使いたいなと思ったくらいです。
カナン・プロセルピナ 2021年9月15日
あら、そうなんですか。(少し残念そうな顔をする)
んん……そうですね。
実がなるなら美味しいのかな、なんてことは考えました。
アルク・メル 2021年9月16日
眺められればってより、育てる方が好きだから。
(自分のことより気になったのは彼女の言葉だ)(ぱち、と瞬き)
……おそなえって、亡くなった人への献花にするの?
花を見せてあげたいようなだれかがいるんだ?
アルク・メル 2021年10月4日
今度、また帰り道でも。金木犀を見に行くときに続きを聞かせてね。
アルク・メル 2021年10月4日
(〆)