【RP】実物に触れる
御縁・榊 2021年9月9日
花々が咲き誇る店頭は今日も、数少なくとも熱心なリピーターでそれなりに繁盛していた。
「心の栄養を売る仕事」と男が言う通り、花々の彩りは、生活になくても生きて行ける。
けれど、あればそれだけ、心が華やぐものだった。
例えこんな風に狂って半ば壊れてしまった世界でも、癒しと安らぎは確かに此処に在る。
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榊とミアンダ
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御縁・榊 2021年9月9日
(夕方にもなり、最後の客が華やかなビタミンカラーの花束を抱えて嬉しそうに帰って行った。妻の誕生日なんだ、と笑った常連のその奥方が、刻逆で消えてしまっていることを店主は知っていた。それでも、忘れてなるものかと、消えた日常を当たり前にしてなるものかと言わんばかりに、人々は失った大切な人へのお祝いにも花々を買って行く。なるべく華やかな花束にして欲しい、妻は明るい色が好きなんだ、と笑った常連客のように。記憶を、記録を、大切な人が確かに居た事実を、決して消すまいとするように。店主の男は、そんな人々から大切な人の話を聞くのが好きだった。彼らが消すまいとする火の一端を、己の中にも灯して貰ったような気になるから)
御縁・榊 2021年9月9日
(まだ多く残った花たちに、このまま明日も美しく咲いていてくれるようにと己の竜としての力を分け与えながら、ふと振り返った店頭)(小さな青い少女が、ひとり)
いらっしゃい、お客さんかな?
(初めて見る顔だ。接客に慣れた男は、何処か気怠い甘さを持つ声で柔らかく問い掛けた)
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ミアンダ・コギトエルゴスム 2021年9月9日
(少し短めのスカートを履いた学生服姿の少女が、行きすがらの店で立ち止まり、その店頭に飾られる花々を見つめる)
(店主様であろうか、自分より頭一つ半ほど高い顔を見上げながら)
客、と問われれば首を振らざるを得ません。
ミアは何かを求めてきたわけでは無く、ただ通り過ぎただけですので。
(ただ、瞳は並ぶ花々に奪われていたことには違いない)
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御縁・榊 2021年9月9日
(不思議な物言いをする、浮世離れしたような少女だった。新緑のような羽毛の竜翼と尾長の鳥のような竜尾を持つ男は、ゆるりと尾を揺らしながら愛想良く穏やかに笑って)
見て行ってくれるだけでもお客さんだよ、良かったら中入る?
(店頭にもそれなりに花は飾っているが、店内に入ればもっと多い。この男の生来の能力と混ざった竜としての力は大層相性が良く、その結果、季節、種類を問わず、多くの花が店内には満ち溢れていた)
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ミアンダ・コギトエルゴスム 2021年9月9日
(見てくれるだけでもお客様、そういった言葉に成程と頷きながら)
ふむ……お邪魔でなければ、是非。
(静かにそう応えながら、彼の背を追って店内へと入る)
……これが、"花"……と、いうモノなのですね。
(表情はそのまま変わらないながらも、身振りは少しだけ早くきょろきょろとした様子で花々が咲き誇る店内を見まわしている)
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御縁・榊 2021年9月9日
喜んで。興味持ってくれるだけでも嬉しいもんさ。
(今のこの世界になってから、花々に足を止めてくれる人は格段に減った。みんな、心に余裕がないからだ。何時破裂しても可笑しくない、ぱんぱんに空気を入れた風船のような状態で何とかバランスを取っている。そんな風に見える)
あれ、もしかしてあんまり見たコトないのかな。此処は花屋だからね、季節はちょっと無視しちゃってるけど。
(花を見たことがないとなると、異世界の子、ということだろうか。花々は今日もお喋りだ、きゃっきゃとそれはそれは良く喋る。夕方なんだから、君たちはそろそろ寝る時間だろうに)
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ミアンダ・コギトエルゴスム 2021年9月9日
(花。ヒトにとっては一部を除いて食用とすることも無く、主に観賞用として飾られることが多いということは、以前読んだ本にて記録したことがある)
……ええ、"花"というモノの"情報"は記録したことはありますが、実物はあまり。
最近の刻逆とやらに巻き込まれるまではマトモに外に出る事もあまりありませんでしたので。
ミアンダ・コギトエルゴスム 2021年9月9日
(赤白黄色、季節に適したモノからそうでないと思われるモノまで。見た目は以前読んだ辞典などに似通った特徴のモノが多く、よく見てみれば名前が解るモノも)
……アレは、薔薇という花でしょうか。そしてアレは、確か……チューリップ……。
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御縁・榊 2021年9月9日
そっか、なら好きなだけ見て行って。世界が新宿だけになったから花も随分手に入らないものが増えちゃったけど、その辺の店よりはずっと品揃え良いと思うから。
(今も、花屋の裏手にある自宅の広い庭や温室は花盛り。世界がこうなってから、なるべく手に入る範囲の植物は急いで掻き集めたけれど、手に入らなくなってしまったものもとても多い。存在が消えてしまったからだ)
うん、薔薇は人気だから色はそれなりに揃えてあるよ。一重咲きの薔薇も素朴で可愛いけど、やっぱり売れ筋は八重咲きかなぁ。華やかさが断トツだからね。チューリップは花そのものを買ってく人も居るけど、球根を買って自分で育てるって人も多いねぇ。水耕栽培もオススメだよ。
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ミアンダ・コギトエルゴスム 2021年9月9日
(薔薇やチューリップにも様々な色が存在し、同じ個体でも違う印象を受け、咲き方もそれぞれ全く同じというものは無い)
(表情は依然大きく変化することは無いが、これも一種の"芸術"か、初めて見る"情報"に対して少し感動した様子でじーっと目を少し光らせるようにして見つめているのであった)
ミアンダ・コギトエルゴスム 2021年9月9日
写真や文書での"情報"としては様々な花というモノには触れたことはありましたが、こうやって実際に注視することはありませんでしたので。
……こんなに沢山揃っていても、やはり失われた種もあるということでしょうか。
(確かに、普段見かける花というモノに比べればここは花園)
(ミアが見ても新宿内ではこれほど多くの種類を一同に見ることは殆ど無かっただろう、と思い出しながらも、辞典に掲載されていた特徴をしたものというのは総て揃っているわけでは無いと気づき)
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御縁・榊 2021年9月9日
(表情こそ変わらずとも、とても熱心に見つめているのが分かるから、少しだけ嬉しい。やっぱり、どんな意図であれ、花に、植物に、興味を持ってくれる人が増えるのはこの世界では貴重だ。早く、みんなが当たり前に花を楽しめた頃に戻れば良いのどけれど)
花はさ、実物が良いと思うよ。香りも手触りも、情報じゃ分からないものだから。……そうだねぇ。今でこそ季節問わず咲かせてるけど、こうなる前は当然ながら、普通の花屋だからね。切り花も鉢植えも、大抵はその季節の花しか店頭に並ばないんだよ。結果、他の季節の花は、残存がとても少ない。種や球根だけでもあれば増やせるんだけど……。
(ひどく残念そうに、溜息を吐いた。夏の花か、越冬出来る種類の植物しか手元になかった所から、これでも新宿中を回って掻き集めたあとだ)
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ミアンダ・コギトエルゴスム 2021年9月9日
……確かに、見た目や生態などについては辞典で確認することは出来ますが、実際の手触りや香りは至近距離での観察が無いと"真"なる"情報"を記録したとは言えないのですね。
(静かに、花びらを落とさないように少しだけ撫でるように花に触れながら、その手の感触と少し残る香りの静かに目を瞑りながら感じる)
ミアンダ・コギトエルゴスム 2021年9月9日
……季節の花、なのですか。
一度でも見ることが出来れば、ミアもいつでもその花々を皆様に見せることが出来るのですが……。
(残存が少ない、そんな花の儚さを感じながらそう呟く)
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御縁・榊 2021年9月9日
だと思うよ、俺はね。少なくとも、花を記録するにあたって、香りってのは大きいと思うな。
(見た目が美しくても、香りとして飾るのに適さない花もある。逆に、見た目は控え目でも香り高く、少しあるだけで心が華やぐようなものもある。また、飲食店ならば必要以上の香りはない方が良いだろうし、何処にどんな意図で飾りたいかでもお勧め出来る花は変わる)
この店内と、あとは俺の自宅の庭と温室に、新宿で手に入るだけの植物は出来るだけ掻き集めてる途中なんだけどねぇ。……やっぱり、新宿以外の土地が全て消えたのが痛いなぁ。育つ場所が限られてる植物もあったし。
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ミアンダ・コギトエルゴスム 2021年9月9日
…………店主様は、消えた花々の特徴というのは、知っていたりするのでしょうか。
その花弁や葉の形、大きさ、香り……今、ここには無い、いずれかの花の。
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御縁・榊 2021年9月9日
全て知っている、とは言えないけど、それなりには知ってるよ。本物を見たコトない花もあるから、そればっかりは何とも。
(自宅の本棚は、花に関する本で溢れている。植物たちも、仲間たちの話を沢山してくれていた。それでも、足りない。失ってしまったものを、取り戻さない限りは、もう二度と見られないものが山ほどある)
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ミアンダ・コギトエルゴスム 2021年9月9日
今日この場でこの店に出会えたことも何かの巡り合わせ……。
新たな"情報"を得ることが出来たお礼に、ミアも何かできないモノかと思いまして。
(少女は静かに店主様の目を見つめながら)
ミアンダ・コギトエルゴスム 2021年9月9日
では、店主様が実際に見たことが有り、ここに無い花……そんなものがございまいたら、色や形、それと香りがどんなものであったか、教えていただけないでしょうか?
(こういう聞き方ではまだミアと名乗る少女が何かをしてあげるようには聞こえないかもしれない。しかし少女は真剣な眼差しで、彼の顔を見つめてそう言い放った。)
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御縁・榊 2021年9月9日
(突然の言葉に、ぱちりとブルートパーズの瞳を瞬いた。お礼をされるようなことはしていないつもりだが、真っ直ぐに見上げて来る少女の眼鏡越しの視線はひどく真剣に見える。それに、聞きたいことを話すことで何の手間がある訳でもない。なら、少し思い出してみようか)
……うーん……幾つもあるけど、例えば高山に咲くような花はこの辺にはないねぇ。
御縁・榊 2021年9月9日
俺が登山で見に行った稚児車っていう花があるんだけど、あれは可愛かったなぁ。一見普通の植物なんだけど、実は寒い中でも雪に埋もれて暖かく生き残るために地面を這うように生える低木って奴でね。葉っぱは羽状複葉……あー、鳥の羽みたいに切り込み深めにギザギザした葉っぱが1箇所から複数生えてて、花は小さくて、白い五花弁。真ん中に細くて数多い黄色の雌蕊と雄蕊が生えてて。バラ科だからかな、香りもふんわり甘め。
(思い出を辿るように、その割にはかなり詳細に。職業柄もあるが、単純に植物が大好きなのだ)
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ミアンダ・コギトエルゴスム 2021年9月9日
小さく、ぎざぎざ……花は小さく……。
(店主様の記憶の"情報"を頼りに、脳内でイメージをパズルのように組み上げる)
(野山の草花に交じり、鳥が羽ばたき落とした羽のようにふんわりとした小さな隣り合う五つの花弁、その真ん中からは鮮やかな春の色をした雄蕊雌蕊を芽吹かせながら、やわらかな薔薇よりもマイルド目な香りを放つ小さな花。)
ミアンダ・コギトエルゴスム 2021年9月9日
…………。
(目をつむったまま、数瞬の時が立った後)
――――…………!
(光の粒子が重なり合って、祈る様に握っていた両の拳の中に一輪の花が浮かび上がる)
……こういったモノで、合っているでしょうか?
(完全な情報を集めきったとはまだ言えないため、細かい部分は異なるかもしれませんが。と、ミアが集めた"情報"から創造した、白と黄色のコントラストで、甘い香りがする花を店主様に見せるようにして)
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御縁・榊 2021年9月9日
(目の前で、光の粒子が集まるように形を為して行く。まるで祈りにも似たその手の中に浮かび上がった花は、まだこんな事件が起きる前、常連客に誘われて共に登った高山の冷えた空気の中で見たそれと。自分の記憶の中の花と、とても良く似ていた。驚いたように見張られた瞳が、ぱちぱちと何度か瞬かれる。ふわりと、香りがした)
…………、……わ、すごい。え、すごいなコレ。びっくりして語彙飛んじゃった。うん、確かに良く似てる。香りは細部までこんな感じ、とは伝えられないけど……見た目は、うん、そっくり。
(わ、わ、と驚きにぽかんとしてしまった口を閉じて、相手の見せてくれた花に目を輝かせた。すごい。何だろうこの子。今の説明だけで、再現してみせた、のだろうか)
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ミアンダ・コギトエルゴスム 2021年9月9日
(間違いなく"本物"では無いが、"偽物"というほどまでに乖離した見た目ではないことを、店主様の反応から感じ取りほっと少し安心をしながら、)
ミアンダ・コギトエルゴスム。ミアの名前です。
ミアの力は、見聞きしたモノを再現したホログラムを投影し、それに魔力を籠めることにより、実物のように再現すること……。
今日この日、店主様にお見せいただいた情報を元に再現致しました。
まだ細かな見た目などの調整は必要でしょうが……これがあれば、他ディヴィジョンへ旅立つ人々に、目撃の証言なども聞きやすくなる……かも、致しません。
(ぺこりと自己紹介の挨拶と共に、彼に力を見せながらそう提案する)
(決してその手の中のモノは本物ではない、だが、そうだとして、ミアとして彼に手伝えることが無いかと思い、生み出したのがその"花"なのであった)
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御縁・榊 2021年9月9日
……あ、名乗ってなかったねぇ、俺も。御縁・榊と言うよ、この店の店主。
(はたりと気付いたように自己紹介しつつ、その視線は相手の見せてくれた花に向いている。久しぶりに実体を伴ったそれを見た気がして。でも、花の声は聴こえないから、本物ではないのだ。それでも、確かに其処に在る。あの説明から形を似せて来る理解力や想像力もさることながら、ホログラムを実体化、なんて、奇跡のような力だ)
……すごいな、君。俺は植物関係なら大体のコトは出来るつもりだけど、世界から失われてしまったものはどうにもならなくてさ。分かりやすい実体を伴ったサンプルがあるなら、確かに聞き込みは捗りそうだ。力、貸してくれるの?
(嬉しそうに笑う男は、逸そ無邪気だ。刻逆で失われた植物たちを取り戻したい。それが、この男の一番の望みだ)
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ミアンダ・コギトエルゴスム 2021年9月9日
(では、榊様と。と頷いて)
ミアはただ、存在するものを三次元という少し"近い"視点からみられるようにするだけのこと。
今この時のように、榊様の"情報"が無ければ到底この手にもすることは適わなかったことなのですよ。
"善い"情報提供主様には、ミアもそれなりの対価で礼をさせていただきたい、ただ、それだけなのですよ。
(と、彼に向けて両の拳を少し開きながら、手渡すように花を差し出して)
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御縁・榊 2021年9月10日
なるほど。……じゃあ、俺も君が対価を払いたくなる善い情報提供者になれるように、ちょっと手札を出しておこうかな。
(そっと花を受け取って、男は瞳を伏せるようにそっと微笑む。失ってしまったもの。消えてしまった植物たち。あまりにも膨大で目眩がしそうだ。でも、やれる限りのことはやっておきたい。手札、と告げながら、花を持たない方の手を相手に差し出す。途端。その手から、溢れるように花々が咲き乱れ咲き誇る。赤い小さな蔓薔薇、紫の菫、白いカサブランカ、オレンジのガーベラ、季節問わず、種類問わず、男の一部のように)
これ、俺の特技。
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ミアンダ・コギトエルゴスム 2021年9月10日
わ。
(手品のように飛び出す花々に少し呆気にとられたような声を出す。)
(無表情な顔が、少し驚いた色に染まった)
それが、きみの……榊様の、異能《チカラ》……。
(どれも文書から得られたものとしては"情報"が乏しい花、それらが一気に咲き誇る姿を見て、明らかに目を輝かせていた)
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御縁・榊 2021年9月10日
(木の幹のように捻れた茶肌の角にも、しゅるりと伸びた蔦が絡んで色彩鮮やかな凌霄花が咲く。手から生えた花々は、男がくるりと手を回すと根元で切り揃えられるように途切れ、小さな花束のように蔓薔薇で纏められて手の中へ。白に紫にオレンジ、これだと売り物にはならないな、なんて思考。あとで花を足し引きして色を調節してやった方が良いだろう)
こうなる前から所謂、緑の手、緑の耳ってのを持ってたからか、植物系のドラゴンと混ざったのが相性良くてねぇ。おかげさまで、植物に関してなら何でもござれ。
御縁・榊 2021年9月10日
(少し考えて、色合いバランス的に菫を抜いて、カサブランカにオレンジと淡いピンクのガーベラ、小さな黄色の向日葵を散らして、かすみ草で纏めよう。全てをぽんぽんと手から咲かせて行くと、下に給水用のスポンジを敷いた小さめの籠の中へスポンジが見えないように飾って生けて行く。花籠。自分が咲かせた花々は、適度に水をやれば普通の花よりずっと保つ)
はい、ミアンダへ。お土産にどうぞ。
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ミアンダ・コギトエルゴスム 2021年9月10日
……見事なお手際、緑の手……なるほど、更に興味が湧いてきました。
(お土産という花束を両手で受け取りながら、静かに頷く)
……また、来てもよろしいですか?
(夏と春を感じさせる、暖かで爽やかな様子の花束を胸に抱きながら、呟くように彼に問う)
(。)
御縁・榊 2021年9月10日
勿論、何時でもおいで。お店が休みの時以外は大体俺かアルバイトの子が店内に居るから。
(花籠を抱くさまは、大切にしてくれるようで、少し嬉しい。自分の身体から咲かせた花々は自然の花ではないから、話すことはない。首に掛けたままのゴツいヘッドフォンの出番は、今はない。何時でも、と笑って、お辞儀をして帰って行く少女の背を見送った)
御縁・榊 2021年9月10日
(相手が作り出してくれた稚児車の花を手近な売り物の一輪挿しにそっと活けて、さて、と男はエプロンの結びを締め直した。これから閉店準備だ、暗くなる前に花々を眠らせてやらないと)
(。)
御縁・榊 2021年9月10日
【〆】