【個別】宵の蜜。桜に満ちて。
十桜・ひとめ 2023年10月19日
「今度の満月の日。我の部屋に来てね?」
そう告げた、あの日から。
どれだけ経っただろうか。
#十桜・ひとめ
#三光・蜜味
1
十桜・ひとめ 2023年10月19日
………………素敵だわ。蜜味。
十桜・ひとめ 2023年10月19日
──────ええ、もちろん。
見せてあげる。
(そう言って、立ち上がり。蜜味の目の前へ)
十桜・ひとめ 2023年10月19日
──────────どうぞ。
(少しばかり胸を前へ差し出して)
(緩く留められたいくつかのボタンを、見せつけた)
(無効票)
三光・蜜味 2023年10月19日
……ンッ、ン。
(手指に神経が通っておらず、不器用なのが弱点だ)
(だから、ボタンを外す行為に、かなり手間取る)
(もっとも、体に触れないように、とは思っていないので)
(押し付けたり、擦ったり、必死にその鍵を外そうとするのだ)
三光・蜜味 2023年10月19日
(……ようやく、ボタンを外し終えた頃には、少し紅潮した顔で、成し遂げて)
…………
(じ、とその瞳を見つめながら、シャツを解くように)
(無効票)
十桜・ひとめ 2023年10月19日
んっ……そう…………焦らないで…………
(じれったさを感じるその姿に、愛おしさすらも覚えてしまう)
十桜・ひとめ 2023年10月19日
(やがて────)
(ぱさりと、シャツが床に落ちて)
(封の解かれたその先が、映る)
十桜・ひとめ 2023年10月19日
──────どうかしら、蜜味。
(惜しげもなく自らの体の魅力を曝け出す、シンプル寄りな真白い水着)
(首元や腰、足周りには、自らの肌を宝石として装飾するような細工が施されていた)
(無効票)
三光・蜜味 2023年10月19日
(なんで、ベッドで水着を?という疑問は、もうなかった)
(これが衆目にさらされれば、一目で人目を、惹いて奪うだろう)
三光・蜜味 2023年10月19日
(…………それが自分で良かった、と思う)
(ひとめに心奪われるのは、自分でいいのだ)
……ステキ、ダワ。
三光・蜜味 2023年10月19日
チョウコクデモ。
カイガデモ。
ドンナゲイジュツデモ、ヒトメヲ、ヒョウゲンスルコトハ、キットデキナイ。
イマ、メノマエニイル。
アナタヲ、ミナイト。
(無効票)
十桜・ひとめ 2023年10月19日
ふふっ……ありがとう。蜜味。
今は、あなただけのもの。
だから、一瞬でも見逃したらダメよ。
十桜・ひとめ 2023年10月19日
例えば──────────
(とん、と蜜味の肩を押して)
(その身に、天蓋の星空を見上げさせて)
十桜・ひとめ 2023年10月19日
こんなことになっても。
(その星空すらも埋め尽くす。覆い隠す。染め上げるように)
(蜜味に覆い被さるように、その瞳を見つめた)
(無効票)
三光・蜜味 2023年10月19日
(抵抗はしなかった、するつもりもなかった、こうなることはわかっていた、という素振りだった)
三光・蜜味 2023年10月19日
(代わりに)
(目だけは逸らさずに)
(ただ、蜂蜜色の視線をじっと向けて)
三光・蜜味 2023年10月19日
ワタシ。
タベラレチャウ?
(無効票)
十桜・ひとめ 2023年10月19日
(桜に染まった金の瞳と、星空に映る夜桜の瞳)
(両の瞳で、釘付けにするように)
(向けられた視線を離さない)
十桜・ひとめ 2023年10月19日
(瞳が、愉しそうに歪んで)
(お互いの肌を貼り付けるほどに、這うように身を寄せて)
(漏れる吐息すら、ありありと感じ取れるほどの)
(目と、鼻の先まで)
十桜・ひとめ 2023年10月19日
──────あなたは、どうしたい?
蜜味。
(無効票)
三光・蜜味 2023年10月19日
(じっと見る、じっと見る、じっと見る)
(踏み越えるのは簡単だ、少し顔を持ち上げればいい)
(それだけで――――――)
三光・蜜味 2023年10月19日
(それだけで)
、、、、、、、、、、
(求め続けることになる)
、、、、、、、、、、、、、、、
(欲する限り与えてもらえるだろう安寧と)
(心を満たす安心、その全てが手に入る)
三光・蜜味 2023年10月19日
(だからこそ――――――)
三光・蜜味 2023年10月19日
「――――貴女が欲するなら、ハニーは貴女のものになるわ?」
三光・蜜味 2023年10月19日
(きっとわたし達は)
(お互いが、「相手から自分を欲して欲しい」と思っている)
(だから、こうやって天蓋の下で、身体を、肌を触れ合わせながら、そこから先には進まない)
(無効票)
十桜・ひとめ 2023年10月19日
──────────そう。
(欲されたい、という願望は)
(お互いの胸の内。その深い深いところに根差すもの)
十桜・ひとめ 2023年10月20日
(欲されたい。求められたい)
(愛されたい)
(体のつくりも、肌の色も。こうして曝け出したとて、違うところばかりが映る中で)
(ただ、その心に秘めたものは)
(──────そっくりなほどに、よく似ている)
十桜・ひとめ 2023年10月20日
(けれども、この妖精のような少女は)
(兎にも角にも、“もどかしい”というものが嫌いであった)
(待たされる、焦らされる。そういった“己がしたいと願った時にその願いが叶えられないこと”が)
(何よりの苦痛だと、自身で理解している)
十桜・ひとめ 2023年10月20日
(──────だから、もう)
、、、
(いいか。と思った)
十桜・ひとめ 2023年10月20日
(己の欲に忠実に)
(我儘に欲す。傲慢に、驕傲に、不遜に)
(その貪欲さを、曝す)
(桜纏う絢爛な妖精とは程遠い。その小さな体に到底収まるはずもない、あまりにも大きな欲望)
(それが元来の、この少女の持つものである)
十桜・ひとめ 2023年10月20日
(得たいと思ったものを、己が手の中へ)
十桜・ひとめ 2023年10月20日
──────愛してるわ、蜜味。
(だから、)
十桜・ひとめ 2023年10月20日
我のものに、なってね。
(無効票)
三光・蜜味 2023年10月20日
(そう、だから今日の戯れはここで終わり)
(照れて、はにかんで、甘い言葉を交わして)
(また、羽根で触れ合うような距離感で――――)
三光・蜜味 2023年10月20日
ぁ――――――え。
(そうなると、思っていた)
(だから――――――)
三光・蜜味 2023年10月20日
(確かにしている恋がある)
(心奪われ、心満たされ、心狂うような恋を、確かに女王蜂はしている)
三光・蜜味 2023年10月20日
(嘘じゃない、誤魔化してもない、間違いなく、本心なのに――――)
(――――その言葉を告げられた瞬間は確かに)
(心の隙間という隙間を、感情という感情を、その色に塗りつぶされたのだ)
三光・蜜味 2023年10月20日
…………ずっとハニーを、離さない?
(無効票)
十桜・ひとめ 2023年10月20日
──────あら、まだそんなことを言うの?
(この期に及んで。なんてほくそ笑んで)
十桜・ひとめ 2023年10月20日
…………ねぇ、蜜味。
十桜・ひとめ 2023年10月20日
我にここまで言わせたんだから、覚悟してね。
(。)
三光・蜜味 2023年10月20日
(ドキドキする)
(ドキドキする)
(ドキドキする)
三光・蜜味 2023年10月20日
(唯一、間違いないことは)
三光・蜜味 2023年10月20日
(この少女は)
(ひとめは)
(自らの方針を、在り方を、振る舞いを)
三光・蜜味 2023年10月20日
(捻じ曲げてまで、この自分を欲し、求めてくれた)
(その事実が確かにある)
三光・蜜味 2023年10月20日
(だから、その返礼もまた、確かなものでなければならない)
三光・蜜味 2023年10月20日
じゃあ…………ハニーを。
全部。
三光・蜜味 2023年10月20日
あげるね。
三光・蜜味 2023年10月20日
(もうそばにある唇に、自分の顔を近づけた)
(手を回して、逃さないようにした)
(天蓋が覆う褥の上で、どこにも行かないようにした)
(この一瞬が永遠になるように、幻で終わらないように)
三光・蜜味 2023年10月20日
(きっと――――呼吸ができなくなるまで)
(ほしかった言葉をくれた貴女を、求め続ける)
(。)