Let's have a war
ゼキ・レヴニ 2023年5月5日
地下アリーナが瞬く間に荒れた戦場に塗り替わる。
煙で煤けた空、砲弾で抉れた地面、染み出す泥土。
仮初の戦場に千の戦列も万の鉄兜も無く、
銃砲と骸のかわりにモノクロの沈黙が横たわる。
草の上を這う血のような残り火と、
風になびく赤髪だけがやけに鮮やかだ。
――――――――――――
●お約束した方との模擬戦
●ルール等:
https://tw7.t-walker.jp/club/thread?thread_id=26479&mode=last50
1
ゼキ・レヴニ 2023年5月5日
(アリーナ内の空間書き換えが完了し、新宿内の残留効果が遮断される。再現されたのは、グランダルメとも機械化帝国ともつかぬ戦場だ。煙草を一本取り出し、地面に燃える草花から火を採って)
――ここなら武器使い放題ってヤツだ。
それにお前さんの元々の商売のフィールドでも、おれのホームグラウンドでもある。
悪くねえチョイスだろ?
(そう笑いかけた口から煙が漏れ、硝煙に紛れて溶ける。)
アリア・パーハーツ 2023年5月6日
(指定された地下アリーナに響きだすヒールの音。凡そ戦場には似合わない靴で訪れて、その景色に、空気に、懐かしさを覚えて眉根を潜める。真似るように残り火から火を貰って煙を燻らせれば幾分気分は落ち着いた)
うん、大好き。
(頷きながら表情とは裏腹な台詞で同意して、煙草の煙をすぱーと吐く)
いいねぇ、ここ。こんなリアルに変えられるんだねぇ。
何もかもリアルだ。やる気が出るのだぜ。
いやー…はは、懐かしい。クロノヴェーダとの戦場とはやっぱ違うね。
ゼキ・レヴニ 2023年5月8日
(彼女の装いも、纏う赤も、この戦場には鮮烈に過ぎた。炎。あるいは血のようだ、と男は思った)
(土埃に馴染む己と姿は遠くとも、今感じる煙草の味は同じだろう。彼女の表情を見ればそうわかる)
そうかい。実はおれもだよ。
(此処が好きだと。親しげに笑み、吐いた言葉の虚実は自分でもわからずに)
――だが、まァ。(ふっと煙を吐き、)
正直に言ってくれても良いんだぜ。
『悪趣味』、だってなァ。
懐かしい、かい。
お前さん、商売してた時に戦場に出てきた事があんのかい?
(気軽な口調、なんてことの無い質問)
(ばきり)
(男の得物たる金属塊が砕かれるその音が、『始めよう』の合図だった)
【先攻判定】
ゼキ・レヴニ 2023年5月8日
..
アリア・パーハーツ 2023年5月8日
(黒煙がくすぶる彼方を目を細めた眺めた。視線をゆるりと動かせば、大地の枯れた色合いに馴染むセピア色。金属の煌めきが眩しい。嗚呼、戦場を塗り付けたような色だな、と彼を見ながら思う。)
――…ん、ふふ、…ふふふ。そんなー折角用意してくれたのに。
(『悪趣味』と言われて一瞬だけ呆けたような瞳で瞬いた。けれどすぐに破顔して笑いながら首を横に振る。だが肯定も否定もしなかった。それが答えだ。)
うん? 勿論、あるよ。
自分の売る商品がどれだけの威力を持つのか、知りたいからね。
(台詞の割には軽やかな声音だった。なんてことのない、ただ素直な返答。)
(商人ならば自分の『商品』を知り尽くしていなければならない。どれだけの威力で、どれだけの破壊力で、どれだけ残酷なものか、)
それに、ボク様が売った武器が誰を殺すのか、見るべきだし。
(武器を握る。今日は馴染みの独鈷杵を担いでやって来た。鎖が地を這い重く鳴る。)
【先攻判定】
アリア・パーハーツ 2023年5月8日
【HP5】【攻撃】
(――そのまま走り出す。真っすぐに突っ込むように。巨大な武器の重さを、ヒールの高さを感じさせず、決して最速はいかないがあっという間に間合いを詰めて、)
……ダンスはお好き?ゼキさん。
(独鈷杵を振り被り、鎖が舞い、視界を遮る。背後に幾つもの魔法陣。無数の銃火器の銃口が男を狙う。刹那、耳を劈く爆音と共に銃弾が降り注ぐだろう。)
ゼキ・レヴニ 2023年5月11日
【HP5】【反撃】
(肯定でも否定でもない言葉に、ふ、と薄く笑った。互いの限界を引き出す負荷――その為に此処を選んだ己は、間違いなく悪趣味だ)
なるほどねえ。
(君の答えに軽く頷いてみせた。じり、と火先を焦がす口元は変わらず弧を描いていても、目元はもう笑っていない)
……まァ、死んだ奴にゃ武器は売れねえしな。
(そう吐くあいだに距離が詰まる。迫る赤を見据えながら腕を掲げ)
美女と踊んのは大好きだが――
(砕けた得物の金属片が渦巻きながら腕を駆け登り、掌の上で寄り集まり巨きな翼のかたちを成す)
(目前を過ぎった鎖の奥に、無数の銃口が此方を睨む。たとえ戦列を率いずとも、彼女は一個の軍隊なのだ)
これじゃビートが激し過ぎる、ぜ!
(鉄の翼が波打ち、空気を押し出す。蜂の巣になる前に地上から離脱しようと地面を蹴り)
ゼキ・レヴニ 2023年5月11日
(飛び立つ足を掠めた鉛の雨が地上を打つ。なつかしく忌まわしい轟音にじわりと汗が滲む。昂揚と恐怖がない混ぜになって戦意を煽る)
(滴る汗を袖で拭って)
もっとエレガントに行こうぜ、お嬢さん。
(翼を羽撃かせ、高く舞い上がりつつ距離を取ると)
エスコートはこうよ――「お手をどうぞ」ってなァ!
(風を切る豪速で地上へ滑空する。金属で形作られた鋭い翼で、独鈷杵持つ君の手をすれ違いざま斬りつけんと)
アリア・パーハーツ 2023年5月13日
【HP5→4】
(誘い出した銃に引き金はない。合図一つで弾丸が発射される、パラドクスは便利だなと思う。――鈍く光る金の破片たちが形を成し、巨大な翼に成ってゆくのを「嗚呼美しいな」と眺めてしまう。)
……ふ、はは、ダンスは楽しんでやるものでしょ!
(重く沈みそうな翼は存外に軽やかに羽ばたいて、あっという間に上空へと彼を逃がした。声が届く程度、しかし間合いからは広く離れた姿を眩し気に見上げながら叫んだ。一瞬の躊躇が、獲物を逃がしてしまった。)
(いくら模擬戦とはいえ、目移りは許されないのに。)
ッ、! 随分クールなエスコートだ!
(土煙と硝煙をウザったく薙ぎ払うが、眼前の翼を防ぐ術はない。後方へ距離を取るが手には深い赤い傷跡。乱雑に服で拭って独鈷杵を握りしめながら視線を彼に向けて。もう目をそらさないように。)
ゼキ・レヴニ 2023年5月16日
【HP5】【攻撃】
(翼が肉を裂く。唸る風に浮いた返り血が雨粒のように頬を撫ぜ、古傷の上に細い朱線を描く)
(鉄の踵で深く地面を削って着地の勢いを殺し、素早く体を翻せば、紫の双眸は確りと此方を見据えていて)
別嬪さんにゃこんぐらいのもてなしをしなきゃだろ?
(翼がばらばらと解け、また寄り集まって右手を覆い、五指に伸びる鋭い爪を形作る。腰を低く落とし、出力を脚に集中させ)
――そんじゃ、ブっ倒れるまで楽しもうぜ、アリア。
お前さんの武器のカタログを端から端まで見尽くすぐらいよ。
(逃げ場のないエネルギーが蒸気となって脚から噴き出す。直後、解放したエネルギーが膝の機構に伝わり、弾丸のように男を前へと運んだ。一歩、二歩で距離を詰め)
(低い位置から毒蛇が跳び上がるごとく、爪で逆袈裟に斬り上げる!)
アリア・パーハーツ 2023年5月18日
【HP4】【反撃】
(鉄錆の匂い。焼けるような、凍えるような痛み。高揚する鼓動。思いきり吸い込んで、胸を張る。そうしなければ立っていられない。楽しくて、苦しくて、にやけてしまう口角を少しでも誤魔化す様に、――けれど抑えきれず笑ってしまう。)
……ふふ、はは、そうだね、最高のおもてなしだと思う!
(血が流れようと、腕が捥げようと、脚が折れようと。臓腑さえ焼け付こうと。大敗しようが明日はあるこの戦い。楽しまなくては損なのだ。だから彼の言葉に頷いて、)
見尽くすだなんて、――石ころだって売るのが武器商人。
だから…死ぬまで付き合ってね。
(蒸気と土煙を纏った巨躯が軽やかに距離を詰めてくる。瞬く頃には鋭い切っ先が命を削りに来ていた。視線で追うより先に、引き寄せた独鈷杵の鎖で腕ごと絡め取るように金属を鳴らして、)
アリア・パーハーツ 2023年5月18日
(金属が鬩ぎ合う耳障りな音が響く。彼の腕が人の身であったのならば、無事ではなかったかもしれない。彼の爪は確かに届いた。――だが切り裂いたのは肉ではない、懐の布だ。零れ落ちる幾つかの小さな手榴弾。)
(にこりと微笑む。ピンはすでに抜かれていた。)
(爆音は、)
(静かに弾は破裂した。手を叩く程度の小さな音は戦場では聞こえないかもしれない。土煙に混じって広がる紫の煙。甘い毒の香りは金属の身にも届くだろうか。)
ゼキ・レヴニ 2023年5月19日
【HP5→4】
石ころまで売り尽くして、
(ぎゃり、と鎖が腕を絡める)
草の根一本まで焼き尽くして、
(それでも力づくで振り上げた鉄爪の先に)
あとには何も残らねえって訳だ。
(――望んだ手応えはなく)
――!
(足元に手榴弾が転がる。腕を捕われたままでは回避は間に合わず、投げ返そうと手を伸ばした瞬間――悪魔が指を鳴らすような、ごく小さな音が耳朶に届く)
ッ……まず……
(注がれた毒の煙が漂うようすは葡萄酒の様に優美で、しかしかの塹壕戦を悲惨たらしめた兵器によく似ていた。甘美な死の香りが否応なく目鼻に侵入し)
お前、さん……そんな、モン、まで………ごふッ、
(ぼだぼだと血混じりの胃液を吐く。呼吸をするごとに、爛れはじめた臓腑が灼け付くように痛む)
(兎に角この場に留まっては不味い。己を留める鎖が解けないのなら千切るまで。ついでに君を毒の域に引き入れようと渾身の力で鎖を引き)
アリア・パーハーツ 2023年5月21日
【HP4】【攻撃】
そう、……戦争は全てを奪い尽くしてゆくものだからね。
(頷く。売りさばいた武器で多くの人が倒れ、土地が根こそぎ焦土と化し、地獄のような絵図となっても、――それは仕方のない事だと言い聞かせて。)
(そしてまた武器を売るのだ。それが一番、金になったから。)
(ぐい、と引き込まれた鎖。広がる毒の煙が漂い、霧散するまでの僅かの間、彼の力に従ってその場に佇む。すう、と空気を取り込むがせき込む様子はない。――喉が動く。奥歯に仕込んだ解毒剤が苦くて眉間に皴が寄った。)
機械の人にも効くんだね。ふむ。
(冷静な眼で彼を眺めて、滴る血を僅かに視線で追って、独り言のようにつぶやいた。普段よりも幾分低い声音。――まるで感情のない瞳は、瞬きと共に苦笑に移り、)
アリア・パーハーツ 2023年5月21日
……ふふ、ごめんね。苦しいよね。知ってる、これチクチクして痛いんだ。
(毒は身を蝕み、継続的に意識を削ぐだろうが、戦場に慣れた彼ならば取り繕う事は出来るだろう。だから素早く次の一手を打つ。毒に慣れてしまう前に。)
後で解毒剤あげるから。
(だからごめんね、と告げつつ身を低くして懐に潜り込み、身を捻り、勢いのまま蹴り上げるように足を振り上げた。足を鞭のように使い、打撃と思わせ、ヒールの切っ先が貫くように眼前に迫る。)
ゼキ・レヴニ 2023年5月24日
【HP4】【反撃】
(確かに毒が滞留する位置に引き込んだ、筈の君に変化は無く。解毒剤でも仕込んでやがったか、と。目眩に途切れかける思考の狭間に推測する)
ごほッ、効く、どころか……、
(―― 一番の弱点だ)
(引き寄せた分間近に迫った紫の瞳が一瞬、別人の様に冷たい光を宿していて、寒気がぞくりと背筋を駆け上った。それは、まるで)
実験動物、に、なんのは……、御免だぜ。薬なら自前のが、ッ!
(脊椎の外骨格から1本目の鎮痛剤を注入する。死線の位置を曖昧にする即効性の劇薬だ)
(ぐい、と強引に世界に引き戻される感覚。少なくともこれで息はできる)
あるからよ、
(開いた瞳孔で、焦点の合った目で、懐に迫る赤い軌跡をなぞる)
(疾い。防御は間に合うか)
(肘を曲げた腕で蹴撃をガードしようとしながら、反対の手は腰の山刀に伸ばし)
ゼキ・レヴニ 2023年5月24日
【HP4→3】【攻撃】
(靭やかな足が鉄の腕を強烈に打ち据える。勢いを殺す事ぐらいは叶った筈だった――これがただの打撃だったのなら。)
――!!
(狙いに気付き上半身を反らしたが遅かった。ヒールが火花を散らして腕を押し退け、下から上へ芸術的な弧を描く。細く鋭いそれが、頬と左目を一直線に斬り裂いて)
クソ……前に言った事が現実になっちまった、
(水煙草を共に嗜んだ日の何気ない冗談。半分が赤く濁った視界の中で軽口を叩く余裕があるのは、確かに鎮痛剤が効いている証拠だった)
なァアリア、
(君が蹴り上げた不安定な姿勢の今なら崩せるかと、無理やり鎖を引きながら後ろへ飛び退いて間合いを取り)
こいつはちょっとした興味だがよ……
(柄に複雑な模様が彫られた抜身の山刀を構える)
お前さん、んなモンを売ってまで金が必要だったのかい。
(横薙ぎに振るった刃から放たれた斬撃は風を纏い、地に滞留した毒煙を散らしながら君の首を狙う)
アリア・パーハーツ 2023年5月30日
【HP4】【反撃】
(鮮血が舞う。鋼ではない柔らかな皮膚の感触。謝罪はない。だってそうだ、今は戦いの場なのだから。)
ふふ、そう。大きな武器だけ警戒しちゃダメなのだぜ。
(今日のヒールには毒を仕込んでないけれど、嗚呼、彼は覚えていたんだ、と笑う。蹴り上げた姿勢のままヒールの切っ先を見せるように緩やかに動きながら、続く彼の言葉を聞いて、)
(互いの距離が広がる。足を降ろしながら追撃を考えて視線を向け)
(格好いい模様だ、とどうしても武器に視線が行ってしまう。自作かな、後で聞こう、と思いながら)
(整わない姿勢のまま斬撃を迎え撃つ。いくらヒールを研いでも防げるものではない、避けるには素早く、眼前に迫る実体のない、然し避けねば首はお別れする風の襲撃への対策を模索し、――風には風を、今度は爆発する手榴弾で迎え撃つ)
アリア・パーハーツ 2023年5月30日
(アイテムポケットを利用した、四次元の収納術。手探りで見つけた手榴弾をピンさえ抜く手間を惜しんで放る。斬撃に触れた瞬間、爆音が劈き互いを巻き込んで大地さえ削るだろう。)
(鼓膜が痺れてうまく状況が拾えない。さすがに近距離過ぎた。――爆風に乗って距離を取ってみたものの、手榴弾と一緒に撒菱もばら撒いたせいで、上着が穴だらけだ。)
(独鈷杵を地面に突き立て、新しい武器を何にしようか探りながら、晴れゆく煙の向こう、彼を見据える。)
(「金が必要だったのか」)
勿論。だって自由になりたかった。死にたくなくて、名前も、家も棄てて、体だって売って、……金があれば、どこへでも逃げられた……!
金さえあれば、誰にも文句を言わせず、自分の好きな道を生きられたんだから。
ゼキ・レヴニ 2023年6月3日
【HP3→2】
(――なんて反応速度だ)
(口を開ける暇があれば、君の咄嗟の機転を称賛していた事だろう)
(だが全ては一瞬の出来事。目の前で閃光が弾け、遅れて空気が爆ぜる。腕を盾がわりに頭は守ったものの、弾丸の如く飛び散る小石や撒菱が生身の胴体に容赦なく突き刺さり)
……ッ、……
(荒い息。軍服めいたつなぎが血に染まっていく。爆風が齎した高い高い耳鳴りと低く早い鼓動が滅茶苦茶な鐘のように頭蓋を叩く。だが厚い砂埃も耳鳴りも突き抜けて、その悲痛な言葉は確かに男の耳に届いた)
……、自由……、自由か。
そうだな、そいつは何にも代えがたいモンだ。
(爆発の衝撃で緩んだらしい鎖はいつの間にか外れていた。縛られぬ掌に得物の触媒たるコインを握りしめれば、金属片が次の攻撃に対抗し得るかたちを求めて蠢き)
お前さんとは対岸同士だと思ってたが……案外そうでもねえらしい。
(声音に乗った僅かな温度は、或いは親しみとも呼べたろう)
アリア・パーハーツ 2023年6月4日
【HP4】【攻撃】
(服の上から幾つか探る。残りの手札。常に把握していなければ、いざという時の切り札にさえならない。――手榴弾は使いすぎてるな、と軽くなるポケットを探った。)
(苦し気な声音に混じる、普段の彼の雰囲気に顔をあげた。見据えた先には傷つき――いやまぁ自分が攻撃しまくっているからなのだが、――けれど戦場に強くたつ彼の姿。)
……ふふ、そう?
ボク様はゼキさんのこと好きだよ。
(酒を飲みかわした時、同じく相容れない場所に立っているんだと思っていた。武器商人と軍人の関係は仲間であり協力者であり、決して手を取り合えない敵同士。)
ゼキさんも自由の為に戦った?
(にっ、と笑って武器を抜く。長い魔法の杖。形は錫杖で、虹色の円環がしゃらりと鳴った。)
『alba』
(杖を振るう奇跡に金の筋が混じる。何かの文字を成し、集約し、矢を番うように彼へ照準を定め、一筋の雷撃の如き黄金の槍が放たれる。)
アリア・パーハーツ 2023年6月4日
(UUUUEEEE)
ゼキ・レヴニ 2023年6月6日
【HP2】【反撃】
ふ、は、は。……余裕だねえ。
(ボロ雑巾な己に対し、君にはまだ大きな傷もない。肩で息をつきながら、まだ見える片目をやわらかく眇め)
――おれもさ。だからこそ不思議だった……武器商人ってやつが、どうして人の情ってのを持って、どうして……血の通ったあったけえ笑顔で、弱者に手を差し伸べられるのかって事がよ。
だから、ちょいとその影を引きずり出して確かめてみようと思ったのさ。
(その方法が、この悪趣味な空間だ。血で湿気た煙草を喰み直して、すまなそうに笑む)
……ああ。(問いに首肯し)
自由のために戦って、逃げて、金を手に入れようとして――
(目で杖の軌跡をなぞり、君の武器カタログには魔法の頁さえあると知り舌を巻く。輝く文字が形を結ぶ前に先制を仕掛けようと金属片で織り成したのは、戦車をも穿つ長銃――対物ライフルだ。本来伏射で扱われるそれを機械腕で軽々と御し、構え、狙い、)
ゼキ・レヴニ 2023年6月6日
【HP2→1】
(――撃つ)
(耳を劈く炸裂音。放たれた弾丸が黄金の槍の穂先と宙で衝突し、朝日が爆発したような激しい閃光に呑まれる。光と音が届くよりも早く、槍が男の胸を貫いた)
ぁ、……ぐッ……!
(弾丸が軌道を逸らし心の臓からは数ミリずれたか、しかし傷口から噴き出す血の量に直感が告げる――『次は無い』、と。)
ゼキ・レヴニ 2023年6月7日
【攻撃】
(よろめきながら2本目の鎮痛剤を注入。どくどくと響いていた鼓膜が急激に凪ぐ。視界が澄む。まだ死線は踏んでいない、まだ動ける……否、動かせる)
――、
(閃光の余韻のなかに男の姿が消える。光学迷彩を起動したのだ)
そんで、
(次に声がしたのは君の背後。踏み付け跳ね返る泥土が、滴る血潮が、鉄片で編んだ旗槍を握る男の輪郭を露わにした)
(波打つ旗で君の視界を塞ぐように振るい、穂先の狙う先を隠し)
必死で足掻いた――生きるために、ッ!!
(踏み込みが深く地を穿ち、穂先が風を切り唸る。渾身の突きはまっすぐに胴を狙って)
アリア・パーハーツ 2023年6月13日
【HP4】【反撃】
ふふ。
(「余裕だねぇ」、――そりゃそうだ。そう見せるのは慣れている。苦痛も屈辱も敗北の気配も、何もかも飲み込んで、微笑む事は呼吸と同じように身に沁みついている。)
酷い人。
(そんな腹の底のどす黒い影を引き出そうなんて。嫌な気分はしないけれど、だって彼は意地悪をしているわけじゃないのだし。でも、ただそう思って呟いた。)
……だって、ボク様だって「誰か」に助けてもらった。ならそれを繰り返したほうがいいかなって。
(あの人は毒を売る人だったけど、でもその手は確かに暖かかったのを忘れない。)
(彼が頷いた。そうか、彼も同じように足掻いたのか。似てる所があるのかな、と勝手に親近感を抱く。)
(瞬く間に金属片が武器と化す。嗚呼、羨ましい力だ。良い品。売れるかな、だめか、彼の一部か。……ならば、壊そう。)
アリア・パーハーツ 2023年6月13日
(肉を貫く感触はあったが手ごたえは薄い。弾丸の威力はすさまじく手が痺れる。雷鳴のように轟いた衝撃音。――霧散した槍の向こう、晴れた戦場に彼の姿はなかった。)
そう、死んだら負けだもんね
、……?、…!
(鼓膜を震わす怒号は存外近くから響いた。間合いに踏み込み容赦のない一突きを見舞う彼の切っ先が迫る。思考が巡るより先に懐から引き抜くサバイバルナイフ。耳障りな金属音と共に刃同士が拮抗し、)
アリア・パーハーツ 2023年6月13日
(穂先の行く末はずれ、だが胴を貫く。然し重要な臓器からは外し血は吹き出すが踏み込んで耐える。間近な彼の喉元を裂こうとして、仲間の首を狙うのはちょっと、と脳裏で冷静に考えて、――ナイフの柄を握った拳で顎を狙ってつきあげた。)
ゼキ・レヴニ 2023年6月17日
(逸らされつつも手応えを返した旗槍を押し込もうとした瞬間、ぎらりと喉元に光った刃に覚悟を決める。しかしつめたい刃は差し込まれる事無く――やはり彼女は、ただ『奪う』だけの死の商人ではないのだ、と)
――ッ、
(ナイフの柄が顎から脳天を揺るがし、膝が崩れる。束の間途切れた意識をきっかけに、無理矢理動かしていた体が限界を迎え、ついには地に倒れ伏した)
(ぼとぼとと崩れ落ちる旗槍の残骸の雨は、未だ燻る残り火を消せはしない。泥に顔を擦り、往生際悪く足掻こうとするも無駄に終わり)
………、…、っは……は、げほっ、…動けねえや。
(消耗し、掠れた声音はそれでもどこか清々しく)
――酷え奴には罰が……当たるってこったね。
(唯一動かせたのは、冗句めいて持ち上げた片頬だけだった)
【HP1→0】【敗北】
ゼキ・レヴニ 2023年6月17日
(――『試合終了。空間シミュレーションを解除します』)
(天井から機械音声のアナウンスが降れば、仮初の戦場もかき消え、コンクリートに囲まれた殺風景な地下空間の景色が戻ってくる。硝煙の匂いも服についた泥土も跡形もなく、君の足元と倒れ伏す男のまわりの血溜まりだけが、戦闘の激しさを物語っていた)
アリア・パーハーツ 2023年6月25日
……ふふ、正義は勝つって?
(拳に沁みる感触。重い音を立てて地に伏した彼を視線で追い、試合終了のアナウンスを聞いて初めて力を抜く。別に此処に正義も悪もない、ただ一勝一敗、それだけだ。勝てど褒美はなく、負けても失うものもない。)
(武器を手放せば地に重く落ちるはずだった。――気付けば無機質な部屋に早変わり。疲労と流れ出た鉄錆が戦場の名残を思い起こさせる。)
……はぁ、つかれたー!
(もう気を張る必要はない。崩れるように腰を下ろしながら彼に視線を向けて、)
はは、たのしかった。ね。ふふ、ボク様の勝ちぃー。
ゼキ・レヴニ 2023年7月2日
(復讐者は10分安静にすれば大抵の怪我は治る生き物だ。少し息を整えれば、ごろりと仰向けに寝返るぐらいの元気は戻っていて)おれの負けェ。(君の口調を真似て、天井に向かって大人気なく口を尖らせる。)
ふ、はは。そうな、楽しかったぜ。おれボッコボコだけど。(武器カタログを全頁見てやるなんてデカい口を叩いたのは誰だったっけ。思い返せば寝転んだままくつくつと肩を揺らし)
しかし……いやあ、やっぱ強えや、お前さん。(感慨深そうに呟かれた『強い』には、この戦いのなかで何重にも意味が重ねられていた)――思ってた通り、よ。
――んで、勝ったら一杯奢るとか言ったっけ?(仰向けのままもそもそと新しい煙草を出しながら軽口を叩く。要はお疲れの一杯を飲りたいだけだ)
アリア・パーハーツ 2023年7月10日
ん、少し元気になったね。
(ぐるぐる腕を回す。軋む感覚はあっという間に減っていく。見れば彼の笑顔もだいぶ無理矢理感が減って、少しだけほっと胸をなでおろす。)
楽しかった! またやりたい。
…ふふ、ゼキさんが強いからボク様も必死。……さすが、戦場を知る人。
(微笑んで頷く。互いに地獄を生き抜いた、異郷の同胞。腕っぷしだけではない、きっと『戦場』を知る人だけが分かる感覚を、久しぶりに味わった。きっとそれは彼との模擬戦だからだ。)
この前はボク様だったし、ちょうどいいのだぜ。
(ぐっと拳を握って大きく頷いた。もう先程迄の剣吞な雰囲気はなく、心から楽しそうな笑みに早変わり。だって、そう、自分も飲みたいだけだもの。)
あ、そうそう。
(思いだして懐を漁る。――暫くして取り出した小瓶。どす黒い緑色だ。多分言っちゃいけないけど溝の色に似ている。)
まずは何よりこれを飲むが良い。
(そしてそれを躊躇なく彼に差し出した。)
ゼキ・レヴニ 2023年7月12日
おっと、リベンジの機会をくれるってかい? 次は絶対勝つからなァ。
(寝煙草の格好で煙草に火をつける。紫煙を吐き出せば、傷口の熱まで抜けていくような心地で)
そいつはお互いサマ。(そう応える声には、同郷の戦友へ向けるような親しみが込められていた)……戦場は知ってても、ヒールでの蹴られ心地は今日まで知らなかったぜ。まだまだ勉強する事が一杯!
(飲みに行くのが決定したおかげですっかり調子づきながら、のそりと上半身を起こす。受け取った小瓶をしげしげと眺め)
すげえ色してっけど。……エナジードリンク的なヤツ?(まァ、彼女の様子から言って悪いもんではなさそうだ。瓶の蓋を開け、一気に喉に流し込む)
アリア・パーハーツ 2023年7月16日
ん?ふふ、まさか。
次もボク様が勝って「どやぁ」ってしてやるのだぜ。
(揺れて登ってゆく紫煙をぺしぺし手で払う。別に臭いとか煙いではない。彼の顔にかけてやろうと風を送るのだ。)
あはは、でも実はヒールは新宿島デビューなのよ。グランダルメにこんなキレイで丈夫なものはなかったからね。……あはは、貴重な体験ってわけだ?
(太めのヒールはあったけれど、ここまでではない。決してなかったわけではないが、今ほど選べるわけでもなく、野暮ったいシンプルなものも多かったから、ついつい今はヒールばかり慣れるために履いてしまう。)
…わあ、
(自分が飲めと言ったのだが、まさか疑わずに飲み干されるとは思わず、――数秒ばかり呆けてみてしまった。)
…ああ、ええと、解毒剤。一応。ゼキさん自分で治してたけど…念のため。
(毒なんて普段は盛らないけれど、まさか、といまだに瞬きながらそう告げて。)
ゼキ・レヴニ 2023年7月18日
おおっ? 言うねェ。次までに鍛えて、どや顔阻止せにゃ。
(悪戯娘に払われた煙が目に入り、しぱしぱと瞬く目をヒールに向けて)
新宿島デビューとは意外。生まれた時から履いてるって言われても違和感ねえぐらいなのによ。
(呆けられていたとは露知らず。なぜならギュッと顔を顰め、解毒剤の味の余韻を堪え……味わっていたからだ)
〜〜ッ……効くゥ。こりゃあ毒も退散するわな……。
(言い遺すと、大袈裟な動きでまたバタリと大の字に倒れたが――解毒剤の効果は覿面で、暫く経てば残っていた内臓の痛みも嘘のように治まった)
(軽くなった体を起こして立ち上がり、思い出したように衣服の汚れを残留効果で落として)
――よおし。そんじゃ飲み勝負で第二ラウンドといこうかね!
(アリーナの出口に向かいながら、うまい店知ってんだ、と屈託のない笑顔で手招きする)
ゼキ・レヴニ 2023年7月18日
(それぞれ時代も場所も異なる血腥い戦場から辿り着いた今。たとえ此処で得た自由が仮初だったとしても、今日一日の自由を――生き延びた今を、ともに楽しもうじゃないか)
【了/お付き合いに感謝を】