アパート◯◯202室

【日記】2023.4.21 大学の思い出

リオーネ・クア 2023年4月21日
 俺は世田谷区内の大学に通っていた。
 学部は農学部、知っている人は知っている、東京の真ん中で農学を学べる大学だ。
 でも俺は、特に明確な目標を持ってこの大学に進んだわけではない。
 家から近いから。
 それが一番の理由だった。
 そして理科、特に生物学が好きだったから、好きなものを学べたら嬉しいな。
 たったそれだけの志望動機。

 ディアボロスとして戦っている時間が長く、大学に通う時間はほとんどなかった。
 けれどたまに大学に行けば、興味深い授業を受けることができたし、この学校には農業の後継者達もたくさん入学してきていて、都会育ちの俺が体験したことのない世界のこともたくさん教えてくれた。
 戦いがなければもっと学べるのに。そう思ったこともたくさんある。
 志望動機は薄かったけど、俺は学校が好きになった。

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 彩葉と天正の世界で農業のお手伝いをしてきた。
 依頼内容を聞いて、図書館に潜りこんで一夜漬けで当時の農業を学び、なんとか役に立つことができたと思う。
 ああ、大学があれば、もっとたくさん知識を持って行けただろうにと思いながら、関係のありそうな書物を必死になって探して、学んだ。
 彩葉のように自分のできることを探して手伝う力は立派だと思う。それでも、俺はちょっと背伸びをして、学んだ学校での経験が無駄ではないと思いたかったのではないか。仕事を終えてそんなことを思った。




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