【1:1】アテーナーの信女とヘカテーの魔女 第1歌
エイレーネ・エピケフィシア 2023年4月3日
ジェネラル級亜人『銀将軍テウタモス』との復讐者の交戦が繰り広げられる最中のこと。
最初にかの将と直面し、痛烈な一撃を受けた女神官エイレーネは、仲間たちより一足先に新宿島に戻っていた。
傷ついた身体を病室に横たえ、一人痛みに堪える彼女の元にやってきたのは──。
【お相手:クロエ・アルニティコス】
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エイレーネ・エピケフィシア 2023年4月4日
ああ、すみま……(こほっ)せん……。
少し楽にさせていただきます。
(呻きに加え、軽く咳き込んでごまかしが効かないと観念したのか、大人しくベッドに身を預ける。「自分の痛みならまだしも、あなたの痛みなら」という意識も働いたに違いない)
エイレーネ・エピケフィシア 2023年4月4日
むう。思えばあの時から、血気に逸る悪癖を見抜かれていましたね。
ですが……わたしもクロエ様のお優しい心根に気付いていたので、この勝負は互角といったところでしょうか。
(人々への想いと亜人への怒りで心ここにあらずとなっていた時に、クロエが道を正してくれた。なんとも気恥ずかしい思い出だ。──その羞恥心を褒め殺しで分け与えてやろうなんて、珍しく子供じみたことを考えて、むっと唇をすぼめる)
……だ、ダメ、なはずがありません。
心細い時にクロエ様が隣にいて下さることが嬉しいんです。
でも、だから、むざむざ逃げ帰ってきたわたしにこんな幸せが相応しいのかと考えてしまって……。
……いえ、これ以上はわたしを買って下さるクロエ様に悪いですね。
(ふんふんとかぶりを振って、纏わりつく重苦しい自責を振り落とす)
折角、といえば可笑しな話ですが……常々クロエ様とじっくり話す機会が欲しかったのです。
今日をその日にしてもよいですか?
(無効票)
クロエ・アルニティコス 2023年4月4日
や、優しくはありません。私は魔女ですから。なので私の勝ちです。
(白い頬が朱に染まり、目を逸らして照れ隠しの勝利宣言。意趣返しの意味も含まれているのだろうが、それが本心であることも分かっている。まっすぐな言葉で褒める彼女の言葉は何とも照れるものだ)
ありがとうございます。良かった……
そんな、幸せなど……私も、同じ気持ちではありますが。
(安堵の溜息、そして自分が隣にいることが幸せだと、そう言って貰えることへのくすぐったさ……だが、自分も同じ気持ちなので否定はできない)
勿論です。エイレーネ。
新宿島に流れ着いてからは同じ時間を過ごすことも多くありましたが、それ以前のことなど、話す機会もありませんでした。
偶には、ゆっくりと……お話をしましょう。
(無効票)
エイレーネ・エピケフィシア 2023年4月5日
あら、では非情な魔女様は何をしに怪我人の寝床を訪ねたのでしょう。
ばらばらに切り刻んで、鍋でぐつぐつと煮込むため?
それとも魔術の力を使って、哀れな豚にでも変えるおつもりですか?
(冗談だと分かるように芝居がかった声色を作って、メーデイアやキルケーと言った名高い魔女の所業を引き合いに出す。優しくない人間が今ここにいるわけがないと、逆説で示すように)
深手を負った時、真っ先に駆けつけてくれる友がいる──これ以上の幸せなど、わたしには望むべくもありません。
熱を帯びた傷跡が見せる夢なのではないかと、まだ少し疑っているほどです。
(ウェアキャットでありながら人々を護るために戦う半生は、必然的に見えない孤独の壁と隣り合わせだった。寄り添ってくれる友を称える大仰な言葉は、その実何一つ誇張ではない)
ありがとうございます。
そう言えば、クロエ様が故郷について語られることは、今まで一度もなかったですよね……。
(無効票)
クロエ・アルニティコス 2023年4月5日
ふん、魔女は利己的なものですから。
己の欲望のためならば、人を豚にだろうと啄木鳥にだろうと怪物にだろうと変えますよ。
もしかしたら今も、何かを企んでいるのかも……ふふっ。
(つんとそっぽを向き、こちらも冗談めかしてキルケーの所業になぞらえる。こうして冗談を言い合える関係が、時間が心地よく、思わず笑みがこぼれる)
……夢ではありません。ありませんよ、エイレーネ。
(そうだ、自分は過去の彼女を知らない。常に堂々と振る舞い、眩しく見えた彼女だが――イスカンダルで、人がウェアキャットの街で生きることができないように、ウェアキャットが人の街で生きることもまた困難なはずなのだ。果たして聞いてもいいものか、僅かに逡巡したところで)
クロエ・アルニティコス 2023年4月5日
私の故郷、ですか?
(先に尋ねられた)
そういえば、話したことはありませんでしたね。
とはいえ、そう面白いこともありませんよ。
亜人より隠れ、逃げ惑う民が私の親でした。
故郷とするなら口減らしに棄てられた後、定住した土地がそうなります。
……とはいえ、アテナイより北にある、程度のことしか分かっていませんが。
(なんでもないことのように淡々と語る。事実、亜人が蹂躙する改竄世界史において、捨てられて生きてこられたのは稀だろうが、捨てられることはとりわけ悲惨な境遇ではないと思っている)
(無効票)
エイレーネ・エピケフィシア 2023年4月5日
ああ、それでは……わたしにもう逃げ場はありませんね。
アテーナー様の信任厚かりし、オデュッセウス様のような智者ではないですもの。
(「推し」の英雄との落差を認めて苦笑する。死海の大灯台潜入作戦の時も、贈り物を偽っての潜入に内心「トロイアの木馬!」と興奮して──結果、周辺地域のウェアキャット達に【士気高揚】をかけて裏切りを防ぐ策を見過ごすポカをやらかしていた)
エイレーネ・エピケフィシア 2023年4月5日
……ふむ。
わたしの時代も……小規模なポリスは少なからぬ数が既に滅び去り、住人が離散していました。
歴史の改竄の進みには差があるかもしれませんが、状況は近そうですね。
(アテナイより北、と聞いて真っ先に連想したのはボイオーティア地方のテーバイだが、ああいう頑健な大都市とは違うようだ。斜陽とはいえ、それでもギリシア有数の強国に根付けたのは幸運だと身につまされる)
奇遇といいましょうか……わたしも捨て子です。血の繋がった親は知りません。
子供が生まれないことに悩んだ育ての父は、神託所を頼ったところ「これから市外に出て、最初に見つけた捨て子を拾え」と命じられたようでして。
そのすぐあとに見つかり、神託を盾に人間の街で生きることを許されたのが、わたしでした。
(重々しく語る。神々の差配はしばしば不可解で、今日の理性では正気を疑うようなものだ。それでもエイレーネの人生は、神の意志なくして始まらなかった)
(無効票)
クロエ・アルニティコス 2023年4月5日
そうですね。私が育ったのも、その離散した住人たちが集まってできた集落でした……こんな時に、新宿島のように西暦で答えられると楽なのですが。
(あるいは自分が集落に閉じこもることなく、他の復讐者とともに亜人と戦う道を選んでいれば、何か共通の出来事を話題に出せたのかもしれないと少し後悔する)
そう、だったんですか。
アテナイの神官となったことも含め、まるで導かれたかのようですね。
……英雄の生まれ、というものはそういうものだと思っています。
(やはりというか、ポリスでの暮らしも楽ではないのだろう。だが、それでも誰かを守ろうと戦う彼女は、とても眩しい)
クロエ・アルニティコス 2023年4月5日
……ちなみに、なんですが。
両親のことを知りたいと思ったことは?
(努めて何でもないことのように聞いたが、一瞬無意識に彼女のウェアキャットの証である耳へと目がいく。彼女も知っているはずだ。ウェアキャットの子が生まれる親の組み合わせは3通り。ウェアキャット同士の子。ウェアキャットと人間の子。そして――人間と、亜人の子)
(無効票)
エイレーネ・エピケフィシア 2023年4月5日
統一された暦があるというのは話が早くてよいことです。
生年月日はオリュンピア紀元で換算できなくはありませんし、わたしは新宿島の戸籍を登録する時にそうしましたが……避難集落の生活では、そんなことは気に留められないでしょう。
(過去も未来もなく、ただ今日を生きるほかない苦境の人々を想って、祈るように瞼を閉じた。新宿島の仲間と共に幾つもの集落を救ってきたが、氷山の一角。今のところ終わりは全く見えない)
いえ、英雄などでは……輝かしい物語などありませんもの。
ただ人々のため神々のため、ひたすらに戦い続けているだけです。
……わたしが勤めていた神殿では、市内の女性から抽選で神官が選ばれていました。
祭祀に長じた血族が代々管理する神殿がしばしば見られる一方で、民主主義の観点と純粋な神意を測る願いから、こういう制度を取る所もあるわけです。
神慮によって生き永らえ、見出されたこの身には、責務が伴います。
エイレーネ・エピケフィシア 2023年4月5日
(忘れもしない。ウェアキャットに『亜人の生まれ損ない』がいると突き止めたのは自分だ。視線の意図を汲んで、悪い気にさせないように微笑もうとする)
ええと、全く知りたくないと言えば嘘になりますが……。
正直に申し上げれば、恐れもあります。
せめて「ただの捨て子」であってほしい、ですね。
(万が一、この身を流れている血の半分が亜人のものだとしたら──彼らを何よりも憎む戦友に、どんな目を向けられるのだろうか。そう考えてしまうと、笑みはぎこちなく引きつる)
(無効票)
クロエ・アルニティコス 2023年4月5日
捨てられた時にはそれなりの年齢でしたし、何度季節が巡ったか、程度であれば把握はしているのですが……新宿島で登録の際、誕生日や名字はその場で考えることになりましたね。
(これまでに助けてきた避難民たちの暮らしは過去の自分の暮らしと通ずるものがある。亜人に見つかるその日が来ないことを祈る生活……違いがあるとすれば、「その日」が来たかどうかだけだ)
アテナイの抽選の話は私でも耳にしたことがあります。
やはり生きてきた年代はそれなりに近いのでしょうか?
輝かしい物語などない、と言いましたが……
選ばれ、責務を果たそうとする姿は、その……私には眩しく思えます。
クロエ・アルニティコス 2023年4月5日
あ……っ、ち、違っ……わ、わたしは。違うんです。エイレーネ。
そ、そんなつもりじゃ……!
すみません、すみません……!
(ぎこちない彼女の笑みに「やってしまった」と思う。エイレーネもまた、亜人を憎み戦っているのだ。そんな彼女に、亜人の血を引いている可能性を意識させるなど……失言だ。やってしまった。嫌だ。嫌われたくない)
(自分がエイレーネを嫌うことなど慮外である故に、すれ違いが発生する)
(無効票)
エイレーネ・エピケフィシア 2023年4月6日
それなりの歳、ですか……。
(顔と温もりを覚えている親に捨てられるのは、さぞ辛かろうと、内心で当時の苦悩を慮る。身内で争う余裕がないことを差し引いても、家族ではなく敵に怒りを向ける在り方は強く、正しいと思えた)
日々を生きることが既に難事という状況で、魔女の術や植物の知識を体得されたのですよね。
師と言えるような方はいらっしゃったのでしょうか。或いは、全て独学で……?
(草木で形作られたヒュドラが亜人を喰らう、胸がすく光景を何度も見てきた。クロエの力の起源を問う瞳は、心なしかきらきらしている)
クロエ様こそ、ヘカテー様に選ばれし者ですよ。
今日までご息女ではないかと疑っていたほどです。
近い……かの判断材料になるかは分かりませんが、わたしは亜人に敗れ新宿島に流れつく「直前」の日時を覚えています。
西暦に直して、紀元前338年8月2日──カイロネイアの戦いで、アテナイとテーバイの連合軍は壊滅しました。
エイレーネ・エピケフィシア 2023年4月6日
……っ!
クロエ様が謝る必要などございません!
(力の籠った声をあげながら、痛みも構わず再び身を起こした。寝転がっている自分の弱弱しい姿が、彼女に無駄な不安を与えてしまったのではないか、と。全くの見当違いではあるが、この縁を手放したくないのは同じだった)
あの話を聞いて以来、時折一人で考えていたことです。
わたしが亜人の子だと知ったなら、仲間は……クロエ様は、どう思われるだろうかと。
……そして、例えどう思われようと、この身を賭して皆様を守り続けねばと。
エイレーネ・エピケフィシア 2023年4月6日
(張りつめた表情で一人語るエイレーネだったが、言葉を連ねているうちに気持ちが落ち着き──やがて、何時もの柔らかな表情が帰ってきた)
ですが、全くの杞憂だったようです。
例え誰の血を受けていようと、クロエ様はわたしを1人のエイレーネとして見て下さいます。
……謝罪するべきはむしろ、信じきれていなかったわたしの方、ですよね。
(羞恥心と情けなさと、クロエから向けられる感情の心地よさが複雑に塗り重なって、頬に熱い桜色を浮かび上がらせる)
(無効票)
エイレーネ・エピケフィシア 2023年4月6日
(すみません、2レス目で「わたしが亜人の子だと知ったなら」と書いてしまっていますが、現状では不明なので「わたしが亜人の子だと疑ったなら」に脳内変換お願いします……!)
(無効票)
クロエ・アルニティコス 2023年4月6日
えぇ、記憶違いでなければ10年前……のはずです。もしかしたら1,2年程度ズレているかもしれませんが。
全てを覚えているわけではありませんが、その時一番大きな感情が「納得」だったことは覚えています。集団が困窮していることも、私が足手まといになっていることも理解していましたから。
……私が魔女になったのもその時なので、納得だけではなかったことも確かですが。
私の魔術の本質は意思や感情に力を与えること。その時に魔術に目覚めたということは、その時、私は強く心を動かされたのでしょう。
棄てられたことで1人でも生きていける力が身に付くのは皮肉なことです。
(淡々と語る魔女が、両親を含む集団へと恨みをぶつけることはない。その選択で、好きだった彼らが少しでも楽になったと信じているから――ひねくれ者の魔女がそれを肯定することはないが)
クロエ・アルニティコス 2023年4月6日
師は……流れの復讐者から知識を教わることもありましたが……
いるじゃないですか、こう……昔語りをしたがる、話好きの老人が。
神話や伝承、薬の知識はその人の口伝です。
エイレーネの槍と盾の技のように、体系化されたものではありませんよ。
(心なし目が輝いているエイレーネへ申し訳なさそうに語る。やたらと物知りではあったが、言ってしまえば大半は集落のおしゃべりな老人からの聞きかじりだ)
まさかそんな。
私など、神代の御業に憧れる一介の魔女に過ぎません。
(すっと祈りを捧げるように目を閉じる。魔女にとって女神ヘカテーはもちろん、後代ではその娘とされる魔女メーデイアやキルケーもまた、崇拝の対象なのだ)
ん……少なくとも私の記憶に、その出来事はありません。
そうなると、エイレーネよりもやや前の時代でしょうか……?
クロエ・アルニティコス 2023年4月6日
あ……
(身を起こしたエイレーネの声に驚き、彼女の独白を聞き、焦っていた気持ちに落ち着きが戻っていく)
勿論です。もしエイレーネが亜人の血を引いていたとして……私の、大切な友人であることに変わりはありません。
あげつらう者がいれば、八つ裂きにして鳥の餌にします。
(ほほ笑み、柔らかな表情のエイレーネを見つめ返す。冗談めかした言葉だが、目に迷いはない)
エイレーネが謝る理由などありません。
その、私も……失言で、エイレーネに嫌われてしまうかと。
(申し訳なさそうに言葉を続ける。白い頬が赤に染まり、その目はエイレーネを見つめたまま)
(無効票)
エイレーネ・エピケフィシア 2023年4月7日
(エイレーネはクロエの独白を重く受け止めていた。拾い集めて来た無数の破片から、1枚のモザイク画を復元するように、彼女の過去と現在の振る舞いを頭の中で照らし合わせる)
……やはり、クロエ様はお優しい方ですね。
ご自身やご家族と同じ憂き目を見せることがないよう、苦境の人々に寄り添っていらっしゃるのですもの。
まだイスカンダルへの道が開いて間もなく、アイギュプトスの忌まわしい偽神どもや哀れな死者に対処していた時から、あなたはそうでした。
敵を殺せればよいと嘯きながら、集落に辿り着いた時にはすでにいらっしゃって。
過酷な暮らしを強いられる人々の胸の内を、想像する他ないわたしよりも──行動に、淀みや迷いがないように見えるのです。
エイレーネ・エピケフィシア 2023年4月7日
おお、さような経緯で!
雑多な見聞を自らの知性の中で纏め上げ、実践する。
それを本格的な教育なしに成し遂げるのは、生来の聡明さの証かと。
(申し訳なさそうなクロエの様子とは裏腹に、エイレーネは純粋な瞳を燃やし、結局喜んでいた。素直に称賛や好感を口に出すタイプだが、クロエに対してはどういう角度からでも褒めそやしそうな勢いすらあった)
時代は……どうでしょうか。
「過去の人間だから知らない」も、「同じ時代だが集落にはもはや情報が届かなかった」も、「後代になって歴史の改竄が進んだから知らない」も成立します。
……そしてどのみち、今のイスカンダルに残っているのは、改竄されきった後の世界。過去との連続性が絶たれた歴史です。
(歴史改竄が完了する前のそれぞれ異なる時期から復讐者は訪れる。それゆえに認識の不一致は起こりうるし、改竄が完了した現在において、経験した出来事が攻略に役立つことはない──つくづく難儀な事実だ)
エイレーネ・エピケフィシア 2023年4月7日
お気持ちはありがたいのですが……鳥さん達には災難ですね。
我が身の名誉は、自らの手で護るといたしましょう。
(本当に同じ復讐者やイスカンダルの住人だろうと殺しかねないと思い、軽く肝を冷やす。ただ、それだけのことを豪語してくれるのは嬉しかった)
クロエ様を嫌うなど、ありえないことです……それに失言とは受け取りませんでしたよ。
ウェアキャットと妖狐のクロエ様では、少し似ていても別物で……。
にもかかわらず、ウェアキャット以外は悩む必要がないことを気にかけていらっしゃったのですから。
まだ亜人の娘だと決まってはおりません。
ただ、真実がどうあろうと打ち勝つ覚悟は固まりました。
生まれが何するものぞ、今ここに在るわたしは、クロエ様が認めるエイレーネなのだと──!
(自分を抱き留めるように胸に手を当てる。パンドーラーの甕の中に残った予兆が希望ではないとしても、最早さしたる問題はなかった)
(無効票)
クロエ・アルニティコス 2023年4月7日
ま、待ってください。なぜそういう……も、もう。
私を優しいというのなら……それは、あなたが隣にいたからです。
立場をただ与えられるだけでなく、それに相応しい自分であろうとし、戦いの渦中へと飛び込み力なき者を守る。
……そんなあなたに、影響されてしまったのかもしれません。
(つい先ほどといい、こうして優しいと褒めそやされるのは何度目だろうか。おかしい、自分はキルケーのような、一般的道徳に縛られない、思うままにいきる魔女のはずなのに……あるいは、それは。眩く見える目の前の戦友に恥じない自分であろうとしたからなのかもしれない)
クロエ・アルニティコス 2023年4月7日
またそういうことを言うんですから……
そういうエイレーネはどうなんですか?
白く輝く槍に、ゴルゴンの装飾がされた盾。師より受け継いだものであったりするのではないですか?
(エイレーネの持つ武器と師について問いかける。照れ隠しのようにも見えるが、その目にはかつてゴブリンの老魔術師の魔力を弾いた盾と、伸縮し手元に戻る槍への興味が輝いている)
『刻逆』というのは、辿るのも困難なものですね……
いえ、いずれにせよ。もう戻ることもできないのであれば、詮無いことですが。
(イスカンダルでは一般に知られていない魔術。それの担い手である魔女の自分であっても、埒外の事象だ。だが、構わない。かつての時代のことを考えるのは――そんな日が来るかも分からないが――戦いが終わって、彼女と元の時代に帰ることになった時、離れ離れにならないようその時に考えよう)
クロエ・アルニティコス 2023年4月7日
ん……そうですか。
エイレーネがそう言うのであれば、短慮を起こさないよう、最大限の努力をしましょう。
(不承不承といった風に頷く……魔女が暴発する可能性は少し減った)
……この耳と尾について、話しておくべきことがありましたね。
私はイスカンダルで暮らして居た頃は、人間でした。
(「新宿島に流れ着いた際に、種族が変わっていた」というのは、復讐者にはそれなりに起こりうる事象だ。だが、それを語る魔女の顔には嫌悪の色が見える)
この耳と尾。狐の特性は……おそらく、私を殺した亜人が影響しているのでしょう。
まだイスカンダルでその姿は確認されていませんが、黄褐色の体毛を持つ狐。それが、私を殺した亜人です。
……まぁ、この耳と尾にもようやく慣れはしました。お揃い、と思えば悪くはないでしょう。
(ふつふつと暗い恨みを漏らしていたが、ふっとエイレーネの耳を見て楽しそうな笑みを浮かべる)
クロエ・アルニティコス 2023年4月7日
えぇ、仮に亜人の親が居たとして。
その時が来れば見せてあげましょう。
アテーナーの神官の槍と、ヘカテーの魔女の術を――!
(もしその時が来たならば、次は必ず自分も隣に立って見せると。そう告げる魔女の目は決意で満ちていた)
(無効票)
エイレーネ・エピケフィシア 2023年4月8日
そ、そう言っていただけるのは、光栄ですが……。
わたしとて、一人ではこれほどまでに戦い続けることは出来なかったと見ております。
徹底的に亜人どもと対決し続ける、クロエ様の不屈のお姿を目の当たりにしたからこそ。
女神に仕える者として並び立ちたいと、魂が奮い立ちました。
(自らの胸に当てた手を、ぐっと握りしめながら語る。彼女にとってクロエは同じ時代を生きる英雄であり、目標たりうる存在だった。つまり、互いにとっての憧れというわけで)
つまり、クロエ様を変えたらしいわたしは、クロエ様がいらっしゃらなければありえないわけです。
(ふと脳裏をよぎったのは、古来よりのパラドックス。かのアリストテレスも思索を巡らせ、自らの考えを『動物部分論』に綴ったという──)
……ふふっ。これでは「鶏が先か、卵が先か」分かりませんね。
エイレーネ・エピケフィシア 2023年4月8日
そうですね……指導教官にあたる方はいらっしゃいましたが、武具は神殿で授かったものです。
(壁にかけられた槍と盾に視線を移す。メドゥーサの顔に嘲笑われる感覚は、気が付くとなくなっていた)
盾は言うまでもなく、アテーナー様がお使いになるアイギスの似姿。
ゴルゴネイオンに魔力を注げば、実際に石化の視線が放たれます。
対して槍の方は特有の形状ですよね。
かくいうわたしも、初めて見た時は驚きました。
聞くところによれば……プラトン先生がアテナイに持ち帰った、アトランティスの遺産……らしく。
わたしはかの大陸の実在に懐疑的ですが、この槍が尋常のものではないことは認めざるを得ません。
(現実的に考えると、この槍の正体は、エイレーネより更に過去の歴史の復讐者が遺したクロノ・オブジェクトなのだろう)
そうですね……。
例え生まれた時代がずれていたとしても、こうしてクロエ様と出会えました。
今はその幸運を喜ぶばかりです。
エイレーネ・エピケフィシア 2023年4月8日
(クロエの耳と尾について聞き届ける間、エイレーネは難しい顔をしていた。亜人との血の交わりはないにしろ、似たような現象に思える。当然愉快ではないだろう──だからこそ、笑みで言葉が結ばれたのは意外で)
狐の亜人、ですね……承知しました。遭遇時は必ず仕留めます。
クロエ様が共にいらっしゃるなら、雪辱を果たしていただくため、共に。
……それにしても。お揃い、ですか……。お揃い……。
エイレーネ・エピケフィシア 2023年4月8日
……確かに、悪くないですね。
クロエ様と同じならば、この身体も。
(亜人の影響で、人としての生を奪われた痛み。それをクロエと共有できるのは、自分が親を知らないウェアキャットだからだ。この身体で生まれて来たことを心の底から幸運だと思ったのは、きっと初めてのことだった)
くすっ……娘から父に絶縁を突き付けるとは、何とも豪胆です。
勿論、クロエ様の怨敵にも同じ恐怖を見ていただきましょう。
(無効票)
クロエ・アルニティコス 2023年4月9日
ふふ、まさかかの賢者の思索を体感することになるとは。
ではきっと、この出会いは神の手によるものでしょう。
(最初にどちらが影響を受けたのか?は分からない。だがアリストテレスはこの問題を、神の存在証明とした。ならば自分とエイレーネの関係もまた、神々の導きにより始まったものだろう)
ふむ、なるほど……!
ただの似姿や魔除けとしてだけ在るのではなく、ゴルゴーンの石化の視線まで再現されているとは……!
とても興味深い、いずれは一緒に亜人どもを石としましょう。
(興味深そうにピコピコと狐の耳を揺らす魔女。その興味はやはり亜人を殺すことに向いている)
まぁ……そうですね。あるとするならば興味深いですが……後付けされた物語の類であると思っています。
本当にそのような大陸があったのならば、『ティマイオス』『クリティオス』以外でもその伝説は語られていることでしょう。
クロエ・アルニティコス 2023年4月9日
ふん、仮にそれが亜人であったなら、あなたの母の仇でもあるのです。
絶縁を叩きつけられて当然です。
全ての亜人を殺し尽くすまで、私の戦いは終わりません。
ですが、また一つ理由ができました。
あなたの親を探り、私を殺した亜人を殺す。
そのためにも……今後ともよろしくお願いします、エイレーネ。
(くすりとほほ笑み、手の平を上にし、ダンスのエスコートをするかのように手を伸ばす)
(無効票)
エイレーネ・エピケフィシア 2023年4月9日
……! 違いありませんね!
神々が望まれ、その運命をわたし達が受け容れたからこそ、こうして共に在るのです。
この答えに先生もご納得されることでしょう。
(楽し気に口元を綻ばせるエイレーネ。後に当の賢者を騙る亜人が出てきて、勢いよく罵倒することになるとは、まだ思いもよらなかった)
本物のように一瞬で、とは行かないのですが……。
前衛の亜人を石に変えてやった上で、後続の動きを詰まらせるような戦い方は出来るかと。
ええ、ぜひ。どのような戦法もご相談ください。
(耳が動く愛らしい様子につい視線が行く。事情を知り、起きたことは兎も角現状は悪くないと合意した今では、後ろめたさも幾分か薄れている)
ええ、思うにあれはプラトン様がシュラクサイで励まれていた改革とその挫折を、未知の大陸に託した例え話だったのではないかと……。
……これでアメリカなる西の果ての大陸のディヴィジョンがアトランティスじみていたら、卒倒しそうですが。
エイレーネ・エピケフィシア 2023年4月9日
産みの母……ああ、その通りです。
亜人どもの一匹一匹が、人間の女性一人の犠牲を証明しています。
実戦を知らず、訓練場で怠惰に暮らす劣等生でさえも……望むものは流血と蛮行ばかり。
全ての死を弔うためには、彼らを滅ぼすほかに道はありません。
(もし、仮に──個々のクロノヴェーダ種族と和議を結ぶ可能性が、僅かながら存在するとしても。その発生に人間の犠牲を前提とする種族とは、到底相容れない。だから揺らぐことなく、毅然と言い切った)
ええ。いつかイスカンダルを──そして、全てのクロノヴェーダの暴君を討ち滅ぼし……平和が訪れるその日まで。
どうか、隣にいさせてください。
こちらこそよろしくお願いいたします、クロエ様。
(たとえ戦いが終わった先にあるのが、異なる時代への帰還という別れだったとしても──最後の瞬間までは。そんな祈りを込めて、エイレーネも手を差し出し、重ねようとした)
(無効票)
クロエ・アルニティコス 2023年4月9日
えぇ、この道は私たちが選んだものです。
例え元より従う他なかった運命であったとしても。
(運命は時に神々や英雄すらも従わせる。一介の魔女に抗うことなどできはしないだろうが、こんな運命なら、喜んで受け入れよう)
ふふ、これからも一緒に戦う機会は何度でもありますからね。
試す機会に困ることはありません。
いずれ私の「ゴルゴーン」もお見せしましょう。
(怪物を象った技は得意分野。多数を石化させる光を放つ、「ゴルゴーン」を模した技も勿論持っている。自分が石化させ、足を止めた亜人を彼女が穿つ、そういうのもいいでしょうと頷きながら)
アメリカ……海を越えた果てにある、という巨大な大陸ですね。
新宿島で事実として語られていなければ、その存在にも懐疑的であったでしょう。
クロノヴェーダどもの歴史改竄の無秩序さを考えると、あり得ない話ではなさそうです。
クロエ・アルニティコス 2023年4月9日
えぇ、亜人どもの存在。それそのものを私は許しません。
人間にとっても、亜人どもの子であるウェアキャットに対しても、害悪でしかありません。
(目の前の友人は勿論別だが、カナンの地で暮らすウェアキャットたちを見た時は彼女たちにいい印象を持っていなかった。だが、セレウコス領で亜人に怯えて暮らすウェアキャットたちを見ると、彼女たちも自分たちと変わらないのだと思える)
えぇ、これからも。共に在りましょう――。
(重ねられた手を軽く握り、正面からエイレーネの目を見つめる――数秒ほどそうしたところで、随分とうら恥ずかしい発言をしていることに気付き、また頬が赤く染まる)
(無効票)
エイレーネ・エピケフィシア 2023年4月10日
まあ、なんと心強い!
恐ろしいものほど、味方に引き入れられた時には頼りになります。
縦横無尽に身を躱す亜人はしばしば目にしますし、あれらを石に出来れば狙いをつけやすくて助かりますね。
(基本的に突撃アンド突撃のエイレーネとしては、クロエは多様な戦い方が出来るという点でも非常に頼りになる。代わりに白兵戦は不得手と見えるが、それは自分が補えばいいだけのことだ)
わたしも竜域ダンジョンだったというブラジルの熱帯雨林を一度観光しに行って、ようやく実感が沸きました。
全く見覚えがない草木が沢山あって、興味深い地でしたよ。今度一緒に見に行きます?
ああでも、竜域から奪還した地でご案内するならまずはデロス島でしょうか!
(古代ギリシア人にとって未知の植物で満ちた森。アポローンとアルテミスの故郷にして、アテナイの栄華を象徴する海上同盟の締結地。最終人類史も二人で探索してみたいと、楽し気に滔々と語る)
エイレーネ・エピケフィシア 2023年4月10日
実のところ……。
カナンの地から亜人のみならず、同族までもが追放された時、胸の奥に薔薇の棘が引っかかるような想いがありました。
(正確には「追放された」というより「勝手に逃げた」だし、最悪の苦境に立たされる人々に住処を与えられたのは良いことだ。それでも、苦悩はあって)
今の時点で人間とウェアキャットの間に融和を説くことは、不可能と言わざるを得ません。
人間がウェアキャットを恐れて排斥し、彼らも亜人を恐れて追従する……その構図は根深いものです。
ですが。亜人どもの勢力が衰え、恐れるに足る存在でなくなれば。
二つの種族が手を取り合い、共に暮らせる日が来ると信じています。
例えそれが、奪還を果たすまでの僅かな時間に訪れる、夢のような出来事だとしても……見てみたいのです。
(恐怖と嫌悪によって断絶された二つの種族の行く末を想う。人の間で生きたウェアキャットの神官には、その両方が同胞だと思えた)
エイレーネ・エピケフィシア 2023年4月10日
(柔らかく手を握り返す。思えば、こうやって家族や世話役以外の誰かに素肌を許すこともあまりなかった。傷の手当てや儀式的な接触はあれど、ただ親密であるがゆえに触れ合った記憶は、皆無と言ってよい)
……。
(クロエの青い瞳に釘付けになって、しばし呼吸を忘れる。心臓──現代の医学について最低限の勉強はしたが、今なお精神が宿る臓器という観念が抜けない──が高鳴って、熱を帯びる気がする)
(数秒の後にどちらからともなく一度手を離した時、自分の身体の一部が抜け落ちたような切なさがあった。出来ることなら、いつまでもこうしていたかったような──でも、互いに戦う身だ。そんな我儘は言えない)
ふぅ……今日はクロエ様から、沢山元気をいただいてしまいましたね。
傷が癒えたなら、すぐにでも戦働きでお返しいたします。
(無効票)
クロエ・アルニティコス 2023年4月11日
復讐者になってからというもの、身体能力が上がっている気はしますが、肉弾戦に特化した亜人の動きについていけるほどではありませんからね。
杖も近接戦闘を行うためのものではありませんし。
(近接戦闘が不得意な魔女にとって、迫る亜人は脅威である。だが、最近は近接戦闘能力がないことに不足や不安、恐怖を感じることはない。こんなにも頼りになる友人がいるのだから)
竜域ダンジョン……? なるほど!
フローラリアどもから奪還した地でしたね。新宿島の草木も未知のものが多いですが、更なる未知がありそうです。
現代のデロス島、というのも興味深い。
(うんうんと頷き答える。友人と二人歩くことを考え、楽し気に耳と尻尾がゆらゆらと動く。本来であれば気軽に行き来などできない距離だが、パラドクストレインとは便利なものだ)
クロエ・アルニティコス 2023年4月11日
(神妙な表情でエイレーネの独白に耳を傾ける。そこへ至るまでの道は長く、両種族の間にある溝を埋めることは難しいだろう。だが――)
……そうですね。
せっかく亜人どもを殺し尽くしても、人間とウェアキャットたちがいがみあうというのも愉快なことではありません。
そうなるよりは――ともに暮らすことができれば、良いと思います。
ん、んん、そうですね。まずは傷を治すことです。
(照れをごまかすように、咳ばらいを一つ。努めていつものように振舞おうとする魔女の横顔は未だ赤く、その手はまだ残る友人の手のぬくもりを確かめるように、軽く握られている)
……名残は惜しいですが、傷に障ってもいけませんね。
(本来ならもっと話していたい、一緒の時間を過ごしたいが、それで彼女が傷に苦しむ時間を長引かせたくない……そういえば、一度自分が無様を晒してから、彼女は身を起こしたままだ。ゆっくり休んでもらおうと席を立つ)
(無効票)
エイレーネ・エピケフィシア 2023年4月11日
亜人の膂力や俊敏性は、前衛組にとっても脅威です。
テウタモスに……それと以前、エルサレムでトループス級に足を刺されたのも不覚でした。
クロエ様やヴィオレット様がすぐ援けて下さり、事なきを得ましたが……。
皆様に安心していただけるよう、修練あるのみですね。
(テウタモスはディヴィジョン攻略開始時点で戦う将としてはかなり強かったし、以前にアヴァタール級の亜人との戦いで重傷者が出た例もある。この時点では分からなかったことだが、相応に広大と思われるリグ・ヴェーダもイスカンダルには劣勢らしい。この負傷も、敵は強大なのだと気を引き締めるよい機会になったと言えよう)
ふふっ。七曜の戦いで前線になる可能性もある地ですし、有意義な視察だと思いますよね?
(──などと前置きすれば、忙しい時に遊ぶ罪悪感が少し減る)
では今度、共に参りましょう。勿論他の場所でも、クロエ様が赴いても良いと仰る所ならどこへでも。
エイレーネ・エピケフィシア 2023年4月11日
……! ありがとうございます……!
新宿島では、時を越えて集った全ての民族と種族が、手を取り合って暮らしています。
この平和をイスカンダルの地にも齎したいと。そう願ってなりません。
(エイレーネ[平和]の名に刻まれた切なる願いを抱いて、決意を固めるようにぎゅっと拳を握り込む。遥か遠い道のりだが、受け取ったクロエの熱が辿り着くための力になると思えた)
あら、大丈夫ですよ。クロエ様のお陰で、心はすっ、かり……ぐっ。
(余裕を示すように腕を伸ばそうとしたら、傷が鋭く痺れた。しおしおと「ごめんなさい」を口にして、身を横たえる)
……体のほうは仕方ありませんね。
ここから先は、アスクレピオス様と彼の門徒の皆様にお任せします。
クロエ様もどうかご無理なさらず。
(無効票)
クロエ・アルニティコス 2023年4月12日
あの時は私も肩を刺されることになりましたね。
……一人で戦っているわけではないこと、誰かとともに戦うことの重要さを再認識しました。
(ヴィオレットとも最近はよくイスカンダルで同道する。自分と同じく魔術?を得意とするものでありながら、杖で敵を殴り飛ばす豪快さには感心するものだ)
えぇ、いずれより多くの亜人を殺すためのものですから。
戦いにおいても価値のあることです。
(そう考えれば、焦燥に駆られず遊べるというものだ――目の前の友人とはちょっとだけ異なる理由で、自分を納得させる)
あの地では「人間が生きられる」だけでも困難です。
ですがそれも、カナンの地という小さな範囲ではありますが実現できました……きっとそれも夢物語ではないはずです。
(とはいえそれは、どれほど素晴らしいことであったとしても「自分」そして「大切な友人」よりも優先することではないが――友人がそう祈るなら、ともに心を砕くのも悪くはないと思う)
クロエ・アルニティコス 2023年4月12日
ほら、言わんことではないですか。
この時代の医術は大きく発展を遂げていると聞いています。ゆっくりと体も休めて下さい。パラドクストレインに乗り込もうとしたら引きずってでも連れ戻します。
(真面目なエイレーネにとって、戦えず身を休めるしかないというのはやりきれない思いがあるのだろう。それでもまずは休んでもらわねば)
それでは――また来ます。エイレーネ
(病室の扉の外で振り返り小さく手を振る。きっと明日もまた、パラドクストレインを降りた後はここに来ることだろう)
(演出終了(置き))
エイレーネ・エピケフィシア 2023年4月12日
出身者のみならず、多くの復讐者がイスカンダルとの戦いに尽力してくださっています。
エジプトの解放から続けて、雪崩れ込むように戦っていらっしゃる方も少なからずいるようで……有難いことです。
(ヴィオレットに加え、クィトやナディアやイロハや誠司や雪那といった面々の姿が脳裏に浮かぶ。みな頼りになる仲間たち──彼らと斬り抜けたひとつひとつの戦いを噛み締めるように、頷いて)
亜人どもを滅ぼし、人々を護る……その第一歩を果たせたことが既に、かつてのわたし達にとっては儚い夢でしかなかったでしょう。
今は違います。この達成すらも、始まりに過ぎません。
(過酷ながらも着実に進展する状況と、アルゴナウタイの如き戦友たち。敗北の末になおも生き、新宿島との縁が結ばれたことを、神々に感謝するほかなかった)
エイレーネ・エピケフィシア 2023年4月12日
むう、念を押すほど病室を抜け出しそうに見えますか?
(苦笑いする辺り、自覚はありそうだ)
アスクレピオス様の癒しは、夢の中で齎されるものです。
医療神域に連れ込まれたからにはきっちり眠りますよ。
……万全の状態で、また共に戦いましょう。
(粛々と現状を受け容れ、布団に身を沈める。テウタモスの討伐は残った復讐者たちが果たしてくれるだろう。雪辱は亜人という種そのものを根絶して果たせばよい。一日を焦らなくても、長い日々を積み重ねた末に勝利は成し遂げられるはずだ)
……ええ、楽しみにお待ちしております。
(腕を伸ばさないように手を振り返す。クロエの姿が見えなくなると、エイレーネは目を閉じ、医療の神を招くために眠りにつこうとするのだった)
(……夢でもクロエに遭いたい、なんて誘惑を感じてしまい、振り払うのにちょっと苦労したのは秘密だ)
エイレーネ・エピケフィシア 2023年4月12日
【終幕】
(演出終了(置き))