鐵顎圏

轍を刻む、

ゼキ・レヴニ 2023年3月15日
切れかけの照明がぶうんと低く唸っている。
昼間でも薄暗く猥雑な専門店街、その片隅の工房。
鋼の指を器用に動かして武具の修理をしていた男が、ふと手を休めて時計を見上げた。

――『工房を構えていると聞いたんだが、武器を作ることはできるか?』

そう持ちかけられた話に、相談の約束を取り付けたのは数日前の事。
掛け時計の針は、約束の時間の10分前に差し掛かろうとしていた。


――――――――――――

●お約束した方との1:1RP
●〆の目安:30発言程度か2ヶ月経過、又は2週間発言が途切れたら




1

ゼキ・レヴニ 2023年3月15日
(独自の法則で物が配置された――言い換えればごちゃついた工房内に、どうにか相談スペースを作ろうと、部品や工具の転がるカウンターの上を片付け始める。そうして体裁を整える間に思い出すのは、依頼主である戦友の戦う姿だ。彼女が新たに求めるのは、勇猛な守護者に似合うあの斧槍のような得物だろうか、はたまた時に想像を超える術を行使する為の触媒だろうか?)
(浮き浮きと想像を巡らせるうちに、入口に君が現れたのなら、大げさに手を広げ、機械油で汚れた頬を屈託なく持ち上げて出迎えるだろう。)

――おれの巣にようこそ! 迷わなかったかい。
0

ジズ・ユルドゥルム 2023年3月18日
(所謂「おのぼりさん」めいた、不安と好奇の色が混ざった表情で入り口から店内を覗き込む)(見知った顔の出迎えを受ければ、不安の色の方はすぐに消えた) やぁ、ゼキ。……迷わなかったかって?それはもう………
………迷ったさ。(工房へ辿り着くまでの過程を思い起こさせるような溜めを入れつつ)
君の道案内はきちんと聞いていたつもりだったんだが。現代の…広くて物の多い建物はどうも苦手だ。待たせてしまったか?
(布で包まれた「荷物」を体の前に抱えている。大ぶりなそれを進路上の様々な物品にぶつけないよう、…時に避けきれずに若干ぶつけつつ、カウンターの方へ慎重に歩みを進めた)
0

ゼキ・レヴニ 2023年3月20日
(溜めた間にたっぷりと苦労が篭っていたのを感じ、小さく吹き出して)
っはは、やっぱりかい。
やあ、待たなかったよ。コンクリート・ジャングルのそのまた奥地ってな場所だからな、ここは。迷うのも仕方ねえさ。
(様々な店舗が押し合いへし合い、狭い通路を取り囲んだ迷路の様なビルだ。毎年一人は行方不明者が出るって噂だぜ、と冗談めき)
……っと、物が多くて悪い。躓かねえ様に気ぃつけてな。
(君が近付いてくる間、カウンターに残った細々とした物をごそっと腕で隅に除けて、空いたスペースに荷物を置くように勧める。)
0

ジズ・ユルドゥルム 2023年3月22日
植物のジャングルなら迷わないはずなんだがな…(常に方向音痴なわけじゃないんだと言い訳したいのか、進む間にもブツブツぼやいている)その行方不明者にならなくて良かったよ。
(足元と前方に注意を払って歩きながら、以前、「相当散らかっている」という話をしたのを思い出す。謙遜じゃなかったんだなぁと内心納得したし、少し顔に出ていたかもしれない。)

それにしても、ふふ。ゼキの巣か。いい巣じゃないか。(興味深げに周囲を見回しつつ、勧めてもらった場所に布に包まれた荷物を置けば、ごとりと重い金属音が鳴った)
面白い場所だな。確かに物は多いが…宝物に囲まれているような感覚がある。あとは、何かこう…(すん)
…かいだことのない匂いがするな…。
0

ゼキ・レヴニ 2023年3月23日
おや、砂漠だけじゃなくジャングルも得意かい。まァ、コンクリートの箱ん中じゃ野生の勘も鈍るのかも知らんぜ。
(迷ったのがちょっと悔しかったのだろう――君の表情を間違った方向に読み取って、フォローするように頷いた。)

いいとこだろ? 家賃ほぼナシ、面倒な制約もナシ。ちっと歩けば飲み屋も遊び場もある、最高の穴倉だ!
(重い音とともに置かれた荷物に、わかりやすく興味津々な視線を注ぐ。匂いに言及されれば小さく苦笑して)
古ぅい建物だからよ、黴と埃とヤニと上の中華屋の油と、その他微細な化学物質のマリアージュってとこ。
そうな、此処にあるのは客から修理を頼まれた大事な物やら、おれが作ったもんも少々。どれも思いの詰まった宝物よ。

さて、そんじゃ早速だが――お前さんの『宝物』も拝見と行こうかい。
(待ちきれないというふうに鋼の手を擦り合わせ、荷物の布を取るように促した。)
0

ジズ・ユルドゥルム 2023年3月24日
家賃も無いのか…?それだけ聞けば、まるで現代の楽園だな。来る途中で見た景色は楽園には程遠かったが。(薄暗いビル内の景色を思い出す。賭場の前で廃人みたいに佇む人、腹痛でも起こしたのか道端で呻く人…)

あぁ。空が見える場所、それか風の流れのある場所で地面に足が付いていれば、密林だって――い、いや、この話は終わりにしよう。(自分が迷子になった話を切り上げたい様子だ。わざとらしい咳払いをひとつ。)それよりも、本題に入ろうか。
(待ちきれなさそうな様子を見て、子供みたいだなぁと眉を下げて笑った。ゆっくりと包みを開いていく)『宝物』…そんな素晴らしいものではないよ。あえて言うなら『戦利品』だ。
0

ジズ・ユルドゥルム 2023年3月24日
(開かれた包みの中にあったものは、重厚な黒い兜だった。)
(エジプトの死者の守護神、黒狼の神、アヌビスを模した造りの兜。)(見覚えがあるだろうか。かつてゼキも「特別なパラドクストレイン」に乗って向かった先で戦った、改竄世界の守護者が身に着けていたものだ。)

こいつを溶かし、打ち直して、武器にしたい。 …やれそうか?
0

ゼキ・レヴニ 2023年3月25日
(君の見た光景を察し、ニヤリと笑って)鐵顎圏流の歓迎を受けたようだねえ。紛うことなき楽園さ、運と勘と節度がありゃな。自信がありゃお前さんも試してみるといい。
星や風を読めばってことか……ふはは、いいぜ。(そう応じ、迷子の話を切り上げた。)

(包みが開かれ、黒い兜が現れれば、驚いたように目を瞠り)
こいつは……あの時の……、
(改竄世界のもうひとりの『守護者』の姿、そして帰りのトレインで一人輪から外れ、兜の隣に座っていた姿が思い出される。理由を聞く事はしなかったが、わざわざ仇敵の装備品を持ち帰ったのだ。そこに彼女が言う『戦利品』以上の思いがあった事は想像に難くない。)
――、(兜からゆっくりと顔を上げた男からは、まだ答えはない。『――だが、どうしてだ?』男の目には、そんな疑問が表れていたことだろう。)
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ジズ・ユルドゥルム 2023年3月26日
やはり、ここではよくある光景なんだな、アレは…。(特に意外でも無さそうな笑みを見て、察した)
運、勘、節度なぁ。ゼキはその3つを備えているからここを楽しめるんだろうが、…勘しか持ち合わせていないな、私は。熱くなる性質(たち)なんだ、賭け事は試さないほうが良さそうだ。

…なぜ、と。顔に書いてあるな。(顔色を読むのは得意なほうではない。それでも分かるくらいの、ありありとした疑問の色が見て取れた。)
なぜだろうな。私にも分からない。
分からないが…あの男を斃したあと、砂の上にこの兜が残されているのを見て…放置して朽ちるに任せるのは何か、…何か、違う気がした。だから持ち帰って来た。
そして今は、私の部屋にこの兜がただ置いてあるのを見て…何か違うと、こうして置いてあるべきじゃないと…そう思って君に手紙を出したんだ。
…答えになっていないな。すまない、内省するのはあまり得意じゃないんだ。
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ゼキ・レヴニ 2023年3月26日
“意外”なことにおれは全部持ってねえんだなあ。かわりに悪運ってのが憑いてるおかげでどうにかやってけてんのよ。――ハハ、熱くなりやすい奴は確かに向いてねえや。だがまあ、ちっと新しい世界を見て回るぐらいなら、いい刺激になると思うぜ。
(あとで観光案内でもしたら楽しそうだ。そう思いながらこの話題を終え、兜の話に集中する。)
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ゼキ・レヴニ 2023年3月26日
(そうして聞いた話を咀嚼するだけの沈黙を空けてから、口を開き)
そうか……いや、いいんだ。心ってのはそう単純明快なもんじゃない。きまった言葉に落とし込めねえ事もあるだろう。

(話してくれてありがとよ。そう言ったきりまた押し黙り、素材を確かめるために兜を持ち上げて眺める。歴史改竄者の技術も用いられているのだろうか、使われていた時代にしては十分過ぎる硬度と厚みで正確に造られたそれを手にしていると、ずっしりとした重量を――物質的な意味を超えた『重み』を感じる。そっと兜を置き直して)

さっきの答えだがな、結論から言うと『できる』。……だが、場合によっちゃ、断らにゃならねえかも知らん。
おれが心配なのはな、ジズ。(目の奥を見据えるようにして、)こいつがお前さんの武器になった時、その足を鈍らせる重りにはならねえかって事だ。
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ジズ・ユルドゥルム 2023年3月28日
…「受け継ぐ」、「償う」…落とし込めそうな言葉は思い浮かぶんだ。でも、どれも少し違って…、
「自己満足」が一番近いかもしれない。
(自分がしたいからするのだと。余計に身も蓋もなくなったな、と苦笑いし、兜を見分するさまを眺めている)

重りか。(見据えられた目に揺らぎはない。自分へ向けられた視線を、同じように真っ直ぐに見返した。)ならない、とは言えない。

この「戦利品」が武器になれば…振るうたびに、私が「選ばなかった」人達の行く末を思い出すことになるだろうな。私は…その重みを無視できるほど、強くはない。
(あの時の、あの絞り出すような声が脳裏によぎる。「進むがいい」――)だが、それを負うことで足が鈍るほど、軟弱ではないつもりだ。

ゼキは…なぜ、これが重りになると思うんだ。君から見ると、私のような小娘は、やはり頼りなく映るのか。(非難の色はない。ただ、年長の友人に自分がどう見えているのか関心があった。)
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ゼキ・レヴニ 2023年3月31日
(真っ直ぐな視線を、揺らがぬ声を受け止める。君の答えを聞いた男は、試すように向けていた双眸を、ほんの僅か、眩しげに細めた。)

やっぱりお前さん――いい目をしてるな。
や、前よりももっといい目になった。
(息を落とすように低く呟く。瞳の奥には覚悟が見えた。荷の重みを知り、そいつを自己満足という現実的な名で括り、確りと地に足をつけて進んでいく覚悟が。)

(問いには、いや、と頭を振り)
お前さんと一緒の戦場に出て、頼りねえなんて宣う奴がいるんなら会ってみたいねえ。
なぜってなら……おれ自身が軟弱モンだからかもなァ。(おどけるように唇の片端を持ち上げる。)それに、若者にゃ足取り軽く人生を楽しんで欲しいと思っちまうのさ。ジジイの習性みてえなモンよ。
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ゼキ・レヴニ 2023年3月31日
――だが、今はくだらねえ習性は捨ておこう。
お前さんの目を見て、そう決めた。
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ジズ・ユルドゥルム 2023年4月16日
(見据えた視線を逸らすことなく、自分の答えの後に続く言葉を待つ。わずかな間ののち、ふいに細められた双眸が見えた。)………目?(次いで掛けられた声も、予想外に優しげなものだった。こわばっていた目の力がゆるむ。)
前よりも?…そうなんだろうか。自分ではよく分からないが。

そんなことは!!(相手の口から軟弱という言葉が出たのを聞くなり、否定の言葉で遮った。反射的すぎて、つい腹から声が出る。)…………ないと、思う。(あわてて声量を落とす。自分の大声に自分で驚いた顔。)
(急に大声を出したりしてすまないと、若干ばつが悪そうにしつつ。)その習性は分からなくもないが…足取り軽くただ楽しく生きられる年は、とうに過ぎてしまったよ。君からすれば私はまだ若造だろうが。…というか、ゼキだって爺というほど年は喰っていないだろう。
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ジズ・ユルドゥルム 2023年4月16日
(はっと顔を上げた。先程まで覚悟を宿していた瞳が、今は、望みを叶えられそうな子供のように煌めいている。)
では、引き受けてもらえるのか?
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ゼキ・レヴニ 2023年4月19日
分かったような事言うのも何だがよ。あの戦いを経て……一皮剥けた感じがするぜ。
(直感ってヤツさ、と。二本の指で自分の目を、次いで君の目を指し示して)
自分じゃ何か変わった気はしねえかい。

(遮る言葉に数度目を瞬いた。戦場外でこうも語気を強める彼女を見るのは珍しい。間を開けず続いた謝罪にもう一つ瞬くと、小さく笑みを浮かべて頭を振る。)ありがとよ、ジズ。お前さんがそこまで言ってくれんなら、きっとその通りだ。(そうあらねば。心の裡で唱え)
――いやあ、お前さんから見りゃ十分ジジイだろ。しかしもしかすると、この『現代』じゃ、おれもまだまだ若者の部類に入ったりすんのかもな。(人生100年の時代らしいぜ、などと余談を挟んで、一呼吸置き)
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ゼキ・レヴニ 2023年4月19日
おうよ! 引き受ける……いや、引き受けさせてくれ。
(大きく頷いてから、ニヤリと片頬を持ち上げて)
………ふはっ。若造扱いは嫌みてえだが、お前さん今、少年並みに目がきらッきらしてたぜえ。
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ジズ・ユルドゥルム 2023年4月23日
変わったこと…。(考えるしぐさをした)そこまで大きい変化じゃあないかもしれないが…。

…一度あの男に負けた時の私は、どうしようもない軟弱者だったし、この島に流れてからもそう自認していた。(何かを思い出すように目線を降ろし、そのまま無意識に自分の首筋を触る。)
だが、あの戦いを終えてから、自分を軟弱者と思うことが減ったよ。

それもあって…私が「軟弱者」から脱するのを助けてくれた君が、自分をそんな風に言うのを止めたくて。つい。腹から声が出てしまった。(かぶりを振るのを見ても、まだばつが悪そうにしている。)
いや。何か理由があっての自認なら、私の言葉で無理に変える必要はないさ。…だが、変えられるなら、そうしてくれると、私は嬉しい。

(そうして一度言葉を切り、「ジジイだろ」か否かを判定するために急にまじまじとゼキを眺め始め)
…………私から見ると、「おじさん」だな。(お兄さん判定ではなかった。)
0

ジズ・ユルドゥルム 2023年4月23日
本当か!(カウンターに前のめりになった)ありがとう…。助かる、本当に助かるよ。断られたらどうしようかと…。(かと思えば、安心のあまり弛緩してカウンターにへなへな突っ伏した。)

べ、別に若造扱いが嫌なわけじゃあない。頼りないと思われるのが嫌なだけだ。
(無自覚だった「きらっきら」に言及されたのは少し照れくさかった。しばし突っ伏し、子供めいた煌めきを消してから顔を上げ)
コホン。それで…具体的にどういう武器にしたいかを伝えていなかったな。
可能なら、「斧」にしたいと思っている。私が片手で扱えて、近接攻撃も投擲もできる斧に。
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ゼキ・レヴニ 2023年4月26日
そうか。
自分を信じられるようになるってのは、言うほど小さな変化じゃないかも知らんぜ。
(そしてその手助けができたのなら幸いなことだ。ばつが悪そうにしている姿に、温かな視線を向け)
いやあ、嬉しかったぜ、お前さんがそう信じてくれんのがよ。
………、(ふう、と息を吐き)まァ正直、自認する理由は死ぬほどあってよ。
だが、いつかは。おれも変われるかも知れねえ。
お前さんの今の話を聞いて、そう思ったぜ。

(急にまじまじと見られて、ちょろっと目を泳がせるなどしていたら、晴れておじさん判定を頂戴した)
真剣な検討ありがとよ………??
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ゼキ・レヴニ 2023年4月26日
んっはは、心配させたりして悪ぃな。おれってば女心を弄ぶ性質でよ。
(嘯きつつ、机に伏せた肩を労うように、ぽんぽんと叩いた。君が顔を上げるまでに、自分も一度面持ちを正しておき)

――斧、ね。(ふっと笑み)そう来ると思ってたぜ。
片手で扱えて投擲もできる戦斧ってえと……所謂『トマホーク』みてえなイメージで合ってるかね。
(カウンターの下から注文書の紙切れと鉛筆を引っ張り出し、裏面にさらさらと簡単なスケッチを描く。短く握りやすい形状の柄の先に、薄めの斧刃のついた手斧の図だ)

――大型の武器だと金属量が足りねえかと思ってたが、手斧ぐらいなら大丈夫そうだな。刃としての強度を上げる為に多少の混ぜもんはするかも知れねえが……
(許してくれるだろうか。そう伺うようにスケッチから目を上げた)
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ジズ・ユルドゥルム 2023年5月2日
…自分を信じられる、か。(自分の内心を顧みる。前よりも背筋が伸びたような感覚に、しっくりくる名前がついたような気がした)悪くない感覚だ。

(理由のくだりが耳に入ると、目元を柔和に細める。ゼキがこれまで歩んだ長い道こと、そしてこれからゆく道のことを想った。)
復讐者稼業を続けていれば、きっと機が巡ってくるさ。
その時は…君に作ってもらった新しい相棒と一緒に、私もその機会に立ち会いたいな。
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ジズ・ユルドゥルム 2023年5月2日
くっ。もてあそばれたのか、私は…。(眉間をおさえる。だいじな主語とかを省略し、誰かが通りがかったら誤解を受けそうな恨み言を述べた。)

(一度軽くかぶりを振って表情を改める。真剣な目線をスケッチに向け直し)
あぁ、そうだ、「トマホーク」のイメージだな。(描かれる線を視線で追う。器用だなぁと感嘆を漏らしつつ)
柄だが、普段は片手で扱いつつ、両手でも振れる程度の長さがあると助かる。(自分も鉛筆を借りて、一般的な手斧よりも斧頭に大して柄を若干長く描いて見せた)(絵というより台形に棒がくっついた図形の集合体だが)

あぁ、もちろん問題ない。私は鍛冶に関して門外漢だ、ゼキに任せるよ。(ふたつ返事で頷く。視線を上げれば、凛と揺らぎのない双眸が、信頼を雄弁に語っているのが目に入るだろう。)
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ゼキ・レヴニ 2023年5月2日
悪くねえだろ。(ニッと片頬を持ち上げて頷いた。)
そうな、機が巡るなら……今度こそ、掴んでやんねえと。
お前さんが力を貸してくれんなら心強いことこの上ねえ。そん時はよろしく頼むぜ。
(もう弄ばねえからよ、などと笑いつつ。拳を突き合わせようと、君の方へ差し出した)
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ゼキ・レヴニ 2023年5月2日
柄を長めに、だな。
(君の図案を参考に、自分の図を消しゴムと鉛筆で修正する。正確な直線や曲線を引けるのは機械腕のおかげなのだが、器用だと褒められてちょっと得意げだ)
そうなると……投げる時のバランスを取るために、こうか。(斧刃も先程より大きめに修正して)
片手で扱う時はちょいと重いかも知れねえが、お前さんの筋力なら問題ねえだろ。

(上げた視線の先の琥珀色、そこから向けられた信頼も、思いの詰まった素材も、決して無駄にするまいと)
よし。兜のもとの主もビックリするぐらいの最高の斧刃に仕上げてやるからな。(任せとけ、と胸を叩き)
――そうそう、斧頭の形だが、両刃――斧頭の左右両方に刃がついた形にもできるし、片方をハンマーやピックや……鈎みてえな形にもできるがどうする?
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ジズ・ユルドゥルム 2023年5月6日
(ふ、と口角を上げて)
もちろん。(短く返事をする。肘を曲げて拳を突き合わせれば、コン、と骨と金属がぶつかる軽い音が鳴った。)

あぁ、良いな。そのくらいの刃がいい。(引かれていく線を目で追い、肯定の返事をする。自分の台形と棒をを参考に綺麗な図が描かれていくのはちょっと照れ臭かったが、照れは早々に引っ込めた。)
ふふ。信頼してもらっているみたいだな?
多少重くても障りはないよ。「軽さ」の優先順位は、低くしてくれて構わない。

両刃か。…ふむ。
(かつて、かの守護者と対峙した時。彼の片刃の斧を――小細工も無く、対峙するものを断つことに特化したあの得物を――「趣味が良い」と思ったことを、ふと、思い出した。)
……いや、片刃がいい。斬ることに集中したつくりがいいな。

(そこまで言って、ふと何かに気づいたように顔を上げる。)
あ~…そういえばゼキ。肝心なことを話していなかったんだが、その、
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ジズ・ユルドゥルム 2023年5月6日
分割払いはできるか?(今日一番の真顔)
いや。こういった鍛冶の依頼をしたことがないので相場が分からないんだが。たぶん一括では難しいと…(もごもご言っている)
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ゼキ・レヴニ 2023年5月7日
(拳同士が軽くぶつかれば笑みを深めて、ありがとよ、と短く返した。)

信頼してるさ、ジズ力技で大暴れの図を見てきてるからねえ。まったくそのパワーはどっから湧いてくんだって思う事あるぜ。
(そう話しながらも鉛筆を動かし、片刃のかたちに図を整える)
(聞こえてきた質問に視線を上げれば、神妙な顔と見合わせる形になって、小さく吹き出した)
ふは、目ん玉飛び出る金額にゃしねえから安心しな。友達割と初回割込みでよ。分割も構わねえ。
(今適当に作った割引だ。商売人としては失格の判を押されそうだが、そも復讐者相手のこの仕事は儲けを目的にしている訳ではないのだ)
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ゼキ・レヴニ 2023年5月7日
さて、その金額を割り出す為にまだ決めにゃいけねえ事があるぜ。
――柄の素材。最近だと軽くて強靭な合成素材なんかもあるが……お前さんの手に馴染みそうなのは木材かねえ。
希望の素材があれば教えてくれ。こっから選んでも、おれに任せてもいいぜ。
(棚からリングで留められた木材サンプルを取り出してカウンターに置いておき)
(自分はまた鉛筆を手に取り、図の横をコツコツと無意味に小突きながら何やら考えている)
………、素材が決まったら、ちっとおれから提案がある。聞いてくれるかい。
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ジズ・ユルドゥルム 2023年5月9日
(目が合ったら吹き出された。真顔が崩れる。)
す、すまない、変なことを言ったか?代金のことが気になってな。つい…。(目ん玉は飛び出ないと聞いて、あからさまに安堵した様子を見せながら。)
そんなに割引してくれるのか。君は優良な商いをしているんだな…。(素直に感心している。商売のしの字も分からない古代人は、割引と聞いただけで失格どころか優良の判を押した。)
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ジズ・ユルドゥルム 2023年5月9日
おや、君は木材も扱えるのか。それはありがたい。(てっきり現代の素材になると思っていた。感嘆の声を上げ、馴染みある素材を使ってもらえる感謝を伝えた。)
では、まず素材を見せてもらうよ。少し待っていてくれるか。

(ゼキが考え事をしている間、感触や重さを確かめながら、サンプルを1枚1枚めくっていく。)
(全て確認し終える前に、途中で手が止まる。見慣れた木目と感触を見つけたためだ。)
……提案?(サンプルに落としていた視線を上げて)もちろん構わないとも。聞かせて欲しい。

それと、素材はもう決まったよ。(サンプルを1枚、カウンターの上に提示した。「アカシア」の標札が貼られている。)
これがいいな。私の槍の柄と似ている。他の木材と比べて少し重いが、丈夫で手に馴染むんだ。
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ゼキ・レヴニ 2023年5月12日
……お前さんも実は生活厳しい系? なんてな。
まァギリ食ってけるぐらいは貰うけどよ、復讐者相手ならそんぐらいでいいのさ。
(飯の種なら一応他にもあるしよ、と。)

柄の加工ぐらいならできるよ。専門外んとこは、他の職人の知恵も借りてやってるぜ。
(提示されたサンプルを手にとって、木目に鋼の指を添わせ)
アカシアか。強い木材だ。――エジプトの方にも生える樹だったかね。
投げ斧にしちゃ重いが、そのかわり力強い仕上がりになりそうだ。
(図の横にアカシア、とメモ書きを。鉛筆をくるりと回して顔を上げ)

で、提案だが――
0

ゼキ・レヴニ 2023年5月12日
おれはこの斧を、もう少し『ジズらしく』したいと思ってる。
お前さんが求めてる原始的なシンプルさを損なわん程度に、な。

(もう一度図に視線を落とす。無駄のない野性的な形状には、黒狼の守護者への尊敬が感じられるが、それだけでは足りない。そこに重ねたいのは、かの男との戦いを乗り越え今も轍を刻み続ける、小さな集落の『守護者』の斧なのだ)
(また視線を上げて)

ひとつは、炎――斧刃を鍛える時に、ケレイの炎を借りたい。
ひとつは、図案。お前さんの故郷に伝わる縁起の良い図案があればどこかに入れたい。
もうひとつは使い勝手だ。投擲した後にケレイが掴んで戻せるよう、柄に紐を通せるようなつくりにしたい。

勿論、お前さんが使う斧だし、ほぼおれのワガママみてえな提案だからな。付け足しが余計であれば断っても全く構わねえ。
一番はお前さんにとって良い斧である事だ。気遣いはナシで頼むぜ。
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ジズ・ユルドゥルム 2023年5月15日
…給金を貰う習慣が無くてな。支給はされるんだが、大金を使う機会が無いからと、ほとんど返していたんだ。
(苦笑いしつつ、一度言葉を切る。)
(次いで聞こえて来た「ジズらしく」という語句に、聞き慣れない言葉だとでもいうように目を瞬かせた。そして挙げられる提案に聞き入っている。)

炎、図案、使い勝手か――。(少し考えて)

図案を入れるなら、羽根や翼だろうか。郷里では…鳥は最も高きを往く地の眷属…それに守り人の友として尊ばれていた。
それと、使い勝手だが…敵と対峙する時、ケレイは武器か私自身に憑依していることが多いんだ。だから投擲したあと手に戻すのは、
「斧自身」に飛んで戻って来てもらうつもりだよ。
私が斧の扱いをパラドクスにまで昇華できれば為せると思う。(鎮座する兜に視線を流す)
…素直にそうさせてくれるとは思えないが。御してみせるさ。

あとは、炎だな。…少し待ってくれないか。
(不意に、片手を虚空へ差し出す)
0

ジズ・ユルドゥルム 2023年5月15日
(片手の周囲の空気が陽炎のように揺らぐ。直後、心地のよい温熱とともに、手の甲の上に、夕焼け色の体躯を持つ鷹のジンが顕現していた。)
(現れたジンとしばし視線を交わす。少しの間のあと、ジンは「好きにしろ」とばかりに尾羽をこちらへ向けた。)
(向けられた尾羽のうち一本をおもむろに掴むと、ブチ!!と音がしそうな勢いで引き抜いた。
ジンは精霊なので実際音はしないし、普通の鳥のような痛みも無いが。)

斧刃を鍛える時、これを火に入れると良い。(抜きたてほやほやのジンの羽根を差し出した)大丈夫、触っても熱くないぞ。
0

ゼキ・レヴニ 2023年5月17日
給金を返すなんて、現代じゃよっぽどの聖人だぜ。
(もしくは変人? などと、くつりと笑った。)

(次いで語られた提案への答えに、時折鉛筆を動かしながら耳を傾け)
守り人の友……まさにお前さんとケレイじゃねえか。そういや相棒とは、故郷に居た時から一緒だったのかい?
(翼、羽根。図の横にメモ書きをしながら、ふいに気になった事を尋ねた。)
柄を彫り込むか……もしくは実物の羽飾りを付けてもいいかもな。

(投擲後の扱いについては成程と頷いて)
斧自身にか、そりゃ便利だ。それなら紐を通す必要はねえな。
(つられる様に兜を見遣り)
そうだな、ちょいと気難しいかも知らんが――
きっと大丈夫さ。お前さんが進み続ける限りは。

――? おお。(虚空に顕れた鷹のジンに目を瞬かせ)
0

ゼキ・レヴニ 2023年5月17日
(以心伝心な二人の様子に感心した直後、あんまりな尾羽根のブチリ具合に見てる方が一瞬イタッ!!て顔になった)
(ケレイ氏がなんともなさそうなので、気を取り直して尾羽根を受け取り、矯めつ眇めつ。夕焼け色の羽を揺らすと、周りの空気も靄のように揺らいだ)

火に焚べるのが勿体ねえほど立派な尾羽根だねえ。ありがとな、ケレイ。
(使わせて貰うぜ、とジンに礼を述べると、一旦兜の横に尾羽根を置き)
素材も火も縁がある物なら、より使い手に馴染む武器が作れる筈だ――これは理論的にどうこうじゃなく、あくまで直感、ジンクスみてえなモンだがよ。

――ってとこで、おれの方で聞けたい事は聞けたが、お前さんは大丈夫かね。
今の話だと製作期間は大体……(少し考えた後、図の横に日付を書き、丸で囲って)こんぐらい。金額は大雑把にだが……(考えながら電卓を弾き)このぐらいになるぜ。
支払いは完成品を渡す時に。問題ねえかい。
0

ジズ・ユルドゥルム 2023年5月21日
郷里での…守り人の務めには、報酬らしいものは無かったからな。貰う方が落ち着かないんだ。
(変人と思われているだろうなぁと、へらりと表情を緩ませる)

ああ。子供の頃から一緒だよ、彼女とは。
(手の上のジンに指先を甘噛みされている。なんとなく憮然とした表情からは、八つ当たりや抗議の感情が見て取れる。精霊には精霊なりに体積が減る不快さがあるのだろうか。)
(賛辞を受けたジンは、低い鳴き声で返事をしたあと、現れた時と同じように、羽ばたきとともに虚空へ消えた)
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ジズ・ユルドゥルム 2023年5月21日
ケレイの羽根に、アカシアの木、…それに…あの男の兜か。……。
(相棒の羽根と並んでいる仇敵の象徴に目をやった。名残惜しさは抱かないつもりだったが、兜の形でいるのを見るのは最後なのだと思うと、自然と手が伸びる。)
(長年、装備品として勤めたであろう兜を――あるいは、もう存在しない兜の主の魂をいたわるように、その表面を軽く撫でた。)

職人の――ましてや君の直感なら、理論を並べられるより遥かに信じられるさ。
(少しの揺らぎもない声で肯定しながら、兜から手を離す。表情からは未練も名残惜しさもきれいに消えていた。)

大丈夫だ。(頷きながら日にちを見て、肯定の意を示す。)
も……問題ない。問題ないとも。(電卓を見て若干まばたきが増えたものの、支払えそうな金額だった。これからはちゃんと貯蓄しようと内心決意しつつ。)

…ゼキ。改めて言わせてくれ。この話を受けてくれて、本当にありがとう。
どうお礼をしたらいいか…。
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ゼキ・レヴニ 2023年5月23日
長い付き合いなんだなァ。道理で息ぴったりなワケだ。
(”彼女”って事はレディだったのか……なんて言葉は、余計に機嫌を損ねる前に飲み込んで、去っていくケレイ氏を見送った。)

(君が兜に別れの挨拶を済ませる間、静かにその様子を見守っていた。例え兜のかたちはなくなろうとも、彼女の道程に消えない標として残り続けるのだろう。そんな予感に、微かに眼差しを和らげ)
――ありがとな。その信頼に足る仕事をするって約束するぜ。

(明らかに瞬きが増えた表情に、くつりと喉を鳴らしつつ)
オーケイ、そんじゃ取引成立。お前さんもこれで立派な新宿人だ!(ポン、と判を捺すようなジェスチャーをして見せ)
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ゼキ・レヴニ 2023年5月23日
(感謝の言葉には、いいってことよ、と掌をひらり)
礼は対価できちんと払うんだからよ、堂々としてりゃいいのさ。
それにおれは――お前さんの為に武器を作れる事が……その道すじに関われる事が光栄だからよ。
(あんまりストレートな尊敬を伝える気恥ずかしさに枯草色の髪をくしゃっと掻く。照れ隠しのように声を一段上げ)
話聞いてるうちにぐんぐん創作意欲が湧いてきちまって大変だ、さっそく設計に取り掛からねえと!
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ゼキ・レヴニ 2023年5月25日
(ひとつふたつ挨拶を交わし、店を後にする背中を見送って。さて、と腕まくりを)
そんじゃ何からはじめようかね、
(独り言ちて目線を落とし、)
……ま、あんたも協力してくれよ。その気はあるんだろ?
(兜は物言わず、何も答えず。歴戦の傷跡残る表面に、ただ鈍く光を返していた。)

【了/お付き合いに感謝を】
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