【日記】2023.1.31 奪う者
リオーネ・クア 2023年1月31日
俺に憑いている悪魔が、かつてTOKYOエゼキエルでどんな立場だったのかは知らない。
ただ彼(便宜上彼としておく)から漏れる意識より、碌でもないことをしていたのは知っている。
家族を襲い、一人を遺して喰らい、その一人の一番大切な存在の姿を借りて極限まで消耗させてから残りの一人も喰らっていたとか、恋人を襲い、片方を喰らいその姿を使って残った一人を……とか。
それを楽しく思う気持ちが、絆で結ばれている者同士を見たときに時折流れ込んでくる。
彩葉と共にいるときも、もちろん。
……だから俺は心を強くして、この悪魔をずっと制圧していなければならないと思っている。
そんな存在が他にいるとは思わなかった。いてほしくなかった。
だけどそんな存在によって死を迎えようとしているディアボロスがいるのならば、助けなければいけない。そんな責任感のようなものを抱いて、戦ってきた。
……全く想像していなかったわけではない。
けれど、実際に彩葉に成りすましたクロノヴェーダに心が揺らがなかったといえば嘘になる。だけどそれは一瞬だった。彩葉が俺を救ってくれるのは、俺が思いもしないような明るい言葉をかけて支えてくれるから。俺の心を読むだけでは、彩葉を模すことはできない。それに気付いて戦うことができた。
彩葉の姿をした者を傷つけるのが平気かと言ったら、そんなことは絶対にないけど、ないけど、惑わされて俺が倒れることのほうが俺にはできない。
絶対勝って、彩葉のもとへ帰る。それが、約束だから。
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