L'oiseau bleu.

Préface.

御縁・榊　2021年8月24日
💐ある日の花屋💐
其処には、ありとあらゆる花が咲いていた。
瑞々しく力に満ち溢れた花々は、鮮やかに、香り高く店頭に並んでは、つんとお澄まししてお客さまを待っている。
彼ら、彼女らはとてもお喋りだ。
日の入りから日が沈むまで、ぺちゃくちゃぺちゃくちゃ、見たもの聞いたもの、根っこが繋がった向こうの向こうまでを話し続ける。

君は植物たちの声を聴いたことがあるかい？
ない？そう、それはさぞ静かな世界だろうねぇ。

店主の男は穏やかに笑って、ゆったりと尾を揺らした。

🌸L'oiseau bleu.🌸
新宿の一角にあるお花屋さん。
花を咥えた青い鳥の看板が目印。
それなりの広さの店舗には、「俺の仕事は心の栄養を売る仕事だよ」と宣う植物系ドラゴニアンの店主と、アルバイト、配達員が存在する。
その裏に店舗から続くそれなりの広さの自宅があり、やたらと広い緑豊かな庭と温室、それらを囲む美しい薔薇の生垣がある。
一般人にとっては通常の花屋兼庭師だが、復讐者たち相手にのみ、植物であれば何でも、それこそ花から樹木、野菜、薬草毒草まで、ありとあらゆる植物を販売している。
貨幣経済がストップしている今は、物々交換や労働力、情報などを対価にしている。

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御縁・榊　2021年8月24日
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