【個別】朝焼けのアルビレオ
陽樹・春曲 2022年12月4日
『差出人:ユノ・メルヴィーネ
宛先:○○○@○○.com
件名:しんぱいかけてごめんなさい
明日の朝
初めて二人が出会った場所で
会ってお話がしたい』
少年の元に届いた一通のメール。
ここしばらく音沙汰無く消えた、家出した少女から届いた久々の言葉だった。
互いにきっと話したいことは沢山あるだろう。
早朝、まだ日の登らない薄暗い空の下、二人は再会を交わす――
※書き込み可能
#陽樹・春曲
#ユノ・メルヴィーネ
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陽樹・春曲 2022年12月4日
(12月初旬、午前5時頃――)
(黒のコートを羽織り、そっと住処であるライブハウスを離れて出かけ始めた)
(住み込みでやってきている後輩の少女を起こさないようにそっと静かに家を出れば、ある場所へとゆっくり歩き始めた)
陽樹・春曲 2022年12月4日
(すっかり一年の終わりが近づき、冬場の寒さが目立ち始めた)
(朝方であっても氷を直に触ったような冷え込んだ風が身体に刺さっていく)
(こんな寒さの中、彼女はどうしてるのだろうか、なんて少しだけ心配をよぎらせて、気づけば駆け足で目的の場所まで向かっていた)
陽樹・春曲 2022年12月4日
(しばらくして―――)
(彼女が指定してきたその場所へと、たどり着く)
……まさかまたこの場所に来るなんてな。
(彼女が指定した初めて出会った場所、そこは――)
陽樹・春曲 2022年12月4日
(まだ刻逆の被害が完全に復旧されていない、新宿島の一部の土地…多く建物の瓦礫が残る、「かつて新宿の居住区だった」跡地)
(『立入禁止』テープが張り巡らされたその場所は、刻逆以前に彼が住んでいた住処の一角でもあった)
陽樹・春曲 2022年12月4日
あれから皆が色々と取り戻してはきたけど…
まだこの辺りは完全に復興された、とはいかないか。
(今なおここで住んでいた人々は避難所や別の場所へと拠点を移して生活をした人もいれば、戻ってきていない人もいる)
(元々戦争なんてものに縁がなかった自分でも、この場所を見るたびに事件の悲惨さを思い知らされる)
(そんな跡地をこつこつ、と歩いていけば)
(その瓦礫の上に向けて)
(視線を上げた)
陽樹・春曲 2022年12月4日
……あ。
(無効票)
ユノ・メルヴィーネ 2022年12月4日
(すっかりガラクタとなった瓦礫の上で)
(一つの影が立っていた)
(白い翼を広げて、ゆっくりと降り立つように)
(神秘的に佇むそれは、まるで天から降りてきた天使の様で)
ユノ・メルヴィーネ 2022年12月4日
(……あ)
(誰かの何気ない一言で、その姿はぴん、と動いた)
(ふわりと振り向けば、そこにあったのは、いつも一緒に歩んでくれていた相方の姿で―――)
あ―――
ユノ・メルヴィーネ 2022年12月4日
――ハル。
来てくれたんだ、ね。
(久々の再会、久しぶりの彼の姿に、嬉しいはずなのに――)
(天使の表情は、少しまだ憂いが残っていた)
(無効票)
陽樹・春曲 2022年12月4日
……………
(久しぶりの――少女の姿を見て少しだけ安堵を感じつつも、普段見たことのない彼女の顔から、異変があったことをすぐに感じた)
…おう。
お前が――会いたいって言ってたからな。
陽樹・春曲 2022年12月4日
正直、聞きたいことは山ほどあるし。
お前に対して言いたいことも沢山ある。
勝手にいなくなったことに関してもな。
(そう思うと怒りもちょっとこみ上げてくる)
だが、それよりも…まぁ、そうだな。
…お前が無事で良かったよ
(無効票)
ユノ・メルヴィーネ 2022年12月4日
………
(彼の一言一言が胸に刺さる)
(勝手にいなくなったことに対して、きっと怒っているだろうか)
(自分が撒いた種ではあるが、やはりこの痛みは辛いものだ)
ユノ・メルヴィーネ 2022年12月4日
(だが…その後の彼の言葉を受けて)
―――……
(あぁ――)
(やっぱり、この人は)
ユノ・メルヴィーネ 2022年12月4日
…うん。
色々、あったけど…なんとかなった、かな。
ハルも…元気そうで良かった。
(無効票)
陽樹・春曲 2022年12月4日
ふん、心配なくともこの通りだよ。
…まぁ、勝手にいなくなった時は流石に驚いたがな。
(少しだけ悪態をつきつつ、彼女の横に近づいて)
…そんで。
一体どうしてこんな事したんだ?
明らかにあの花火大会以降からおかしかったってのはわかるけどよ。
(無効票)
ユノ・メルヴィーネ 2022年12月4日
(一体何があったのか、と問われれば少しだけ口を噤む)
(ここまで来てもまだ、少しだけその事を口に出すのが怖かった)
(それでも――)
…っ……
(すぅ、はぁ…)
(深く深呼吸をして、気持ちを落ち着かせた後――ゆっくりと少女は今までの経緯を話し出す)
ユノ・メルヴィーネ 2022年12月4日
…私の昔の記憶、元に戻ったの。
ハルと出会う前の…此処で最初に出会うより前の、昔の世界の記憶。
私がどんな人だったのか…
そしてどんな風に生まれたのか…
ようやく思い出した。
ユノ・メルヴィーネ 2022年12月4日
―――私の本当の名前は「MELVN-XX4」
ううん、本来名前なんてものは…最初からなかったの、かも。
私は元より普通の人間でもなくて…戦う兵器として造られたヒト。
私の声は色んな人を凶暴にさせる…
そうして国同士の戦争に勝つために生まれただけの…存在だった。
ユノ・メルヴィーネ 2022年12月4日
…ハルからしたら、きっと変なこと言ってるかもしれないし、私としても信じられないことだったけれど。
でも、あの花火大会で花火を見た後に…突然、昔のことがぱぁっと頭に入ってきて…。
思い出したら不思議と身体がそれを実感しちゃって…
そう考えたら急に自分のことが、怖くなった。
ユノ・メルヴィーネ 2022年12月4日
いつか自分も、あんな風に誰かを傷つけちゃうのかなって…
ハルやみんなが、怪我したりする姿は見たくない。
私の手で、誰かが傷つくのは見たくない…!
……そうなるのが怖くて、家を離れたの。
ユノ・メルヴィーネ 2022年12月4日
何も言わないまま、勝手にいなくなったことは……その、ごめんなさい。
(ゆっくりと、頭を下げる)
…でも…こんな話をしても、誰も信じないと…思った、から。
(無効票)
陽樹・春曲 2022年12月4日
(ただただ、彼女の話に耳を傾けた)
(今まで彼女は自分の話をしなかっただけに、いつも以上にその話は受け止めなきゃいけないと思っていたから)
(ひとしきり彼女が話し終わった後に、ゆっくりと息を吐いて)
陽樹・春曲 2022年12月4日
……そっか。
ようやく…記憶戻ったんだな。
(いつものようにぶっきらぼうながらも、優しさが残るような一言を返す)
お前がそうした考えの上で行動に移したってのは…よくわかったよ。
確かにこればっかりは俺じゃわからん問題だしな。
結局のところ、お前の昔の記憶の出どころだってこの新宿じゃない話だしな。
陽樹・春曲 2022年12月4日
――ただな、ユノ。
それでも、俺はこう言っておく。
(キッ、と彼女を見つめ、声を大にして)
俺達に…一言くらい相談しろよ!!!!!
陽樹・春曲 2022年12月4日
お前が勝手にいなくなったら、悲しむ奴だっているんだぞ。
俺も、お前を慕ってくれた奴もそうだ。
そんな奴らの気持ちや思い出を置き去りにしてまで…お前がそんな過去に囚われて抱え込む必要なんてねえだろ!!
…昔のお前は確かに、人を危険にするだけの存在だったかもしれん。
だけど今のお前は…俺が見る限り、ただ歌を歌う事が好きで、少しマイペースだけど人を楽しませてくれる…普通の女の子なんだよ。
陽樹・春曲 2022年12月4日
昔のお前がなんだろうが知った事か!
MELVN-XX4なんて仮称じみた名前じゃない、俺の知ってるお前は「ユノ」だ。
「ユノ・メルヴィーネ」ただ一人だけなんだよ!!
…お前がもしまた兵器に戻るってんなら、そん時はまた俺達の知ってるユノとして連れ戻してやる。
俺だけじゃない、俺以外の奴らも。
陽樹・春曲 2022年12月4日
…だから―――
帰ってこい、ユノ。
「俺達」の家に。
(演出終了)
ユノ・メルヴィーネ 2022年12月4日
(びくっと彼が吠える言葉に少し気圧されるも)
(その言葉の一つ一つが、優しさにつながっていた)
(思えば家出をして、此処に至るまで――彼女の中で、大事な人達が自身のことを思って言葉を投げかけてくれた)
ユノ・メルヴィーネ 2022年12月5日
―――『自分の弱い部分って、人になかなか話せない事だから。だから、怖くても、いえるよ。身近な大事な人たちにも。自分の事も信じてみて。』
―――『そなたが昔のようになったら、わらわがそなたを元に戻してやろうぞ。わらわが識ってるユノ姉さまに。そなたの手を引いて、暗澹たる海から掬い上げて救ってしんぜよう。』
―――『ただし、今回みたいに一人でなんとかしようとしないこと。
周りの人を、大切な人たちを……私を頼ってくれていいんです。ユノ様に傷つけられるほど、私……やわじゃないですよ?』
―――『だからこれも僕の我儘だ。少しだけ多めにお願いしちゃうけど。ユノちゃんも思ってほしい。僕たちのところに戻りたいって。』
ユノ・メルヴィーネ 2022年12月5日
(――戻りたい)
(みんなのいる あの場所に)
【ワタシハ タダノヘイキナノニ?】
(ううん、今はもう違う)
(『私』はもう――昔の『わたし』じゃない)
【ワタシハ キケンナソンザイ】
【イツカ ●●ス キケンナ――】
(――たとえそうだとしても。普通じゃなくても)
(みんなと並んで歩きたい――!)
ユノ・メルヴィーネ 2022年12月5日
(一筋)
(彼女の頬に涙を伝って)
っ…うん…!
私…!
ハルの…みんなの元に、帰る…!!!
(そのまま少年に駆け寄って)
(感情をぶつけるように、彼に抱きついた)
(演出終了)
陽樹・春曲 2022年12月5日
うっ…
(抱きついてきた少女をそっと正面から受け止めれば、あやすようにしてそっと受け止めて)
……あぁ、帰ろうぜ。
皆のいる日常にな。
陽樹・春曲 2022年12月5日
(建物も何もかもが崩れた跡地に、二つの影がぽつんと佇む)
(戻ってきた二人を祝福するかのように、空は明るさを帯びていく)
(長く暗い永夜を晴らす、朝焼けの陽に支えられるように歩む二人の姿は)
(まるでアルビレオのような眩い星の輝きを放っていた――)
陽樹・春曲 2022年12月5日
【〆】