未だ見慣れぬ不可思議の地にて
羽矢島・影房 2022年10月9日
新宿島某所、ワンルームマンション。
元々学生などの若年層向けに建てられたこの建物は、比較的セキュリティなどがしっかりしていることもあり、ディアボロス向けの提供住宅として活用されていた。
その中の一室に暮らす、奇縁で結ばれた2人の少女のある日の話。
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川津・いつか 2022年10月10日
こりゃこの時代の川津……ってか川の民はずいぶん仕事し易くなってんなって思ったんだけどさー。(と、そこで言葉を切る)
船頭に話を聞いたらさ、そもそも今の時代、「川は殆ど使われない」んだとさ。おれみたいなお上りに見せる時ぐらいで、あとはでっけえ“ひこうき”や“とらっく”の仕事なんだと。
羽矢島・影房 2022年10月10日
ふむ。あの機械の車は水運を駆逐するほどのものなのか……。この時代は兵站の戦略が全く変わるな。(ふむ、と小さく唸って)
……拙者の聞き齧りの知識でどうなるか。
川津・いつか 2022年10月10日
なー変わるよなー。(どこまで本気なんだか、という様子で同調して天を仰ぐような体勢)
だからまあ、ちっとばかし思ったのさ。「この時代、川の民はどう生きてきゃいいんだ」ってね。その「学校」とやらなら教えてくれんのかね? ……ま、忍びのおれには関係ない話だけどさ。
羽矢島・影房 2022年10月10日
……生き方、か。(遠い目をして)
川の民としての川津と、乱破としての川津。思えば拙者は上早曲のことはてんで知らなかったな。
川津・いつか 2022年10月10日
それを言ったらおれだって……
(「お姫様」の生き方なんて知らなかった、と言おうとして口を噤んだ)
……下早曲のことなんて他の連中から聞きかじったぐらいだよ。しかもどれどれの海魚がなんたらの地酒が美味いとか行かなきゃ味わえないもんを自慢してきやがる。
羽矢島・影房 2022年10月10日
……仲が良かったのだな、川津の者達も。
川津・いつか 2022年10月10日
……そりゃまあ「家族」だからな。舫(もやい)は血の繋がりより固いんだ。って言うか……そう言うお前のとこはどうだったんだよ?
川津・いつか 2022年11月26日
(――なんて話をしたのが数日前のこと。
あの後は結局、飯の時にあんま踏み込んだ話をするもんじゃない、ってお互い退いて終わったっけ)
(無効票)
川津・いつか 2022年11月26日
(子供連れの家族とすれ違ったからだろうか。そんな事を思い出して苦笑する。
今はどちらからともかく言い出した散策の時間だった。マンションからさほど離れていない河川敷。おれが好んで歩くルートだった)
そうそう、この前見つけたんだけどさ、この先に美味い鯛焼き屋があんだよ。……いや、てっきり本物の鯛が食えるのかと思ったんだけどな、おれ。
羽矢島・影房 2022年11月26日
流石に街中で鯛の丸焼きを出すのは難しかろう。(なんて、苦笑して)
ふむ。鯛焼きというと、確か何やら薄い皮で餡子を包んでいる……最中という菓子の類だったか。
川津・いつか 2022年11月26日
いやいや、この時代ならわかんねーぞ?
……まあ、実際菓子だったんだけどな。そうそう。皮はカリカリフワフワで。中も餡子だけじゃねえんだ。かすたーどくりーむとかちょこれーと? とか色々あるんだってよ。(言いながらも足は既にそちらへ向いている)
羽矢島・影房 2022年11月26日
相変わらず、食欲が旺盛なことで何よりだ。(などと言いながらも、こちらも楽しげに横に並んで歩きます)(甘いものはしっかり好きな少女なのです)
川津・いつか 2022年11月26日
この時代だとおれらぐらいの年齢は成長期って言うんだってよ? まあ、おれはいくら食べても成長しねえんだけどな!
(ヒルコジョーク。決して隣を歩く少女の身体の一部を当て擦っているわけではありません。たぶん)
おー、おっちゃーん。(また来たぜー、と鯛焼き屋の店主に手を振っている。既に顔馴染みらしかった)
羽矢島・影房 2022年11月26日
……どこを見ていっているのだ、どこを。(じとっとした視線で横を見て)
ヒルコといえど筋肉もつけば脂肪もつくのだろう、油断は大敵だぞ。(などと言いながら、顔馴染みらしい店主にぺこりと礼をとります)
川津・いつか 2022年11月26日
なーに食ったら食った分だけ泳げばいいんだよ。
(件の鯛焼き屋は入店する形式ではなく、道路に面した外側にカウンターがあるタイプのお店でした。メニューには先ほど挙げた以外にもずらりと色んな味が並べられています)
じゃあ今日は……この前は餡子だったかんな……よし、このかすたーどくりーむってのをくれ!
羽矢島・影房 2022年11月26日
まあ、それはわかるが。(この少女も、やはり鍛錬は欠かしていません……が、筋肉よりも、脂肪が一部部位につきがちでした。ふしぎふしぎ)
では、私は最中を食べるのが初めてゆえ、餡子でいただこうか。
川津・いつか 2022年11月26日
(やっぱ(元)お姫様は食ってるもんが違うのか……? という顔でその一部を見ている)
(ともあれ二人の注文に、愛想よく答えたおっちゃんは手際よく鯛焼きを作り始めます。程なくして二人の手元には注文通りの鯛焼きが手渡されるでしょう)
(無効票)
川津・いつか 2022年11月26日
はーやっぱ見事なもんだなあ。
(硝子越しに見えるその職人技に、感嘆の声を漏らして覗き込む。……傍から見ればできるのが待ちきれない子供のようにも見える)
羽矢島・影房 2022年11月26日
ほぅ……。このようにして焼き上げていくのか。ある種の芸術だな、これは。(料理には自信があるが、これはそうそう真似できない、というように)(いつかのすぐ隣に立って、興味深げに焼き上げる様子を眺めています)
川津・いつか 2022年11月26日
な、料理ってより鍛冶仕事みてえだ。
(そんな風にじっと見つめる二人の視線もなんのその。見事に鯛焼きを焼き上げたおっちゃん。二人には鯛焼きと、オマケに鯛焼きの「バリ」も袋詰めしてくれました)
お、ありがとな、おっちゃん! また来るよ!
(さて、このまま店の前で食べるのもいいが……もう少し先の公園にベンチがあんだよ。そっちに行こう、と歩き始めます)
羽矢島・影房 2022年11月26日
店主殿、感謝する。(ぺこりと頭を下げて、いつかに続いて足を運び)
オマケと言っておられたが、オマケというのはいったい……?
川津・いつか 2022年11月26日
(程なくして公園に到着。オマケの袋を開けてみれば)
お、これアレだな、鯛焼きから切り落としてたフチの部分。はは、煎餅みてえだ。
(鯛の形の焼き型からはみ出た状態で焼かれた生地。商品としての鯛焼きからは鋏等で切り落とされてしまいますが、これはこれでぱりぱりとしてて美味しいのです)
こっちは後でつまむとして……よっしゃ、あったかいうちに。
(がぶり、カスタードクリームがトロリ。熱っ)
羽矢島・影房 2022年11月26日
ほほう、なるほど。それでオマケということか……。(背筋を伸ばして椅子に腰掛け)
では。いただきます。(丁寧に合掌して)(はむ)
あふっ……はふはふ。ん、これは美味しいな……。
川津・いつか 2022年11月26日
だろー?(我が事のように得意げな顔)
このカスタードクリームってのも……ほふ。美味いな。餡子とは違った甘さで、あんま食べた事ない味だ。おれ、餡子より好きかも。
(その隣に腰かけながらじっくりと味わう)
羽矢島・影房 2022年11月26日
ふむ……カスタードクリーム……。(そわそわ)
川津・いつか 2022年11月26日
(やらねえぞ、と言いたいところでしたが……そうもあからさまにそわそわされてはそう無碍にもできません)
……あー、でも餡子も食いたくなってきたな。なあ、そっちの一口くれよ。
(言ってから答えが返る前にがぶり、とその手許にある鯛焼きに齧りつこうとするのでした)
羽矢島・影房 2022年11月26日
あ、こら、何をする。(などとは言いますが、特段の抵抗はせずそのまま食べさせて)
その分お主の物をくれねば割に合わんぞ。(半ば気遣いでそうしてくれたのもわかっているので、気持ちに甘えてそう言いました)
川津・いつか 2022年11月26日
(もぐもぐ)うん、どっちも美味い。と、悪い悪い。こっちのも食っていいからさ!
(そうして悪びれもせず笑いながら、自分の鯛焼きを差し出すのでした)
羽矢島・影房 2022年11月26日
(はむ、と食べると)
ん、ん……。これは……ん、すごく甘くて……濃厚で……とっても美味しいです!餡子とはまた違った美味しさで……。
(無効票)
羽矢島・影房 2022年11月26日
(はっ)
こほん。うむ、河津にも礼を言っておこう。
川津・いつか 2022年11月26日
どういたしまして。紹介した甲斐があるってもんだ。
……次はアレだな、チョコレートを試してみっか。チーズなんてのも気になるが。
(等と次回の来店に思いを馳せながら、しばしその場で歓談するのでした――)
(継続)
川津・いつか 2022年11月27日
(――そうしてふと、会話の途切れる瞬間がありました。
ペットボトルのお茶で喉を潤してから、ぽつりと)
……あのおっちゃんな、『刻逆』で家族を失ってるらしいんだわ。
(そう口にしたのでした)
羽矢島・影房 2022年11月27日
……そうか。(ぴく、と眉を動かすものの、表情を変えることなく頷いて)
心中痛み入る話ではあるが、この地に生きる者には珍しい話ではあるまい。
川津・いつか 2022年11月27日
まあなあ。むしろ失ってないヤツを探す方が難しいって話だ。
……おっちゃんの場合、仕事はここだけど住んでるのが相模の……今だと神奈川ってのか? の方だったらしくてな。んで、自分だけたまたま生き残っちまったと。
羽矢島・影房 2022年11月27日
なるほどな。たまたま生き残ってしまった、か。
この島は、そんな話ばかりだな。(静かにそう頷くのは、自分のことを重ね合わせているのでしょうか)
川津・いつか 2022年11月27日
運がいいんだか悪いんだか、ってな。
……おれ達はいいさ、なんせ「戦える」。けどおっちゃんは違った。今みてえに仕事できるようになるのもずいぶん時間が掛かったらしい。
羽矢島・影房 2022年11月27日
……それで?ならばお主は、彼らに何かをしてやりたいのか?
川津・いつか 2022年11月27日
はっ、そこまで傲慢でも善良でもねー。
……ただなあ、知っておくべきだと思ったんだよ。復讐者ってのがなんの為に戦ってるのか。
あー……忍びらしくねー。これじゃ親父殿にどやされちまう。
羽矢島・影房 2022年11月27日
そんなもの。(それは、あるいは疑問に思ってすらいるような色のある、淡々とした言葉で)
──奪われた早曲の為。その他に、何があるというのです。父の為。母の為、兄の為。祖先の為、臣民の為。敵手の為。
……その他に、戦う理由など、要りはしない。
川津・いつか 2022年11月27日
そりゃおれもそう思ってたさ。
お国の為、お家の為、主君の為、川津の為。
忍びにそれ以外の理由なんて要らなかった。
けど、今となっちゃあまりに世界が広がりすぎたんだよ。
復讐者なんてものになって、この時代に来て。
早曲国も、川の民もいずれ滅びるもんだと知っちまった。
……だったら取り戻す事に意味なんてあんのか? って考えちまったんだ。
羽矢島・影房 2022年11月27日
意味など。
(無効票)
羽矢島・影房 2022年11月27日
私は、それが許せない。それだけで十分ではありませんか?
川津・いつか 2022年11月27日
影房はつええなあ。
(笑う。嘲りではなく、苦々しくもなく、ただ純粋な感嘆を籠めて。
……きっと、こいつはあの国、あの時代を確かに愛していたのだ。
それは同時に、「危うい」とも感じられた)
……おれはそこまで強くなれねえからさ。
今はいい、けど「自分自身の怒り」だけじゃ戦えなくなる日がきっと来る。
だからさ、この時代の「川」について調べたり、人の話を聞いたりしてたんだよ。
繋がりってヤツが欲しかったのかもな。
羽矢島・影房 2022年11月27日
……よいのではありませんか。きっと、あなた様は、ひとのための方が力の出せる方なのでしょう。
(継続)
羽矢島・影房 2022年11月27日
……拙者とは、違うらしい。
川津・いつか 2022年11月27日
いやー、わかんねえぞ?
鬼みてえだった忍びがひょんなことからガキを拾って人の親になる事だってあるんだ。
この時代に贔屓の店の一つや二つ、できれば変わる事もあるかもしれねえ。
(わざと冗談めかして肩を竦める。この空気は終わりだとでも言うように)
羽矢島・影房 2022年11月27日
さて。贔屓の店ならできてきた気もするが……お主の食事を作っているのは誰だと思っているのだ。八百屋や食品店の店の者とは随分馴染み深くなってきたぞ。(くくっ、喉を鳴らして調子を合わせる)
川津・いつか 2022年11月27日
ははっ、そりゃそーだ。
んじゃあ今度はそっちの贔屓の店を紹介してくれよ。そろそろ買い足す頃だろ?
(よっと立ち上がる。飲み終えたペットボトルを丸めて自販機横のペットボトル用ゴミ箱にシュー!)
羽矢島・影房 2022年11月27日
おや、どういう風の吹き回しかな。よかろう、今日は買い出しに付き合ってもらうとするか。(なんて。微笑んで立ち上がるのでした)
川津・いつか 2022年11月27日
いや、これ以上野菜が増やされないように監視ってヤツをな……
(そう冗談なのか本気なのかわからない言葉を告げて。少なくとも今この時の二つ影は、連れ添って歩いてゆくのでした)