2:00 am
アザレア・クラン 2022年9月2日
𑁍܀
【自由】を前に途方に暮れていた。
𑁍܀
陽が沈み、夜が来て。
やっとこの身は放たれる。
でも。だから何だというのだろう。
この部屋にはほとんど何もない。
唯一無二の守るべき場所であることは
理解している。
だから、正しく鍵をかけて外に出る。
行く宛はない。
しばらく知らぬ道を歩いていると
ぱた、ぱた、 と雨が降り始めた。
特に気にしないつもりでいたけれど
ざざあ、と急速に雨足が強くなる。
少しだけ歩いてからその場凌ぎで潜ったのは
深夜も営業しているコーヒーショップだった。
𑁍܀
置型1:1(先着・どなたさまでも)
キリのいいところまで
または3週間以上沈黙で〆
場所:コーヒーショップ
時間:真夜中
天候:突然の雨
0
アザレア・クラン 2022年9月2日
……(夜から抜けると、明かりが途端に眩しくて。前髪の水滴を払う素振りで目を伏せた。)(店員らしき人物はカウンターの奥に見えたけれど、特に声はかけてこない。)(昼間はきっと、もっと賑わっているのだろう。そこそこ広い店だった。雨のカーテンが降りた外を窓越しに見ると、いくつかテラス席もある。)(客の姿は―――、)
アザレア・クラン 2022年9月9日
(――ない。時間帯のせいだろうか。自分以外の客は見当たらなかった。)……(お好きな席へどうぞ。)(と、遅れて接客の声が届く。小さく会釈を返し、窓際カウンター席の端に腰を下ろした。)(テーブルの上にはスティックシュガーとミルク、それに小さな瓶に生けられた小花。)
為叶・幸咲 2022年9月9日
(からん、とドアベルの音。)(耳障りの好い音とともに入店し、濡れた髪を掻き上げる。嗚呼、と零れ落ちた言葉は嘆息に染まり、髪よりも更に水気を含んだ外套を脱いだ。)あー……、急に雨なんて聞いてませんよ……。飯食いそこねましたし……。(やれやれ、肩を竦めて店内を進み、自然とひとりだけの客の隣まで歩いて行く。少ない客数。なれば固まっていた方が店員も対応しやすかろうという、善意故。)お隣、よろしいですか?(それでも礼節は弁えて、人畜無害な微笑を添えて先客に向かって問い掛けた。)
アザレア・クラン 2022年9月10日
(来客を告げるベル。音につられ流した視線が、男の姿を認める。重たく濡れたコート――恐らく、自分よりも遠い場所からやってきたのだろう。)
(その人が、直ぐ隣にやってきた。)……どうぞ。(微笑み返す懐っこさは持ち合わせておらず、静かな声で応える。愛嬌はない。けれど、警戒心もない。)(メニューは等間隔に設置されており、2人の席の間に、ちょうど一つ置かれている。)
為叶・幸咲 2022年9月10日
どうもー。(了承を得られるなり笑みを深くし、あまりにも軽い礼を告げて。)(彼女の言葉の"味"からして、どうやら過度な拒絶はされていないと見受けたから。)
(重く沈むコートを背凭れに掛け、椅子に座っては足を組む。長い銀髪を肩から払いつつ、メニューをちらと視界に入れた。)こんな深夜でもオープンしている店が在って僥倖でしたよ。貴方も雨宿りですか?あ、それとも常連さん?(正しく雨水の如く軽快に話しかけつつも、視線はメニューへ移ろいゆき。羅列された珈琲の銘柄。さて、果たしてどれがいいのやら。)
アザレア・クラン 2022年9月10日
(相槌と同じほどの軽さで向けられた礼に、受け取り慣れていない様子でぎこちなく頷きを返す。)(その後は、窓外の雨を眺めるように遠く眼差しを伸ばして。)
……いや。此処へは初めて来た。外を歩いていたら、突然雨が降ってきて、…それで。(夜の雨雲を見上ぐ。…しばらく止みそうにない。)(言葉から、相手もこの店を利用するのは初めてだと読み取れた。メニューを見る横顔に目を向け、)……珈琲、好き?
為叶・幸咲 2022年9月11日
嗚呼、それじゃあハジメテ同士ですね。お揃いです。緊張しちゃいますね。(意味も意志も伴わない、小気味好いだけの形だけの返事を転がし。それでも人と会話をすることそのものが満ち足りるが故に、店内の空気を乱さぬ程度に上機嫌を演出して。)
ん?ええ、嫌いではありませんよ。でも然程詳しい訳でもなくて。オススメがありましたら、ご教授いただけません?(不意に横顔に感じた視線にこちらもまた顔を向け、月の光さえ内包する深い深い夜色の瞳に微笑み掛けて)
アザレア・クラン 2022年9月13日
………(リズム良く告げられる馴れ合いの言葉。聞いたことのない、かけられたことのない、不思議な言葉の羅列。)(初めて同士。……緊張?) (うまく共感に繋がらず、返すべき反応も思い付かない。)(結果的に流したように見えたかもしれないけれど。居心地の悪さは感じていない様子で、)(その証拠に、静かに会話は続いていく。)
……いや。私も、一度しか飲んだことがない。それに、とても苦かった。…と思う。だから、……何か頼むべきだろうし、教えてもらえたら、と。
為叶・幸咲 2022年9月14日
(たとえ返ってくる言葉がなくとも、たとえば一言さえも続かなかったとしても、勝手に話を進めるだろう。言葉をとめることは、呼吸をとめるも同意義だから。)(むしろ穏やかな夜に相応しい彼女の音色は心地よく、眼鏡の奥の瞳は和らいだ。)
ふむ、苦いのはお好みでないご様子。それではカフェオレはいかがです?ミルクたっぷりにしてもらって……、
(と、そこで一度首を傾げて。)(んー、…。)(思案してからメニューをとんとんと指先でつついた。)
……珈琲、飲み慣れてないのでしたら、眠れなくなりません?
(こんな深夜に。そう告げる表情は、少しばかり心配そう。)
アザレア・クラン 2022年9月14日
……カフェオレ。(小気味いい音を奏でる指先。テーブル上のメニュー。眼鏡の奥と順々に見詰め、)(すぐにはわからなかったけれど。自身が正常とは異なることを再確認して、問いの意図を噛み合わせる。)
……嗚呼。その心配は、ない。私は朝に眠り、夜に起きるから。(一瞬、彼の表情が空と同じく曇ったように見え、不思議そうに目線で伺い。)……おまえこそ。眠れなくなってしまってもいいの?(――それとも、慣れているのだろうか。)
為叶・幸咲 2022年9月15日
(さも此方が不可思議な発言をしたかのごとく、一瞬だけ訪れた沈黙の隙間。)(二の句を続けようとしたところ、どうやら彼女の中で何事か納得したようで。意図が伝わったことに安堵しつつ、素直な彼女に笑いかけた。)
それはそれは。夜更かしさんですね、ワルイコです。
(子供を嗜めるような台詞も、常通りの微笑みに内包していとも容易く和らげて。)(逆に問い掛けられてしまえば、今度は此方が困る番。)
私はワルイオトナなので、夜遊びしてるんです。
(ナイショですよ、なんて。人差し指を唇に添えて、shh……――。)
アザレア・クラン 2022年9月16日
わるいこ。(また、反芻した。ただ繰り返すというより、学ぶ為にも。)じゃあ―――(立てられた人差し指。その意味は理解している。静かな声は一際ひそめられ、心なしか男のほうへ身を寄せた。)(秘密を共有する前動作にも似た、)
……ワルイコ同士だ、互いに。悪い子は、こんな真夜中に、何をする?
教えて。私の知らない、夜の過ごし方。
(黒は深く、心は読み取りにくい。一見【無】で。だけど、奥に好奇心が煌めいた。月の光を浴びた貝殻のように。)
為叶・幸咲 2022年9月17日
(少しばかり寄せられた淡く細い少女の身体を、受け止めるでも拒絶するでもなく穏やかに見遣り。)(次いで灯されたイタズラな言葉には、思わず数度瞬いた。)(瞬きの沈黙の後、クス、と小さく吹き出して。)
ええ、そうですねぇ。
それじゃあイケナイコトを、シましょうか――…?
(深い深い夜の闇。秘められたのは波打ち際の光る砂。)(その瞳から読み取ることはそれはそれは難しい、けれど。その"言葉"にはしっかりと、"甘さ"を感じたから。)
(妖艶に、艶めいた言葉を捧げて、吐息を零し、)
すみませーん。このすげー甘そうなパフェひとつくださーい。
(店員にさくっと注文した。)
アザレア・クラン 2022年9月20日
……………ぱ、ふぇ?
(何を明確に期待したわけでもない。女はずっと独りで長すぎる夜を幾たびも過ごしているのに、時間の潰し方をあまりに知らなさすぎた。他者に、自分以外の誰かに尋ねれば、何か違う答えが手に入ると思ったのだ。)(然し、彼の口から飛び出した単語も知らないものだった。)
(瞬きひとつ、ふたつ。) その、ぱふぇというものを。夜に食べるのは、いけないことなのか?
為叶・幸咲 2022年9月22日
はい、パフェです。
(にっこり笑う顔は、あくまで人の好さそうな誠実ささえ醸している。胡散臭いと評す人間が多いのも頷けるほどのあっけらかんとした軽い言葉は、ころころと転がって少女に向かう。)
そうです。それはもうイケナイコトですよ。
ふわふわのスポンジにひたひたのシロップ、ジューシィな果実がたっぷりの生クリームに包まれたスイーツをこのような時間に接種するのはイケナイコトです。
(謎の力説してみせたが、実際のところ自分でもその実感は皆無。)(だって、栄養もカロリーも普通の食事からは得られないし。)(とはいえ極々一般的かつ普遍的な事実として、通説は罷り通るだろうと宣った。)
誰も咎めてくれないオトナだけの、ワルイアソビですよ。
アザレア・クラン 2022年9月26日
(よく笑う人だ、と思った。人と同等に接する機会がなかった立場では、それ以上の違和感を感じ取れない。少なくとも、現時点では。)
成程。その口振りからして、おまえは既に経験済みなのだろうか。恐らく私は、それを口にしたことがないと思う。……多分、見たことも。(肩越しに、厨房方面を振り返るように目線を送る。どんなものが、どんな形で出てくるのか、想像もつかない。)悪いことのはずなのに、誰にも咎められないなんて。
嗚呼、……そういうのは【贅沢】と呼ぶのだったっけ。(聞き齧った程度の知識に当て嵌めてみる。)
為叶・幸咲 2022年9月27日
浮世離れしている印象はありましたが、あまりそういった嗜好はないんですねぇ。
(指先を自身の顎に添え、考える仕草。まじまじと観察するのは悪かろうと視線こそ投げなかったが、それでも不思議そうな声色で。)
おや、贅沢という言葉はご存知なんですね。正解です、よく出来ました。
(まるで子供を諭すいい大人のように、正当なる評価で認可する。やがて目の前に置かれた、ふわふわのパフェ。サイズはそう大きくないが、確かにこれは甘そうだ。)(2つ並べられた長いスプーンをひとつ手に取り、少女に向かって差し出した。)
では、初体験しましょうか。お口に合うといいんですけれど。
アザレア・クラン 2022年10月1日
嗜好……というものが確立していないのかもしれない。(自身を語るにしては客観的に。他人を語るみたいに自信なさげに。)
ありがとう。おかげで、また一つ賢くなれた気がする。(よく出来た――通常子供に向ける言葉だったとしても、十分な一言。認められるということは、おおごとだから。)
……(見たことのない不思議な形のスプーンを受け取る。華奢な銀色。空を掬う仕草で動作確認。それから、) いただきます。(一番上の、白い生クリームを少量掬い取った。そのまま、口に運ぶ。)
為叶・幸咲 2022年10月3日
確立、ですか。難しく考えちゃうんですね。
適当でいいんですよ、好きとか嫌いとか。大体の直感で。
(あっけらかんと話す自分の言葉はきっと軽すぎるだろうけれど、それ以上の重みを持つ思考回路を持たないものだから。単刀直入に転がす言葉しか、生憎持ち合わせていないもので。)
ええ、どういたしましてー。賢くなっちゃいましたね。新たな知識は美味しいですね。
(うんうん、と相手よりも余程納得したように頷いて。)
(そうして渡した銀のカトラリー。その行く末を眺めていく。頬杖をつき、半身を少女の方へ向けて。凝視とまでは言わないが、それでも好奇心で何となくその仕草を眺めていた。)
……お味は?
アザレア・クラン 2022年10月18日
…………(好き。嫌い。)(それぞれ定義を理解はしているつもりでも。心に落とし込むのとは話が別。)(薄く伏せていた眼差しは暫しそのまま、舌に乗せた甘味――一瞬で溶けて消えるそれを。味を、感覚が追いかける。)………、 甘い。(感想をひとつ、)……好き。だと、思う。これは。(嫌いではないのは、確か。必ずしも二択ではないが、スプーンを持つ手を進めたくなったということは、そういうこと。)(という、自己分析。辿り着いた答えに、間違いがないことを確認し、やっと。男のほうを見つめ返した。)
おまえも。食べてみて。
為叶・幸咲 2022年10月20日
(甘い。好き。…だと思う。らしい。)(率直なれども曖昧な返答に、一瞬虚を突かれたが小さく息を零して笑った。うつろな表情、存在、どれもまさしく少女そのものだったのだと改めて認識したから。)
(何やら考えているのか、それともその甘味を噛み締めているのか。こちらからはよくわからないが、何となく観察を続けていた。)(続けていた、が。)
……え。あ、私ですか?私は大丈夫ですよ。
イケナイコトを教えてあげたんですから、たっぷり堪能してください。
(そう。だって。自分にとっては、少女から零れるその"言葉"こそが。甘く、美味いものなのだから。)
アザレア・クラン 2022年11月1日
なぜ?(間も空けず、素直に疑問を述べる。並んで置かれたはずの、今は置いてけぼりの一本のスプーン。)いけないことはしない主義?(目の前の男は生真面目説を提唱。)(――してみるけれど、正直そうは見えない。確信めいたものはなく、これまでの言動を踏まえ勘に基づいた判断。なら、)……甘いものは好きじゃない?(理由がわからず首を傾ぐ。不思議だ。夜分遅くに甘いものを食す魅力を、あんな風に語っていたのに。)
(答えを待つ間に、シロップがかかったバニラアイスを掬った。)
為叶・幸咲 2022年11月3日
うお。ここに来て素早いレスポンス。
(間髪入れず提示された疑問符に、困ったように、あるいは誤魔化すように冗談めかして肩を竦めた。)(わずかの思考が挟まったことを察してから、うーん、とこちらも考えて髪を掻き上げる。)
いえ、嫌いじゃありませんよ。先ほど言った通り、美味しいと思います。
ただ私ってほら、サキュバスですから。あんまり満たされないんですよね、普通の食べ物って。
(真実のみを語りつつ、異能については説明も理解もお互い大変だろうとあえて伏せてみる。通用するかはわからないが、言葉はぺらぺらと口から紡いだ。)
貴方が美味しそうに召し上がるのを見る方が好きですよ?
(へら、と笑う唇は、確かに真実しか語らない。)
アザレア・クラン 2022年11月7日
(男が言葉に詰まろうが、唸ろうが、視線はひとたびも外さない。求める解が返るまで、只管に。)……普通の食べ物では、満たされない?(サキュバス。新宿島に来てから渡された手引書で知った種族のひとつ。然し、出会うのははじめて。)……無知ですまない。サキュバスは、何を食べれば―― 今の私のように、心から美味しいと思えるのだろうか。今、此処にはないもの?(思考し、言葉に変換するまで掛かった時間でスプーン上のアイスは液体と化した。)(構わず食す。)(そして、また返事を待つ。)
為叶・幸咲 2022年11月7日
(無知、というよりもそれはきっと、無垢、というもの。黒い少女があまりにも真っ白だから、思わず、)
……。
(人差し指を、そっと。自分の唇に添えて。微笑み、)(Shh...)
いやー、それにしても心から美味しいと思っているんですねぇ。それは何より何より。
淡々とクールでいらっしゃるのでちょっぴり不安でした。
(けらけらと一転して軽い調子で笑ってみせて。このままではアイスどころか生クリームさえ溶けてしまいそうだとパフェを示してやり。)
ほらほら、早く食べないと溶けちゃいますよ。美味しいモノ。
アザレア・クラン 2022年11月29日
(多くを知らなくとも。空気を伝い、何かを感じ取ることはある。それに名を付けることや、型に当て嵌めることまではできなくても。)(つまり、あまり訊いては良くないことを口にした。と、遅れて悟る。)……死なない程度に。最低限、与えられる食事しか、なかったから。(過去の境遇を簡潔に述べ、)クール……なのか?他人と話すことに慣れていない。不快にさせてなければいいのだけれど。……お前は、慣れていそうだ。よく話すし、よく笑うし。冗談も、嘘も、なんなく扱えそう。(促されるままに。小さなスプーンは次々と溶けかけのアイスもクリームも掬っていく。)
為叶・幸咲 2022年12月6日
(どうやら沈黙の花を促す仕草は成功したようで。気遣い、では無いだろうが、それでも配慮らしきものは感じられた。)(そうして述べられた次の言葉は、自分にとってはそこそこに衝撃的で。しかしこれまでの様子を顧みれば、成る程確かに彼女はそういう生活をしてきたに違いないだろう。)
不快ではありませんよ?貴方の真っ直ぐな言葉は美味しいです。
嘘は美味しくありませんから、私はあまり好みませんねぇ。
(器用にスプーンを扱う姿を見て、どうやら動作に対する飲み込みは早いようだと観察する。幼い子供の面倒を見ているようで、なんだか擽ったささえ感じられた。)
それじゃ、これからたくさんの"美味しい"を見つけないといけませんね。
最低限の栄養摂取ではなくて、娯楽としての味覚体験はいいものですよ。