【個】ある出会いの話、或いは路上での掃除機の不便さ
御掃除・すいすい 2021年8月21日
時は始業式、その数時間前まで遡る。
青のクラスを統べることとなる蒼海番長、竜城・陸は路上でサキュバスを拾った。
よりわかりやすく言うならば、弱った元ロボット掃除機のサキュバスを拾ったのだ。
これはそんな、番長と掃除機の出会いのお話。
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御掃除・すいすい 2021年8月21日
(ぱたり、と路上で何かが倒れる音がした。それはサキュバスが倒れた音だった。より正確に述べるならば、刻逆によりメイド服姿のサキュバスとなったロボット掃除機が自らの購入者が帰ってこないがために精神エネルギー不足となり本能的に家を出て周囲を彷徨うも、ついぞ彼らを見つけることができずに消耗して倒れた音だった。字で表すとばたり、となる。)
御掃除・すいすい 2021年8月21日
(倒れ伏し、か弱い声で掃除機は言葉を紡いだ。充電切れかけのハンディ掃除機の「弱」ぐらい弱々しい音だった)……坊ちゃま。
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竜城・陸 2021年8月21日
(それは当然、路上で突如人が倒れれば、普通の人間であれば駈け寄るものである。身の丈に有り余る以上の魔力を『刻逆』の影響によって詰め込まれてしまった今の身体にはまだ慣れ切っておらず、最初の数歩はうっかりアスファルトを削ってしまったが、今はそちらよりも人命の方がよほど重要である)
竜城・陸 2021年8月21日
(すぐそばまでやってきて、屈み込む。呼吸はしている……というか今さっき何か呟いていた。意識はあるだろう)……大丈夫? どうしたの、具合が悪い?
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御掃除・すいすい 2021年8月21日
(サキュバスが活動するには精神エネルギーが必要だ。だが、突然サキュバスになった掃除機にそんなことがわかるはずもない。それでも、『自身の稼働に必要なものが枯渇している』という感覚は理解できる。ゆえにその掃除機は自身が認識している言葉でもって必要なことを表現した)
……充電。充電が、必要です。
(無効票)
竜城・陸 2021年8月21日
(耳をそばだてて、聴く。…………聞いて、)
……充電??
(当然、首を傾げた。)
(それが、電気とやらで動く物体において、稼働の為のエネルギーを蓄積するための手段だ、ということくらいは知っている。問題は、目の前に倒れた彼女には、どこをどう見ても「電気で動く物体」――機械の特徴が見受けられないことである)
竜城・陸 2021年8月21日
…………えーと。
(言葉通りの意味を示すものか? あるいは、何らかの暗喩であろうか? 思考を走らせつつ、)
……俺に何かできることはある?
(とはいえ、答えがわかるのは相手だけである。とりあえず、そのように問いかけた)
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御掃除・すいすい 2021年8月21日
(倒れ伏しながら、掃除機は目線を男性の顔へと向けた。旦那様でも坊っちゃんでもない。そもそもここはドッグがある家でもない。充電する手段はない。掃除機がただのロボット掃除機であったならば、の話だが)
御掃除・すいすい 2021年8月21日
(掃除機はゆっくりと身体を起こした。緩慢な動作で、両手を広げた。掃除機として充電できないならば、必然方法は一つしかない。掃除機はただのロボット掃除機ではなく、元ロボット掃除機のサキュバスだった。形成されたばかりの希薄な自我の中、サキュバスの本能が、そしてかつて坊っちゃんがふかふかした生き物に対してしていたことを見ていた記憶が掃除機──彼女にそうさせた)
……抱っこしてください。
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竜城・陸 2021年8月21日
(――笑顔のまま少年は首を傾げた。聞き間違いかな、みたいな顔だった)
(だがどう考えてもそれ以外に該当する単語は見当たらなかった)
竜城・陸 2021年8月21日
(しかし、さて。目の前の少女の推定年齢からして若干言葉選びが幼く思えはするものの、よく考えれば状況的になんら不自然な点はない。路上で倒れる程に消耗しており、自力では立つことも難しい状況であれば、移動に他者の援けを要するのは必然の事であろう)
(そして、以前ならいざ知らず――今ならそれが、当たり前のように可能である)
竜城・陸 2021年8月21日
わかったよ、それじゃあ失礼して――動かないでね。
(とはいえ人を抱きかかえるのは初めてのことである。失礼がないかだいぶ不安だが――)
(などとも言っていられないので逡巡より先に行動に移した。ことによっては少女のそれより細いかも知れない腕で、軽々と彼女を抱き上げる。体格的にどう頑張っても普通に抱えることは難しいので、必然的に横抱きの姿勢になる。お姫様抱っこというやつだった)
…………えーと。
それで、ええと。どこかに運べばいい、のかな?
(そういうことだと思っている)
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御掃除・すいすい 2021年8月21日
(抵抗することなく抱えあげられる。まるで坊っちゃんに持ち上げられたときのような感覚。そのときと異なるのは、自身も掴まらないとやや安定性に欠けるということだ。そもそも当時は腕などなかったのだが。男性の首に掴まるように腕を通そうとする)
御掃除・すいすい 2021年8月21日
(そして掃除機は、自身に何かが貯まっていくのを感じた。それは活力とでも言うべきだろうか。まるで充電されているときのように、身体を動かすための力がほんの少しずつ増えていく。サキュバスは精神エネルギーを糧として活動する。精神エネルギーとは感情が喜びへと移ろったとき、感情が揺らいだとき、良い御掃除を見たとき[要出典]などに発生すると言われている。別に喜びを感じたわけではない男性の心の揺らぎは極々わずかであったが……抱きかかえられた状態は、精神エネルギーを吸引するにはおあつらえ向きだった。掃除機は掃除機であり、当然吸引は専門家であるからだ)
御掃除・すいすい 2021年8月21日
……いえ、大丈夫です。少し、このままでお願いします。
(どこかに運ぶという男性の言葉にゆっくりと首を横に振る。家に帰ればドッグで充電できるかもしれない。だが、彷徨い歩いた掃除機が自ら辿った道順を把握しているはずもない。……もう、家の場所はわからない。帰ることは、できない。)
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竜城・陸 2021年8月21日
(――少女の腕が首にかかったのにはさすがに、眼鏡の向こう側の瞳が二度ほど瞬いた)
(いや、落ちないようにするのは当たり前のことではあるので別段何かその行為自体に問題はないのだが)
(正直言ってこの竜人の少年は人慣れしているとは言いがたく――もっと言うなら全く人肌慣れしておらず)
(…………距離が近い)
(なんてことに多少、動揺を覚える程度には、少年であるし)
(長い髪が綺麗だな、なんて思う程度には、男子である)
竜城・陸 2021年8月21日
えっ???
(そして続いた言葉にはさすがに動揺の言葉が出たのもさもありなん)
(このままで???)(いやよくはないと思うんだけど)(とは、他でもない本人が肯定しているので言わなかったが)
…………、その、家とか。
送り届けてあげることくらいは、出来ると思うけれど。一応、見かけによらず、体力はあるし。
(でもちょっと遠回しにそんなことは言った)
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御掃除・すいすい 2021年8月21日
……家の場所、わかりませんので。ですから、このままで(気持ちエネルギー吸引のペースが高まった気がした。だが、さすがにほぼ空っぽの状態から動けるまで回復するにはまだ足りていない。意識してかせずか、尻尾がふりふりと揺れた。ふりふりすいすいだった)
(無効票)
竜城・陸 2021年8月21日
家の場所がわからない?
(迷子、というやつだろうか――身なりからすれば、大きな家に仕えていた、といったところだろうか)
(この新宿島内で、残存している大きめの家屋、ということなら、探せなくもなさそうではあるけれど――)
…………。
(――けれど、問いを重ねられなかったのは、)
(視界の端で、揺れた尾が見えたから。――新宿島にいる異種族、ということは、“復讐者”だ)
(であれば、もし、新宿島外であったなら、……という可能性も、当然ある、ということに思い至ったからで)
竜城・陸 2021年8月21日
(思考を巡らせているうちになんとなく心臓の音も落ち着いてきた気がする。気のせいかもしれないがそういうことにしておいた)
(さて、しかし、どうしたものか。住む家がないかも知れない、“復讐者”で――動けなくて――でもずっとこのままでいるのは色々とまずいということくらいは新宿島の常識に疎い自分にも明々白々の事であって――色々とまずいと思っている時点で全然落ち着いていないのだが――いやそれは枝葉の話だ、自分のことはいいとりあえず彼女のことを)
(――――いや、“復讐者”?)
竜城・陸 2021年8月21日
……ええと。
帰る家がわからない、んだっけ。行く当てとかは、ある?
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御掃除・すいすい 2021年8月21日
(男性の問に、ふるふると首を横に振った)
ありません。今まで、起動してからは家から出たこともありませんでしたから。
坊っちゃんや奥様、旦那様がどこかに避難していたとしても、その場所もわかりませんし。
(そう。三人とも、いつも帰ってくる時間に帰ってこなかった。掃除機は彼らがどこに行っているのかを知らない。『会社』『学校』。そんな名前の場所に行っているということは知っていても、それがどこにあるどんなものなのかを知らない)
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竜城・陸 2021年8月21日
…………。
(やや違和感はあった。住み込みのメイドだとしても、周辺の地理に全く明るくない、というわけは、ないだろうし)
(雇主の職場くらいは、知っていたっておかしくはないし――)
(いや、彼女がそう言うなら、そうなのだろうけれど)
竜城・陸 2021年8月21日
(少しだけ、言葉を探すように口を閉ざした)
(帰ってこないということは、なんて、そんな可能性を突き付けるつもりにも、なれなかったし)
(とはいえ、彼女が“復讐者”である限り。いつかは知ることになるのだけれど――まあ、ともあれ、だ)
……そうだな、それじゃあ。
ご家族が帰ってくるまで、当座の間、身を置く場所の提案があるのだけれど。
竜城・陸 2021年8月21日
――――君、学園に通うつもりは、ない?
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御掃除・すいすい 2021年8月21日
……学園、ですか?(学園。掃除機の知らない言葉だ。それが坊っちゃんの通っていた『学校』に近しい言葉だということも、今の掃除機にはわからない。まったくの未知への勧誘だった)
御掃除・すいすい 2021年8月21日
はい、そうしてみます(だが、掃除機は頷いた。ずっとこのままこうしているわけにもいかないし、帰るところもないのではいずれ待っているのは再びのエネルギー切れだということぐらい掃除機も理解している。ああ、だが。それ以上に)
御掃除・すいすい 2021年8月21日
学園というものが何か、私にはわかりません。坊っちゃんたちが帰ってこない理由も、なぜ私が奥様たちのような姿になっているのかも、わかりません。なぜなのか、知りたいんです。だから、行きます。学園に(初めて自身の手足で動くという驚き。未知なる外界との接触。はじめて出会った、奥様たち以外の存在。彼女はそれらを、そしてもっと沢山の知らないことを知りたいと、そう願った)
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竜城・陸 2021年8月21日
そう、学園……君の「坊っちゃん」の通っている、学校、に似ているかな。本来的には、色々なことを学ぶところだ。
といっても、大規模な災害めいた事態の後だから……各自のできる範囲で、復興の手助けだとか、食糧支援だとか、そういうこともしている。
同じような境遇の子たちばかりだから、待っている間も寂しくは、ないと思うし――何かしていたほうが、気が紛れるだろうから、
竜城・陸 2021年8月21日
(なんて、説明をしつつ、――存外に迷いのない返答には、少しばかり、目を瞬いたりは、したものの)
――そう、だね。知ろうと思えることは、いいことだ。
じゃあ、……このままで、とは、言われたけれど。予定を変更して、学園までご一緒願っても?
いや、まあ、入学を許可する権利は俺にはないから、最終的な身の振り方は、生徒会長と話して決めることになるけれど。
…………
竜城・陸 2021年8月21日
……と。そうだ。
俺は陸、……竜城陸。好きなように読んでくれていいよ。
差し支えなければ、君の名前を聞いてもいいかな?
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御掃除・すいすい 2021年8月21日
学校と、似ている……。
(似ている、ということは同じではないということ。きっと坊っちゃんは『学校』に行っていたのであって『学園』いるわけではないのだろう。それでも、坊っちゃんが行っていた場所と似ている場所に行けるということは、掃除機にとってより興味を惹かれることだった)
復興の手助けに、食糧支援。……御掃除は、できますか?(何かしていた方が気が紛れる。掃除機に取って、何かすると言われればそれは掃除に他ならない。掃除機は、そのために生まれてきたのだから)
御掃除・すいすい 2021年8月21日
わかりました。生徒会長という人と、話します(こくり、と素直に頷いて)
陸。竜城陸。陸様、ですね。……私の、名前?
(名前と言うのは、どのように呼ばれるのか、ということだ。掃除機である以上、品名というものがある。だが、それは名前ではない。奥様や旦那様、坊ちゃまは掃除機をそのようには呼ばなかった)
御掃除・すいすい 2021年8月21日
『すいすいとお掃除してくれて助かるわぁ』
『しゅいしゅい?』
『すいすい。そうだな、止まったりせずにぴゅーって動くってことだよ』
『すいすい! すいすい!』
『そう、すいすい。こらこら、叩いちゃメッだぞー』
(掃除機の脳裏に浮かんだのは、まだ坊っちゃんが小さかったころの記憶。坊っちゃんが私の上に乗れないぐらいには大きくなって、言葉も少しずつ覚えてきた時期。坊っちゃんは私のことをすいすいと、そう呼んでいた。奥様は御掃除をすいすいしてくれて助かると言っていた。旦那様は食べていた『おつまみ』を落として私に吸われて少し悲しそうだった)
……すいすいです。私の名前は御掃除・すいすいです。
(無効票)
竜城・陸 2021年8月21日
掃除? ……ああ、まあ、学校内は掃除する箇所には事欠かないと思うよ。噂では百人以上も入学者がいるらしいから……毎日掃除のしがいはあると思う。
(様、にはちょっと苦笑したけれど)(好きに呼んでいいと言ったのはそもそも自分であるから、特に何も言わず)そう、名前、…………
竜城・陸 2021年8月21日
…………???
(たぶん今日イチ変な顔をしていた、と思う)
(あるいは彼女の来歴をこの男が正確に推測できていたらそうはならなかっただろうが、さすがの5世紀生まれの魔術師も掃除機がヒト型種族になったなどとは推測のしようがないのである)
え、ーと。じゃあ、そうだな、…………スイ、でいいかな。
(とりあえず、無難な呼び名を模索した結果であった)
(無効票)
御掃除・すいすい 2021年8月21日
たくさん掃除できますか。それは、よかったです(満足そうに頷いて)
すい、ですね。はい、お好きにお呼びください。私もお好きにお呼びしましたから。それと陸様。充電、できました。動けるようにはなりましたから、もう降ろしてくださっても大丈夫です(満タンには程遠いが、警告ランプがつかないぐらいには回復できたようだった)
(無効票)
竜城・陸 2021年8月21日
……掃除、好きなんだ?
(どことなく嬉しそうに見えるその様子に、首を傾げて――)と、ああ。
いや、いいよ、こちらの方が早いから(と、言うやいなや、)
竜城・陸 2021年8月21日
(背の翼を広げて、大きく一振り、羽搏いた)
(それだけで、随分な高さまで浮き上がっていることだろう。残留効果の恩恵の十分にあるこの土地でなら、自由に飛べる――それぞれのディヴィジョンでは、その限りではないけれど)
学園まで送っていくよ。
落ちないように、しっかり掴まっていて。
竜城・陸 2021年8月21日
(――なんて、言うだけのことはあって、)
(“風を切るような”なんて言えてしまうくらいには、速く)
(ビルの間をやすやすと掻い潜りながら、きっと、あっという間に目的地が見えてくることだろう)
(発言終了)
御掃除・すいすい 2021年8月21日
はい。私は、掃除するために生まれてきましたから。
……早い?(疑問への答えは、言葉ではなく行動でもたらされた。ふわり、と言うには些か速すぎる飛翔速度でもって、男性は空へと飛翔した。床を掃除するだけだった掃除機にとって、初めて知る空からの眺め)
御掃除・すいすい 2021年8月21日
(それは、とても綺麗な景色だった)
……陸様は、私に知らなかったものを見せてくれるのですね。この景色に、学園に。そしてきっと、これからも。
(首を動かして地上を見下ろしながら、掃除機はぽつりと呟いた。それはきっと、風を切る音でかき消されていまうぐらいのもので)
御掃除・すいすい 2021年8月21日
(男性が飛翔する速度は速く、淀みのない流れである方向へと向かっていく。きっと、あの先にある建物が『学園』なのだろう。ああ、それにしても──)
陸様は、すいすいとお空を飛ばれるのですね。
御掃除・すいすい 2021年8月21日
そうして、御掃除・すいすいは学園へと入学したのだった。
(発言終了)
御掃除・すいすい 2021年8月21日
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