【個別】vs"プロンプター"
十埼・竜 2022年5月26日
ニュー新宿わくわくモール地下迷宮街深層・壱百壱番外地。通称「ドッグ・ラン」。
とりわけ「ゴミ」の多い区画は、ここ最近更に悪臭を増すようになった。
屑を漁る犬が増えすぎたのだ。
その上、「ヤバいモノを掘り当てた」などという噂に踊らされ
犬どもは安全管理もお構いなし、二本目の骨を狙ってあちこち好き勝手掘り返している。
――――まっとうな人間であれば
穴だらけの掃き溜めの底に足を踏み入れる理由も義理も、一切ない。
#奉利・聖
#十埼・竜
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奉利・聖 2022年5月27日
今は、竜さんと。
(再生しかけの身体のまま、君に近づいて)
奉利・聖 2022年5月27日
僕が話してる。
(じっと、君を見つめていた。両肩に手を置いて、姿勢を低くして)
(──その眼差しに、指先に。仄かな光が灯っている)
(それは、厳しさを内包した…強い力を宿していた)
(君の死への教唆を跳ね除け、己に巣食う“死”すらも抑えつけられているそれは)
(魔法では無くて、気功でも無い。持ち得る全てとは、まったく違う何かであった)
奉利・聖 2022年5月27日
死んで欲しいですか、僕に。
(貴方の望みは、なんですか)
いなくなってほしいですか、僕に。
(貴方の欲望は、なんですか)
消えてしまう方がいいですか、僕は。
(貴方の願いを教えてください)
奉利・聖 2022年5月27日
叶えましょう、真に望むことを。
さぁ、もう一度言ってみて。
(お選びなさい、今一度)
“貴方の願いだから”叶えたいのです。
(強まる光。応じるように、見つめて、触れてるそれも強まる)
(これは、『抗い』の為の力)
(死した肉体が、完全に死に切らずに…普通の人の様に血が流れ、腹が減っているのも。“死”に浸かり切らず、精神を保てているのも。死人が生命の力である錬気を扱えるのも。水際でこの力がずっと、働いているからだ。望みを手に入れる為に、手を伸ばす為に。■け■■れ■■き■力だ)
(無効票)
十埼・竜 2022年5月27日
(近づく一歩ごとに、死の声は遠のいて)
なん、だよ
(死ぬどころか、蘇る男。竦んだように動かない足)
なんだよ、きえろ、よ、
(仄かな光が、狼狽え歪んだ群青を照らして)
十埼・竜 2022年5月27日
(――――あらがえ、と)
(そのひかりが、おとが、いっているきがした)
十埼・竜 2022年5月27日
――――ぼくはせんぱいとずっといっしょにいたい!!!
(もはや反射、即答。コール&レスポンス。罅割れた声で叫んで)
(さっき“左手を奪い返した”ときは失敗したから)
(自分の胸の下、胃のあたりを掌で叩く。)
(ここだ。)
(無効票)
奉利・聖 2022年5月27日
……はい。
動かないで。
(そこに何か、居るんだな)
(咳、さっきの吐き出すような動き…何かを植え付けられている)
(すぅ。錬気を巡らせる)
奉利・聖 2022年5月27日
(浸透打撃の、衝気功。その出力範囲を極力絞り、内臓に負担を掛けないようにして。胃の奥に居る何かにだけ、浸透するように精密に)
(トン、と小突くように、下から上への方向で腹へ拳を突き出す)
(それだけで、染み渡る──衝撃が!)
今動かしました!吐き出して!
(無効票)
十埼・竜 2022年5月27日
(多分、拳は軽く触れただけだったと思う)
(それだけで内臓がひっくり返った)
(体をくの字に折って吐き気に抗わないのが一番楽だ)(胃から喉にせり上がる、それは)(さっき粗方吐いたおかげか、ひどくすんなりと口からこぼれ出た。)
(枝分かれする細い腕を無数に生やした、赤黒いウミユリのような異物)
十埼・竜 2022年5月27日
(喉の奥にまだ腕を残すそれを掴んで引きずり出す。引き千切る。)
(胸の内側を引き裂かれるような痛みと、残る鈍痛。口の中に溢れた鮮血を、最後に吐き出して)
(地面に全部投げ捨てて、だん! と、踏みつける。)
十埼・竜 2022年5月27日
……ころしてやる。
(無効票)
奉利・聖 2022年5月27日
……戻ったようですね。
(あんなものを体内に入れられていたなんて)
(一体いつ、どこで……誰が)
奉利・聖 2022年5月27日
(そっと、抱きしめる)
…よかった。
(安堵の溜息を吐いたのも、束の間)
奉利・聖 2022年5月27日
(また、じっと貴方の顔を見る)
覚えてる限りでいいので。
奉利・聖 2022年5月27日
何時。
奉利・聖 2022年5月27日
どこで。
奉利・聖 2022年5月27日
誰に。
奉利・聖 2022年5月27日
何を。
奉利・聖 2022年5月27日
された?
(無効票)
十埼・竜 2022年5月27日
(優しく抱きしめる、温度もない、ろくな音もない、その大きな体を――――懐かしいものだと、きっと体が誤認する)
(もう、だいじょうぶだ、って)
(ちいさかったときみたいに。)
十埼・竜 2022年5月27日
(けれど)
(向けられた黒い瞳を、直視することができなかった)
(あの“音”を使えてしまった)
(誰も死なせないための仕事を継いだぼくが)
(よりによって、きみに、あんな最悪の形で)
(それだけは、絶対にしてはいけないと――――思っていた。)
十埼・竜 2022年5月27日
(それをさせられたのが――――ああ。一番、赦せない)
(答える前に、)
……それ言ったら、先輩が潰しに行っちゃうじゃないですか。
もしかして怒ってますか?
(無効票)
奉利・聖 2022年5月27日
(……どうなんだろう)
(絶対そうだ、と言い切れないが)
……えぇ、実は。
奉利・聖 2022年5月27日
ご自分でしたいですか?
僕を使うでも構いません。
どのみち放置はできないでしょうから、どうぞお気に召すままに。
(これも、貴方に委ねた)
(無効票)
十埼・竜 2022年5月27日
(怒りじゃなくて焦り、急がなければ他にも危険が及ぶから、なんて、合理的な答えが返ってくるんだと思ってたから)
(死んだ、なんて言ってたものを肯定する、その短い答えが――――嬉しかったって言ったら、やっぱり怒られるだろうか)
十埼・竜 2022年5月27日
……どこから自分の意志じゃなかったのかは、正直曖昧。囁かれて、捻じ曲げられてる感じがして……それが強くなったのは(ポケットから端末を取り出して、時間を確認する)多分、3時間くらい前から。
そのときぼくがいたのは、上層。
思えば最近、やけに上層への呼び出しが多かった。呼び出し主は全部バラバラなんだけど、今日ぼくを呼び出したのは――――(上層のある店舗主の名を挙げて。)
どこで(踏み躙られた残骸を見下ろして)……“盛られた”のかは、わからない。今日より前にもう仕込まれてたのかも知れないし。
十埼・竜 2022年5月27日
ぼくがわかる範囲は、このくらい。
先輩にしたいように、好きにして……って、言ったら?
(無効票)
奉利・聖 2022年5月27日
(随分と用意周到だな。上層への呼び出しの多さ…リスクの分散、あるいはすべてがブラフ。遠隔操作でいつでも起動できるなら、それこそ何日も前から仕込んでおけばいい)
………情報が足りませんね。
流石に手あたり次第にやるわけにもいきませんし。
奉利・聖 2022年5月27日
まずは、調査をしましょう。
事はかなり急を要します。復讐者すら操りかねない代物を、普通の人間にやられたらどうなるか。
簡単に何かに混ぜられるのなら、それこそ感染するみたいに広がる可能性すらある。これはとても悪質な事件です。
何より。
奉利・聖 2022年5月27日
貴方にあんなことを言わせて。
いいように操り、望まぬことをやらせた。
デリート
廃棄しなければ、気が済みません。
奉利・聖 2022年5月27日
こちらでも調べてみます。
信頼できる伝手もありますし。
…ひとまず今は、診てもらわないと。
メディカルチェックを受けて、安静にしてください。
いいですね?
(無効票)
十埼・竜 2022年5月27日
調査……(頭の奥に、重い痺れ。額に手を当てて)そう。調査。そうだ……
(ウミユリの残骸を、恐る恐る拾う。……素手で触りたくないけど仕方ない。一切の“波”を感じないから、もう無力化されている……と思う)
先輩。「重要指定奇物」って言葉、最近聞いた? 噂話レベルでも。
要するに、このモール内で出回ってる異常なアイテムの……商工会で確保しとかなきゃヤバいやつ、って意味なんだけどさ。
ぼく、それの捜索頼まれてたんだよ。主に上層担当で。
十埼・竜 2022年5月27日
……そっか。
まずそこを忘れさせられたんだな。
(声に、昏い熱を籠めて)
十埼・竜 2022年5月27日
ねぇ、先輩。お願いがあるんです。
(無効票)
奉利・聖 2022年5月27日
えぇ、知っています。
時々こちらにも情報提供依頼が来るので。
……なるほど、それ絡みで。
(商工会に敵対する勢力か、あるいは商工会に裏切り者が居るか…どちらにしても面倒だな)
奉利・聖 2022年5月27日
……聞きましょう。
(無効票)
十埼・竜 2022年5月27日
(片手で、これも恐る恐る)
(服の裾を掴む)
(かすかに、震えている)
今晩、泊めて。先輩んとこ。
(無効票)
奉利・聖 2022年5月27日
………。
奉利・聖 2022年5月27日
はい。
(今日は寂しくない夜になりそうだ)
(無効票)
十埼・竜 2022年5月27日
(それで、赦された気になるのは)
(きっと愚かなんだけど。)
十埼・竜 2022年5月27日
(銃を、呪いを向けられたことを、裏切られたと傷ついていないだろうか)
……ありがと、先輩。(そこにいつもの軽口を繋げられないくらいには、まだ怯えたまま)
(服の端っこに縋りついた指を、ほどけないまま。)
じゃあ、メディカルチェックも上層だな。全部盛りして経費で落としてやる。
先輩。かえろ。
(■)
奉利・聖 2022年5月27日
はい、帰りましょう。
(なんだか子供みたいだ、と思うけれど)
(年齢を考えれば、まだまだ子供の範疇だ)
(明確な悪意に晒されているのは…怖いはずだ)
奉利・聖 2022年5月27日
(こんなことをした代償は)
(高くつくということを、思い知らせてやる)
(■)
十埼・竜 2022年5月27日
────────────────
「……で、最近挙がってた『腹の中が真っ黒な遺体』の原因が、あの残骸だ、と」
「分析の結果、同種と見てよいかと思われます」
十埼・竜 2022年5月27日
「死の直前に妙な行動が目立ったのは、内臓から侵食して中身を丸々乗っ取られていたから。……まるでB級ホラー映画だなぁ。
で、喋って動いていたのはその……寄生物体が?」
「死亡例では、何とも。今回の未定着例の被害者は『認識、意思決定に強く干渉される感覚があった』と証言しているそうです。
目撃者も『言動は他人のようで、状況に応じて記憶や能力を本人から探って、引き出しているようだった』と」
十埼・竜 2022年5月27日
「……寄生物体が、中継機だった可能性は」
「というと」
「そもそも『腹黒』たちの死の状況、どうにもキレイな"いと"を感じてね」
「意図?」
「操り糸」
「はぁ」
「今回のケースは未然だったとはいえ、言動はやはり引っ掛かる。
……寄生物体を更に遠隔操作していた、バックがいるとするなら」
「遠隔……電波的、魔術的に? 彼の知覚を掻い潜って?」
十埼・竜 2022年5月27日
「だから真っ先に彼を潰そうとしたんだろう。外からの干渉であれば耳聡いからね。内側に潜り込まれるとなかなか難しいようだけど。
……ディアボロスにすら干渉可能となれば、重奇物指定は免れないなぁ」
「自力で吐き出せる程度の軽度な侵食では、正直ここまでの行動変容は考えにくいそうです。
……恐らく、彼の特性によるものでは」
「悪い方に相性が良かったかぁ。これで支配系統への抵抗術式付いてなかったら、早い段階で手遅れだったかもねぇ」
「……それは初耳なんですが」
「付いてるんだよ彼。売約済みって」
「はぁ」
十埼・竜 2022年5月27日
「……彼は暫く休ませますか? 彼個人を狙っているなら、表に出す訳にも」
「いや。任せる……と、本人に直接言ったよ。普通に過ごして貰うならそれで『アレはディアボロスに通用しなかった』、それを示す意味はある。同じ手は出せんだろう」
「奇物調査への協力も」
「協力者と一緒に続けてくれるということだ。『次はない』そうだよ」
「………案外と、タフですね」
「それだけ赦せないんだろうね」
「やはり彼等は、本質的に"復讐者"なのさ」
十埼・竜 2022年5月27日
【重要指定奇物】
分類:高〜中影響度(除去不可能〜要処置)/中拡散性(複製可能・自己複製能無し)/小型(携帯可能)
名称:"プロンプター"
説明:胃から体内に侵食し、行動を操る寄生体。
(詳細、発見経緯略)
上記を重要指定奇物とし、所持者の確保、全数の把握、収容を急務とする。