#春の麗
ケペシュ・ナージャ 2022年4月22日
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この暖かな日和は春と呼ばれているらしい。
自分が新宿島に流れ着いたのはつい先日のこと。
まだよく知らないこの島の、故郷の風とは違った暖かさが好きだ。
この日もまた、そよぐ草木と花の香りに誘われて陽の下へ。
けれど少しばかり夢中になり過ぎたのかもしれない。
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こころ・ケペシュ
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ケペシュ・ナージャ 2022年4月22日
(困った。右を見ても左を見ても、公園内では似たような風景が広がっている)……。(どうやら見知らぬ土地で道に迷ってしまったらしい。どうしたものかと頭を捻っていると、一方の道からやって来る人が見えた)
もし、そこの方。少しお尋ねしても?
夜茨・こころ 2022年5月1日
(木漏れ日、柔らかい風に揺れる花とまだ若い葉の薫り。遠くから聞こえた猫の声も、頬を撫でる風も、漂う薫りも、その凡てが穏やかな春の語り手となって、美しい季節を伝えるものだから、その魅力を堪能しはじめた、そんな日。)(穏やかな季節の楽しさに、ついつい財布の紐が緩んで、沢山の団子を買い込んで通りすがったいつもの道。あっちを見て、こっちを見て、明らかに迷子になっていそうな人影と、目があって。)…お兄さん、迷子サン?この公園、随分と広いもんね。
ケペシュ・ナージャ 2022年5月6日
はい、恥ずかしながら。(何故分かったのだろうと、驚いた様に少しだけ見開いた後で)
右も左も分からずに困っていたところです。良ければ出口までの道順を教えて貰えませんか?
夜茨・こころ 2022年5月9日
(深淵を思わせる蒼玉が僅かに揺れるのが映れば、言葉にせずとも頭の中の疑問は明らかで、)だって、お兄さん、視線もすっかり迷子やったし―――けど、私も、買うたお団子何処で食べよかなって迷ってたとこやから、お仲間みたいなもんやで。(恥ずかしながらという返答に、これ以上は動揺させないようにと言葉添えた答え合わせ。そうして、彼の困った様子に、迷う事なく、直ぐに小さく頷いて)勿論。道案内なんてお安い御用。ちなみに、お兄さん、何処かに急いどるの?急いでないなら、この公園、色んな花が咲いてるから、見ていったら?(迷子という状況からして、そう沢山この場所に来たことがあるわけないだろうと予測して、小さな提案。どうでしょう、とすらり立つ彼を、上目遣いで見つめて。)
ケペシュ・ナージャ 2022年5月13日
(「お団子」と口の中で反芻する。彼女もまた迷っていたのか。同じと分かれば僅かばかり表情が緩んだ)
いえ、特に急ぎの用がある訳では。……花ですか、それは良いですね。是非、見てみたい。(こちらを見上げる貴女を見下ろした。親切な人がいたものだと、嬉しく思う)
ケペシュ・ナージャです。貴女は?
夜茨・こころ 2022年5月23日
私、方向感覚が、…あんまり、ええ方ではないみたいで。知っとるところなら一定はわかるんやけどね。(例えば、この公園の中くらいなら、と笑って付け足し。)
(提案に返ってきた返事に、嬉しそうに)そう、花。あっち、あのね、今、薔薇が凄く綺麗で。私、一番好きな花なんだ。(行こう行こう、と目を輝かせて、手招き。そして名乗られてから、はっと初対面だった、と我に返って、スカートの裾を摘んで軽くお辞儀した後に、)私は、こころ。夜茨こころ。よろしくね、ケペシュ。ケペシュは、花、好きなん?
ケペシュ・ナージャ 2022年5月23日
では似た様なものですね、お互い。……公園内だけだとしても、俺にとっては心強いです。
(花について語る貴女はどこか楽しげに見える)
薔薇ですか、分かりました。では見に行きましょう、こころ殿の好きな花を。(宜しくお願いします、とつられる様に頭を下げて)
花に限りませんが、植物は好きですね。陽に照らされて伸びる姿は特に。(目的地に向かって歩みを進めながらも、のんびりと言葉を交わすだろう)
夜茨・こころ 2022年5月26日
うん、お揃い。(ふふ、と楽しそうに笑って)いつも迷っては誰かに助けられとるから、誰かに道を教えるのは、もしかしたら初めてかもしれん。(この公園内なら任せて、と得意げに。)
すごく手入れが行き届いててね、ほんまに綺麗なの。薔薇ってね、育てるのがちょっと大変だから、上手に沢山大輪の花を咲かせてる此処の庭園の人、尊敬しちゃうよね。薔薇以外にも沢山の花があるし。(そのまま、時々ちらちらと後ろの彼がついてきているか振り返りつつ、春の陽気に連れられるように楽しげな足取りも軽く、口数も多く。薔薇園までの往く道も咲く花々に視線が行ったり来たり。)
植物全般ってこと?…サボテンとか、木とかも?
ケペシュ・ナージャ 2022年5月27日
そうですか。では今日は俺がこころ殿に道を教えて貰い、次は俺が他の誰かに道を教える……そうやって繋がっていくものなのかもしれません。(お願いします、と大きく頷いて)
綺麗に花を咲かせるのは一筋縄じゃいかないんですね。こころ殿も自分で育てたことがあるんですか?(「大変」という言葉に彼女自身の体験も含まれているような気がして。貴女が振り返る度に、後ろをついて歩く青と目が合うだろう)
ええ、つまりはそうですね。歴史を重ねた背の高い木は特に好きです。
夜茨・こころ 2022年6月1日
わぁ、その考え方、素敵。私の知らない誰かに、私の伝えた事がケペシュの音色も加わって伝わってく。(気合十分に意気込んで、大きな歩幅に負けないくらいのスキップと、時々地面を蹴り上げて上機嫌に翼で跳ねて)
うん、あるで。私、昔おばあちゃんちに住んでた頃、沢山、薔薇以外にもお花育ててたの。新宿にきても、小さいお庭でも好きな薔薇だけは育てたいなぁって思って、育てはじめて、最初は枯らしちゃうこともあったけど、自分ひとりで上手く咲かせられた思い出のお花。ケペシュはお花、育てたことある?(目が合えば、にっこり微笑んで、)―――あ、あの辺り、薔薇の道、見えてきた(ふわり香る華の匂い、視線の先、アーチを彩る蔓薔薇・小道の脇を埋め尽くすパステルカラーの花々。)
(言葉に、納得し頷いて)たしかに、神社とかの大木とか、歴史感じて、…なんて、いうんやろ、こう、感慨深い、感じ、が好きなん?(違うだろうかと首傾げて)
ケペシュ・ナージャ 2022年6月4日
ええ、では次へしっかりと伝えられるよう、今日歩いた道を覚えなければ。(貴女の足取りを見ていると、こちらまでつられて弾むようで。楽しい道行きになりそうだと予感させる)
そうですか、いくつも重ねた努力の上に咲いた薔薇は、きっととびきり綺麗だったでしょうね。……俺はまだ育てたことは。初めてでも育てやすい花は何かありますか?
(薔薇の道と聞いて視線をそちらへやる。華やかなアーチを見ていると、まるで花々に歓迎されているかの様にも思えた)あそこを潜るんですか?
……感慨深い。そうなのかもしれませんね。樹齢を重ねた大木は、その佇まいに神聖さすら感じるんです。
夜茨・こころ 2022年6月7日
うん。もう少ししたら、今度は夏のお花たちが出迎えてくれるから、また来て、誰かに紹介してあげてね。(また全く違う景色に見えるから、と早くも次の季節に期待寄せる表情浮かべて)
凄く綺麗やったなぁ。最後には、ドライフラワーにしたもん。枯れちゃうの、見るのが寂しくなるから。(先に見える薔薇の花々を見やり、愛おしそうに懐かしんで)せやなぁ、なら、ビオラとかは?ケペシュの瞳によく似た色のもあるの。
(小道に溢れる薔薇の花々の横を歩けば、華やかな薫りにより楽しそうに)せやで、あそこをくぐるの。あの先にガゼボがあって、のんびりお茶もできるで。
たしかに、神社の大きな木とか、つい触れたくなる不思議な魅力は、あるかも。自分よりもずうっと昔から、その場所にいる、先輩やもんね。
ケペシュ・ナージャ 2022年6月10日
時期によって咲く花も違うんですか? 景色がすっかり変わる程とは……また確かめに来る必要がありますね。(ならば、今目の前に広がっている景色は暫く見られなくなるのだろうか。しっかり目に焼き付けておこうと、改めて周囲を見た)
思い入れがあるほど別れは悲しい。乾燥花として保存したくなる気持ちは分かる気がしますね。……ビオラ、ですか。初めて聞きました。(未知のものに対する興味を瞳に映して)今度探してみましょうか。
(口を動かしながらも貴女の後をついて歩く。先輩と聞けば「違いない」と短く笑って)
ガゼボ……という所に着けば休憩できそうなんですね。団子を食べるには丁度良さそうだ。
夜茨・こころ 2022年6月12日
うん、花も、木も、色や姿も変わるの。季節によらず、ずうっと咲いてる子たちもおるけどね。ケペシュは、お気に入りのお花ってあるん?(過行く時と共に変わる花々を想い浮かべて、そういえば聞いてなかったと気付き尋ねて)
御別れは何度あっても寂しいね。(悲しそうに薔薇の花から視線を外しつつ、)ビオラは寒さにも強い花なの。凄くカラフルで、永くお庭を彩ってくれるはず。一凛の中に沢山の色を飾る子もいたり、一色に染まった子もいて。個性沢山なお花。(きょろきょろ、辺りに無いか見回すも、既に薔薇園の真ん中で、言葉に出した花は見つけられず、少し残念そうに)…ん、是非、探してみて。スマホとかで、調べたらどんなのか分かるんちゃうかな。(持ってる?と首傾げ)
(ガゼボという言葉が聞き慣れないのかなと悩みつつ、続けて)木陰にちっちゃいベンチがあるから。―――せや、ケペシュ、お団子は、嫌いじゃない?
ケペシュ・ナージャ 2022年6月16日
(好きな花を問われて真っ先に浮かんだ花がある)祖国にブルーロータスという花があるんです。鮮やかな青が綺麗で。……見たことはありますか?(そういえばまだ新宿島に流れ着いてからは見かけていない。ふと気になって尋ねてみた)
ええ、寂しい。ですが別れがあるから次の出会いがあると言う人もいる。(そこまで言って、貴女の悲しげな様子に気が付き)……大丈夫ですか? こころ殿。(案じる様に顔を覗き)
成る程、ビオラとは強く美しい花なんですね。それなら俺にも育てられるかもしれません。綺麗に咲いた時には見て貰えますか?(貴女が教えてくれた花だから、貴女にも見て欲しいと)ええ、スマホというのも手に入れましたから。後で調べ方を覚えようと思います。
……はい、団子は嫌いじゃありません。寧ろ好きな部類です。
夜茨・こころ 2022年6月21日
青の、蓮?(飴玉のような暖色の瞳で寒色を見つめて)ううん、そのお花は、見た事ないなぁ。白や桃色は見た事あるけれど、青色なんて咲くんやね。知らなんだ。その花は、ケペシュにとって思い出のある華なの?(素敵なんだろうなぁと思い浮かべて、尋ねてみる)
(此方を見つめる瞳に気付けば、ぱちくり瞬き。言葉にはせず大丈夫と伝えるように微笑み返して。)ん、この翼が降るようになった頃を、少しだけ、思い出して。―――此処に集う人は、皆何か奪われて、…けど、こうやって出会ってもいるもんね。
(勿論!と二つ返事で大きな頷きも加えて)うん、とても強くて、素敵なお花やから、気に入ってくれたらええな。沢山話かけて、愛情かけて、そしたら、きっと、素敵な花を咲かせてくれるはず。
(返事まで開いた空白、大丈夫だろうかと心配そうに見上げるも、返ってきた言葉に笑み返し)ほなら、一緒に食べへん?沢山買うてもうたから、幸せのお裾分け!
ケペシュ・ナージャ 2022年6月23日
そうなんですか。故郷では馴染みのある花でしたが、国によって変わるもんですね。……ええ、母親の好きだった花なんです。だから思い出なら色々と。(少しだけ遠くを見た後で、また貴女へ視線を戻した。それから両目は言葉に誘われる様に背へと)
……なるほど。日々の楽しい時間のお陰で時々忘れてしまいそうになりますが、それぞれが奪われて、そして場合によっては傷を負っている。(きっと無事に取り戻せるだなんて言葉は、とても軽率にはかけられない)
言い難いことなら答えなくても大丈夫と前置きするんですが。こころ殿は刻逆前は翼を持たない人だったんですか?
(迷いなく返った頷きに、安心したように表情を和らげて)
話しかけて愛情を注ぐと綺麗な花が咲くんですか? 分かりました、やってみます。
……良いんですか? ではお言葉に甘えて、少しだけ頂きます。
(ふと前方を見れば、休憩するのに良さそうなベンチが目に入る)あれでしょうか、ガゼボ。
夜茨・こころ 2022年6月27日
へぇ、お母さんが。思い出の花、こっちにも咲いとったらよかったんやけど。生憎、私は知らへんや(視線が背に移るのを見て、風に揺れた翼を揺らす)
(海の向こう、奪われた地と刻を想って、複雑そうに空を見上げて)ん、人の優しさや頑張りのお陰で、忘れてしまうけど。幸せな時に、幾つもピースは欠けてて、不思議。そ、翼は、元々ただただ、普通の中学生してたんやけど、目覚めたら、悪魔って。…幻みたい(ほっぺ軽く抓って、残念な痛みに渋い顔浮かべる)
見て、話して、世話して。…あ、けど気ぃかける分、綺麗に見える、ってのもあるかもしれへん。ほら、野に咲く花が全く同じ種だったとて、自分のはとびきりに見えてまうだろうから(なんかの受け売りやけど、と笑って)
(そう!と嬉しそうに足早に。指刺された先、花のアーチを潜り、ベンチへ。小さなテーブルに荷物置き、)のり醤油に、みたらしに、三色団子があるけど、どれがすき?
ケペシュ・ナージャ 2022年6月28日
そうですか。けど良いんです、この島に咲く花もどれも美しいですから。今は彼らの姿を楽しんで、目に焼き付けたいと思うんです。(今日という日に見た薔薇も、きっと忘れることはないだろう。名残惜しげにもう一度、薔薇の道を振り返って)
幻ですか、確かに俺が同じ立場でも俄には信じられないでしょうね。……もしかすると以前とは形が変わっているかもしれませんが、欠けたピースを一つでも多く見つけられたら良い。そう思います。
あぁ、なんとなく分かります。愛情を注いだ分、可愛く見えてくる。贔屓目かもしれませんが。……花を育てるのが今から楽しみになってきました。(種を買って、鉢を見つけて。考えるだけで頬が緩むようだ)
ケペシュ・ナージャ 2022年6月28日
じゃあ三色のを貰っても良いですか?……色が綺麗なので。(いただきます、と串を摘む。一番上の団子を食めば、「美味い」と感想を溢して)
……こころ殿、また会えるでしょうか。美味い団子をご馳走になった礼がしたいですし、それを抜きにしてもまた貴女と話しがしたい。
夜茨・こころ 2022年7月1日
ほなら、これからも沢山 この島にしかないお花も、そのケペシュの目で見て、思い出にしていけるとええね。(薔薇の花を見つめる彼に、)
そ、寝ても覚めても消えない幻。…降るように注ぐ星の翼で空高く飛べるだなんて、なんだか余計に不思議やし。私も、元々の私から 今の世界で考え方や受け入れられる形も変わったかもしれんもんね。(新しい世界で、少なからずも良い事もあるはずだと祈って。きっと今日の出会いもその一つだろうと、穏やかに微笑む)
きっと、沢山愛情注がれた、素敵なビオラが咲くよ。いつもお花買うてる素敵な花屋さんあるんや、よかったらお買いもの行ったってな。(ここの直ぐ近く、と付け足して)
夜茨・こころ 2022年7月1日
(どうぞと団子ひとつ手渡して、自身もみたらし団子頬張る。お気に入りの一品に舌鼓を打って、ゆっくりとした時間を堪能した後に、いつの間にやら随分と経った時間に、驚きつつ、かけられた言の葉に、嬉しそうに)もちろん。ほなら、その時にはお花を育てた感想も聞きたいなぁ。それに、貴方の故郷のことも。ゆっくり、お話出来たらええなぁ。お話するのが一番すきやから、嬉しいお誘い。(今度の約束をひとつ。愛おしい時間に一つの結びを告げて、)―――またね、ケペシュ。