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#暁の境

乂八・南 2022年4月18日
 
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――少し早く目が醒めた。
未だ肌寒さの残る夜明け前の空気を切るように走る。
暫くすれば火照りだす身体に冷たい風が心地良く感じた。
腹が鳴る頃に、コンビニでいくつかのパンを手にして
幾日か前に見つけた古びたビルの階段をのぼる。
カサ。鳴らす薄いエコバックの音に、そのひとは気づいただろうか。

薄暗さが、その翅と空気の境を曖昧にした。
彼は誰。

音に鳴らず、空気を呑み込む。

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→ルル・南




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乂八・南 2022年4月18日
(声をかけないのも違う気がする。伺うように、けれど驚かせないように気配は殺さず、一歩)
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ルル・ムル 2022年4月18日
(がさごそ袋のすれる音。うしろのだれかは気配も殺していない。ルルのうしろからしのびよる)(だーれだ)ほんじつはクロワッサンです。あつあつぱりぱりのクロワッサンです。(ふりかえり)おはようございます。ごきげんはいかがでしょうか。ルルは朝からとてもとても機嫌がよろしいのです。なぜならあつあつサクサクのクロワッサンを手に入れたからです。
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乂八・南 2022年4月19日
(不思議な姿に、彼女がすぐに復讐者だと理解った。どこの出身かまではそれだけではわからないはずだったけれど、不思議な文脈で掛けられる言葉にぱちくりと瞬いて、少なくともこの世界のひとじゃない可能性が高そう、なんて妄想)え、えっと、俺はご機嫌、結構?(ルル。それが彼女の名前と認識して)あ、ほんとだ。すげーいい香り、する。(くんと空気を吸い込めば小麦のそれが鼻をくすぐって)こんな時間からやってるパン屋さん、あったんだ……。(いろいろ聞きたいことはあったけれど、腹減りマンはそれが一番気になってしまった)
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ルル・ムル 2022年4月21日
はい。あります。ルルしかしらないばしょでしょう。一見さんおことわりというやつです。(ですがですが)ルルひとりでたべるのも味けがないでしょう。焼きたてあつあつのクロワッサンはごいりようですか?(あなたの鼻がかおりを辿りたどった)(紙袋を振る)よいかおりがするでしょう?
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乂八・南 2022年4月22日
一軒さんお断りのパン屋さん……!(ますます気になる。パンは大好きである。けれどそれ以上聞くのはたぶん野暮というやつだ。ぐっとこらえて話を聞けば)――! え、いいのっ? た、食べたい……。(かおるかおりにおなかを抑える)あ、でも俺。コンビニのパンしかお返しできないけど……。(食べる? と首を傾げた。袋から取り出したのは、小さなメロンパンがたくさん詰まった袋だ)これもね、結構おいしいんだよ。
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ルル・ムル 2022年4月29日
(首肯)おやあ。あなたもルルにめぐんでくれるのですか?それもメロンパン。ルルはクッキー生地のメロンパンが大好きなのです。そちらのコンビニメロンパンはどのようなメロンパンでしょうか。小さなメロンパンのようですが…(物珍しそうな目で紙袋を差し向ける)
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乂八・南 2022年5月1日
ほんとっ? これ、クッキー生地の部分、さくさくしてるよ。うん、ミニサイズ。かわいいでしょ。すぐ食べちゃうんだけどね。(はいとこちらも袋の口を其方へむけて。紙袋からひとつ、いい香りのするふわっとしたクロワッサンを頂戴する)ありがとー。(くんと鼻に近づければ、バターの甘い香り。それだけでふわふわ幸せな気持ちに包まれるようだ)
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ルル・ムル 2022年5月7日
ありがとうございます。(あなたの向けた紙袋の口からメロンパンがこんにちは)(ちいさなメロンパンはかわいさも食べやすさも花丸。ひとくちで食べ終えてしまいそう)はなまる百点満点です。たいへんたべやすくてルルもきにいりました。おもちゃのようにも見えますね。(幸福をたっぷりかみしめる。この幸せな気持ちを力説)ですが一番の花丸は味がたいへんたいへん美味しいことです。
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乂八・南 2022年5月9日
(君がパンを受け取ってくれたなら、いただきますと挨拶をしてから頂いたクロワッサンをぱくりと口に含む。さくと音を立てたそれからほろと欠片が溢れたけれど、外だからちょっとくらいはご愛嬌だろう。口いっぱいに広がるバターの風味が鼻から抜けて、心地よい香りに包まれる。食感も味も、香りも最高だ!)

これ、おいしいっ。
(ほわぁと解けるような表情を君に向ければ、花丸と詩い重なる言葉が嬉しくて。それからきっとこんなにおいしいクロワッサンを食べるくらいこだわり派の君においしいと言って貰えたのも)

良かったぁ。すっごいこだわり派かなぁと思ったから、口に合わなかったらどうしようと思った。(ふふと笑って、二口目。美味しい)確かにメロンパン、小さくて玩具みたいに見えるかも。かわいいよね。小さい分、いっぱい食べたくなっちゃうけど。(味わいながらもクロワッサンを食べほした先、メロンパンを一口で頬張った。もぐもぐと膨らむ頬)
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ルル・ムル 2022年5月14日
おいしいですか?あなたがおいしと喜んでくれると、ルルもとてもとても嬉しくなります。さくさく。しっとり。ふわふわ。(クロワッサンよりも甘いメロンパン。しっとりした食感を噛み締めていた)はて。拘り派に見えますか?ルルはこだわりますが美味しいものは何でも挑戦したいのです。あなたは美味しい物をたくさん知っていそうですね。ルルに美味しいお話を聞かせてください。
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乂八・南 2022年5月15日
ほんと? ルルさん、やさしいね。(ただ俺が美味しいと喜んだことを嬉しいと思ってくれるなんて。君の心があたたかい証拠だ。さくさく、しっとり、ふわふわ。繰り返す。なんだかこちらも温かいきもちになった)

一見さんさんお断りのパン屋さんのパンを、こんな朝早くから入手するなんて、拘りがなきゃしないかなって思ったんだ。(けれども君から零れる言葉に納得したようにうなずいた。こだわりがあってもなくても、美味しいものが好きという気持ちはきっと一緒だ)美味しいもの――どうかな……ね、ルルさんって、もともとこの世界のひと?(最初に感じた疑問をひとつ投げかけてみる)(この世界のひとでなかったなら、知っている店や料理は少しは多いかも知れない)
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ルル・ムル 2022年5月17日
そうです。ルルはやさしいのです。たぶんきっとそうなのです。(クロワッサンを食べる)(端からパン屑がおちた)
ルルはこの世界の人ではございません。すこしまえに新宿島にやってきました。不慣れなこともおおいのですがここはとても便利だとかんじます。
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乂八・南 2022年6月1日
(素直に同意してくれる姿に、君の純粋を感じてくすと笑った。零れ落ちるパンに、口が汚れてしまっていないか、なんて。お節介にも後でウェットティッシュを手渡そうと考えてみたり)
あ、やっぱりそうなんだ。便利だって思えることがあるならよかったけど――もしさ、困ってることがあるなら、俺に出来ることなら協力させてよ。俺、もともと此処の出身なんだ。
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ルル・ムル 2022年6月5日
おやあ。手を貸してくれるのですか?それはそれは願ったりかなったりというやつです。ですが、ルルはとてもとても困ってしまうひとなので、あなたを沢山たよりますよ?だいじょうぶですか?(サクサクのパンを頬張ったまま。じっと見つめる)あなたはこちらの出身でしたか。
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乂八・南 2022年6月7日
もちろん! 俺にできることなら――できないことでも、一緒に考えたりはできるし。

困ってちゃうひとなの? ふふ、いいじゃん! て、いや、良くはないか……困ってるんだし――いやでも、ルルさんといっぱい話せて楽しそうだし、俺も嬉しいって面ではやっぱり良いはず。(ぐるぐる口にしつつも最後にはひとり頷いて)そうだよ。前と変わっちゃったこともたくさんあるけど、変わんないこともいっぱいあるよ。
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ルル・ムル 2022年6月12日
はい。とてもとてもこまってしまうひとなのです。こんばんの夕食はどこですませてしまおう。朝はなにをたべよう。ほかにもたくさん。困ってしまうのです。(茨の爪をおりたたむ)(いっこにこ。たくさん)

かわらないこと。それはいったい何でしょう?
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乂八・南 2022年6月13日
食べるものとかに困ってるわけじゃない……よな? だとしたら可愛い悩みだ。(ふふ、と笑って)美味しいもの、いっぱい教えたらいい?(折りたたまれる爪先をみてからいっぱい、と両手をパーにしてみる)

ひとの気持ちとか。俺がここにいることとか? 待ってる人がいれば、帰ってきたときにおかえりって言えるでしょ。
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ルル・ムル 2022年6月25日
ええ。おいしいものをたくさんおしえてください。おもしろい場所も。たのしいことも。ルルは楽しいを共有したいのです。それはとてもたのしい事になるでしょう?

(なるほど。なっとく)
それはかわりません。ではルルもこのパンを食べ終えたらもうすこしここで誰かをまつことにします。
変わらない日常をすごすこと。それを楽しみたいと思います。
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乂八・南 2022年6月25日
! うんっ、俺もそう思う。(同じ気持ちだった。それが嬉しくて、元気よく頷く)

――そっか。うん、じゃあ俺はそろそろ行こうかな。誰か来るといいね。(そう呟いて、よーしと伸びをした。ビニールをぶら下げて、一歩。またなと手を振れば、登る朝日が眩しくて、きらきら光ってみえる君の翅がきれいで目を細めた)

[結]
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