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#迷子の迷子のこねこちゃん

アルク・メル 2022年2月26日
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にゃあ。
微かな鳴き声に、ふと顔を上げると、いつの間にか迷い込んでいたらしい猫を見つけた。

それも、多分、とても小さくて。
ぼくみたいな子どもの手でも、片手で持てるくらいには軽そうで、弱って、汚れた子猫。
洗えば柔らかく白いのであろう毛並みも今は荒れている。
片目なんてヤニがついて開きにくいのか、お日さまに眩しげに目を細めている様がかわいそうだった。

どうにかしてあげたいけど、どうしたらいいのかわからない。
ぼくはシンシャと顔を見合わせた。

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・野良の子猫ちゃんをどうしよう。
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・20発言程度で終わりたい。1週間返信がなければ後はふんわり終わらせます




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アルク・メル 2022年2月27日
(触っていいのかも分からない。ぼくはシンシャと見つめ合うのをやめて、ネコの方を見た)
(ネコも警戒してるのかそれともぼくのことが気になるのか、じっとぼくを見ていた)
(どうしてこんなところにいるんだろう。ここはビルの屋上で、小さな庭で、迷子になるようなところじゃないのに)

……………。

…………、

ど、どうしよう。シンシャ……。

(目と目があったまま、動けなくなっちゃった)
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花文・嵐 2022年3月3日
(あのビルに花が咲いているな、と、少し前から思っていたのだ。たまたま近くの窓辺から眺めて知ったのだ。季節が冬から春を目指すさなか、みどりを増していくそこに、単純に興味が湧いた。)
(夜型の身体を引きずり日光浴がてら。音のよく響く階段を上がり、鍵もかかっていなかった扉をあけて。)

(そうして黒尽くめの女は。少女と小竜と子猫による、ちいさきものさんすくみを見つけたのである。)

…………、え、
なんか困ってる?
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アルク・メル 2022年3月3日
(ぼくらのさんかく関係は、その人の登場で大きく揺らぐことになる)

……わ。あっ、えっと……

(ネコがにい、と鳴いて、──だからてっきり逃げると思ったのに──その場に伏せってしまう。あ、と声を漏らして、現れた人とネコを見た)
(最初にこんなことを言うくらいだから、優しい人なんだろうと直感的に感じたのだ)

……あの。こういう時はどうしたらいいのかな。
ぼくのネコじゃないんだけど……これって弱ってる? よね?
どうにかしてあげないとって思って……
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花文・嵐 2022年3月4日
(弱ったように蹲った子猫。いや、実際弱っているのだろう、この距離でも、痩せていることと毛並みが悪いこともわかる。)
(すぐに抱き抱えたりしないあたり、聡明な少女のように思えた。)

(数秒、考える間を挟んで。少女らと、猫の子に歩幅ゆったりと歩み寄っていく。緩慢な思考テンポと同じ歩調で。)
……そうだなあ。この子になにかしたいと思うなら、考えなきゃいけない事があるんだけれど。
この子を、寒くないように温めて、目が開くように目ヤニをふやかして、身体が良くなるように病院に連れていくことはできる。
でもその後、どうしたい?
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アルク・メル 2022年3月5日
(近づいてくるその人が、きっと何とかしてくれるだろうと)
(ぼくはそんな風に思っていたから──まさか自分に、問いかけが来るだなんて思いもしなかった)

え、……と。

(ぎょっとした顔を、多分、向けてしまっただろう。ぱち、ぱち、と努めて瞬いて、投げかけられた質問について考える)(ううん、声が漏れた)

それは……この子が自由に生きてくれたらって……思うけれど。

(質問が先生みたい。この人の満足する答えが見つかるか分からなくって、ぼくは自分の声が小さくなるのが分かった)
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花文・嵐 2022年3月6日
自由に、か。飼いたいとは思えないって事でいい?
ーー……ああ、別に、あまりいい子な答えを出そうと無理はしなくていいよ。叱ったりしないし。私だって、この子は飼えない。他の飼い主を探すほど面倒見も良くない。つまり叱るような権利もない。

(ひょい、と、猫の子を抱く。ちっこいな。ばっちいな。あわれだな。)
(……少女の声音から、緊張させてしまったらしい事を悟る、そりゃそうか。軽く肩をすくめて、せめて笑う)

ただ、「助けたところで、助けられないかも」って理解はしといて欲しいだけ。
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アルク・メル 2022年3月9日
わかった。

(まだドキドキする気持ちはあったけれど頷いた。その人の言葉に、ぼくはよくよく言葉を考える)

えっと、飼いたいなって気持ちはあるよ。ネコは可愛いもの。
でも、ぼくはひとり暮らしだし、おうちは借りているおうちだから、勝手に連れて帰ったりできないんだ。

(しゃがんだ姿勢のまま、持ち上げられたネコを視線で追う。ぼくと同じ目線でいる頃より、抱えられたネコはずっと小さくひ弱に見えた)

だから飼えないなって思う。
……「助けたところで助けられない」って、どういうこと? ネコ、死んじゃうの?
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花文・嵐 2022年3月10日
ああ、そうね。お嬢ちゃんくらいの歳で一人暮らししてて、さらに猫の面倒を見るのは難しい。弁えててえらいくらいだよ。(こんな少女が一人暮らしか。にがい話。)(震える猫の子を持ったまま。温めるように両手で抱えてやりながら。)
そう、結局死んじゃうかも。
今いっとき、命を繋いでやる事はできても。その後、生きるために助けてくれる人間も仲間もいないかもしれないの。
こうゆう猫を保護して飼い主を探す集まりもあったけど、今もあんのかわからない。もし無かったら。あっても、飼いたい人間がいなかったら。
生きていけない。誰かに求められないと、弱い生き物は、生きていけない。
(これだけ小さいとまだお乳なんじゃないかなあ。そうゆう子を生かすのって楽な事じゃあない)

何かするなら、そうゆうかなしい事もあるって、分かっといた方がいいなって私は思うんだ。
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アルク・メル 2022年3月10日
うん。

(ぼくはそのお家でも、アルクちゃんは偉いねってよく言われる。頷く)

……うん。

(その人の言うことを、ぼくはひとつひとつ頭の中で思い浮かべる。つまり、このネコはまだ子どもで、同じく子どものぼくが何とかやっていけてるようには、この子が生きていくのは難しいのだと分かった)
(分かったからこそ、首をかしげた)

……えっと。
ぼくがそのネコのために何でもできるわけじゃないように、他の人もその子のために何でもしてくれるか分からない。見つかるかどうかも、ってことだよね。

……。
でも、今、助けないのは、やだな。
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花文・嵐 2022年3月12日
そう。もし見つからなければ、この子はまた悲しい想いをしなきゃなんない。
気まぐれに助けられても、また何回も死ぬほどお腹が空くかも知れない。
息も出来ないほど風邪を拗らせるかも知れない。
猫嫌いの人間に手酷く虐められるかもしれない。
そうゆう嫌なことがまた起きるかも知れないくらいなら、最初から助けないって手もある。
ーーそれでも今助けたいんだね。

(外見はランドセルの年頃かもあやしいような少女に何を難しい話をしてしまっているのだろうと、己でも思う。)
(なんとかしておくねと猫を受け取って、捨ててしまうのが一番、手間は楽だったんだろうけど。それが浮かぶ程度に汚くて、それを出来ない程度に半端な大人として、勝手に子供に求めているのだと思う。手の中の鼓動を助ける理由を。)
(ぴい、と鳴き声にも満たない音で、ちびが鳴いた)
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アルク・メル 2022年3月14日
……。

(その人が言う言葉の一つ一つを思い浮かべる度に胸がきゅうっと痛い)
(けれど、ぼくはもう一度頷いた。もしかしたら、ネコとおんなじ位、弱った肯定かもしれなかった)

……でも。
これから不安なことがたくさんあるかもしれないけど、ぼくがここでやれることをやったら、その子も少しだけ生きるのが長くなるかもしれないし。
未来にかわいそうなことがあるからって、今知らんぷりしていい訳じゃないって、そう思うんだ。
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花文・嵐 2022年3月17日
(ごめんね、物事を決めるという責任を押し付けて。)ーーおっけ。(女は目を細めて、少しだけれどもここまででいっとう明るい声で言った。)

あたためてやって、動物病院に連れて行こうか。湯たんぽとか欲しいな……お嬢ちゃんってこのビルによく来る?給湯室とか生きてるかな。
(道中、どこかで動物病院の看板はあったような気がする。その記憶をたぐるように、屋上からの眺めに目を凝らす。)(たしか、あの道だったかな)
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アルク・メル 2022年3月19日
うん!

(よかった。優しい人に此処を見つけてもらえたから、この子を──この人が言うように今だけかもしれないけど──助けることができる)
(人の思惑なんてわからないぼくは明るい返事に嬉しくなって笑った)

えっとね、大丈夫。この階の一個下に降りたら、ちゃんとお湯が出る部屋があるよ。いつもお花の水を汲んでる部屋なんだ。

動物病院の場所は分からないけど、復興がすすんでるから、きっとひとつくらいあるよね……?
…、(知ってる?と聞こうとして、互いに名乗ってないことを思い出した)あ、えっと、ぼく、アルク・メルだよ。ここのお花の世話をしています。

あなたは?
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花文・嵐 2022年3月20日
ーーあ、ここお嬢ちゃんが世話してんの?
私ここの緑が綺麗だなと思って来たんだよ。
(びっくりである。遊びに来てた子って訳じゃなかったのか。)(ーーということは。この猫は、ここに人間がいる事を緑の成長で知った人間が置き去りにしに来たのかも知れないな、とも、思う)

動物病院はあると思う、もし物資が限られてるとしても獣医さんの処置は頼りになる。
アルクね。私は花文嵐。嵐が名前。
オーケー、下ね。お湯くんでくる。……よかったらそれまでこの子、温めてやっててくんない?幸い、ノミはいないみたいだから。(もしきみが恐れなければ、小さな猫を小さなきみに託そうか。賢いことに触ってなかったみたいだし、助ける命の重みも軽みも触れておいた方がいいと。思うのだ。)
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アルク・メル 2022年3月22日
うん。ここ、誰もいなかったから、夏くらいからずっとお花の世話をしているんだ。
おかけで見つけてもらえたんだね。

(春の盛りを手前に膨らみ芽吹く緑色を見やる。誰もいなかったここがいつのまにか自然と誰かの目に入っていたなんて感慨深い)

なるほど、じゃあ、連れて行ったほうがいいんだね。……聞いてたよね、シンシャ。近くの動物病院を探してきて。(シンシャは気が利く。ひと声返事で飛び去った彼女を見送って、嵐の方を向く)

これで動物病院の方は大丈夫。
あたためる……。
(ちらりと子猫を見る。ぼくでいいのかな、と思いながら、手を伸ばした)

嵐、ぼくがお湯を持ってくるけど……?
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花文・嵐 2022年3月24日
お。(竜の子が舞うのを見上ぐ。動物病院わかるんだ。)
ーーサーヴァントだよね、賢いな……。頼りにしてるよ、シンシャ。(口の横に手を添えて、そんなに大きくもない声を真っ直ぐ飛ばす。)

や、ビルの中はちょっと、寒いでしょ。この子を抱いて日の当たるところにいて欲しいなって……シンシャの事も私はわかんないしさ。
(まあ、シンシャと呼ばれた子のことは取って付けた理由だが。)
(伸ばされたどこか不安げな手に子猫を、震える心音を託そう)
それとも給湯出来るとこがちょっと見つけにくいとかある?
(言いつつ、善は急げと自分がここに入ってきた扉に向かう。振り返り、きみの応答を少し待って首を傾げた。)
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アルク・メル 2022年3月26日
サーヴァントだよ。シンシャはぼくより頭がいいし、機転も利く。
ぼくもシンシャも動物病院に行ったことなんてないけれど、『動物の匂いがする病院』なら見つけられると思うから、任せて大丈夫だよ。

(シンシャは珍しくギィと鳴いて飛び去った。──多分、この人に気を利かせたのだろう)

そういうことなら、分かった。大丈夫……かはわからないけれど、──っわ。

(受け取った体は思ったよりも重たくて、ぼくはずしりと委ねられたいのちの重みに目を丸くする。──きっと軽くて小さないのちは見ていたよりもずっと重たくて冷たかった。ぼくはそれで気持ちを引き締める。取りこぼさないように抱える力を僅かに強めた)

……ううん、すぐ下の階だよ。嵐は来たから分かると思うけど、そんなに小さなビルじゃないからすぐ見つかると思う。おねがいします。

(ぺこりと頭を下げた)
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花文・嵐 2022年3月28日
(お辞儀に目を細め、よろしくと手を振って戸を閉じた。)
(そういえば、動物病院にかかるならば名前がいるのだろうかーーなどと考えながら。)
(5分程度で、戻ってくるだろう。手には小さいホット用ペットボトルにお湯を入れてタオルハンカチを撒いた、熱すぎないが人間よりもあたたかい簡易湯たんぽを持って。子猫の保温には役立つ筈だ。)
(それを、一緒に抱いてくれと、きみに差し出しつつ)

お待たせ、シンシャと子猫はどう?
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アルク・メル 2022年3月30日
──。大丈夫。大丈夫だからね……。

(小さな猫を抱いて囁き続ける。またあの人が帰ってくるまで。時間だけで言えば5分くらいだろうに、ぼくにはひどく長いもののように感じられた)
(とくん、とくんと、弱々しく、けれど懸命に鳴り続ける子猫の心臓の音と、ぼくの心臓の音が重なって。
──きっとこの瞬間、ぼくらは世界でいちばん孤独な生き物だっただろう)


……
……、

(自然と耳を澄ませていた。軋みながら開く金属製のドアの音にゆっくりと振り返る)

……大丈夫、まだ生きてるよ。
シンシャはまだ帰ってこないけれど、きっと大丈夫。

(受け取ったペットボトルの温もりを逃さない様に、猫ごとしっかり抱いた)
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花文・嵐 2022年4月1日
シンシャまだね。
(まあまだそんなに経ってはいないから。5分程度だもの。宙空に目を凝らしてみれば、この視力のさして良くない目でも竜の子の旋回は見えるだろうか。)
(己がいない間の5分は、長かったろうと思う。いたところで出来ることはたかが知れているとしても、頼れるもののない時間は長いよな。よく耐えたじゃないか。)

ーーその子の名前でも考えながら待とうか。
病院で名前が、書類上必要かもしれないし、ちびだと味気ないし。
名前をつければ、記憶になるときに鮮やかさを増すから。

(悩んでつけられずじまいだって、考えたことに意味があるから。)
(命に関わったというまじないを己らに掛けながら。この命が救われるのを待ちたいのだーー)
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