1.雪が消えた頃に
赤本・シロウ 2022年2月14日
「私を書いてみないか?」
そう言われてから暫く経った。
断ろう。そう思って、俺は今いつもの喫茶店の前に居る。
いつも派手な赤い髪は、リボンの様に鮮明だった。
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赤本・シロウ 2022年2月14日
(からんころん、とドアベルが鳴る。けれど心臓が五月蝿くて殆ど聞こえ無かった。)
返事を、しに来ました。
聞いてくれますか。
(大きな瞳を見る事の無い様に、下を向いて尋ねた。)
非玉砕・だるま子 2022年2月14日
(きみが下を向くのでその下にしゃがみ込んで見上げていた)(早業)
非玉砕・だるま子 2022年2月14日
久し振りだね、マスター彼にホットチョコレートを!(一発で間違いなくカウンターに届く声)
赤本・シロウ 2022年2月14日
ヴぉあっ!!!ぁ!!!(あまりの早業にキュウリ見た猫ちゃんみたいな飛び上がり方をした)
赤本・シロウ 2022年2月14日
ま、まってまって!?何頼んでんの!?要らないですよ俺はそのあんたの話を断りに来たんだぞ!!?!!?そんな呑気に美味しいうふふみたいな事出来るわけないだろ!?!!(ノータイムな注文だった。ちなみにマスターはもう作り始めている)
非玉砕・だるま子 2022年2月14日
そうか断りに。(すっく)
非玉砕・だるま子 2022年2月14日
もの寂しいが一杯うふふするには問題は無いと思うよ、断る理由も、君が書きたいものにも興味がある。
断る事にそんなに怯え、恐縮しなくたっていい。せっかく来たんだ、少しくらい話そうよ。(ね? 女は君に背を向けると、対面せずに済み、かつマスターに助けを求められるカウンター席に着く。手招き。)
赤本・シロウ 2022年2月14日
(手招きされたのが隣の席だったので、こいつさては距離感というものがおバグりあそばせてるな??とシロウは思った。普通、好きでも無い相手を隣に座らせたらストレスだろうが)
……俺、は
(突っ立ったまま、服を握る。子供が駄々を捏ねる時の様に)
赤本・シロウ 2022年2月14日
俺は!何も書きたくねえんですよ!
(叫んでしまえば後はもう濁流が開いた口から溢れて後に引けない)
俺は、俺はそれなのに書かずにはいられなくて書いたって過去の俺が嗤うだけだって分かってんのになんでかずっと筆が置けなくて分かってんですよそれが格好悪くてダサくてどうにもならない事なんだって分かってんですよ!?なのにどうにも出来なくて、俺はあんたを書いたさ、なのにひとつも!たったひとつも!あんたを書けやしなかった!解るか!?いいや分かるもんか!あんたの鮮烈を書くには絵画に劣る!あんたの鼓動を書くには譜面に劣る!こんな俺が、書ける訳が無いんだ!!分かってくれたか?分かるわけないか?解んないだろうよ……(最後はほぼほぼ泣き声だった。俯いた目から悔しさが零れ無いようにただ服を握り込む)
赤本・シロウ 2022年2月14日
俺は……あんたを……うまく、書けないんだ……
非玉砕・だるま子 2022年2月16日
書いたの?(席にいるままなのに圧がある)
非玉砕・だるま子 2022年2月16日
それでも続ける事が格好悪いだなんて、ああ解らないとも、解るべきではないとも。私達は幼き日の無垢に追いつけない。思春期の痛みにも、さんざめく青嵐にも、真の意味では劣っていくよ。けれどもその上で、今日をあさましいまでに生きる全人類は美しくなっていく。私は今日の君と今日の私に興味があるんだよ。
非玉砕・だるま子 2022年2月16日
ーーいや感性の御託など結局人の美しさと美しさのビッグバンで話し合っても無限に話せるだけと見る!書いたならやっぱり見せよ?
赤本・シロウ 2022年2月16日
見せたらどうせ嗤うだろ!同じ事言って俺を嗤ったやつらが大勢居るんだ!いやそいつらとあんたが同じとは決して思ってないんだけど!あと家だから今無い
非玉砕・だるま子 2022年2月16日
やっぱ?>無い
非玉砕・だるま子 2022年2月16日
行く?(ホットチョコレートおまたせしましたー飲んだってね?)
赤本・シロウ 2022年2月16日
は??行くって何処?裏路地??(ヤンキーそういうとこでカツアゲするよね)
(マスターが飲まないんか……?という八の字眉で見て来るので、おずおずと椅子に近付く)
(隣からの美人の圧がすごい!!)
(逃げたい!だが立って飲むのは良く無いと亡きばあちゃんに怒られた事があるのでちゃんと座った。えらい)
赤本・シロウ 2022年2月16日
あ、いい匂い(ホットチョコレートが優しく香る)
非玉砕・だるま子 2022年2月16日
え、きみんち。
非玉砕・だるま子 2022年2月16日
やあマスター、このホットチョコレートの丁寧さは実に絶品だね。なに?バターと練乳を入れるのがミソ?ははあ……とろける……!
赤本・シロウ 2022年2月16日
(ぐぶっ、と妙な音が出た)
(飲み物を吹き出しそうになったのを、無理やり堪える音だった)
……!??……?(きちんと飲み下す。喉がヒリヒリする)
え?はい?え?おれんち??俺ん家!?!?げほっぼっはぁ!?えふっ、げほっ
非玉砕・だるま子 2022年2月18日
お水いる?(出てくるお水。ナイスアシストマスター。)
だって家にあるって言うから。見たいしねえ。
赤本・シロウ 2022年2月19日
(貰ったお水を一気に呷る)女の人が!!!そういう事ホイホイ言っちゃダメでしょうが!!?!?……本当に、駄作なんだ。でも……(ごにょごにょと口籠る。編集者に捕まった時もこんな感じだった。ただ書いていた長編をいいから見せろと上がり込んできた男が、自分の作品を世に知らしめた。だから、そう、これだけ求められるなら、見せても良いんじゃないか、なんて)……ぅうう"う"……(色々考えている間に頭が煮えてきた。押されれば頷いてしまいそうだ)
非玉砕・だるま子 2022年2月22日
すなわち君、私を抱きたいほどに熱い男だったのかい!!!!これはこれはとんだお子様扱いをしてしまったね!!!!
非玉砕・だるま子 2022年2月22日
(まあそれはさておき)駄作だとは思えないのだけれどねえ、私に寄せられる言葉や想いが輝いていない筈はない。……いや、仮に真に私の感性に響かなかったとしても、きっと私は嬉しいよ。君は実に真摯な男だから。
さ、私が書かないかと言って、君が書いてくれた。ならばこれは最初から依頼だった。依頼完遂の為にも、是非とも私に見せてくれなくては。(ずい)(押)
赤本・シロウ 2022年2月28日
そんなに!!!ハッキリ言われると!!!恥ずかしくて死にそうだからやめて!!!!!?!!?違うけど!!!いや違うくないけど!!!まっ!!ちがっっっ!!ちくしょう!!!!
赤本・シロウ 2022年2月28日
ぐ……(依頼だった、と言われてしまえば頷かざるを得ない。作家というのは、そういうものなんじゃないだろうか。少なくとも自分の担当はずっとそう言っていた。下手でも良い何も伝わらなくても良いから、先ず今出来ている物を見せてくれと頑として譲らなかった。そのおかげで、今もなんとか生きている身としては、なんとも、その言葉は強いのだ)
……わかりました……じゃあ、そのホットチョコレートは、依頼料という事で……良いですか……
非玉砕・だるま子 2022年3月2日
(若いね〜)
非玉砕・だるま子 2022年3月2日
うん、君がそれで構わないなら。(私としては勿論より出すつもりはあるが、追加報酬として出すつもりでいる方が場がまるい気がした。そんなに受け取れないと言われるのが目に見えるんだもの)
では、これをゆっくりと飲んだらそのように。ふふ、楽しみ……というと荷が重くなってしまう?(にこにこと。ホットチョコレートをかたむけた)
赤本・シロウ 2022年3月3日
(そんな訳でシロウの家へと向かう二人!以下ダイジェイストでお送りします)
・シロウの家もといアパートへ到着。シロウ以外は一人も住んでおらず、大家さんすら別の場所へ住んでいるボロアパート!ようこそ!
・この後に及んで駄々を捏ねるシロウとなんやかんやで部屋へと入る事に成功しただるま子さん!そこで目にしたのは凡ゆる場所へと散乱する原稿用紙!万年筆!そしてキノコ!
・なんとシロウの部屋にはキノコが繁殖していたのです。こわ
・これは食べられるキノコだと分かっただるま子さんは、お腹の鳴ったシロウの為にキノコを焼き始める
・家が燃えました←イマココ
赤本・シロウ 2022年3月3日
(パチパチと疎な拍手よろしく日の子が爆ぜるのを、茫然と見上げる)
(特に思い入れがある訳じゃない。ただ呻きながら暮らしていた木造のアパートが燃えている)
……今日の寝る場所、どうしよう……(呆然としながら手元に有ったキノコの串焼きを口へ運ぶ。もぐぅ……もしゃ……もしゃ……)うめぇ……
非玉砕・だるま子 2022年3月5日
ふうむ 乾燥した季節とは恐ろしい、こうも燃えるとは(ぱち……ぱち……)
非玉砕・だるま子 2022年3月5日
君、火災保険はちゃんと入ってた?大家さんにもすぐにお詫びをしなければ。建て直しの費用はこちらで出すとしてーー
非玉砕・だるま子 2022年3月5日
まあ今夜ーーもとい暫くのところはうちで寝るといい!!!(ざっ! シロウをお姫様抱っこの状態で立ち去る子さん!)やあもしもし、消防の人!火災の鎮火をお願いします!はい、住所はかくかくしかじかの!!!
非玉砕・だるま子 2022年3月5日
(シロウの悲鳴がまた響き渡ったとか、サイレンに掻き消されたのでそんな事はなかったとかなんだとか。)
〆