《1:1》逍遥
花鶴・景臣 2021年11月30日
何とはない、新宿島の昼下がり。
『所用』を済ませた用心棒の目に映る、異国の彩。
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お誘いした方と
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花鶴・景臣 2021年11月30日
(ビニール袋の中、物資の不足した新宿島で何とか手に入れた「それ」を見下ろし、小さく吐息を零す)(後は塒に帰って早速作業を――そう、顔を上げると)……ん?(視界に捉えたのは、新宿島では決して珍しくない筈の、けれど日本育ちの己には未だ物珍しい、異国の装い)
サーリヤ・ワッハーブ 2021年12月1日
(冷たい風に、クーフィーヤが揺れる。それに僅かに目を眇めた男は、スマートフォンに視線を落とす。しかし、無情にも画面は黒一色だ。電源が切れている。)(唸りたくなるような心地で顎髭を指の腹で撫ぜ、どうしたものかと視線を巡らせる。未だ勝手の解らぬ異国の地。防寒具を着ているとは言え、異なる気候で育った身にはかなり堪える。塒に帰るなり店に入るなりしなくてはならないのだが――)(スマートフォンに視線を落とす。幾度見ても黒いままだ。)
花鶴・景臣 2021年12月3日
?(手中の板に目を落としたままの男を横目に通り過ぎようとした――視線が捉えたのは、黒い画面。スマホに疎い自分にだって分かる。それは明らかに電源が切れている)………(周囲を見遣る。誰もいない)(逡巡する。スマホの扱いなんて聞かれても分からないし、何よりこの男を気にかける謂れなどない――ないのだが)……おっさん。それ、電源切れてねえ?(結局、放っておくことも出来なかった)
サーリヤ・ワッハーブ 2021年12月5日
……、(掛けられた声にスマートフォンへ落とした視線を持ち上げ、辺りを見る。男以外には青年しかおらず、もう一度辺りを見てしまう。)……ああ、俺のことか。(『おっさん』とは、どうやら自分のことのようだ。)どうにもそのようだな。地図が見れなくなってしまい、どうしたものかと思っているところだ。(携帯型の充電器も所持していないし、塒以外の場所での充電方法にも心当たりがなかった。)
花鶴・景臣 2021年12月6日
地図が見れないって……(それは、要は迷子になったということだろうか――率直に発してしまいそうになった言葉をどうにか飲み込む)ええっと…目的地っつーか、どの方面に進むってのは検討ついてんのか?(そのくらいならば、己にも検討はつくだろう。藁にもすがる思いで、問うてみた)
サーリヤ・ワッハーブ 2021年12月6日
方面……方面か。わからん。(はっきりきっぱり言い切った。)いつもナビゲーションシステムに言われるままに歩を進めているからな。(異国の地でも歩き回れるから、スマートフォンはすごい。何故だか青年――と言うよりはまだ少年か? 彼は困った感じで声を発している気がする。これはもしや……)少年、迷子か?(俺に道を尋ねたかったのならすまないな、と男は真剣な目をして口にした。)
花鶴・景臣 2021年12月11日
はあ?(断言だった。開いた口が塞がらない。否、然しどう見ても彼は異国の様相だ。もし新宿に来たばかりならば、地名すら把握していないのも無理ないかも知れない)なら、近くに何か目立つものはあったりしねえ? くそ高えビルとか、面白い見た目の建物とか……は、(そこで、発せられた言葉に愕然。暫しの思考停止の末)――いや迷子はあんただからな!?(心からの叫びが漏れた)
サーリヤ・ワッハーブ 2021年12月16日
(何か不思議なことを口にした覚えはない。何故だか少年は驚いた顔をしているが……まあそういう年頃なのだろう。)目立つものか……坂が多かったことくらいしか覚えていないな。建物はみな高いからな。違いがわからん。(ふむと瞳を伏せかけ、ん? と少年を見る。)少年……迷子とは子どもがなるものだろう?
花鶴・景臣 2021年12月20日
誰が子どもだ、誰が! ……いや確かに未成年だけどガキって言われる程ガキじゃねえっての(噛みつく様子はあまりに子どもじみていたけれど、本人は気付く訳もなく)あ゛ー…ったく、どうすんだよ。手がかりも何もなけりゃ、流石にお手上げだぜ?(深々と溜息一つ。頭を掻いた)
サーリヤ・ワッハーブ 2021年12月22日
未成年ということは俺はその倍は生きているぞ。(子供は子供だと言いたげな口調で。)坂が多い、だけではわからないか。……難しいものだな。となると、スマートフォンの充電が出来る環境を探したほうが闇雲に歩き回るよりは得策だな。少年、この辺りで充電が可能な場所の心当たりはないか?
花鶴・景臣 2021年12月30日
(眉間に皴)(納得がいかない様子である)…悪かったな。俺だってあんまり新宿に詳しくねえんだよ――しっかし坂が多いってなると、荒木町の辺りか…?(うんうん頭を捻っていると)充電。(思わず反芻した。それはそうだろう、スマホの電源さえ入ってしまえば、地図はいくらでも使える、らしい。持っていないのだから、聞き知った知識だが)充電可能な場所っつってもな…そういや、コンビニとかなら充電器っぽい物を売られてるって聞いたような…?
サーリヤ・ワッハーブ 2022年1月12日
(荒木町。口内で言葉を転がしてみる。が、よくわからない。そもそも町名を覚えていたら迷っていなかったかも知れない。)この国は区分でチョーやマチが着くのは知っているが、あまり地名を気にして見ては居なかったな……。コンビニか……物資的に、あったりなかったりはするだろうが、新しく入手するのも手だな。(顎を撫でてふむ、と考え)少年はスマートフォンを所持してはおらんのか?
花鶴・景臣 2022年1月22日
(まあ、そういうものか。確かに外国の地名を詳しく覚えられるかと言われると己も自信がない――男の言葉に頷きながら)この御時世だしな。あれば儲けもんってところだが……あ? 俺?(まさか話題を振られるとは思わずきょとんと目を丸くして)生憎、俺は持ってねえよ。別に必要に駆られる事態も起きてねえし。電話するだけなら公衆電話でも良くね?(そういえば、昨今はあまり見掛けないような……)
サーリヤ・ワッハーブ 2022年1月23日
ん? 今、持っていないと言ったのか?(本当に?と問いたげな声だ。高齢者ならいざ知らず、若者が?と。少年の頭の先から爪先までじっくりと見てしまう。どこからどう見ても若者である。)公共の電話を見つける方が大変だと思うが……いや、すまない。若者はみな所持しているというのは偏見だったか。あれば地図が見られると思ったのだがな。
花鶴・景臣 2022年2月2日
え。(想定外と言わんばかりの声色で返された。然程気にしていなかった分、指摘されてみれば、そういえば――)……そんな皆が皆して持ってるもんなのか? おっさんくらいの齢でも持ってるってくらいだから、それなりに便利なもんなのかね……(首を傾げながら)……とりあえず、充電できる場所を探さねえと話も進まなさそうだし、動こうぜ。
サーリヤ・ワッハーブ 2022年2月5日
皆が皆、かは解らんが。俺の義娘は7歳だが持っているぞ、スマートフォン。日記をつけたり、つぶやきというのをしているそうだ。世界とつながる、とも言っていたな。……そうだな、動くか。…………(キョロと辺りを見る。)少年、あてはあるのか? なければ闇雲に動かねばならんが……。
花鶴・景臣 2022年2月7日
7歳(思わず反芻してしまった)日記……つぶやき……?(首を捻る。つぶやきって携帯でするものなのか。世界は広い)……技術の発達ってすげえんだな(頭の悪い自分では、そんな月並みの感想しか浮かばなかった)
……ん?(動こうとして、振り返る)まあ、それはそうなんだが……虱潰しになるとして、とりあえずは動くしかなくねえか。それっぽい場所を探せば、まだ充電器を手に入れられるかも知れねえし、充電くらいできる場所あるかも知れねえ。
サーリヤ・ワッハーブ 2022年2月11日
(理解の範疇外だったのだなと察し、フと笑う。)俺も呟きというのを最近初めた初心者ゆえ、よくはわかっておらぬがな。日々機械も人もアップデートされているのだそうだ。
それっぽいところ、なぁ…………すまないな、少年。俺は異国の者ゆえ、『それっぽい』がわからん。大人しく少年についていこうと思う。(任せて良いか?と君を見た。)
花鶴・景臣 2022年2月25日
あんたもしてるのかよ……(この男、どう見ても中年と呼んでも問題ない年代である。少しばかり感心してしまった。本当に、少しばかりだと言っておく)まあ、さっき言ったみたいにコンビニとか、後は電気屋とかならまだ当てがあるかも知れねえってだけだが、それでよけりゃ――(そこで、ふと)……そういや、俺。名前言ってたっけか?
サーリヤ・ワッハーブ 2022年3月3日
俺でも出来るのだ。少年でも出来ると思うぞ。(苦手意識があるのかと思った男は、そんなことを口にして)本当に俺は地理に疎くてな。スマートフォンばかりを見て歩いてきたものだから、通った道にそれらがあったかすら覚えていないのだ。……ああ、そういえば名乗っておらんな。俺はサーリヤだ。好きに呼んでくれていい。少年は?